スティーヴ・ハウ (Steve Howe 本名:Stephen James Howe、1947年 4月8日 - )は、ロンドン 出身のギタリスト 。1960年代 から様々なプロジェクトに参加、特にイエス やエイジア での活動が有名である。
「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のギタリスト」において2003年は第69位だったが、2011年の改訂版では削除された。
経歴
演奏するスティーヴ・ハウ (1977年)
1964年 にシンディキャッツ というビート・バンドでプロ・デビュー。彼等はシングルを幾つか発表した。
1965年 にキース・ウェスト らとジ・イン・クラウドを結成。彼等は1967年 にトゥモロウ と改名して、後にイギリスのサイケデリック・ロック界の大物となるトゥインク と活動して、サイケデリック なサウンドで注目を集めた。ハウはトゥモロウでアルバム1作の制作に関わった。また1967年7月に、音楽プロデューサー のマーク・ワーツ(Mark Wirtz )がウェストを起用して制作したシングルExpert from "A Teenage Opera” [ 1] の録音に参加してギターを弾いた[ 2] 。このシングルはヨーロッパで人気を呼び、全英シングルチャート で最高位2位を記録した。現在ではロック・オペラ [ 注釈 1] の草分けの一つと認知されている。
その後はボダスト [ 注釈 2] [ 4] 、P・P・アーノルド やデラニー&ボニー のツアー・バンドなどを経て、1970年 にピーター・バンクス の後任としてイエス に加入。アルバム『危機 』や『海洋地形学の物語 』などの代表作で披露した他の追随を許さない多彩なギター・サウンドと優れた作曲能力でバンドの躍進に大きく貢献し、プログレッシブ・ロック を代表するバンドの一つと称された1970年代の黄金期の一翼を担った。
1981年にイエスが活動を停止すると、1982年にスーパーグループ のエイジア を結成して大成功を収めた。イエスが1983年にギタリストのトレヴァー・ラビン を迎えて活動を再開すると、彼は1984年にエイジアを脱退して1988年 にイエスの分家のアンダーソン・ブルーフォード・ウェイクマン・ハウ に参加。紆余曲折を経て1996年 イエスに再加入し、2024年現在まで中心メンバーとして活動している。
1980年代には、短期間ではあったがスティーヴ・ハケット とGTR を結成して活動したほか、イエスの同僚だったトレヴァー・ホーン が起こしたレーベル「ZTTレコーズ」の関連アーティストの作品やI.R.S.レコーズ [ 注釈 3] のアニマル・ロジック [ 注釈 4] のデビュー・アルバム への客演、I.R.S.傘下のインストゥルメンタル 専門レーベル「ノー・スピーク」シリーズへの参加など、さまざまなプロジェクトで精力的に活動した。1991年にはクイーン のアルバム『イニュエンドウ 』[ 注釈 5] より「イニュエンドウ (アルバムタイトルと同名の曲)」のレコーディングにフラメンコギター で参加している。
1970年代 にバンド活動と並行してソロ活動も開始した[ 注釈 6] が、より精力的に取り組み始めたのは1990年代 に入ってからである。2007年 にはドラマーである長男ディラン・ハウ (英語版 ) [ 注釈 7] 、ハモンド・オルガ二ストのロス・スタンリー とスティーヴ・ハウ・トリオ を結成して、2008年 にかけてヨーロッパをツアーした。また、キーボーディストの次男ヴァージル・ハウ (英語版 ) とディランをメンバーに加えたファミリー・バンド「スティーヴ・ハウ・レメディ」としても活動を行なった[ 注釈 8] 。
また、2006年にはエイジアのオリジナル・メンバーによる再結成に参加、精力的にライヴツアーを行いながら2008年4月に新作アルバム『フェニックス』を発表。2008年夏にはイエス久々の再始動となるアメリカ・ツアーを交え、エイジアとしても2013年に脱退するまで活動を継続していた。
2009年のイエスとエイジアの合同アメリカツアーでは、両バンド在籍者として全編の演奏を務めあげ、2010年はイエス、エイジア、スティーヴ・ハウ・トリオのツアーに参加して世界中を飛び回るなど、70歳を過ぎてなお精力的な活動を展開している。
奏法
ビーコン・シアター にて (2013年)
ハウは他のギタリストが弾くようなありふれたフレーズではない独自のものを弾くのを好んだ。彼の流儀の特徴は、ロック・ミュージックにカントリー 、ジャズ 、クラシック 、フラメンコ 、トラッドなどの技法を溶け込ませる事である。
彼は何種類ものエレクトリック・ギターやアコースティック・ギターを用いるほか、エレクトリック・シタール 、ペダル・スティール 、リュート 、マンドリン など様々な種類の弦楽器を巧みに弾きこなす。ライブ演奏でも曲によっては1曲の中で異なる楽器に何度となく持ち替える。
ディスコグラフィ
ソロ・アルバム
『ビギニングス 』 - Beginnings (1975年)
『スティーヴ・ハウ・アルバム 』 - The Steve Howe Album (1979年)
『タービュランス 』 - Turbulence (1991年)
『グランド・スキーム・オブ・シングス』 - The Grand Scheme of Things (1993年) ※旧邦題『大いなる陰謀』
Not Necessarily Acoustic (1994年) ※ライブ・アルバム
Mothballs (1994年) ※シンディキャッツでのデビューから、イエス加入以前までのコンピレーション。
『ホームブリュー1』 - Homebrew (1996年)
『クォンタム・ギター 』 - Quantum Guitar (1998年)
『ライヴ・イン・アメリカ〜プリング・ストリングス 』 - Pulling Strings (1999年) ※ライブ・アルバム、1994年録音
『ポートレイツ・オブ・ボブ・ディラン 』 - Portraits of Bob Dylan (1999年)
『ホームブリュー2』 - Homebrew 2 (2000年)
Natural Timbre (2001年)
Skyline (2002年)
『エレメンツ』 - Elements (2003年)
Spectrum (2005年)
Homebrew 3 (2005年)
Remedy Live (2005年) ※ライブ・アルバム
Motif Volume 1 (2008年)
Homebrew 4 (2010年)
『コンプリート・オブ・ホームブリュー』 - Complete of Homebrew (2010年) ※『Homebrew』1から4までを収録。
『タイム』 - Time (2011年)
Homebrew 5 (2013年)
『アンソロジー』 - Anthology (2015年) ※ベスト・アルバム
Homebrew 6 (2016年)
Love Is (2020年)
Motif Volume 2 (2023年)
スティーヴ・ハウ・トリオ
The Haunted Melody (2008年)
Travelling (2010年)
『ニュー・フロンティア』 - New Frontier (2019年) ※ビル・ブルーフォード が3曲で共作している
コラボレーション
ポール・スーティン & スティーヴ・ハウ『天使たちの詩』 - Seraphin (1988年)
ビリー・カーリー・ウィズ・ゲスト・スティーヴ・ハウ『トランスポーテイション』 - Transportation (1988年)
ポール・スーティン & スティーヴ・ハウ『青き世界の旅人』 - Voyagers (1995年)
スティーヴ・ハウ/マーティン・テイラー『マスターピース・ギターズ』 - Masterpiece Guitars (1996年)
オリヴァー・ウェイクマン The 3 Ages of Magick (2001年)
トゥモロウ
『トゥモロウ』 - Tomorrow (1968年)
『総天然色の夢』 - 50 Minute Technicolor Dream (1998年) ※1967年の未発表音源集。
サウンドトラック:マーク・ワーツ A Teenage Opera (1996年) ※1967年と1968年の音源。再編集され1996年にリリース。
『パーマネント・ドリーム』 - Permanent Dream (2023年)
ボダスト
『ジ・アーリー・イヤーズ』 - The Early Years : Steve Howe with Bodast (1990年) ※1969年のレコーディング当時は未発表。後にハウ自身がリミックスを施し、1981年に『The Bodast Tapes』としてチェリーレッド から発表したもののCD再発盤。
イエス
『イエス・サード・アルバム 』 - The Yes Album (1971年)
『こわれもの 』 - Fragile (1972年)
『危機 』 - Close to the Edge (1972年)
『イエスソングス 』 - Yessongs (1973年) ※ライブ・アルバム
『海洋地形学の物語 』 - Tales from Topographic Oceans (1973年)
『リレイヤー 』 - Relayer (1974年)
『イエスタデイズ 』 - Yesterdays (1975年) ※ベスト・アルバム
『究極 』 - Going for the One (1977年)
『トーマト 』 - Tormato (1978年)
『ドラマ 』 - Drama (1980年)
『イエスショウズ 』 - Yesshows (1980年) ※ライブ・アルバム
『クラシック・イエス 』 - Classic Yes (1981年) ※ベスト・アルバム
『結晶 』 - Union (1991年)
『イエスイヤーズ 』 - Yesyears (1991年) ※ベスト・アルバム
『キーズ・トゥ・アセンション 』 - Keys to Ascension 1 (1996年)
『キーズ・トゥ・アセンション2 』 - Keys to Ascension 2 (1997年)
『オープン・ユア・アイズ 』 - Open Your Eyes (1997年)
『ラダー 』 - The Ladder (1999年)
『ハウス・オブ・イエス 』 - House of Yes - Live from House of Blues (2000年) ※ライブ・アルバム
『マグニフィケイション 』 - Magnification (2001年)
『IN A WORD:ヒストリーBOX 』 - In a Word (2002年) ※ベスト・アルバム
『アルティメイト・イエス 』 - The Ultimate Yes (2004年) ※ベスト・アルバム
『ライヴ・イヤーズ 』 - The Word Is Live (2005年) ※ライブ・アルバム
『フライ・フロム・ヒア 』 - Fly From Here (2011年)
『ヘヴン・アンド・アース 』 - Heaven & Earth (2014年)
『フライ・フロム・ヒア:リターン・トリップ』 - Fly from Here : Return Trip (2018年)
『ザ・クエスト』 - The Quest (2021年)
『ミラー・トゥ・ザ・スカイ 』 - Mirror to the Sky (2023年)
エイジア
GTR
『GTR 』 - GTR (1986年)
『キング・ビスケット・ライヴ』 - King Biscuit Flower Hour (1997年)
アンダーソン・ブルーフォード・ウェイクマン・ハウ
『閃光 』 - Anderson Bruford Wakeman Howe (1989年)
『イエス・ミュージックの夜 』 - An Evening of Yes Music Plus (1993年) ※ライブ・アルバム
セッション、ゲスト参加
脚注
注釈
出典
引用文献
関連項目
外部リンク