ドラゴンクエストウォーク
『ドラゴンクエストウォーク』(DRAGON QUEST WALK)は、スクウェア・エニックスとコロプラによって共同開発され[4]、スクウェア・エニックスによってリリースされている[3][2]、Android[2]・iOS[3]対応の位置情報RPGである[1]。略称は『ドラクエウォーク』[7]、『DQウォーク』、『DQW』。 経緯リリースまで2019年6月3日に、スクウェア・エニックスが「スマートフォン向け『ドラゴンクエスト』新作発表会」と題して行った発表会で、アプリのタイトルと大まかな仕様、リリースが今年度中であることが明らかとなった[8]。この発表会では、当時Pokémon GOが注目を集めていた2016年ごろに、のちにドラゴンクエストウォークのプロデューサーとなる柴貴正がドラゴンクエスト原作者の堀井雄二に、位置情報とドラゴンクエストと掛け合わせて面白いことができないかと相談したことが本作誕生の経緯であることも明かされた[9][10][11]。株式市場では、新作への期待感からか開発する2社の株価が急騰し、両者ともに年初来高値を更新した[12]。特にコロプラの株価はストップ高を記録した[12]。同時に体験会(ベータ版)の実施も発表され[10]、計2万人が6月11日から16日の間楽しんだ[13]。 9月5日、正式版のリリース日を9月12日とすることが発表され、同時にApp Store、Google Play Storeで事前予約が始まった[5]。11日には、プレイはできないものの、アプリケーションがダウンロードできるようになり[14]、当初予定されていた翌日の12日からプレイできるようになった[6]。 リリース後リリース翌日の13日にはApp Store (iOS) のセールスランキングで首位となり[15]、14日にはAndroidとiOSの累計ダウンロード数が300万件に達した[16]。17日にはGoogle Playのゲームカテゴリにおける売上ランキングでも首位を獲得し[17]、同時に500万件の累計ダウンロードも達成した[16]。両社の株価も急騰し、スクウェア・エニックスは新作発表会の株価を超える年初来高値を更新し、自社の不祥事のために低迷気味であったコロプラもストップ高を記録した[18]。 歴史
ゲームシステム本作は位置情報ゲームであり、現実世界のプレイヤーが移動することでゲーム内のアバターも移動する。実際に歩いて達成するクエストを複数回行い、新しいストーリークエストを開放するのに必要な「導きのかけら」を集めながら進めていく、というのが本ゲームの基本的な流れである[28]。 総論クエストを始めようとすると、目的地として複数箇所が候補に挙がる。表示された目的地候補には、出発地点からの距離に応じて「導きのかけら」の貰える個数が設定されており、出発地点からの距離が遠ければ遠いほどより多くの導きのかけらを貰える[28]。適当な候補が表示されない場合は、「どこでも目的地」という機能(1日1回のみ[注 2][注 3])や「導きのつばさ」というアイテムを使用することで開始時点から半径150メートル以遠の任意の場所を目的地に設定することもできる[29][注 4]。目的地を選ぶとクエストが始まり、フィールド画面に移行する。目的地はクエストが始まった後も再設定できるが、その場合再設定前に設定する際に使った「導きのつばさ」などは戻ってこない[29]。 フィールド画面は、ドラゴンクエスト風に書き改められた地図を斜め上から見下げたような画面で[30]、モンスターや「かいふくスポット」をはじめとする様々なオブジェクトが出現する[31]。モンスターをタップすると戦闘が始まり、通常攻撃やスキルを用いてそのモンスターを倒さなければならない。戦闘中にモンスターから攻撃を受ければHPが減少し、スキルを使うとスキルに応じてMPが消費される。モンスターを倒すと経験値が貰え、これを貯めることでプレイヤーのレベルと能力値が上昇する。また、モンスターを倒した際は「(モンスター名)のこころ」と呼ばれるアイテムを入手できることがあり、これを装備するとプレイヤーの能力値が上昇する[32]。緑色のかいふくスポットをタップすると、最大HP・MPの約半分を回復させられるほか、アイテムを入手できることもある[33]。 クエスト開始時に設定した目的地に到達するとクエストは成功し、設定されていた個数分の「導きのかけら」を入手できる。 メガモンスター、ギガモンスター冒険ランク10になると、メガモンスターと呼ばれる巨大なモンスターがフィールド画面に登場することがある[34]。これはPokémon GOにおける「レイドバトル」と似たようなもので、「とうばつ手形」「特別とうばつ手形」というアイテムを使うことでのみ戦闘に参加できる[34]。この時、同時に戦闘に参加しているメガは8人、ギガは30人のプレイヤーと一緒に参加することができ、モンスターを倒すのに成功すると、与えたダメージ量に応じたアイテムが貰える[34]。 2022年4月から新たに追加された上級者向け「ギガモンスター」が実装された。 こちらは全国対戦で討伐Pにも含んでおり、「並ギガ(推奨レベル:上級職50)(獲得P:750)」と「特ギガ(推奨レベル:上級職75)(獲得P:1000)」の2パターンがある。但し「特ギガ」の方は平均レベルが「上級職75」、「特級職25」以上[注 5]にならないと挑戦できない仕様となっているので注意。 2024年4月、ご当地メガモンスターが実装された(「北海道・東北」「関東・中部」「近畿・中国」「四国・九州・沖縄・台湾」それぞれの地方限定で出現する4種類) 自宅冒険ランク3になると、プレイヤーはフィールド上の任意の場所に「自宅」を設定できるようになる[35]。「自宅」とは呼ばれるが、プレイヤーの実際の自宅の場所を設定する必要はなく[36]、場所の変更も24時間の間隔を取れば可能である[35]。自宅に設定された場所を訪れると、1時間に1回HPとMPを全回復できる[35][注 6]。また、自宅の中はゲーム上で入手した「家具」を使って模様替えしたり、模様替えした自宅を他のプレイヤーに公開したりできる[35]。自宅の公開設定は3種類あり、自宅として設定された場所をほとんど変えずに公開したり、1キロメートルから3キロメートル程度ずらした場所に公開したり、あるいは公開しないことを選ぶこともできる[35]。 自宅を離れてから戻ってくると「おでかけボーナス」も貰え、歩いた歩数や触ったかいふくスポットの個数等に応じてポイントと経験値を貰える[35]。このポイントを貯めることで、家具を貰ったり、家を広げたりできる[35]。 他のプレイヤーの自宅を「いいね」することもできる[36]。「いいね」をすると、「いいね」をされたプレイヤーの「訪問者リスト」にプレイヤー名が残る[36]。またそのプレイヤーにフレンド申請を行うこともできる。 ステータスステータスには「さいだいHP」「さいだいMP」「こうげき力」「しゅび力」「こうげき魔力」「かいふく魔力」「ちから」「みのまもり」「すばやさ」「きようさ」があり、主に装備、職業、こころによって強化されるが、なかまモンスターずかん、ふるさとスライムなどによっても変動する。装備やこころによっては、現在地がどの地方なのか、現在地の天気予報によっても変動がある。各ステータス値は4桁まで表示される。戦闘終了時にHPが0になったキャラクターは、戦闘終了後には残りHPが1で生き返る。 職業キャラクターにはそれぞれ職業(後述)が割り当てられており、職業ごとに覚えるスキルや高めまたは低めに設定されている能力が異なる[37]。ゲームが進行するとこれを変更することができ、装備[注 7]ごとに装備の能力を最大限に生かせる職業がそれぞれ異なるため、手持ちや使いたい装備に合わせて転職することになる[37]。職業のレベルアップで身につけたスキルを転職後に他の職業に継承されることはない。ただし、一部のステータス上昇の効果は他の職業にも継承される[37]。 2023年11月現在、以下の職業があり、2つの基本職が50レベルに到達すると上級職に、2つの上級職が70レベルに到達すると特級職に転職可能となる。(指定された組み合わせがあり、一部の例外もある)
攻撃の種類スキルを使うことによって様々な攻撃方法があるが、「斬撃」「体技」「じゅもん」「ブレス」の4種類のいずれかに分類される。それぞれに応じた強化方法があるが、例えば「斬撃」で与えるダメージを増やすには、ステータスの「ちから」を上げるだけでなく、「スキルの斬撃ダメージ+10%」などの効果を得ることも重要である。受けるダメージを減らす方法として、ステータスの「しゅび力」を上げるだけでなく、「斬撃耐性+5%」などがある。敵に一度に与えるダメージは容易に1万を超え、好条件が揃えば10万を超えることもある。 属性、系統ダメージの計算方法には、属性と系統も重要である。 属性:メラ、ギラ、ヒャド、バギ、デイン、ジバリア、イオ、ドルマ、表記なし(無属性) 系統:スライム系、けもの系、ドラゴン系、虫系、鳥系、植物系、物質系、マシン系、ゾンビ系、悪魔系、エレメント系、怪人系、水系、????系 装備キャラクターは武器、盾、頭、鎧(上)、鎧(下)、アクセサリー(2個)を装備することが可能。 装備の入手ふくびき(ガチャ)により無料および有料でランダムに装備品を入手する。ログインボーナス等で一定回数は無料で引くことができ、その他には回復スポット、戦闘回数、歩数によってマイレージを貯める必要がある。 ★5の装備が手に入る確率は7%で、ピックアップ(限定)装備は2%(各0.5%が4つ)とゲーム内に表示されている。 装備の強化装備の強化の方法には以下がある。
錬金百式指定された★5のアクセサリーを強化するために、週に100回までボスと戦闘して必要な素材を集める。 こころモンスターを倒すとモンスターのこころを落とすことがあり、それをキャラクターが装備することによりステータスが強化される。モンスターに限らずシリーズ作品の人間キャラクターのこころもある。フィールドには「確定」または「高確率」でこころを得られるスポットがあり、移動してそこでモンスターを倒すことによりこころを集めやすくなっている。 こころのカテゴリーには主に5種類あり、黄(戦士)、紫(魔法使い)、緑(僧侶)、赤(武闘家)、青(盗賊)であり、一部は特殊な色のこころもある。 同じこころを複数所持することによりD→C→B→A→Sとグレードアップが可能で、一部のこころでは宝珠を集めることによりSを覚醒してさらに強化することが可能である。 装備可能なこころの数は、基本職では3個、上級職では4個、特級職では4個である。異なるグレードであっても同じこころを複数装備することはできない。 全てのこころには「コスト」が設定されており、キャラクターが持つコスト上限の範囲内でこころを装備することが可能。各職業のレベルを上げることによってコスト上限が上がり、より高コストで強力なこころを装備できることを目指す。 こころ道特級職では一定のレベルに達すると、こころ道によってこころSを装備することで強化が可能。 覚醒千里行一部のこころSを覚醒させるための特別なイベント。週末のみ挑戦が可能となっている(金曜日15時から日曜日15時までの48時間)。 心珠心珠ポイントを集めることによりランダムで心珠を獲得できる。心珠にもDからSの性能がある。 キャラクターはどの職業でも2個の心珠を装備できる。 ほこらフィールド上に10~12種類程度の様々な難易度のモンスターのほこらがあり、攻略するとモンスターのこころと、石板(上級職の熟練度を上げるアイテム)が手に入る。フィールド上のほこらに近づいて「ルーラ登録」しておくと、ルーラポイントを消費してどこからでも戻って対戦しに行くことができる。 強敵フィールド上にイベントに関連する強敵がいる。イベントにより同時に2~5種類の強敵がいて、出現させる強敵をプレーヤーが選択する。ほこらと同様に「ルーラ登録」が可能。強敵が出現する状態であれば、移動しなくとも1時間に1回出現する。 馬車戦闘中に馬車のスタンバイ仲間と入れ替えが可能。2024年3月にテリーが初実装された。 宝の地図歩数や戦闘回数に応じて宝の地図が入手でき、そのボスを倒すことによって、報酬が得られる。ボスと3種類のお供モンスターが設定されており、それらのモンスターを倒すとこころを確定で得られる。 導きのかけらを消費することにより、他のプレイヤーがシェアした宝の地図を入手できる。導きのかけらの保持できる上限は6000であり、6000を消費して手に入る宝の地図に出現するモンスターは非常に強力なこころであることが多い。 ふるさとスライム宝の地図はプレイヤーの都道府県が設定されており、攻略した地域(関東、近畿等)に応じてステータス上昇の効果を得られる。自分がいる場所(地域)限定での効果もある。 ウォークモードPokémon GOをはじめとする位置情報ゲームでは、歩きスマホが社会問題となっていたが、ドラゴンクエストウォークでは「ウォークモード」というモードを追加することで解消を図っている[38]。このモードにすると、「一定速度」で移動しているときに限って、自動的に周辺のモンスターとエンカウントや戦闘をしたり、かいふくスポットでHPやMPを回復したりしてくれる[39]ものの、自宅も含めた家や目的地に入ることができないというデメリットもある。また、移動速度が車や電車のように早すぎたり、逆に全く動いていない状態だったりすると機能しない[40]。さらに、端末がスリープモードであったり、バックグラウンド処理されていたりするときは動作しない[39]。 リセマラ第1章第1話をクリアするとふくびき(ガチャ)が引けるようになるが、入手した装備が気に入らないときにアンインストールと再インストールを繰り返すことでリセマラできる[41]。ただし、第1章第1話のクリアには、目的地を設定して実際に歩く必要があるため「リアルマラソン」とも称されている[42]。しかし、1日1回どこでも目的地というものがあり、自分の近くに置くことができるため歩かなくてもリセマラは可能である。 おみやげ都道府県毎に4つずつおみやげが設定されている。おみやげ毎のランドマークに行くと、ご当地クエストが解放され、他のクエスト同様に、目的地を設定し、クエストを達成すると、おみやげを入手することができる。コロプラでもおなじみのおみやげであるが、コロプラ同様おみやげ自体に効果はなく、フレンドに送る等の用途しかない。また、複数個購入するには、有償ジェムでのみ購入可能となる。一部の場所では、入場料等を支払う必要がある。 都道府県のおみやげエクストラおみやげ台湾
カジノスロットとツモるんです(麻雀)で遊び、コインを獲得して景品と交換できる。ニャンバーズ(宝くじ)は週に10枚まで交換可能。 なかまモンスター仲間にしたモンスターを育てて、対戦が可能。 各モンスターには性格が7種類あり、仲間にした性格の数だけキャラクターへのステータス強化の報酬が得られる。 まものランド下記の動物園や水族館などのスポットでなかまモンスターを寄贈すると報酬が得られる。 登場キャラクターフィールド上でエンカウントするモンスターについては、ドラゴンクエストのモンスター一覧を参照されたい。
オリジナルモンスター登場するモンスターのほとんどは今までのシリーズと同様であるが、イベント・ストーリー等の期間限定の以下のモンスターは初登場である。
評価業界アナリストのセルカン・トート[47]は、新作発表会中に「東京のスクウェア・エニックスは、『ドラゴンクエストウォーク』と題された正に恥知らずなポケモンGOクローンの新作発表会を、現在行っている」と批評するツイートをした[48]。 問題Google Maps Platformの位置情報を元に、ゲームアイテムなどを入手できるスポットがランダムに配置されるため、拝観料が必要な寺院や住宅などの私有地、赤坂御用地などの立入禁止区域内にもスポットが配置されてしまう[注 9]。このような理由から、モラルを欠いたユーザーが、料金を払わずに施設に入場したり、深夜に車やバイクなどで訪れたりし、通報、騒音苦情が警察や制作元に寄せられる事態となった[50][51][52]。 愛知県内で自動車の運転中に本ゲームをプレイ(ながら運転)して、死傷事故が発生した例もある[53]。愛知県では過去にポケモンGOでも同様の人身事故が発生しており、県内での本ゲームのプレイに際しては特に注意が必要である。 コラボ
脚注注釈
出典
関連項目
外部リンク
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