セレッソ大阪ヤンマーレディース
セレッソ大阪ヤンマーレディース(セレッソおおさかヤンマーレディース、Cerezo Osaka YANMAR Ladies)は、大阪府大阪市および堺市を本拠地とし、滋賀県など他の地域も活動範囲とする日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)に所属するサッカークラブである。 概要日本プロサッカーリーグに加盟するセレッソ大阪の運営会社・株式会社セレッソ大阪の関連団体である一般社団法人セレッソ大阪スポーツクラブの管轄であったが、WEリーグ参入に伴い株式会社セレッソ大阪へ運営が事業移管された[2]。 下部組織としてセレッソ大阪ヤンマーガールズU-18、セレッソ大阪ヤンマーガールズU-15を持つ。また、「クラブ申請制度」を活用し、大阪学芸高校女子サッカー部をセレッソ大阪の育成組織として登録している。これにより、同校サッカー部に所属する選手が下部組織選手として、公式戦に出場可能となった[3]。 入団セレクション、平均年齢基本的に他クラブからの補強はせず、入団セレクションに合格もしくは、当クラブでプロキャリアを始めた選手を育てて強化する“究極の育成型”を掲げて活動を続けており、所属選手のほぼ全員がアカデミーからの生え抜き選手である[4][5][注釈 1]。入団セレクションで合格した選手は~期生として扱われている。 こうした独特なチームのため、中学生・高校生でレディースの試合に出場する選手も多くリーグ全体の中でも平均年齢が若い。2020年は19.6歳、2021年と2022年は17.7歳であった。2016年3月に1期生が高校卒業を迎えるまでは全選手が高校生以下だった。 入団セレクションは例年7月から9月のいずれかに一次セレクションが実施されている[6][7]。 歴史創生期・誕生・関西女子サッカーリーグセレッソ大阪は女子サッカー部門の強化を図る為に、2005年6月にスクールの女子クラスを創設。2007年からは大阪府サッカー協会が主催する「女子サッカークリニック」と連携し、C大阪主催試合の前後に長居陸上競技場などでスクーリングを開催していた[8]。 2010年4月に「セレッソ大阪レディースU-15」を創立[9]。関西を拠点とするJリーグクラブで唯一の女子チームが誕生した[10]。セレクションで選ばれた中学1年生16人が1期生となって始まった[8][11]。大人ではなく中学生でチームを新たに作った理由について、当時の一般社団法人セレッソ大阪スポーツクラブ代表理事であった宮本功は、大阪府内の中学校に女子サッカー部は皆無で、中学年代の女子がサッカーを続けるための受け皿が不足している現状から、「女子サッカーの市場ができていないまま、大人のチームを作っても、お金がなくなったらそこで終わってしまう、まずは選手を育てていく土壌、仕組みを作る」「(現時点で)事業としては直結しないですが、そこにつながるようにきっかけを作っていきます。女子選手は確実にいます。これだけの大都市ですから可能性は十分にある。女子サッカーが根付いていないだけなんです。」「裾野を広げ、市場を拡大しないと強さは永続的には続かないし、結局しぼんでしまう。一見すごく遠回りに見えるかもしれないけれど、実は一番の近道」と説明した[12][8]。 2011年、関西女子サッカーリーグ2部から1部に昇格。 2012年4月、「セレッソ大阪レディース」に改称。8月、日本女子サッカーリーグに新規参入加盟を申請[13]。11月に開催された「チャレンジリーグ入れ替え戦予選大会」でノルディーア北海道に勝利し、2013年からのチャレンジリーグ参入が決定した[14][15]。この試合のセレッソの選手は、全員が中学生であり、90分間の試合はこれが初めてだった[16]。 チャレンジリーグ・チャレンジWEST2013年1月、「セレッソ大阪堺レディース」に改称し、J-GREEN堺S1メインフィールド(堺市堺区)および南津守さくら公園スポーツ広場(大阪市西成区)をホームスタジアムにすることが発表された[17]。 4月7日、チャレンジリーグ初戦を迎えた。前半11分、宝田沙織が先制ゴールを上げたが、時間が経つにつれてボールを支配され、結果は2-8。25本ものシュートを浴びての大敗に終わった。この試合のスターティングメンバーの平均年齢は14.3歳で相手とは10歳の差があった[18]。 その後は体格やフィジカルの差が大きく、ジャンプしても競り合いにならず、セットプレーになると失点を覚悟しなければならない試合が続いた[19]。また、7月6日第14節には雷雨に見舞われた試合でほぼ同世代の常盤木学園高校に0-7で敗戦 、7月27日第15節にはノジマステラ神奈川に3-9、8月3日第16節にはASエルフェン狭山FCに0-9と3試合連続して大量失点による敗戦を喫するなど力の差は歴然だった[18]。 2014年、翌シーズンから日本女子サッカーリーグがなでしこリーグ1部、なでしこリーグ2部、チャレンジリーグの3部制に再編される事が決まっていた。2部に所属するためには、チャレンジリーグ14チームの中で12位以上になる必要があった。13位以下ならチャレンジリーグに残留となり、実質は1つカテゴリーを落とすことになる。最終節福岡J・アンクラス戦は、相手も勝てば「2部昇格」を果たせる状況であった。この一戦を0-2で落とし、結局、5勝3分14敗で勝点18、順位は14位。勝点3ポイント足りず、なでしこリーグ2部への参加はできなかった[20]。 2015年、チャレンジリーグ3シーズン目にして、初めての開幕戦勝利を挙げた[21]。その後も9連勝し、勝点30で5試合を残してプレナスチャレンジリーグWEST優勝を決めた(13勝2分無敗)[22]。プレーオフで2位となり2016年のなでしこリーグ2部昇格が決定した[23][注釈 2]。 なでしこリーグ2部(2016年 - 2017年)2016年、活動開始時中学1年生だった1期生は高校を卒業、同時にアカデミーも卒業となった。福永絵梨香、松原志歩、西田明華、古澤留衣、玉櫻ことのの5選手がクラブとアマチュア選手契約を結んだ[24]。脇阪麗奈、野島咲良、北村菜々美、宝田沙織の4選手がU-17日本女子代表(2016 FIFA U-17女子ワールドカップに出場)に選出された。リーグ終盤第17節ノジマステラ神奈川相模原戦では、玉櫻ことののゴールで先制するも84分に失点し、1-1のドローに終わった。この結果、ノジマの2部優勝となでしこ1部への自動昇格が決定した[25]。 2017年、全員20歳以下、スタメンの平均が18歳と若いメンバーで2部を戦い、入替戦でASエルフェン埼玉に勝利して史上初の1部昇格を果たした[26]。宝田沙織が、18試合で22ゴールを決めて得点王になった[27]。なでしこリーグカップ2部は決勝で日体大FIELDS横浜をPK戦の末に破り初優勝。 なでしこリーグ1部(2018年)2018年、初のなでしこリーグ1部に挑戦したが、2勝2分14敗(勝点8)でリーグ最下位となり、自動降格となった。6月、セレッソ大阪が日本サッカー協会の「クラブ申請制度」を活用し大阪学芸高等学校女子サッカー部を育成組織として登録、これにより大阪学芸高等学校女子サッカー部所属選手がセレッソ大阪堺レディースの下部組織選手として、セレッソ大阪堺レディースの公式戦に出場することが可能となった[28][注釈 3]。8月に開催された2018 FIFA U-20女子ワールドカップメンバーに、林穂之香、北村菜々美、宝田沙織が選出され[29]、U-20として初めてのワールドカップ優勝に貢献した[30]。シーズン終了後の2019年1月のなでしこジャパン候補合宿に北村菜々美が召集され、これがチーム初のなでしこジャパン招集となった。 なでしこリーグ2部(2019年)2019年、活動10年目を迎えた。5月に宝田沙織が追加招集され、2019 FIFA女子ワールドカップのなでしこジャパン登録メンバーとなった。なでしこリーグカップ2部で優勝を果たした。 なでしこリーグ1部(2020年 - 2022年)2020年、平均年齢19.6歳というなでしこリーグ1部では群を抜いて若いチームは、セレッソ大阪アカデミーのスタイルであるボールを持った選手を後ろから追い越していく縦に早いサッカーを披露[31]。開幕4連勝で単独首位に立つなど、2018年の1部リーグ最下位から進化を見せ、最終的には4位で終えた[4]。2018年の夏の時点で監督の竹花友也は「3期生が20歳を超える2、3年後にはリーグ1部で優勝争いできると思う」と話しており、これが現実になった[32]。林穂之香、脇阪麗奈、北村菜々美、宝田沙織、浜野まいかがなでしこジャパンの候補メンバーに選出された(浜野はシーズン終了後に招集された)[33][34]。浜野まいかが、Goal.comが行っている世界中の10代の若手選手をランク付けする『NxGn』において、「女子サッカーの未来を担う10人のヤングスター」にアジアからただ一人、選出された[35][36]。 2021年、日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)が発足したが、WEリーグが定める『15人以上とプロ契約を結ぶ』とのルールになじまない事が主な理由で[37]、学生が主体となっているセレッソ大阪堺レディースは参入せず、アマチュア最高峰となるなでしこリーグ1部で引き続き戦うことになった[38]。これに伴い、シーズン前に他クラブからプロ契約のオファーが相次ぎ、他クラブに期限付き移籍していた1人を含め、10人が移籍[39][40]、この10人に届いたオファーは全て相手クラブからのものであった[41]。10人いた3期生は森中陽菜、筒井梨香の2人になった。宝田沙織(アメリカ1部・ワシントン・スピリット)、林穂之香(スウェーデン1部・AIKソルナ)は、チームから初めて海外クラブに移籍した選手となった[5]。一連の移籍により、チームの28人中18人が10代の選手、最年長が23歳、最年少が15歳の平均年齢17.7歳のチームとなった[42][43]。6月19日、第12節スフィーダ世田谷FC戦では、相手チームの先発11人の平均年齢25.6歳に対して、セレッソの先発11人の平均年齢は17.7歳であり、GKの20歳山下莉奈を除く全員が10代の選手で、右サイドバックで起用された白垣うのは最年少の15歳であった[44]。10月2日第20節、セレッソ大阪堺レディース初のヨドコウ桜スタジアムでの試合で、すでに優勝が決まっていた伊賀FCくノ一三重相手に2-0で完封勝利、この試合の入場者数はチーム史上最多の1,791人であった[45]。チーム発足以降、主軸を担っていた選手のほとんどが移籍しボランチと前線の先発出場選手は総入れ替えとなったが、志向する縦に早いサッカーは変わらず、前年まで出場機会の少なかった選手らが日を追う毎にチームに適合した[46][47]。決定機を逃して得点を奪えず、引き分けや負けになる試合が課題となったが[48]、シーズン2桁勝利を挙げて10勝8分4敗で3位になった。小山史乃観がなでしこリーグベストイレブンを初受賞、またこれがチーム初の同賞受賞となった[49]。皇后杯では、「自分たちもプロ化に向けて、WEリーグのチームに勝って自分たちの価値を自分たちで上げよう」[50][51]と意気込み2つのWEリーグクラブを連破。2022年1月5日に迎えた準決勝三菱重工浦和レッズレディース戦では、セレッソの先発平均年齢19.7歳に対して、浦和の先発平均年齢25.7歳と体格・経験で勝る相手にロングボールを多用され苦戦。後半77分にハンドで与えたPKで失点し0-1で敗れ決勝進出はならなかった[52]。監督の竹花友也は「緊張と会場の雰囲気にのまれてる部分はあったと思います。やはりプレッシャーがかかったのかなと感じました。ショートパスをつなぎたかったのですが、ボールを奪っても自分たちのミスで自滅する場面が多かった。今日はそれにつきます」とコメントした[53]。チーム史上最高成績のベスト4で終えた。 2022年9月14日、2023-24シーズンからWEリーグ入会が正式に承認された[54]。リーグ戦は優勝を目標に掲げた。前半戦は8勝2分1敗で、目標通りの優勝争いをしていたが、後半戦は3勝2分5敗でシーズン4位で終えた。ヨドコウ桜スタジアムで行われたホーム最終戦スペランツァ大阪戦では、チーム史上最多となる3,015人の観客を動員した[55]。小山が2年連続でベストイレブンを受賞、百濃実結香が同賞初受賞。同年11月25日、WEリーグの監督に必要なライセンスを取得していないため、2022年シーズンをもって竹花友也が監督退任することが発表された[56]。 WEリーグ(2023年 - )2023年1月8日、セレッソ大阪西U-15の監督である鳥居塚伸人が2023-24シーズンからトップチームの新監督として就任することが発表された[57]。 同年2月17日、東京国際大学から中西ふうが加入[58][注釈 4]。 同年2月24日、セレッソ大阪のトップパートナーであるヤンマーがネーミングライツを取得し、4月1日から「セレッソ大阪ヤンマーレディース」と改称することが発表された[59][60][61]。 2024年4月21日、第16節の日テレ・東京ヴェルディベレーザ戦の観客数は6651人でこれまでのチーム史上最多観客数を大きく更新した[62]。 2024-25シーズン、1月10日に田子夏海(愛媛FCレディースMIKAN)が加入[注釈 5][63]。丸井優奈(ラモリンダSC)が加入[64]。2月から石田心菜(早稲田大学)が加入[65][注釈 6]。WEリーグクラシエカップで高和芹夏が得点王に輝いた[66]。矢形が優秀選手賞を受賞。脇阪がリーグ戦でアシスト王となった。 2025/26シーズン、前シーズンの優勝チーム(日テレ・東京ベレーザ)の監督である松田岳夫が監督に就任[67]。FC十文字Mareより新井萌禾が完全移籍加入。 下部組織セレッソ大阪ヤンマーガールズU-18現在は、中学生以上高校生以下のチームである。 2013年、下部組織としてセレッソ大阪堺ガールズが発足し、関西女子サッカーリーグ3部に参入した[68]。 2015年、関西女子サッカーリーグ1部で初優勝、第20回全日本女子ユース (U-15)サッカー選手権大会は初出場で初優勝した[69][70]。18歳以下の選手が出場可能の第20回全日本女子ユース (U-18)サッカー選手権大会では、堺ガールズだけでなく堺レディースの選手も全員が18歳以下で出場可能であり、それらの選手も参戦し初出場で初優勝した[71][72]。 2016年、関西女子サッカーリーグ1部で2連覇。 2017年、関西女子サッカーリーグ1部で3連覇。また、2015年から挑戦していたチャレンジリーグ入替戦予選大会を3度目にして初めて突破、入替戦に勝利しチャレンジリーグ昇格を決めた。U-15なでしこアカデミーカップでは浜野まいかが得点王となった。 2022年1月10日、JFA 第25回全日本U-18女子サッカー選手権大会決勝で、三菱重工浦和レッズレディース ユースと対戦。セレッソは中学1年生から高校2年生の13歳から17歳の選手が出場し2-1で勝利、同大会5大会ぶり3回目の栄冠に輝いた[73]。 2022年8月8日、日本クラブユース女子サッカー大会 (U-18)決勝でJFAアカデミー福島と対戦。延長後半に佐藤由奈の得点で勝利、初優勝した。フェアプレー賞も受賞した。MVPにゴールキーパーの名和咲香が選ばれた[74]。日本クラブユースサッカー選手権 (U-18)大会で優勝したセレッソ大阪U-18とのアベック優勝となった[75]。8月24日にはセレッソ大阪U-15が日本クラブユースサッカー選手権 (U-15)大会で優勝したため、セレッソ大阪のアカデミーはクラブユースの全てのカテゴリーを制覇した史上初のアカデミーとなった[76]。 2023年4月1日より、セレッソ大阪ヤンマーガールズU-18に改称[77]。前年優勝したクラブユース女子 (U-18)大会は決勝で敗れて準優勝。MIP(最もインパクトを与えた選手)に中学2年生の四本帆夏が選出された。 2024年1月8日、JFA 全日本U-18女子サッカー選手権大会では、決勝戦で日テレ・東京ヴェルディメニーナに1-0で勝利し、4度目の優勝を果たした[78]。7月、ゴシアカップで優勝[79]。 セレッソ大阪ヤンマーガールズU-15中学生のチームである。 2018年2月にセレッソ大阪堺アカデミーが発足[68]。U-15なでしこアカデミーカップで優勝した。 2021年、セレッソ大阪堺ガールズU-15に改称[80]。 2022年、高円宮妃杯 JFA 全日本U-15女子サッカー選手権大会でベスト8で敗れたが、3試合で6得点を挙げた古田麻子が大会得点王を受賞した。 2023年4月1日より、セレッソ大阪ヤンマーガールズU-15に改称[77]。 2024年、なでしこアカデミーフェスティバル で優勝、平田姫彩が12得点を挙げ、得点王となった。高円宮妃杯 JFA 全日本U-15女子サッカー選手権大会では、決勝で三菱重工浦和レッズレディースジュニアユースと対戦し、前半に2点を取られたが、田村胡桃がハットトリックを決め延長戦の末、3-2で逆転勝ち。セレッソ大阪堺ガールズ時代以来の9年振り2度目の優勝となった[81]。また、池田柚葉が得点王となった。 年度別成績・歴代監督
タイトルレディース
ガールズU-18
ガールズU-15
個人
代表
フェアプレー賞レディース
ガールズU-18
シーズン別入場者数
所属選手・スタッフスタッフ
選手
背番号変遷1-10
11-20
21-30
31-40
41-50
51-
ユニフォーム
クラブカラー
ユニフォームスポンサー
ユニフォームサプライヤー歴代ユニフォームスポンサー年表
脚注注釈
出典
関連項目外部リンク
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