アダム・タガート
アダム・ジェイク・タガート(Adam Jake Taggart、1993年6月2日 - )は、オーストラリア・パース出身のプロサッカー選手。パース・グローリーFC所属。ポジションはフォワード。オーストラリア代表。 Kリーグ時代の登録名はタガート(ハングル: 타가트)[1]、Jリーグ時代の登録名はアダム・タガート[2]。 2019年、Kリーグ得点王。2013-14、2023-24シーズンのAリーグ得点王。 2014 FIFAワールドカップオーストラリア代表メンバー。 来歴2012年3月、ニューカッスル・ジェッツFCと2年契約を結んだ[3]。2013年1月のメルボルン・ハート戦でハットトリックを達成する[4]など、エミール・ヘスキー、ジョエル・グリフィスらと強力な攻撃陣を形成した[5]。2013-14シーズンは16ゴールを挙げ、リーグ得点王を獲得した[6]。 欧州2014年6月、フラムFCはタガートを3年契約で獲得したことを発表した[7]。しかし負傷のため全く出番を得られなかった[8]。2015年9月、スコットランドのダンディー・ユナイテッドFCに2016年1月までの契約でレンタル移籍[9]。 オーストラリア復帰2016年1月26日、パース・グローリーFCに復帰した[10]。 2018年5月1日、ブリスベン・ロアーFCに2年契約で移籍した。 Kリーグ2019年2月18日、水原三星ブルーウィングスに移籍[11]。2019シーズンはリーグ戦で20ゴールを挙げ、リーグ得点王を獲得した[12]。 Jリーグ2020年12月24日、セレッソ大阪に完全移籍で加入することが発表された[13]。パンデミックによる入国制限でチームへの合流が遅れていた間に[14]15年振りにチームに復帰した大久保嘉人の活躍や、同期加入の加藤陸次樹の台頭があり、合流後は先発メンバーに定着できなかった。8月28日、2022 FIFAワールドカップアジア最終予選のオーストラリア代表メンバーに選出された[15]。10月27日、直近のリーグ戦から先発メンバーを9人入れ替えて出場機会の少なかったメンバーで挑んだ天皇杯準々決勝では、後半17分にチームの3点目を決めて準決勝進出に貢献したが、後半29分に負傷交代しており[16][17]左膝半月板を損傷していた[18]。11月8日に手術を受け全治2ヶ月で活躍はなかった[19]。 2022年、チームメイトの清武弘嗣からは「タギは常に相手のイヤなところにいる選手。僕自身、パスは出しやすいです。背後も狙える、ポストプレーもできる、万能なFWだと思うので、うまく生かしてあげたい。試合に出たら、彼にゴールを取らせてあげたい気持ちは僕自身は強いです」と信頼されており、第14節のガンバ大阪との大阪ダービーで後半13分、清武のチャンスメイクの流れから復帰後初得点で3-1の勝利に貢献した[20]。しかし、コンディションは万全ではなく、後半29分に足をつって北野颯太と交代した[21][22]。 5月28日、FIFAワールドカップカタール2022AFCプレーオフのオーストラリア代表メンバーに選出された[23]。第16節、代表合流前の最後の試合で決勝点を決めた[24]。第21節首位横浜Fマリノスとの対決では、後半途中出場からチームの2点目を決めたが、76分に負傷交代となり、交代枠を1つ消費。そして79分に味方に退場があり、チームは交代枠を使い切っていたため、守備的な選手を投入できない状態で10人で戦うことになり、PKを含む2失点で2-0から2-2の引き分けとなった[25]。リーグカップ準々決勝川崎フロンターレ第1戦で得点。引き分けに持ち込み、チームは第2戦で劇的なアウェイゴールで準決勝進出を決めたため価値ある得点となった[26]。 2022シーズンは20試合出場でチーム内2位タイの5得点を記録し、代表にも継続的に選出されていたが、ニューカッスル・ユナイテッドのガラン・クオルがサプライズ選出されたこともありカタールW杯の代表メンバーから落選した[27]。 パース グローリー復帰2022年12月15日、パース グローリーFCへ完全移籍[28]。 2024年、代表に復帰した。リーグ戦25試合出場で20得点を記録して、得点王になった。 人物2022年11月のインタビューで様々な事象を明らかにした。 ――日本に来て、特に驚いたことや興味深かったことは? 「明らかに生活様式が違う。モーニングコーヒーを手に入れるのがいかに難しいか(笑)。ほとんどのカフェはお昼まで開いておらず、閉店時間はとても遅い。オーストラリアでは、どこも早く開いて、早く閉まるので驚いた。」 ――タガート選手は日本に来る前、韓国の水原三星で2シーズンプレーしていました。日本と韓国で生活習慣や文化の違いや、似ているところはありますか? 「多くの人がこの2か国を似ていると考えていると思うが、私は多くの点でかなり異なっていると思う。どちらが良いとか悪いではなく、ただ、違うだけ。特にサッカーにおいては、それぞれの国でとても違います。韓国はピッチを広く使い、選手はとてもパワフルで体格が大きい。日本は非常にシャープで機敏で、きれいなサッカーをしようとする。後ろからビルドアップして、計画通りなゴールを目ざす。でも、リスペクトの精神は一緒。どちらの国も人々は本当にフレンドリーです」 ――水原では、選手やコーチングスタッフとコミュニケーションを取るために韓国語の勉強をしていたそうですが、日本語はどうですか? 「韓国語に比べて、日本語ははるかに難しいです。韓国語の読み書きは数週間で覚えました。物事が理解できるようになると、すべてがより自然に頭の中に入ってくるようになりました。一方で、日本語は書くのも読むのもとても難しいです。」 ――大阪での生活は楽しめていますか? 「大阪は本当に楽しいですよ。サッカーも私生活も充実していて本当に楽しいです。カフェやレストランが並んでいて、私たちオーストラリア人が好むような素晴らしいエリアに住んでいます。大阪周辺の都市も好きで、オフの日には京都を訪れたり、奈良にも何度か行きました。大阪は美しい街で、魅力がたくさんあります。僕は行きたい場所にはすべて行って、チェックしています。 ――なかでもお気に入りの観光地は? 「京都は僕のお気に入りの街です。京都にはいろいろなスポットがあります。嵐山には素敵なカフェがあり、川が流れていて、本当に美しい場所です。京都の中心部にも、小さな路地やレストランがたくさんあって、雰囲気も最高です。大阪以外の場所では、おそらく一番好きな場所ですね。大阪からたった30分(大阪駅から京都駅間の新快速利用の場合)で行けるので、行ける時はいつも行っています」 ――では、セレッソ大阪について聞かせてください。このクラブでここまで2シーズンを過ごしました。 「僕にとっては、去年と今年では、全然違います。僕はいつも、プライベートで幸せを感じていると、自分のベストなプレーができるんです。今年は、大阪での生活をとても楽しめているので、ゴールを決めたり、良いプレーができているのだと思います。それと、セレッソはローテーションが多いです。数試合プレーして、ベンチで数試合を過ごすこともあれば、1試合プレーした次の試合はベンチスタートといった具合です。ここではたくさんの試合をこなし、難しい暑さもあります。特に大阪の夏場は灼熱です。そういった様々な状況に適応していかなければならないと思っています。特に今年は、サポーターとも良い関係を築けています。スタジアムに足を運んでもらえるようになり、僕の気持ちも高まり、誰もいないトレーニングマッチのような雰囲気はなくなりました(パンデミックの影響で無観客試合や、人数制限の有観客においてもスタジアムでの声援が禁止されていた) 昨年は、それがとても難しいと感じていました。」 ――サポーターとの交流で、印象に残っている出来事は? 「試合以外では本当にプライベートが確保されています。韓国ではちょっと違っていました(笑)。彼ら(水原サポーター)はどこにでもいて、歩くのも大変でした。セレッソのサポーターは私たちが上手くいっていない時でも、とても応援してくれます。サッカー選手という仕事をリスペクトしてくれています。」 ――ガンバ大阪とのライバル関係をどのように捉えていますか? 「正直、大好きですよ(笑)。僕がセレッソに来てから、ほとんどのダービーに勝利しています。2018年までは、彼らに勝つのは本当に難しかったと聞きました。ダービーは素晴らしい雰囲気ですね。大都市にある2つのクラブ。健全なライバル関係で、とても良い感じです。特に今年は、膝の手術後、初先発した試合でガンバと対戦しました。3-1で勝利でき、ゴールも決めました。あの試合でのカムバックはとても特別なものでした。そしてそれが、その後の良いパフォーマンスを生み出すのに役立ったと思います」 ――チームで感銘を受けた選手、一緒にプレーしていて楽しい選手はいますか? 「ここに来る前から清武(弘嗣)は、一緒にプレーするのを楽しみにしていた選手です。彼はとてもクオリティが高い。そういう選手が周りにいると、自分を高めてくれるし、サッカーがより楽しくなる。彼の存在は大きいですね。今季で言えば、左サイドバックの(山中)亮輔は、信じられないほど素晴らしいクロスを供給してくれた。僕たちの大きな武器になっています。それからオク(奥埜博亮)はこの2年間、僕らにとって素晴らしい存在でした。若手では、(北野)颯太はとても、とても良い選手です。彼がこれから大きなことを成し遂げるのは明らかです。」 ――Aリーグ(オーストラリアリーグ)も選択肢の1つかと思いますが、両リーグに違いがあるとすれば? 「大きな違いは、Aリーグには昇格と降格がないところだと思います。昇格や降格がないと、競争力がなくなります。特に下位チームは、タイトルを争っている上位チームと比べるとなおさらですね。Aリーグでは、毎年1月になると、下位に沈んだチームは次のシーズンの準備を始めます。一方、Jリーグでは、何かが懸かっていたり、何かを失う可能性があります。個人としてだけでなく、クラブ全体、ファンや大きな組織が背後にいます。 負け続けるとクラブは衰退してしまうし、やるかやられるかです。逆に2部のチームは勝ち続ければ、上に行ける。AリーグとJリーグの競争力の差は大きいですね。Jリーグでは終盤になると、下位チームとの対戦は、上位チームとの対戦よりも難しいと感じます。結果を出さなければ降格する可能性があるからです。」 ――オーストラリアの選手がキャリアアップを目ざすうえで、Jリーグは適した場所だと思いますか? 「素晴らしい場所だと思います。もし誰かに聞かれたら、すぐ来るようにと答えるでしょう。Jリーグは契約のオファーを受けるのさえ難しいところです。世界中の選手が来たがっています。南米のトッププレーヤーも来るし、最近ではヨーロッパのトッププレーヤーも来ているので、プレーするのは難しい場所です。」「オーストラリアの選手に、もし機会があれば、すぐにでも来てほしいと思います。ミッチ・ランゲラックのように、何年もここで活躍している選手もいます。報酬も得ていますし、楽しんでいるようで、彼の家族も幸せそうです。もしオーストラリアの選手が、Jクラブからオファーを受けたら、考えるまでもなく、受けるべきです。そしてベストを尽くす。ここで活躍すれば、他のチャンスもたくさん開けてくるはずです」 ――そのJリーグで、今季、印象に残っているゲームは? 「神戸との試合は楽しかったです。ビッグクラブですし、良い選手もたくさんいます。彼らはおそらく、みんなが期待しているほど上手くいかなかったでしょう。私たちは彼らとの対戦で良い結果を残しています。 距離的にも近いし、やはりビッグゲームなので、多くのファンが観戦に訪れますし、対戦して楽しめた相手です。他にはFC東京との試合は、タフなゲームで難しかったです」 ――リーグでの順位が近く、またルヴァンカップの決勝で対戦した広島についても、お聞きしたいのですが……。 「コメントしませんよ! いや、冗談です(笑)」 ――今季、セレッソは5位で、広島は3位。横浜や川崎に続いて、リーグタイトルを狙えるチームだと思います。 「私もそう思います。セレッソと広島は、スタイルがよく似ている。高い位置からプレスをかけ、ボールを動かして、チャンスを作ろうとする。 横浜と川崎も似たような戦い方をしていると思いますが、広島とはいつもタフな試合をしているのは、チームのスタイルが似ているからだと思います。たとえ僕たちが1-0でリードしていても、わずか数分で試合を振り出しに戻されてしまう。」「ルヴァンカップの決勝や、天皇杯でも敗れ、リーグの順位も近くて、間違いなく今季の我々の厄介者でした。セレッソは今季、広島との戦いのようなものだった。そういう意味では、とても悔しい思いをしました。この先、タイトルを目ざすにあたり、今季は両クラブにとって特別な時期の始まりになる可能性があると思います。」「 もう少し整理して、自分たちのストロングポイントにフォーカスすれば、間違いなくタイトル獲得への道筋になると思います。広島とのライバル関係は今季、私たちをやる気にさせてくれました」「チームとしては、もう一段ステップアップしなければならないと思っています。ここ2年間はカップ戦の決勝に進出しました。リーグの順位も昨季に比べるとかなり上位に位置しています。」「次のステップに進むために、また、厳しい結果になっても、自分たちのやり方を見失わないようにするために、チーム力を押し上げる必要があります。自分たちの良さを持って、進歩しなければなりません」と話した。[29] 個人成績
その他の公式戦
・2021年 代表歴東アジアカップ2013予選2次ラウンド・香港戦でA代表初キャップ[30]。同大会のチャイニーズタイペイ戦で初ゴールを含む2ゴールを挙げた[31]。 東アジアカップ2013本戦では中国戦ゴールを挙げた[32]。 2014 FIFAワールドカップではオランダ戦とスペイン戦に出場した[7]。 試合数
脚注
外部リンク
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