豚耳
食材としての豚耳は、ブタの耳を調理したもの。世界各地の料理に見られる。 ヒトの食材としての豚耳日本国内における利用沖縄料理沖縄料理では、豚耳はミミガー(耳皮の意)と呼ばれる。茹でたり酢漬けにしたりして調理し、酢の物にしたり、刺身にしたりして供される。沖縄では豚の顔の皮も食用とされており、チラガー(面皮が転じたもの)と呼ばれている。 奄美料理奄美料理では、豚耳はみんぐり、あるいはみんがわ(耳皮)と呼ばれ、味噌漬けや酢味噌和え、炒め物などにされる。 アジアにおける利用中華料理中華料理では、豚耳は前菜や副菜として使われることが多い。「豬耳朵」、あるいは略して「豬耳」と称されるほか、「層層脆」と呼ぶ地域もある。茹でるか煮込むかした後薄切りにし、醤油や豆板醤で味を調える。調理すると外側は豆腐のようなゼラチン質となり、真ん中の軟骨は歯ごたえがある食感になる。豚耳は温製でも冷製でも食される。 広東料理広東料理では、豚耳は滷味に使われる食材の一つである。豚の全可食部位を用いることに重点が置かれており、豚耳(および滷味全般)は珍味とは見做されていない。 ベトナム料理ベトナム料理では、豚耳は薄切りにし、煎って細かく挽いた米粉と混ぜ合わせる。そのままで食べるか、香草と一緒にライスペーパーに巻きベトナム風のつけダレにつけて食する。 フィリピン料理フィリピンにおいては、フィリピン料理のシシグの材料として、豚の尻尾肉や頬肉とともに豚耳が用いられることがある[1]。 タイ料理タイ料理では、豚耳は様々な料理に用いられる。なかでも、タイ北部のチンソクモク(発酵させた薄切りの豚耳をバナナの葉に包み、炙ったもの)やヤムフームー(薄切りの茹でた豚耳を材料とするタイサラダ)が代表例である。 欧米における利用ブルガリア料理ブルガリアでは、豚耳はワインかビールの前菜として用いられる。茹でた後、レモンや醤油、塩、胡椒で焼く。 リトアニア料理リトアニアでは豚耳をキアウレス・アウシスと呼び[2]、燻製にしたあと薄く切ってビールのつまみとするか、丸ごと茹でた後西洋わさびと生野菜かピクルスと付け合わせ、主菜として供される。 スペイン料理スペイン料理における豚耳は、揚げるか、焼いてタパスのひとつであるオレハ・デ・セルドにするか[3]、シチューやコシードなど様々な形で煮込まれるかの調理法を経て食される。 ポルトガル料理ポルトガル料理においては、豚耳は茹でた後炙り、ニンニクと生コリアンダーを付け合わせてオレルハ・デ・ポルコ・デ・コエントラダとする。 アメリカ料理豚耳は南部のアフリカ系アメリカ人の間で生まれたソウルフードの一つである。 英語で豚耳は「ピッグスイア(Pig's ears)」と呼ばれるが、米国には茹でたペイストリーを「ピッグスイア」と俗称する地域もある。このペイストリーの製法は以下の通りである。まず、パイ生地に似た生地を伸ばし、大きな円(大抵は直径 3インチほど)になるように切り、果物の甘い餡、または香り高いチーズの餡を中に詰める。その後ペイストリー生地を折り返し、フォークで刺して留めたのち、出来上がるまで茹で、温かいうちに食する。茹でた後の仕上げ方として、焼く、揚げる、あるいはフライパンで炒めるという製法もあるほか、しばしば粉砂糖がまぶされる。 ノースカロライナ州西部では、ブタのレバーや豚耳、豚の鼻肉と、コーンミールや香辛料を使って作られるレバーマッシュと呼ばれる豚肉製品が一般的である。 イヌの食材としての豚耳国によっては、豚耳がドッグフードとして扱われており、ペットショップで広く入手可能である。 脚注
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