第193回国会(だい193かいこっかい)とは、2017年(平成29年)1月20日に召集された通常国会である。会期は同年6月18日までの150日間であった[1]。
概要
2016年(平成28年)8月3日に発足した第3次安倍第2次改造内閣が迎える初めての通常国会となる。
政府は、平成28年度第3次補正予算と平成29年度予算を提出し、同年1月31日に平成28年度第3次補正予算は成立した[2][3]。
平成29年度予算の審議のうち、衆議院の審議では以下の事項が焦点となったのに加え[4][5]、大阪府豊中市の国有地が鑑定価格よりも安く学校法人に売却されていた問題が焦点となった。
政府は、2017年(平成29年)3月21日にテロ等準備罪を新設するための組織的犯罪処罰法等改正法案を提出した。ただ、テロ等準備罪は、共謀罪の構成要件を限定したものであるが、共謀罪を新設する法案をめぐっては、過去に3度廃案となっている[7]。
また、政府は、同一労働同一賃金の実現を柱とする働き方改革関連法案を提出し、継続審議となっている裁量労働制の対象を拡大すること・高い年収で専門的な業務を行う労働者について本人の同意などを要件に労働時間規制の適用外とすることなどについて定める労働基準法改正法案とともに、審議を行う見込みである[8]。
2016年(平成28年)8月8日に明仁天皇が生前退位(譲位)の意向がにじむ「おことば」を発表したことを受け、生前退位(譲位)を可能とする法整備が行われた[9]。
通常国会では党首討論が行われてきたが、本国会では、行われなかった[10]。
各党・会派の議席数
審議議案
閣法(内閣提出法律案)
衆法(衆議院議員提出法律案)
参法(参議院議員提出法律案)
提出回次 |
番号 |
議案件名 |
結果 |
成立日 |
備考
|
193 |
106 |
商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律案 |
成立 |
6月16日 |
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条約
提出回次 |
番号 |
議案件名 |
結果 |
承認日 |
備考
|
192 |
2 |
日・米物品役務相互提供協定 |
承認 |
4月14日 |
|
193 |
1 |
日・豪物品役務相互提供協定 |
承認 |
4月14日 |
|
193 |
2 |
日・英物品役務相互提供協定 |
承認 |
4月14日 |
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193 |
3 |
日・印原子力協定 |
承認 |
6月7日 |
[17]
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193 |
4 |
関税及び貿易に関する一般協定 譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する確認書 |
承認 |
4月21日 |
|
193 |
5 |
北太平洋漁業委員会の特権及び免除に関する日本国政府と北太平洋漁業委員会との間の協定 |
承認 |
5月10日 |
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193 |
6 |
違法漁業防止寄港国措置協定 |
承認 |
5月10日 |
|
193 |
7 |
名古屋議定書 |
承認 |
5月10日 |
[17]
|
193 |
8 |
名古屋・クアラルンプール補足議定書 |
承認 |
5月10日 |
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193 |
9 |
万国郵便連合憲章の第九追加議定書、万国郵便連合一般規則の第一追加議定書及び万国郵便条約 |
承認 |
4月21日 |
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193 |
10 |
郵便送金業務に関する約定 |
承認 |
4月21日 |
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193 |
11 |
日・ケニア投資協定 |
承認 |
6月9日 |
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193 |
12 |
日・イスラエル投資協定 |
承認 |
6月9日 |
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193 |
13 |
日・スロバキア社会保障協定 |
承認 |
6月16日 |
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193 |
14 |
日・チェコ改正社会保障協定 |
承認 |
6月16日 |
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193 |
15 |
日・スロバキア租税協定 |
承認 |
5月17日 |
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193 |
16 |
日・ベルギー租税協定 |
承認 |
5月17日 |
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193 |
17 |
日・ラトビア租税協定 |
承認 |
5月17日 |
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193 |
18 |
日・オーストリア租税協定 |
承認 |
5月17日 |
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193 |
19 |
日・バハマ租税情報交換協定改正議定書 |
承認 |
5月17日 |
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今国会の動き
召集前
2016年(平成28年)
2017年(平成29年)
会期中
1月
2月
3月
- 3月6日 - 参議院予算委員会で、財政・内外の諸情勢について、集中審議が行われた[74][75]。
- 3月8日 - 参議院本会議で、6日に行われた北朝鮮による弾道ミサイル発射に抗議する決議[注釈 10]が全会一致で可決された[76][77]。
- 3月9日
- 衆議院本会議で、6日に行われた北朝鮮によるミサイルの発射に抗議する決議[注釈 11]が全会一致で可決された[78][79]。
- 参議院予算委員会で、平成29年度予算について、公聴会が行われた[80]。
- 3月13日 - 参議院予算委員会で、社会保障・内外の諸情勢について、集中審議が行われた[81][82]。
- 3月17日
- 3月23日 - 学校法人森友学園の国有地払い下げ問題に関連する同学園の籠池理事長の衆参両院の予算委員会で証人喚問が行われた[85]。
- 3月27日
- 参議院本会議で、平成29年度予算が自民、公明両党などの賛成多数で可決・成立。一般会計の歳出規模は97兆4547億円で、保育士や介護職員の処遇改善や大学生向けの給付型奨学金の予算が盛り込まれた。また、高齢化に伴う社会保障費の膨張や防衛費などの増大により、5年連続で過去最大を更新した[86]。
- 配偶者控除の年収要件を引き上げて所得税減税の適用対象を広げることを柱とする平成29年度税制改正関連法が成立[87]。
- 発達障害のある子らが一部の授業を別室で受ける「通級指導」など、特別な指導が必要な子どもへの教員配置を手厚くする改正義務教育標準法が成立[88]。
- 3月31日
4月
- 4月7日
- 臨床研究の実施手続きや製薬企業から受けた資金提供について契約締結や公表を義務づける臨床研究法が成立[93]。
- 原子力規制庁の検査官が原発に自由に立ち入ることができる「抜き打ち」方式の検査導入を盛り込んだ改正原子炉等規制法が成立[94]。
- 4月10日 - 民進党が、離党届を提出していた長島昭久衆議院議員の会派離脱届を衆議院事務局に提出し、長島議員は無所属となった[95]。
- 4月14日
- 種子生産に民間企業の参入を促す狙いから、稲や麦、大豆の種子の生産、普及を都道府県に義務付ける主要農作物種子法廃止法が成立[96]。
- 日本に直接的な攻撃がなくても米軍への弾薬提供が可能になる改定日米物品役務相互提供協定(ACSA)が承認された。また、日豪の改定ACSA、日英ACSAも同時に承認された[97]。
- 4月28日
- 4月31日[要検証 – ノート] - 認可外保育所でも一定の基準を満たせば保育施設内の事故の際に公的補償が受けられるようにする改正独立行政法人日本スポーツ振興センター法が成立[100]。
5月
6月
- 6月2日
- 6月7日
- 参議院本会議において、テロ等準備罪を新設する組織的犯罪処罰法改正案の審議に法務省刑事局長を政府参考人として常時出席させることを秋野公造法務委員長が職権で決めたことなどに反発し民進党が提出した、委員長解任決議案を自民、公明の与党と日本維新の会などの反対多数で否決[131]。
- インドへの原発輸出を可能にする、日印原子力協定承認案が賛成多数で承認[132]。
- 医療機関がホームページで治療効果に関する誇大な表現をすることを規制する改正医療法が成立[133]。
- 6月8日 - 衆議院本会議で、朝鮮総督府など戦時中の旧外地に関する1944、1945両年度の特別会計決算が承認。参議院では既に承認されており、会計上の戦後処理が終結した。承認の対象は、日本が統治していた「朝鮮」「台湾」「樺太」「関東州」「南洋」の5地域の運営に関する計10つ。両年度の剰余金・積立金計約7億8000万円は、2015年度の一般会計に組み入れられた[134]。
- 6月9日
- 6月14日
- 6月15日
- 衆議院本会議で、民進、共産、自由、社民の野党4党が提出した安倍内閣不信任決議案が、与党と日本維新の会などの反対多数で否決された[144]。
- 参議院本会議で、「共謀罪」の構成要件を改めた「テロ等準備罪」を新設する改正組織的犯罪処罰法が、自民、公明の与党両党と日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。与党は参院法務委員会での採決を省略する「中間報告」の手続きをとったため委員会採決は行われなかった[145]。
- 6月16日 - 強姦罪の刑を重くし、男性も被害者になり得る「強制性交等罪」に改めるのが柱の、性犯罪を厳罰化する改正刑法が参院本会議で、全会一致で可決、成立した[146]。
- 6月18日 - 会期末[147]。
委員会・審査会・調査会
脚注
注釈
- ^ 議長:大島理森(自由民主党)、副議長:川端達夫(民進党)を含む。
- ^ 愛媛県第3区は議員死去より、10月の補欠選挙で選出される予定だった。第194回国会解散まで欠員。
- ^ 議長:伊達忠一(自由民主党)、副議長:郡司彰(民進党)を含む。
- ^ “主な式典におけるおことば(平成29年):天皇陛下のおことば”. 宮内庁. 2017年1月20日閲覧。
- ^ “第百九十三回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説”. 首相官邸. 2017年1月20日閲覧。
- ^ “第193回国会における岸田外務大臣の外交演説”. 外務省. 2017年1月20日閲覧。
- ^ “第193回国会における麻生財務大臣の財政演説”. 財務省. 2017年1月20日閲覧。
- ^ “第百九十三回国会における石原内閣府特命担当大臣(経済財政政策)の経済演説” (PDF). 内閣府. 2017年1月20日閲覧。
- ^ 以下のとおり。出典:“第193回国会 議院運営委員会 第5号(平成29年2月9日(木曜日))”. 衆議院. 2017年2月22日閲覧。
公正取引委員会委員に青木玲子を再任(3月4日任期満了)
国家公安委員会委員に安藤裕子を起用(3月12日任期満了の長谷川眞理子の後任)
預金保険機構理事長に三國谷勝範を再任(2月28日任期満了)
預金保険機構理事に関一穂を起用(2月28日任期満了の高口秀章の後任)
預金保険機構理事に久田高正を再任(2月28日任期満了)
預金保険機構監事に町田恵美を再任(3月31日任期満了)
情報公開・個人情報保護審査会委員に南野聡を再任(3月31日任期満了)
情報公開・個人情報保護審査会委員に泉本小夜子を起用(3月31日任期満了の椿愼美の後任)
情報公開・個人情報保護審査会委員に山本隆司を起用(3月31日任期満了の山田洋の後任)
日本放送協会経営委員会委員に高橋正美を起用(1月24日辞職の上田良一の後任)
労働保険審査会委員に小賀野晶一を再任(2月15日任期満了)
中央社会保険医療協議会公益委員に中村洋を起用(3月31日任期満了の印南一路の後任)
中央社会保険医療協議会公益委員に長谷川ふ佐子を起用(2月28日任期満了の西村万里子の後任)
社会保険審査会委員長に瀧澤泉を起用(3月13日任期満了の渡邉等の後任)
社会保険審査会委員に高野伸を起用(瀧澤泉君の後任)
社会保険審査会委員に吉山敦子を再任(4月1日任期満了)
中央労働委員会公益委員に荒木尚志を起用(2月26日任期満了の諏訪康雄の後任)
中央労働委員会公益委員に三輪和雄を再任(2月26日任期満了)
中央労働委員会公益委員に植村京子を再任(2月26日任期満了)
中央労働委員会公益委員に沖野眞已を再任(2月26日任期満了)
中央労働委員会公益委員に鹿野菜穂子を再任(2月26日任期満了)
中央労働委員会公益委員に鎌田耕一を再任(2月26日任期満了)
中央労働委員会公益委員に木本洋子を再任(2月26日任期満了)
中央労働委員会公益委員に中窪裕也を再任(2月26日任期満了)
中央労働委員会公益委員に松下淳一を起用(2月26日任期満了の仁田道夫の後任)
中央労働委員会公益委員に横溝久美を起用(2月26日任期満了の藤重由美子の後任)
中央労働委員会公益委員に森戸英幸を再任(2月26日任期満了)
中央労働委員会公益委員に両角道代を再任(2月26日任期満了)
中央労働委員会公益委員に山川隆一を再任(2月26日任期満了)
中央労働委員会公益委員に山下友信を再任(2月26日任期満了)
中央労働委員会公益委員に山本眞弓を再任(2月26日任期満了)
運輸審議会委員に根本敏則を再任(2月15日任期満了)
公害健康被害補償不服審査会委員に石井彰を再任(3月31日任期満了)
公害健康被害補償不服審査会委員に武田克彦を再任(3月31日辞職予定の鎌倉惠子の後任)
- ^ “北朝鮮による弾道ミサイル発射に抗議する決議(平成29年3月8日)”. 参議院. 2017年3月25日閲覧。
- ^ “北朝鮮によるミサイル発射に抗議する決議案”. 衆議院. 2017年3月25日閲覧。
- ^ 以下のとおり。出典:“第193回国会 議院運営委員会 第29号(平成29年5月26日(金曜日))”. 衆議院. 2017年6月3日閲覧。
人事官に一宮なほみを再任(6月16日任期満了)
公正取引委員会委員に小島吉晴を起用(6月30日任期満了の幕田英雄の後任)
預金保険機構理事に貴志浩平を起用(9月7日任期満了の井上美昭の後任)
預金保険機構理事に手塚明良を起用(9月7日任期満了の小幡浩之の後任)
情報公開・個人情報保護審査会委員に山名学を起用(9月30日任期満了の鈴木健太の後任)
情報公開・個人情報保護審査会委員に市川玲子を再任(9月30日任期満了)
情報公開・個人情報保護審査会に常岡孝好を起用(9月30日任期満了)
公害等調整委員会委員長に荒井勉を起用(6月30日任期満了の富越和厚の後任)
公害等調整委員会委員に吉村英子を再任(6月30日任期満了)
公害等調整委員会に加藤一実を起用(6月30日任期満了の玉生茂子(通称:富樫茂子)の後任)
中央更生保護審査会委員長に倉吉敬を起用(6月26日任期満了の安倍嘉人の後任)
日本銀行政策委員会審議委員に片岡剛士を起用(7月23日任期満了の木内登英の後任)
日本銀行政策委員会審議委員に鈴木人司を起用(7月23日任期満了の佐藤健裕の後任)
労働保険審査会委員に金岡京子を起用(6月30日任期満了の神尾真知子の後任)
中央社会保険医療協議会公益委員に荒井耕を再任(6月14日任期満了)
中央社会保険医療協議会公益委員に野口晴子を再任(6月20日任期満了)
土地鑑定委員会委員に加藤瑞貴を起用(7月4日任期満了の井出多加子の後任)
土地鑑定委員会委員に清常智之を再任(7月4日任期満了)
土地鑑定委員会委員に小津稚加子を再任(7月4日任期満了)
土地鑑定委員会委員に亀島祝子を再任(7月4日任期満了)
土地鑑定委員会委員に河合芳樹を再任(7月4日任期満了)
土地鑑定委員会委員に森田修を再任(7月4日任期満)
土地鑑定委員会委員に若崎周を再任(7月4日任期満了)
運輸安全委員会委員に佐藤雄二を起用(9月30日任期満了の小須田敏の後任)
運輸安全委員会委員に田村兼吉を起用(9月30日任期満了の庄司邦昭の後任)
運輸安全委員会委員に安田満喜子を起用(9月30日任期満了の根本美奈の後任)
原子力規制委員会委員長に更田豊志を起用(9月18日任期満了の田中俊一の後任)
原子力規制委員会委員に山中伸介を起用(委員長昇格の更田豊志の後任)
出典
関連項目
外部リンク
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1940年代 (昭和22年 - 昭和24年) | |
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1950年代 (昭和25年 - 昭和34年) | |
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1960年代 (昭和35年 - 昭和44年) | |
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1970年代 (昭和45年 - 昭和54年) | |
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1980年代 (昭和55年 - 平成元年) | |
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1990年代 (平成02年 - 平成11年) | |
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2000年代 (平成12年 - 平成21年) | |
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2010年代 (平成22年 - 令和元年) | |
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