天空海翔馬
天空海 翔馬(あくあ しょうま、1990年11月6日 - )は、茨城県東茨城郡大洗町出身で、立浪部屋所属の現役大相撲力士。本名は高畠 祐貴(たかはた ゆうき)。最高位は西前頭10枚目(2022年1月場所)。身長184.0cm、体重166.0kg。 2017年春巡業より、貴健斗とコンビを組んで初切を担当していた。 来歴自動車販売業を営む家庭で生まれ育ち、父も中学在学時にレスリングで全国制覇した。那珂湊第一高校(現・那珂湊高校)では柔道部に所属し、2007年度には総体に出場した経験もある[1]。 卒業後は水戸産業技術専門学院に入学したものの、在学中に同郷の稀勢の里の活躍を目の当たりにしたことで力士への道を志し、2010年11月に立浪部屋に入門した。当初は自動車整備士の国家資格を取得し、2011年3月の卒業以降に上京し本格的な力士生活を開始する予定だったが、直前に東日本大震災が発生し、地元・大洗町も津波による甚大な被害を受けた影響で部屋入りを延期。がれき撤去や片付け作業に追われた。この時期は、力士の道を断念することをも考えたほどだったが、父の励ましを受けて2011年4月29日より立浪部屋での生活を開始した[2]。 2021年3月場所中の朝日新聞の記事では、高校時代には相撲に全く興味が無く、名前を知っていた力士は当時の現役横綱と高見盛くらいであった、入門は度重なる勧誘に折れる形で決めた、と入門に至るまでの経緯について伝えられた[3]。 入門当初は豊乃浪 祐貴(とよのなみ ゆうき)の四股名で土俵に上がり、2011年1月場所で序ノ口、同年5月技量審査場所で序二段、9月場所では三段目と、順調に番付を上げた。2013年5月場所で初めて幕下へ昇進すると、そのまま幕下の地位に定着した。2014年3月場所より天空海 翔馬(あくあ しょうま)の四股名に改名した。当改名には、「成績に波があるので、浪を取って波をなくしたい。」という意味が込められていた。音訓が混じり、極めて難読な当四股名は、入門当初に、出身地近くのアクアワールド茨城県大洗水族館に因んで立浪が考えた「阿久亜」の読みを採用した上で、番付上昇の願いを込めて「天」と、地元・大洗町を象徴する「空」と「海」の漢字を当てたとされる[4]。この年の後半から、幕下上位で相撲を取るようになり、関取昇進の機会をうかがうようになる。自己最高位を更新(東幕下5枚目)して迎えた2016年3月場所では、12日目の6番相撲で勝ち越し決定後、千秋楽の7番相撲で当時東十両12枚目に在位していた朝弁慶と対戦し、初めて大銀杏姿で土俵に上がったものの押し出しで敗れ、十両昇進には至らなかった。翌2016年5月場所も自己最高位を更新(東幕下2枚目)して迎え、4日目の3番相撲で当時西十両13枚目に在位していた宇良と対戦し、2度目の大銀杏姿での取り組みに挑んだが、下手投げに屈した上に、当該取組で膝を負傷してしまい、以降も不調が続き1勝6敗と入門以来の大敗を喫した。 2017年は1年間を通じて、幕下15枚目以内の番付で相撲を取った。この年の春巡業で貴乃花の付け人となり、貴乃花から「まわしを取らずに前へ出ろ」と指導されたことにより相撲に迷いが無くなった[5]。11月場所では西幕下4枚目の番付で6番目を終わって4勝2敗の成績であり、千秋楽に西十両14枚目で7勝7敗としていた矢後との取組に勝って5勝2敗とした。この場所後の番付編成会議で、2018年1月場所での新十両昇進が決定した。茨城県からは2010年11月場所の髙安(土浦市出身)以来約8年ぶりで大洗町出身では1937年1月場所の鹿嶌洋以来81年ぶりの十両昇進となった。 新十両として迎えた2018年1月場所は初日から4連敗をするなど本来の相撲を取りきれず、4勝11敗で跳ね返された。幕下に落ちた3月場所は西幕下5枚目で4勝3敗と勝ち越したが、西幕下3枚目に上がった5月場所は3勝4敗と負け越した。西幕下5枚目に番付を下げた7月場所は4勝3敗の成績だったが、幕下上位で勝ち越した力士が少なかったという幸運もあり、場所後の番付編成会議で9月場所での再十両昇進が決定した[6]。 2019年名古屋場所では東幕下7枚目で迎え7日目に琴手計に勝って自身通算200勝を挙げた。 その後9月場所を東幕下2枚目で迎え、6勝1敗の成績で十両復帰、翌11月場所で十両において自身初の勝ち越しを決めた。 2020年7月場所は10勝5敗とし、自身初の2桁勝利を記録した。十両優勝決定戦は6人で争うことになり、1回戦目は水戸龍を破り巴戦に進出した。巴戦では立浪部屋力士、明生、豊昇龍との同部屋優勝決定戦となった。しかし、初戦で明生が豊昇龍に勝利しそのまま明生が天空海に勝利し優勝を決めたため、惜しくも優勝を逃した。 同年9月場所では自己最高位タイの西十両6枚目で迎え、初日から2連敗を喫したが中盤では4連勝と徐々に調子を上げ9勝5敗とし、千秋楽に勝てば新入幕が確実となる取組で明瀬山を寄り切りで破り10勝5敗と2場所連続の二桁勝利と新入幕を確実にした。この場所後の11月場所の番付発表で西前頭16枚目に昇進し、初土俵から10年でようやく新入幕の座を手にした。幕内昇進に際し、「長かった」と今までを振り返った[7]。茨城県からは2011年7月場所の髙安(土浦市出身)以来約9年ぶりで大洗町出身では1938年5月場所の鹿嶌洋以来約82年ぶりの幕内昇進となった。 新入幕力士としてむかえた11月場所では、5日目終了時点で1勝4敗と黒星先行であったが、6日目以降は星を伸ばし、14日目に勝ち越し、9勝6敗で終えた。勝ち越し後のインタビューでは、場所中に車で両国国技館に向かう途中にダンプカーに後ろから追突され、むち打ちと診断されたことを明かした(後述)。 12月11日、新型コロナウイルスに感染したことが相撲協会から発表された[8]。28日、芝田山広報部長は天空海ら感染した立浪部屋力士11人全員が26日までに退院したことを明かした[9]。 2023年11月場所は東十両10枚目の地位で5勝10敗の成績を残し、自身初めての九州場所での負け越しとなった。番付運次第で幕下に陥落しかねない状況となったが、わずか1枚降下の東11枚目と番付運に恵まれた。 しかしその2024年1月場所でも6勝9敗と負け越し、東十両13枚目で迎えた3月場所、2日目に初勝利の後は白星が先行し11日目終了時点で6勝5敗だったもののそこから連敗し黒星先行、14日目に千代丸、千秋楽には塚原といずれも十両昇進争いの幕下上位力士に敗れ4連敗、6勝9敗に終わり、幕下へ陥落した。 東幕下筆頭となった5月場所では、3勝3敗で迎えた千秋楽、勝てば十両復帰が決まる一番で、土俵際投げの打ち合いの際どい勝負ながら十両伯桜鵬に敗れ負け越し、1場所での十両復帰を逃した。 取り口得意手は押しと叩き。入門からしばらくは柔道経験者にありがちな「脇がガラ空きになる」「投げに頼る」という癖が目立ち、懐に入られたら二丁投げ(柔道の払腰に相当)で自滅することがあったが、弟弟子の明生、豊昇龍との稽古で四つ相撲の技術を吸収。入幕時には柔道の癖は影を潜めた[10]。 掛け投げも得意であり、2021年9月場所は9勝中4勝を掛け投げで挙げている。中日のNHK大相撲中継では、「今日も掛け投げ」と実況されていた[11]。2021年11月場所前には「親方衆にも会う度に(掛け投げへの期待を)言われたりして…。できちゃうから狙っちゃう。今日もいけそうだと。来場所は狙わないように、体が動いて、自然と出れば」と語っていた[12]。 エピソード
主な成績2024年11月場所終了現在
場所別成績
幕内対戦成績2024年11月場所終了現在
※カッコ内は勝数、負数の中に占める不戦勝、不戦敗の数。太字は2024年11月場所終了現在、現役力士。
改名歴
主なメディア出演TV出演
脚注注釈出典
関連項目外部リンク
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