伊東園ホテルズ
株式会社伊東園ホテルズ(いとうえんホテルズ)は、クリアックスグループに属し、東日本エリアで廉価ホテルチェーンの伊東園ホテルズおよび一段階グレードの高い伊東園リゾートを運営する企業[4]。 2014年9月までは、同グループの株式会社スタディー(現親会社兼資産管理会社)が運営し、伊東園ホテルグループとチェーン名を呼称していた。 カラオケ店チェーン『歌広場』と並んで、クリアックスグループの主力事業となっている[4]。 概要東京でパチンコ店、サウナ、キャバレーなどが入居する複合型アミューズメント施設を運営するなどしていた、在日韓国人の李支宗が、倒産して競売にかけられていた伊東市の「伊東園ホテル」を2001年(平成13年)に買収した。当初は自社員の研修所とする目的で購入したが、改装して一般向けホテルとして同12月に再開業した。 李はその後、倒産や経営不振に陥った宿泊施設を次々に買収し、格安ホテルとして居抜き出店方式で再生した。この手法を用いることによって、2019年(平成31/令和元年)3月現在、伊豆(静岡県)を中心に、東日本エリアの北海道から長野県まで、計48館の温泉旅館・ホテル及び日帰り温泉施設1館が、「伊東園ホテルズ」として運営されるに至っている。唯一、西日本の滋賀県にも1館(彦根ビューホテル)有していたが、2021年(令和3年)に撤退している。 元来はクリアックスグループのスタディーが運営していたが、2014年(平成26年)10月に会社分割で同グループ内に新規設立した株式会社伊東園ホテルズが運営する。 グループ名の由来である最初の「伊東園ホテル」を筆頭に展開し、伊東園ホテルの近隣に「伊東園ホテル別館」「伊東園ホテル松川館」を有しているほか、他地域にも“伊東園ホテル”を冠するホテルがある[注釈 1]。近年は、冠さずに元のホテル名をそのまま継承しているホテルが多いが、かんぽの宿草津を伊東園ホテル草津としたように前身の名称を使用できない場合もある。 新型コロナウイルス感染拡大の影響による非常事態宣言の発動を受けて、2020年(令和2年)4月12日から5月31日の間、全館で休館していた(初回発表時点では非常事態宣言対象県所在の施設は神奈川県・千葉県の3館のみだったが、一斉に休館)。その後、感染防止対策の徹底とその告知及び宿泊客への協力を求める映像等の公開を経て、順序営業再開した。以降も感染拡大状況や非常事態宣言・蔓延防止等重点措置に合わせ、平日を中心に休館する施設がある(対象地域外でも都県境を跨ぐ移動に考慮して休館している)。 系列運営会社一部は、系列の別会社が運営する非直営の施設が存在するようで(例えば、伊東園ホテル土肥の現地に掲示されている温泉成分表示等に「株式会社土肥伊東園」との記載が見られる)、クリアックス公式サイトでもクリアックスグループの店舗運営会社ホテル部門として、以下の企業を挙げている[5]。社名から施設との紐付けは一部を除きイメージが付くが、それ以外の施設について伊東園ホテルズ直営なのかこれら運営会社のいずれかに委託されているのかどうか詳細は不明。
特徴以前は旅館・ホテル業界では当たり前であったシーズン料金を導入せず、独特な料金「365日同一料金1泊2食付」[注釈 2]が最大の特徴だったが、後述の通り、2017年(平成29年)4月1日付で熱海地区の一部で、それ以外のホテルでも2018年(平成30年)10月1日付でシーズン料金に変更された。 チェックイン・アウトの時間が自由であったり、カラオケ歌広場の系列会社だけあり、多くの施設ではカラオケを設置した個室数部屋が設置され、無料で貸切が可能[注釈 3]となっているほか、貸切風呂(家族風呂)・インターネット・囲碁・将棋・麻雀・卓球ルーム等の付帯設備も無料で提供されていたりする。 かつては、独自構築した旧予約システム上の制約により、熱海ニューフジヤホテル(静岡県熱海市)や熱海金城館(同)等一部ホテルにおける団体客の受け入れ(通常料金体系と異なる)を除き、原則旅行会社を通しての予約は受け付けることができず、公式サイト上のフォームまたは各ホテルへの直接電話による予約となっていたが、2014年(平成26年)に予約システムを刷新し、現在は外部からも予約が申し込めるようになっている[6]。 安価な宿泊費を実現するため、人件費を徹底して削減。仲居を廃止し、食事はアルコール飲料を含むバイキング[注釈 4]とした。客がチェックインする部屋にはすでに布団が敷かれている[7]。人件費のほかにも、取りまとめ以外からの仕入れや工事の発注など、地元温泉街のしきたりとは異なる独自の運営を行っている。宿泊施設自体も徹底的に安価に購入されたものであり、物件によっては当初の建設費の10分の1以下の価格で買い叩いたものである[7]。 明確な時期の境はないが、2010年(平成22年)前後より一部ホテルで実施していた部屋食のシステムが廃止されたり、アルコール飲料飲み放題の有料化、シーズン料金の導入、宿泊施設内にある飲食設備(喫茶や居酒屋)を廃止するなどサービスや経営面で合理化が進んでいる。 部屋のタイプを問わずに統一料金とすることを基本としているが、一部では、露天風呂付きの部屋や二間続きの大部屋などの特別室や、オーシャンビュー等の景観良好な部屋への割当確約、リニューアル工事済客室(シーズン料金導入後)、あるいは、設備が極端に劣る旧館や窓が小さく景観の無い洋室一人部屋等で料金差を付けている施設もある。なお、これら特別な客室は予約システムに載っていない、あるいは、選択できない場合もある(例えば、ホテル湯元の和洋室は公式・外部問わず予約サイトからは検索できず、じゃらんの案内ページには「数に限りがございますので、お電話でのご予約を承っております。」と記載されている[8])。 熱海館・熱川・尾瀬老神山楽荘・ニューさくら(鬼怒川)では、それぞれ隣接する複数施設(ニューさくらは3、それ以外は2)を一括買収し、連絡通路を新設の上(熱海館は元来は同じ施設の本館と分館を分離独立させていたものを一括買収したので通路は既設)、フロントやバイキング会場などを集約して一つの施設の本館と別館の関係にして開業した。ニューさくらでは別館の浴場が閉鎖されたが、山楽荘は本館と別館で浴場の源泉・泉質が異なることを特に売りにしている。 2017年(平成29年)4月1日より、熱海エリアの内、熱海ニューフジヤホテル・熱海金城館・ホテル大野屋・アタミシーズンホテルを伊東園リゾートと位置付け、正式にシーズン料金の導入、バイキングのグレードアップ、客室の改築、熱海エリアの巡回バス運行の対応が行われた。これら施設は元々グレードの高い施設に位置付けられており、料金が高めとなっていたが、それがオフシーズン最低料金となり、ピーク料金は一般施設の早割などの割引料金と比べると倍の値段となる。 2018年(平成30年)10月より、全ホテルでシーズン料金が導入された[9]。それまでは必要最低限の改修でサービス提供されていたが、この頃より、リニューアルが加速しており、グレードアップした特別室が新設されて快適性向上等が図られる場合もある。 「人生は旅。」をキャッチフレーズとしており、ロゴ化したものが、館内スリッパ、タオルなどに印字されている(業務効率化で一部省略されつつある)。 2019年(平成31/令和元年)頃からは、「いい湯かげん 旅かげん。」というキャッチフレーズ及び「7,800円(税別)からの通える温泉宿」というコンセプトを新たに使用開始し、同年8月から2022年9月まで俳優の柳葉敏郎をCMキャラクターに起用していた[10]。2022年(令和4年)10月からは、コンセプトはそのままに俳優の吉田鋼太郎、お笑い芸人オズワルドの伊藤俊介、子役の笹本旭を起用したファミリー向けCMを制作した[11]。また、WEBCMでは、伊藤と相方の畠中悠によるバージョンも制作されている[12]。 2024年(令和6年)4月からは、“「通える温泉宿」をさらに進めて”とし、「巡りたくなる温泉宿」とコンセプトを改め、日本全国(実際には東日本)各地にホテルを多数営業していることをアピールするCMを制作した[13]。 傘下施設一覧温泉地を中心に展開しており、伊豆半島のほか、北海道、青森県、福島県、栃木県、群馬県、千葉県、神奈川県、長野県、新潟県など東日本各地の温泉地を中心に合計50館(予定1館含む。うち4館は品質を高めたリゾート枠、1館はシティホテル、1館には宿泊機能無しの日帰り温泉施設が併設)を運営している。 年末年始・ゴールデンウィーク・夏休み以外の時期には、新宿駅、横浜駅、上野駅、池袋駅、浜松駅、静岡駅、京王八王子駅、仙台駅、新潟駅などから往復バス(いわゆる観光地周遊型の高速バス)が運行されていた。新型コロナウイルス感染症予防のため、2020年春より運行が休止されていたが、2023年5月より一部の区間で運行を再開している(詳細は後述)。
伊東園リゾート
伊東園ホテルズ温泉旅館
シティホテル
日帰り温泉施設
閉館・営業譲渡したホテル
テレビ番組
提供番組(2024年現在)
他 往復バス首都園の主要駅近くから関東周辺の一部ホテルへの宿泊者専用往復バスを有料運行している[27]。かつては、首都圏以外の地域での運行や、割引もしくは無料とするキャンペーンを実施していたが、コロナ禍による長期運休より再開してからは特に行っていない。 片道利用も可能。 宿泊2日前までにバスを予約する必要があり、各ホテルへの電話でのみ受け付けている(別途宿泊予約した情報を伝えるか、同時に宿泊予約しつつ、バス予約を依頼する)。2024年8月より一部ルートでは公式サイト予約で往復バスセットプランを選択するとバスの予約も合わせて行うことができるようになっており、順次拡大予定[28]。
なお、一部ホテルを除いて行われている最寄駅(近場に限る)からの送迎(各ホテル案内ページのアクセスページに掲載)は予約不要(一部は駅到着時に電話連絡が必要な場合もある)・無料となっている。 その他
脚注注釈
出典
関連項目外部リンク |