ベーレンホイターの女
『ベーレンホイターの女』(ベーレンホイターのおんな)は、水木しげるによる日本の短編漫画作品。初出は『漫画アクション』(双葉社)1970年12月17日号[1]。元々は、同誌にシリーズ連載されていた『怪奇幻想旅行』の一編だが、独立した読み切り作品である。水木しげるの貸本漫画『サイボーグ』のリメイク作品。 概要莫大な報償と引き換えにサイボーグに改造された男の悲哀を描いた物語であり、虚無感や諦観がユーモアとともに表現された哲学的な作品ともされる[2][3]。 サイボーグになった主人公が息子と風呂に入る場面は特に印象的とされ、『ベーレンホイターの女』を傑作のひとつとして推す声もある[2]。 1960年に発表された貸本漫画『サイボーグ』と大筋の展開は同じだが、人物設定や物語の結末などが異なっている。なお、『サイボーグ』発表当時は「サイボーグ」の名称はまだ一般化しておらず、日本で最初に「サイボーグ」という言葉を使用した漫画とされている[4]。 あらすじ実業家の猫山は事業に失敗して莫大な借金を残し国外に逃亡する。そこで猫山は宇宙医学の科学者に出会い、莫大な報償と引き換えに宇宙ロケットの乗員になり、そのための肉体改造を承諾する。 猫山の目、口、生殖器が入れ替えられ、手術に次ぐ手術で人工器官が植え込まれてゆく。そして、宇宙の異常な環境に適応できるサイボーグが遂に完成する。 宇宙に発つ前、猫山は家族に会いに行くが、面影を残さない異形の姿のため化物扱いされてしまう。猫山は孤独に震えるが、機械となった体は涙を流すこともできなかった。 やがて猫山は宇宙ロケット「ベーレンホイター号」で宇宙に旅立ち、マスコミからは「ベーレンホイターの女」と騒がれる。それから数十年、ベーレンホイターの女は宇宙を飛び続けるが、そこには巨大な無が横たわっているだけだった。もう家族のことや、自分が変身したことすら忘れかけようとしていた。 書誌情報比較的、最近の刊行物を記載。 ベーレンホイターの女
サイボーグ
脚注
参考文献
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