ダブルクリック (企業)ダブルクリック(Double Click, Inc)とは、Googleに吸収合併されたアメリカ合衆国のインターネット広告の配信インフラ会社のことである。 歴史アドネットワーク構築ダブルクリックはバナー広告(ディスプレイ広告の一種)の配信で大成功を収めた会社である。1990年代後半にダブルクリックは広告の配信技術の特許[1]やツールを保有し、それらをDART(Dynamic Advertising Reporting & Targeting)というブランドで販売すると共に、アドネットワークの「DoubleClick Network」を運営していた。 当時はWeb1.0の全盛期で、皆がポータルサイトやホームページに広告を表示して稼ごうとしていた。しかし実際には広告枠は売れ残っていて、有効活用されていなかった[2]。ダブルクリックは170のウェブサイトの広告枠をまとめたアドネットワークを作って広告主を集め、広告表示を中央管理してアドサーバーから4000万人の閲覧者に向けてバナー広告を配信した。ダブルクリックのバナー広告は、ウェブサイトのコンテンツの種類や曜日・時間帯、ユーザーのタイプに応じて自動的に切り替わり、適切な広告を表示するようになっていた[3]。 急成長またダブルクリックのサービスは当時は珍しかったアプリケーションサービスプロバイダ型で、クライアントソフトウェアをインストールせずにウェブ上で設定操作ができた[2]。検索エンジン大手のAltaVistaはダブルクリックに広告管理を任せたので[3]、ダブルクリックは急成長し、株式は公募価格の2倍で売れた[2]。 ダブルクリックは同業他社のNetGravityを買収して、アメリカの有力サイトのバナー広告配信の過半数を握り[4]、約1500のウェブサイトを擁するネットワークに成長した。1996年に約2598万ドルだった売上高は、2000年には約20倍の5億561万ドルに達した[5]。 危機しかし一転して危機が訪れた。ダブルクリックはクッキーによって閲覧者のネット上の行動を追跡していたが、ダイレクトマーケティングに強い通販名簿会社を買収して、閲覧者の住所や氏名を把握し、ダイレクトメールを送ろうと考えた[6]。 この計画を知って激怒した消費者団体はプライバシー侵害に対して反対運動を行い、連邦取引委員会が調査に入り、全米で集団訴訟が起きた。ダブルクリックは計画を中止し、和解金を支払って、なんとかこの問題を解決したが、AltaVistaとの関係が崩れるなど大きな痛手を受けた。また同じ頃にインターネット・バブルが崩壊し、インターネット広告業界は不況に陥った。2003年の売上高は2億3134万ドルとなり、最盛期から半減した[5]。 Google傘下ダブルクリックはアドネットワーク事業から撤退し、広告配信ツールやインフラの提供サービスに特化することにした[7]。ダブルクリックはASP型のメール広告配信ツールを持つFloNetworkを買収したり、マーケティングデータベースの管理・分析ツールを持つAdvanced Database Solutionsを買収したりした。2000年代前半のインターネット広告業界は、Googleが台頭して検索連動型広告がブームになっていた。ダブルクリックはPerformicsを買収して、検索エンジン最適化や成功報酬型広告向けの配信ツールを手に入れた。 その後、ダブルクリックは投資会社に買収されて、最終的にはGoogleに吸収合併された。バーナー広告などのディスプレイ広告は1990年代に流行した形態であり、検索連動型広告と比べると古臭く感じるが、2000年代後半はSNS向けの広告や動画広告が伸び始めていた。これらはディスプレイ広告の一種であり、アドエクスチェンジなどの新技術によって再生しつつあった[8]。Googleはディスプレイ広告の技術を持っていなかったので、ダブルクリックの広告配信技術を手に入れて成長市場に参入した。 現在の製品ダブルクリックのツールにはリッチメディア広告の製作ツールや、広告枠の売買ツール、行動ターゲティング広告の運用ツールなど様々なツールある。統合パッケージは広告掲載者用(サイト運営者)と広告主用(広告代理店)に分かれており、掲載者向けのツールが多いようである。ウェブサイトのオーナーは自分で広告スペースを整備して、広告枠を出来るだけ高く売る為に努力しているようである。なお広告主用のDoubleClick Ad Plannerは一般にも公開されており、無料で使用することが出来る。
沿革
ダブルクリック株式会社
ダブルクリック株式会社はトランスコスモスの子会社で、日本でDARTを独占販売していた会社である。ダブルクリックの買収後、Googleから契約解消を通告され、裁判に訴えたが和解し、DART事業をGoogleに売却してトランスコスモスに吸収合併された。 沿革
脚注
関連項目外部リンク |
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