TETRIS 99
『TETRIS 99』(テトリス・ナインティナイン)は、任天堂が2019年2月14日に配信を開始したNintendo Switch用ゲームソフト。 当初は有料オンラインサービスであるNintendo Switch Onlineの加入者向けに追加料金無しで提供されていたが、同年5月10日以降は有料追加コンテンツを導入した場合に限り、オンラインサービスに加入しなくてもオフラインモードはプレイ可能となった[3]。 2019年8月9日にNintendo Switch Online利用券(個人プラン12ヶ月)付きのパッケージ版が発売。追加コンテンツ「コンプリートパック」が付いている(第2弾は同年9月5日のアップデートで追加)[4]。 ゲーム内容99人のバトルロイヤルゲーム形式でオンライン対戦するテトリス。画面上には自分と対戦相手98人のプレイ画面(中央の自分のフィールドの左右に49人ずつ)が表示され、99人の中で最後1人の生き残りを目指す[5]。 6手先までのテトリミノが表示され、1個ホールドしておくことができる。ラインを複数、または連続で消すと相手プレイヤーのラインをせり上げる攻撃(フィールド左の枠にせり上がる量とそれまでの猶予時間)が出来る。表示できる予告おじゃまは12ラインまでなので、それ以上の攻撃は無効となる。 プレイヤーの誰かがフィールド最上部までブロックが積み上がってゲームオーバー(リタイア)になると、最後にラインを送ったプレイヤーが「K.O.」した事となり、K.O.バッジが1個付与されるとともに相手が持っていたバッジも総取りする。(自分がK.O.した相手は金色のマーク、それ以外は灰色で表示される) バッジの数や自分を狙っている相手の数に応じて、ラインせり上げ数がアップしていく。特に複数人に狙われている場合は、シングル消し単体でもラインを送れるようになる。 なお、所持しているバッジの数は他のプレイヤーからも可視化されており、レーン上部に表示される(25パーセントごとに4つ区切りで表示)。 残り人数の減少や、時間経過と共に、落下速度とせり上げまでの猶予時間が短縮され始め、さらに長時間が経過すると、ラインを送られたときにせり上げ数が加算されていく。これはマージンと呼ばれており、10分経過時に1ライン、そこから30秒ごとに1ラインずつ加算されていき、プラス11ラインになるまで加算されていく。基本的には1試合あたり9分くらいで終わるため、ハイレベルな戦いではない限り、マージンは入ることはない。 BGMは残り人数に応じて3曲推移し、通常では2種類の『コロブチカ』[注 1]と、『熊蜂の飛行』が流れる。 K.O.された後は次のゲームのマッチングに移ることも出来るが、優勝者確定まで観戦を続けることも可能。チームバトルでは、生き残っている人をスティックで選んで、その人のプレイヤー名、戦況を見れるほか、チームバトルでは自分と同じチームのプレイヤーを一人選んで、いいね!を押して応援する事ができるようになった。成績に応じて得られる経験値を貯めることでプレイヤーランクが上がるほか、定期的にオンラインイベントも開催されている。 カスタマイズでテーマ(テトリミノのデザインや背景、BGMが変化する)やエンブレムの変更が可能。オンラインイベントではオリジナルテーマが入手できることがあるほか、2019年9月5日の更新からはデイリーミッションで入手したチケットを使用することでもテーマを入手することができるようになった[7]。 作戦上記のとおり、自分で相手を指定して攻撃しない場合は、これらの作戦を選択することで自動的に攻撃対象を選ぶ。カウンターの場合、自分を狙っているプレイヤー全てが攻撃対象として選ばれる。自分が狙われている場合は相手から自身のレーンの下段に「CAUTION!!」と表示され、自分を狙っている人の画面にラインが結ばれる。
ゲームモードインターネットを利用するモードで99人集まりきらなかった場合は、穴埋めとしてCPUが参加する。強さはモードによって変化。☆が記載されているモードは、プレイするには有料追加コンテンツの購入が必要となる。
開発経緯・スタッフィング本作は、『メトロイド』シリーズ等の開発に携わった中田隆一がディレクターを務めた[2]。 2018年4月、任天堂の企画会議の中でバトルロイヤルゲームの流行について触れられた際、中田が別の場所でテトリスの新作を希望する声があったことを思いだし、この2つを結びつけたゲームの開発を提案した[2]。この提案は、他の会議の参加者にとっては想像がしにくかったため、中田はすでに組み立てていた「自プレイヤーのプレイ画面が中央にあり、その周囲に他プレイヤーのプレイ画面が並ぶ」というイメージを仮画面として会議のメンバーに作らせ、全員に見て貰ったところ好評を得て、本作の開発が決定した[2]。 この時点では、ゲームとしての仕様は固まっておらず、バトルロイヤルゲームの研究も企画が通った後に行われた[2]。また、仮画面では100人での対戦を想定していたが、画面構成および見栄えの都合上、1人減らした99人に変更された[2]。 テトリスの版権元であるブループラネットソフトウェア(BPS)には開発中である旨を早い段階で伝えていたものの、配信直前になって初めてテトリスでバトルロイヤルを行うという具体的なアイデアを伝えた[2]。BPS側はこのアイデアに驚いていたものの、テストプレイを通じてアイデアを肯定的に受け止めた[2]。 本作のプロデューサーには『ポケットモンスター』シリーズに長年携わってきた木梨玲が起用された[2]。木梨は99人でのテトリス対戦がゲームとして面白いのか不安視していたが、『テトリス ザ・グランドマスター』などの開発実績を持つアリカに相談したところ、1ヶ月もたたないうちにプロトタイプが完成し、テストプレイへと移行した[2]。 テストプレイ2018年7月頃から配信直前まで、大人数でのテストプレイが定期的に行われ、途中から毎週3時間99人によるテストプレイも行われた[2]。 テストプレイには、アリカや企画会議のメンバー、さらには任天堂のデバッグ・テストプレイ専門会社マリオクラブが参加した[2]。レポートやヒアリングを通じてフィードバックが集められ、時には同じ会議室に集まってテストするときもあった[2]。 最初は99人での対戦ができるものだけだったが、それでも本作独自の面白さを感じたと木梨は箭本進一とのインタビューの中で振り返っている[2]。 テストプレイ初期は、攻撃相手をスティックやタッチで選択する仕様だったが、テトリミノを組むのに精一杯なプレイヤーは攻撃相手を選択する余裕が無いことから、自動で攻撃相手を選択する「作戦」機能が追加された[2]。作戦候補は8つあったが、「とどめうち」「バッジねらい」「カウンター」「ランダム」の4つに決定した[2]。 没となった作戦候補のうち、同じ作戦を選択しているプレイヤーと1対1の戦いに持ち込む「タイマンうち」は、本作のバトルロイヤルというコンセプトにそぐわないという意見が多く寄せられたことから没となった[2]。また、テトリミノをまとめて消して、相手の攻撃を無効化する「シールド」は、この作戦だけを使うテストプレイヤーが現れたことから攻撃の応酬が発生せず、ゲームの進行が停滞することから、不採用となった[2]。また、木梨の予想以上に、積極的に相手に攻撃しに行くのでは無く、目立たないように攻撃を避けながら順位を上げるテストプレイヤーの数が多かったことも試合の膠着につながっていたため、倒した相手から「K.O.バッジ」を奪って攻撃力を上げるシステムが導入された[2]。 採用された作戦についても、リスクとリターンを念頭に置いた調整が施された[2]。たとえば、「カウンター」は多くの相手に狙われて理不尽な思いをさせないように、狙われた人数によって攻撃力を上げるシステムが追加された[2]。これにより、ピンチになったプレイヤーを攻撃する「とどめうち」で複数のプレイヤーから狙われた場合、「カウンター」で強力な反撃が出来るようになった[2]。 そして、2018年10月に、本作の試作版が完成した[2]。 任天堂では大規模なオンライン対戦の経験が無いことから、当初木梨は通信については不安視していたものの、設計の段階から確実な方針を立てた上で、社内のサーバ担当者とも打ち合わせを重ね、試作版ができあがるころにはしっかりとした通信環境が整っていた[2]。これにより、製品版配信後も、オンラインゲームにありがちなサービスイン直後のトラブルは発生しなかった[2]。 製品版の配信へ試作版ができあがった後、製品化に向けてのブラッシュアップが行われた[2]。 木梨は世界規模でイベントを行うことを考えていたため、各国の言語に対応したテキストの用意や、法務面での調整といったイベントの仕組みづくりで苦労したと4Gamer.netとのインタビューで述べている[2]。 木梨はβテストの開催も検討したが、βテスト後にサーバーが止まって正式サービスのアナウンスが流れたらプレイヤーが落胆すると考え、βテストなしで配信することに決めた[2]。また、触っていくうちに理解して欲しいという考えから、あえてゲーム内では詳細なルールの説明をしなかった[2]。木梨らとインタビューを行った箭本進一はこの方針について任天堂らしいと評している[2]。 構想から1年足らずの2019年2月14日、本作の製品版が配信され、それから間もない2019年3月8日には初のイベント「テトリス99配信記念 テト1カップ」を実施した[2]。 ゲーム内イベント(テト1カップ)およそ月に1回不定期で実施される期間限定イベント。ある特定のミッションをクリアすることで、マイニンテンドーポイント、またはゲームスキンを獲得することができる[注 4] 。 以下、特筆の無いものは「TETRIS 99」が対象となる。
反響コミュニティの反応本作はプレイヤー達から好意的に受け止められた[2]。 また、プレイヤーの中には作戦の仕様を理解したうえで解説動画を投稿する者もおり、木梨はこの活動についてうれしい想定外だとしている[2]。 評価ライターの脳間寺院はリアルサウンドに寄せた記事の中で、パズルゲームとしての特性が、バトルロワイヤルゲームにありがちなテンポの悪さを打ち消したと評価している[54]。 脚注注釈
出典
関連項目
外部リンク
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