星のカービィ ディスカバリー
『星のカービィ ディスカバリー』(ほしのカービィ ディスカバリー、英: Kirby and the Forgotten Land)は、ハル研究所が開発し、2022年3月25日に任天堂から発売されたNintendo Switch用ソフトである[5]。 概要『星のカービィ スターアライズ』から4年ぶりの新規タイトルである本作は、本編シリーズ作品として初の3Dアクション作品で、3D空間を自由に探索しながらゴールを目指す[6]。Nintendo Direct 2021.9.24で初めて公開された。2022年3月3日、今作の紹介映像が公開されたとともに、体験版の配信が開始された[7]。 本作は、マップを移動しながらステージを攻略するステージクリア型の進行方式を採用している[8][9]。 ストーリー本編ある日、カービィは謎の渦に吸い込まれ、広大な文明と自然が融合した「新世界」に迷い込む[8]。カービィは、謎の敵勢力「ビースト軍団」にさらわれているワドルディ達を発見し、ワドルディ達を助けるため、新世界で出会った新しい仲間「エフィリン」とともに冒険の旅に出る[8]。 絶島ドリーミー・フォルガ編 フェクト・エフィリスを倒しエフィリンとの再会も果たしたカービィは、キャロライン達アニマルと仲良くなった。そんなある日キャロラインが行方不明になっているレオンガルフの捜索を依頼する。カービィ達は、レオンガルフのいるとされる謎の渦の中で異次元の強さのボス達に挑みながらレオンガルフを探す。 ゲームシステムキャラクターの移動はスティックで行い、ジャンプとホバリング、攻撃はボタンで行う。このうち、ボタンは設定で変更できる。また、本作ではコピー能力を持つ敵を吸い込むと自動で飲み込む「オートのみこみ」という機能があり、こちらも設定で手動に切り替えられる。ホバリングの使用時間や移動できる高さには制限がある。 水場は水面を泳ぐことはできるが、潜水はできない。 本作では残機の概念がなく、ライフが0になるとコインスターを100枚失い、直前のチェックポイントに戻される。また、落下しても即ミスにはならず、ダメージは受けるも直前に戻される。 各エリアは5つのステージで構成され(レッドガル禁足地以降は例外あり)、そのうちラストステージはボスステージであり一定数のワドルディを救出していないと挑戦できない。ゴールはワドルディが捕らえられた金色の檻であり触れるとクリアになるが、それとは別に各ステージに設定されたミッションをこなすことで銀色の檻のワドルディを救出できる。また、ワドルディを救助すればするほど、冒険の拠点となる「ワドルディの町」が発展していく。「ワドルディの町」には、コピー能力を進化させる「ぶき屋」や、サブゲームがあるほか、フィギュアの収集といったやりこみ要素も含まれている[10]。 またエリアには「トレジャーロード」と呼ばれるショートコースもあり、制限時間以内にゴールにたどり着けばコピー能力強化に使用する「レアストーン」が入手できる。 2人プレイはいつでも可能だが2Pキャラはバンダナワドルディ固定である。 なお、本作では初心者向けの「はるかぜモード」と上級者向けの「ワイルドモード」の2種類があり、ステージの外であればいつでも切り替え可能[10]。 登場キャラクター
敵キャラクター本作においては、ゴルドー[14]といった既存のキャラクターに加え、新たにビースト軍団が登場している。 中ボス旧作から登場する中ボスはビースト軍団に合わせた原始的な外見になっている。なおビースト軍団と意気投合した模様。
大ボス
コピー能力本作ではステージに隠されている「せっけい図」をワドルディの町のぶき屋へ持って行くとコピー能力を進化させる形で強化することができる[9]。コピー能力の進化には、ステージに隠された「せっけい図」や冒険で集めることができる「コインスター」や「レアストーン」のアイテムが必要[9]。ぶき屋で進化した能力をセットすると、ステージ内で敵からコピーできる能力も進化した能力に変化する。ストーリークリア後は、それぞれの能力の攻撃力を強化することができる。[20] ほおばりヘンケイ本作から登場する新能力で、コピー能力とは別物である[9]。色々なものをほおばることでカービィが様々な形に変形し、ほおばったものに応じて様々なアクションをすることができる[9]。また、コピー能力の状態でもほおばることが可能で、ヘンケイ後はコピー能力を示す帽子を被せたような外見で保持されているが、ヘンケイに準じたアクションしかできず、コピー能力の発動は不可能。 冒険の舞台作品の舞台は“文明と自然が融合した未知なる新世界”で、荒廃したビル、遊園地、砂漠の中の廃墟等が立ち並んでいる[15]。 また、イニシャルをつなげると「New world」(新世界)となる。 ワドルディの町本作の冒険の拠点。ビースト軍団から助けたワドルディが住人となり、ワドルディの数に応じて、お店がオープンしたり、サブゲームが遊べるようになったりと、町がどんどん発展していく[8]。 制作背景:『星のカービィ』における3Dアクション導入『星のカービィ』シリーズにおいては、据え置き型ゲーム機向けのシリーズ作品を出せなかった11年間から、本作に至るまでの間、試作や番外編、サブゲームを通じて試行錯誤を重ね、3Dアクションのノウハウを積み重ねていった[21]。 それでも、カービィ特有の課題や2Dとの相性の良さから、完全3Dアクションゲームとしてのカービィの実現には至らなかった[21]。 企画・開発本作のディレクターを務めるハル研究所の神山達哉は任天堂とのインタビューの中で、カービィが3D空間を動き回るのは楽しいだろうと考えていたが、実際ディレクターとしてゲームを指揮するとなると、基本動作である「すいこみ、はきだし、ジャンプ」を3D化してもうまくいかないなど、様々な課題にぶつかったと話している[21]。 まず、カービィの身体は丸いため、後ろを向いたときは彼[注釈 7]がどこを向いているのかわかりにくくなってしまう[21]。 神山はそれらの課題を解決するため、過去のシリーズ作品の挙動を研究し、3Dでも安心して遊べる王道の本編カービィについて考えたと述べている[21]。具体的には、身体の軸の回転やブレ、さらには足の蹴る角度を抑える措置がとられた[23]。また、カービィや敵キャラクター、ならびに飛行オブジェクトの真下に影を出すことに加え、暗所では上下方向の陰影を示すことでキャラクターの位置や立体感を出す工夫がとられた[23]。同様の課題は敵キャラクターのデザインにも当てはまっており、これについては頭身を高くし、関節を増やしたデザインを採用することで解決した[23]。 3Dは奥行きがある分2Dよりもプレイヤーの行動範囲が広くなるため、2Dアクションをそのまま3D化すると、プレイヤーが闘わずとも敵の攻撃を回避しやすくなるため、2Dよりもスリルが薄まってしまうという課題があった[21]。本作にアソシエイトプロデューサーとして参加した任天堂の二宮啓は、テストプレイ時に毎回敵の配置の調整を依頼してもフィールドが隙だらけであり、ハル研究所に聞いたところ、「敵に囲まれたらカービィがかわいそう」という回答が返ってきたと振り返っている[21]。熊崎はこの回答は冗談ではなくカービィに対する愛情に由来していると説明しており、3Dアクションが苦手なプレイヤーを想定したことも敵の配置方法に影響したと述べている[21]。 アクションゲームが苦手なプレイヤーにも楽しめるようにするため、本作では攻撃判定や着地判定を緩くする措置が取られた[24]。たとえば、カービィが敵に向けて武器を当てる場合、敵に当たっていない場合であっても、ゲーム内画面でそのように見える場合は自動で攻撃判定が生じるようにした[25]。 レベルデザインにあたっては、マップの装飾を用いて高低差をわかりやすくしたり、カメラアングルを工夫してプレイヤーが迷ったりしないようにする工夫も施された[25]。このほかにも、プレイヤーがメインとなるルートを進みやすくするため、アイテムの置き方にも注意が払われ、メインルート上に進行の妨げとなる物やプレイヤーが目移りする物を置かない[注釈 8]よう心掛けられたほか、サブクエストへの注意を促すため、難易度に合わせて特殊な装飾を用意するといった工夫が施された[23]。 「ほおばりヘンケイ」はカービィならではの動きを3Dアクションに採用するために生み出されたシステムである[26][23]。 ほおばりヘンケイに関しては、スタッフたちの試行錯誤の末「目と口が離れるとカービィらしさが損なわれる」「手足を変えると『ヘンケイ』ではなく『ヘンシン』になってしまう」「口から元の部分がはみ出るとほおばっている感じが出る」ということが突き止められた[23]。また、意外性を出すため、あえてほおばる対象とアクションの結びつきを避ける方針がとられた[注釈 9]。 加えて、ほおばった際にカービィが引っ張られるとプレイヤーが納得できるため、専用のモデルとアニメーションが用意された[23]。 ほおばり方についても試行錯誤が重ねられており、たとえば「かいだんほおばり」の場合、当初は痛そうだからという理由で、倒れる部分にカービィを覆わせなかったが、ゲーム内のカメラでは何をしているのかわからないという欠点があり、全体を覆うデザインに変更した[23]。この時点ではわかりやすくするためにカービィの口が開いていたが、痛々しく見えるという指摘が寄せられたため、口を閉じるデザインに変更された[23]。 また、カービィがほおばることで姿かたちが大きく変わること[23]に加え、現実の人間にとって身近だったり効能を知っているオブジェクトであっても、カービィにとっては未知のものであることから、本作の舞台が「かつて文明の存在した世界」に設定された[26]。 初期のコンセプトアートでは特定の国や地域に沿っていたが、より多くのプレイヤーが自分たちの世界にカービィが来たと思えるよう、80年代から現代辺りを想定し、「ニュートラルなそこそこの都市」に設定した[23]。 また、単にリアリティを出すだけでなく、カービィがいても違和感のない環境を作るため、背景設定に当たっては「背景全体を自然物(例:植物)で覆う」「配色はなるべく鮮やかに」といったルールが設けられた[23]。 本作においては、モードセレクトではなく、町を作ってそのなかに遊べる施設を作るという要素が採用された。これを提案した神山達哉は、ステージ探索の価値の向上だけでなく、施設同士の横のつながり[注釈 10]による魅力アップを図ったと2022年のNintendo Dreamとのインタビューの中で説明している[27]。 神山はワドルディが町の住民として一番付加価値が高いと2022年のインタビューの中で話しており、これは彼らが従来のような雑魚キャラではなく、救助対象者として設定された理由の一つである[28]。ワドルディを救助対象者としたもう一つの理由は、従来のゴール扉の代わりにオリにい入れられたワドルディを配置することで、広々とした景色を楽しんでもらうためであり、熊崎はこれによってストーリーが明確になったとこのインタビューの中で語っている[28]。また、神山は、アクションゲームが苦手なプレイヤーでも最低限のワドルディを救出できるようにするため、彼らをゴールにも置いたとインタビューの中で述べている[28]。これに関連して、熊崎はステージの中で取り残したのがいると助けたくなると話しており、インタビューに同席していたレベルデザインディレクターの遠藤裕貴もワドルディを救出対象にしたからこそできたことだと述べている[28]。 町の中で遊べるサブゲームのうち、「コロコロ!タマコロカービィ」は開発チーム内の自由制作期間中に誕生したゲームであり、チーム内での評判のよさから、本作に取り入れられた。このゲームは前3ステージで構成されている。熊崎はこのミニゲームが難しいというのは難易度の懐の広さだとしつつも、テストプレイした際はもっと難しかったため、壁を追加するなどチューニングには苦労したと「Nintendo Dream」とのインタビューの中で振り返っている。 「はたらく!ワドルディカフェ」は、HAL研究所の新卒研修で作られた作品がもとになっている。 また、このサブゲームは現実の東京と博多にあるカービィカフェとのコラボレーションという位置づけにあり、実際のカフェにも「くるまほおばりケーキ」が追加された。とはいえ、コラボレーション計画の時点では本作の情報は一般に知らされていなかったため、社外のカフェ関係者にも秘密にしながら話し合いが行われた。 「刹那のつりぼり」は、『星のカービィ トリプルデラックス』などの過去作品においてカービィが魚釣りをする場面をヒントに取り入れられた。 カービィのコピー能力のうち、「トルネイド」と「ハンマー」はいずれも過去作品において特殊な位置づけにあったが、本作では能力の進化機能に対応するためゲームの早い段階から使えるようになった[27]。 壁に反射する性質を持つ「トルネイド」の場合、当初は従来と同様のクセをつけてみたが、制御が難しいうえに反射時のカメラ酔いが激しかったため、反射してもブレが出ない専用のカメラを設けたうえで、何度も調整が行われた[27]。 また、これに関連して、「トルネイド」能力を持つ中ボス・スワロリーナが新規に登場した[27]。過去作品において同様の能力を持つツイスターでは能動的に吸い込める機会を作るのが難しいことと、神山が飛行能力を持つ中ボスが欲しいと考えたことが登場のきっかけとなった[27]。なお、神山は「くるくる回って飛んでいる」という内容でデザインを発注しており、想定したものとは若干違うものの、見栄えがして優雅な感じがよかったので、仕様を若干変更したうえで登場させたと「Nintendo Dream」とのインタビューの中で話している[27]。 「ハンマー」の場合、従来は中ボスのボンカースがこの能力を持っており、前作の開発においても子ボンカースを作って配置しやすくしてほしいという要望があった[27]。本作においては「ハンマー」を序盤で使えるようにしたいという思いがあり、そのためにはこの能力を使える敵をたくさん置く必要があったため、ボンカースと姿の似た「ムッキース」という新規の敵キャラクターが用意された[27]。 既存の敵キャラクターのうち、動物をモチーフとしたキャラクターは詳細を知らなくても、一目で世界観と合っていることから配置しやすいという利点があった[27]。 たとえば、『星のカービィ3』を初出とするコロリは、後半の雪ステージでカービィらしさを出したいという考えから、本作では雪玉を転がす役回りとして登場した[27]。 一方、それ以外のキャラクターは敵キャラクターの配置やセッティングにあたっては、立ち位置や役回りを理解したうえで慎重な判断が求められた[27]。特に、ブレイドナイトやサーキブルは、物語後半に登場するビースト軍団の本拠地に配置すると浮いてしまうという事象があったため、ガルルフィといったビースト軍団と配置して違和感を払しょくした[27]。 既存のキャラクターのうち、デデデ大王はおにぎりのような体形にしつつも、カービィたちよりも前に本作の舞台となる世界に来たことを示すデザインとなった[28]。熊崎は、同作のデザイナーである北健一郎が過去に手掛けた『星のカービィ64』のデデデ大王に似たことも、意識したわけではないとしつつも、自然な流れだったのかもしれないと推測している[28]。当初メタナイトは隠しボスとして出す案もあったが、最終的には「カービィやビースト軍団とは別行動をとり、今ではワドルディの町の用心棒をしている」という裏設定を用意したうえで、闘技場に出すことにした[28]。当初メタナイトのデザインは『星のカービィ 夢の泉の物語』に登場した時のデザインを踏襲することも考えられたが、カービィ同様シンプルなデザインであるため、ディティールのみの変更にとどめられた[28]。その代わり、闘技場でメタナイトがいつもの剣を取られると、予備として『星のカービィ 夢の泉の物語』で使っていた剣を出すという演出が施された[28]。 新キャラクターのうち、エフィリンは「神話に登場する幻の生き物」というテーマでデザインがなされ、動物らしさを持ちつつも、カービィの友達になれそうなキャラクターとして描かれた[28]。 エリア1「ネイチェル草原」のボス・ゴルルムンバは、3Dアクションとなった新シリーズに登場する最初のボスキャラクターということで、リアルな動物の骨格を想起させながらも、カービィらしさを体現した迫力のあるデザインとなった[29]。 神山はリードプログラマーの住友克禎が前作『星のカービィ スターアライズ』で担当したラスボスのエンデ・ニルを参考にゴルルムンバを作ったのではないかと、雑誌「Nintendo Dream」とのインタビューの中で推測している[29]。熊崎は同じインタビューの中で、エンデ・ニルらしさがありつつも、よりスピーディーに動くが、難易度としては戦いやすく調整してると語っている[29]。 エリア2「エバーブルグ海岸」のボス・トロピカルウッズは、過去作におけるウィスピーウッズに相当するキャラクターとして作られた[29]。 初期案では、成長し続ける木の上にカービィが上るというものだったが、作りにくいということで却下された[29]。また、クリア条件としてトロピカルウッズの上から指示を出す存在を撃破する案もあった[29]。遠藤によると、ウィスピーウッズ並みの難易度が求められていたが、ウィスピーウッズが動けないこともあり、熊崎と神山が難易度の調整に苦労していたという[29]。 エリア3「ワンダリア跡地」のボス・キャロラインは、前の2体が巨大なボスキャラクターだったため、素早さや身軽さを表現するため、使用する技に縦の動きが取り入れられた[29]。ただし、カービィが一頭身で小柄なため、ボスキャラクターにはある程度の大きさが求められた結果、神山の予想よりも大くなった[29]。 エリア5「オリジネシア荒野大地」のボス・アルマパラパが突進技を使うという設定は開発の初期から考えられており、そこから転がる性質を持つアルマジロがモチーフとして選ばれた[29]。アルマパラパもリアル寄りのデザインだが、カービィらしさを出すため、目の部分のデザインを特徴的なものにした[29]。一方、本作にはコピー能力の強化システムがある都合上、ゲームの後半に登場するアルマパラパも強めに作られた[29]。また、ボスの攻撃パターンが多いとプレイヤーが覚えにくいため、とりわけアルマパラパの技の数は控えめに、ただし行動パターンによってプレイヤーがそれを感じにくくする措置が取られた[29]。 地形生成システムの導入立体化する分、視界に入る情報量も増えるため、地形のモデリングを自動化するシステムを作って効率化を図った。これにより、マップ上の「遊び」を作ることに時間を割けるようになったと神山は振り返っている[21]。 当初は、レベルデザイナーが作成した地形図をもとに、アーティストが地形モデルを制作するという、コンピュータゲーム開発においては一般的な手法がとられる予定だったが、この方法ではデザイナーによる細かな調整や変更が利かない上、アーティストの負担が大きいという欠点があった[30]。 これを解決するため、レベルデザイナーがマップエディタで作成したブロック状の地形をもとに、自動で本番用の地形モデルを生成するシステム(以下:地形生成システム)が用いられた[30]。 まず、レベルデザイナーが用意した地形のイメージに、アーティストからの要望である「地形のふちがもこもこしている」「地形の一部がほかの見た目のパーツに差し替え可能である」「有機的な壁」の3要素を盛り込んだイラストを用意する。次に、レベルデザイナーがUnityで作ったマップエディタでブロック状のパーツを配置する。このデータを出力することで、アーティストが準備したふちの部品がMayaのカーブワープ機能で配置される[30]。 素材やふちの部分を変えるだけで、砂漠からショッピングモールまで効率よく多様なステージを作成できた[30]。 とはいえこれだけではまだ十分ではなかったため、新たな機能が追加されていった[30]。 たとえば、道を作る機能の場合、マップエディタの時点で道にする場所の頂点カラーを変更することで、地形生成システムがこの部分をもとにして道を作る[30]。この方法ではマップエディタの段階で調整が利く上、別のテクスチャで上書きする際に座標を使いまわせるといった利点があったほか、地形生成システムはコリジョン(衝突判定)の属性も自動で設定するため、砂の上を歩いたときに砂ぼこりが浮かぶといった表現も簡単に実現できた[30]。 また、マップエディタによるブロック配置では、どうしても角やヘリが直線的になり、無機質な印象を与えてしまうという課題が残っていた[30]。この解決策として、丘パーツやその逆にあたるくり抜きパーツの導入や、直線的な地形のヘリの頂点座標にノイズを入れて地形をゆがませるという手法が用いられた[30]。このうち、くり抜きパーツはmayaのブーリアン演算によって、オブジェクト間の論理積、論理和、論理差を生成するという仕組みがとられており、その応用として破壊用くり抜きパーツが作られた[30]。 ステージの生成に当たっては、2人のアーティストが作成した約40種類のモチーフのデータが用いられた[30]。これにより、途中でステージを変更する必要がでてきても、モチーフの変更と装飾パーツの再配置のみで済んだ[30]。 演技・キャスティング前述のとおり本作におけるワドルディは救助対象として設定されていることから、二宮の提案により、ステージ内にいるワドルディが声を出して自分の位置を知らせるという演出が追加された。ワドルディの声はサウンドスタッフの声がもとになっており、当初は「わんにゃーお! 」と悲痛な声だったが、暗い場所では不気味になってしまうため、「わにゃ!」という元気のある声に変更された。また、デデデ大王を演じた熊崎は、「Nindtendo Dream」とのインタビューの中で、キャラクターに合わせてワイルドさが出るように全力で取り組んだが、予想以上に出番が多かったとも話している。新キャラクターのうち、エフィリン役には、『とっとこハム太郎』のハム太郎で知られる間宮くるみが起用された。当初はキャロラインにも声優を割り当てる予定だったが、彼女も1匹のアニマルであることを強調したいことに加え、終盤に登場するレオンガルフのみ人間の言葉を話せるという設定があったため、熊崎の飼い猫「ソラ」の声が用いられた。最終局面であるエリア7「ラボ・ディスカバール」の場内アナウンスには、テレビアニメ版『星のカービィ』などでナックルジョーを演じた高山みなみが起用された。熊崎は、音声において新しい挑戦をしたいということと、最後の敵との対決の直前の複雑な気持ちに添える声としては、だれもが知っている声の方が聞いてもらえると判断[注釈 11]して、高山を起用したと話している [31]。 音楽本作においては、ゲームの展開に合わせて音楽を変化させるインタラクティブミュージックが用いられた[32]。 この手法はシリーズの過去作品でも採用された例はあるが、3Dアクション化したことで臨場感の強化や感情に合わせて変化する音楽をより進化させたいという意向から、過去作よりも使用する機会が増えた[32]。 この仕組みを取り入れた楽曲は基本的に「Intro」(イントロ)、「Body」(楽曲のメインとなる部分)、「Bridge」(楽曲のつなぎとなる部分。)、「Tail」(遷移の最終点)の4グループで構成されている[32]。 このうち、BodyとBridgeは複数のブロック(小節、フレーズ)で構成されている点やループする機会がある点は同じだが、Bridgeはつなぎという性質上単なるパターンとしての性質が大きい[32]。 マップ上にはグループが切り替わるエリアが設定されているため、Bridgeのエリアが長すぎると単なる音の繰り返しでプレイヤーが飽きてしまう一方、短すぎるとつなぎとしての意味を失うため、入念な調整が行われた[32]。ステージによっては、つなぎ方を変更したり、BridgeとTailの間に別の音を入れるといった措置が取られることもあった。たとえば、ステージ4のデデデ大王の場合、物語のターニングポイントでさらなる驚きを与える、Tailの音楽をライトモチーフが絡んだものに変更した[32]。 このほかにも鳥のさえずりなどの環境音を用いてメインテーマのモチーフを表現するなどの工夫が施された[32]。 反響エフィリンに対する反響シリーズの過去作品においてマルク(『星のカービィ スーパーデラックス』)や、マホロア(『星のカービィ Wii』)など、相棒役として登場したキャラクターが物語の後半以降で裏切るケースがあり、新作で新しいキャラクターが登場するたびにユーザーから「カービィを裏切るのではないか」と疑われていたが、ID-F86に吸収されて敵(フェクト・エフェリス)となってしまっただけで裏切ってはいない。 ピクシブ・ドワンゴ共催の「ネット流行語100 2022」では、本作のタイトルと共に「エフィリン」のワードもノミネートされた[33][注釈 12]。 評価AUTOMATONのAyuo Kawaseは、本作の完成度の高さを評価しており、開発者が長年3Dアクションを作り慣れたかのようだったと話している[35]。 Kawaseは、ステージやゲームプレイの構成が『スーパーマリオ 3Dワールド』に近いものの、差別化がきちんとできていると述べている[35]。 4Gamer.netの唐傘は、本作のシステムについて「カービィシリーズ初の3D探索アクションである本作は,新しいアクションが増えても,基本操作はシンプルで遊びやすく,絶妙なゲームバランスに仕上がっている。」と評価しており、カービィの体力が多い「はるかぜモード」の導入や、Joy-Conのおすそわけモードを用いた2人プレイなど、アクションが苦手なプレイヤーや子どもでも楽しめる配慮がなされている点についても評価している[8]。総評として「3Dアクションという部分はもちろん,まるでカービィが我々の世界にやってきたかのような不思議な感覚がある世界観も魅力的だ。」と述べている[8]。 GAME Watchの稲元徹也は、本作に対して、全体的に肯定的な評価を出している[9]。 受賞
また、本作のヒットを受けて、2022年12月8日に発表された「Yahoo!きっず」検索ランキング2022では、「画像検索」ランキング部門の「キャラクター」ランキングで「星のカービィ」が1位になっている[45][46]。 脚注注釈
出典
外部リンク
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