『桃太郎電鉄ワールド 〜地球は希望でまわってる!〜 』(ももたろうでんてつわーるど ちきゅうはきぼうでまわってる!)は、ロケットスタジオ が開発し2023年 11月16日 にコナミデジタルエンタテインメント (KDE)より発売されたNintendo Switch 用ゲームソフト [ 4] 。「桃太郎電鉄シリーズ 」の通算24作目となる。
概要
2023年2月9日配信の「Nintendo Direct 2023.2.9」にて発表された[ 4] 。
キャラクターのデザインは『桃太郎電鉄 〜昭和 平成 令和も定番!〜 』のデザインを継承している。
世界(日本国外)を舞台とした家庭用ゲーム機向け作品としてはニンテンドーDS 用ソフトの『桃太郎電鉄WORLD 』以来13年ぶり3作品目[ 注 1] 、据置機向けの世界編作品としてはPlayStation 2 用ソフト『桃太郎電鉄USA 』以来となる。
過去の世界編シリーズ作品ではマップが平面だったのに対し、本作では地球全体を模した球体マップで表現されており、一方通行のルートこそ存在するが上下左右ともにマップ端が存在せず目的地へ反対の方角から回り込むことができる。また、マップが広大になった関係上、空路の活用が重要になったと同時に空路を明確に妨害するカードが登場している。
早期購入特典としてスーパーファミコン版『スーパー桃太郎電鉄II 』がNintendo Switchで遊べるダウンロードコードがプレゼントされる[ 2] 。
ゲームモード
従来のゲームモードに加え、ヒストリーモード が搭載。「いつもの桃鉄」モードの100年内のゲーム中盤に発生する3つの大型イベントのいずれかを短期戦の中で遊ぶことができる。
また、自由にマップや物件を観察したり、他のモードで遭遇したイベントの演出確認、プレイ履歴など、本作でのやり込み実績を兼ねた「マイワールド」が実装されている。
開発
製作総指揮のさくまあきら は元々、日本国外に向けて桃鉄を展開する場合、どうすれば世界中のユーザーに楽しんでもらえるか試行錯誤をしたいと考えていたが、自分では体力的に厳しいと考えていた。
『桃太郎電鉄 〜昭和 平成 令和も定番!〜 』(以下、『令和』)以前から、世界を舞台とした作品を作りたいという話をあったものの、その時は『令和』が50万本以上売れてから、ということで落ち着いた。その後『令和』が50万本どころか100万本を突破したことで、すぐさま本作の開発準備が始まった。
世界全体を舞台とした家庭用ゲーム機向け作品としてはニンテンドーDS 用ソフト『桃太郎電鉄WORLD 』があり、同作品では「桃太郎電鉄」がすごろくであること、すごろくとしての面白さを重視して原則としてマップをループ移動できない仕様(全物件独占でループするルートが解禁される仕様)となっていたが、監督兼ゲームデザイナーの桝田省治 はDS版の仕様について、マップが現実に即していないのは教育によくないと、子供たちへの教育としての影響やKDEが教育版桃鉄をリリースしていることを重要視し、Switch版ではマップをループする仕様にすること、世界を舞台にするならばマップも球状にしてはどうかと提言した。この利点としては、自分の現在地が直感的にわかることと、マップの拡大縮小が容易にできることがあげられるが、いざ導入してみると従来の平面マップの作成手法が通用しなくなったため、さくまの元へ提出するまでに1年近い試行錯誤が繰り返された。桝田らは子どもたちがオリンピック の参加国を見て桃鉄を想起してもらうという目標があり、このような国々と主要国は可能な限りゲーム内にも反映させようとした結果、膨大な情報量になってしまったと雑誌『ファミ通 』とのインタビューの中で振り返っている。現実世界の陸地には山や砂漠が多く、ごく限られた場所に人間が集中して住んでいるため、それをそのまま反映させようとすると物件駅が極端に少なくなってしまうという問題があった。それを解消するため、これらの地域には便利なカードや小さなイベントといったプレイヤーが喜ぶマスを用意しつつも、それぞれのマスの間隔を大きく空けて、一気に移動できるようにした。[ 注 2]
一方、従来作品の物件選定にあたってはさくまが現地を取材してきたが、新型コロナウイルス によってそうもいかなくなってしまった。当初は現地に赴いたことのあるブロガーの記事から取材してきたが、それだけでは正確な情報を集めるのに限界が生じたため、途中から旅行ガイドブック『地球の歩き方 』の監修を受けたことにより、物件の選定がスムーズになった。また、日本国外のデータは5年前の情報が最新データとして扱われていることも多く、その間に状況が変わってしまうこともあるため、そのあたりはさくまらが入念にチェックした。加えて、国境線があいまいな地域も多く、開発スタッフたちではゲームでどこまで反映すべきか判断に困ったため、各分野の専門家や日本旗章学協会の協力も得た。
本作における新たな特徴として、通常のイベントとは異なる、3つの大型イベントの導入があげられ、これらのイベントは「伝染病にうちかて!」「救援物資をとどけろ!」「IT長者をめざせ!」という題名がつけられており、いずれも開発当時の世相を踏まえている。このうち、「伝染病にうちかて!」は、世界規模で流行している伝染病に対抗すべく、世界中の製薬会社を買収してワクチンを作らせ、公的機関に納品するという協力と競争が混在した流れになっており、さくまは従来の桃鉄とは一味違うゲームプレイを楽しめるのではないかとファミ通とのインタビューの中で話している。これらのイベントを導入した理由について桝田はファミ通とのインタビューの中で、世界中を飛び回るイベントになるので真っ先に思いつき、球体マップを有効活用したいという意識もあったと話すと同時に、各地で今現在(インタビュー当時)も起きている問題として地域紛争に触れないといけないと思ったとも語っている。また、「IT長者をめざせ!」については、IT企業が際限なく大きくなり続けていることは世界中で事実として認知されているため、テーマとして取り上げても問題ないだろうと認識から採用したと桝田は話している。
新たに導入した機能のひとつには、現在地から目的地までのルートをライン表示する機能があげられる。桝田によると、知名度の低い駅が目的地として指定された場合は場所を特定するだけでも手間がかかるために提案したものの、1マス移動するたびに新たなルートを計算しなおすという別の手間が発生してしまったという。
評価
売上
2023年12月21日、ダウンロード版を含む累計出荷本数が100万本に達した[ 6] [ 7] [ 8] 。
ボンビー
新登場ボンビー
世界旅行ボンビー
芸姑のような風貌をしていて、語尾に「どすえ〜」をつけて話すのが特徴
ばらまきボンビー
顔の右半分が白で、左半分が黒の天使のような風貌
既存ボンビー
貧乏神
本作においては旅行服のような服装で登場する。
ミニボンビー
進行系カードを拾ってくることがある。
キングボンビー
悪行が追加された。
キングボンビーJr.ポコン
今作では、空路のつながりも無視して近くにいる別の社長も巻き込む。
デストロイ号
本作においては取り憑いたプレイヤーが保有する最高額物件のある都市を目指そうとするほか、特急カードの名を挙げて移動する。また、一回変身してから12年間は変身しないほか、1ゲームで2回までしか出なくなっている。
新楽曲
関口和之
ワールド・ツアー
世俗の欲望 捨てまショウ
世界を変えた偉人たち
定時ニュース
緊急ニュース
ライジング・シティ
前山田健一
80分間世界一周
世界旅行ボンビーどすえ~
お祭り精霊/共通
お祭り精霊/油選
お祭り精霊/不吉な予感
お祭り精霊/祝福
お祭り精霊/災禍(さいか)
お祭り精霊/奇跡
お祭り精霊/魔人
夢の合体
世界の駅からありがとう!
精霊に願いを
樹原孝之介
ピラミッドを駆けあがれ!
パリダカを駆けぬけろ!
最強サッカーチームの激突
アトラスの行進
カジノでがっぽり!
ジャックポット
ラインヒット
大海原をこえた先に
救援物資エクスプレス
キングボンビーはかく語りき
今作でアレンジされた曲
令和も桃鉄! ワールド版
ピーチ・エクスプレス ワールド版
リニアでGO! ワールド版
湯けむりの宿 ワールド版
前作からの変更点
地球全体が舞台となり、マップが球体になった。
『WORLD 』ではプレイ年数が最長で50年までだったが、本作では最長で100年までプレイできるようになった。
目的地到着時、現地語での挨拶音声が流れる。(一部の目的地を除く)この音声は出来るだけ現地のスタジオで現地の人々により録音されたものである[ 11] 。
目的地を決定する際、現在の目的地と次の目的地との位置関係を地球儀上で表すアニメーションが流れる。
移動する際、目的地までの最短経路が線で表示される。
物件を購入する際、物件のジャンルを種類別に示したアイコンが左部に表示され、物件のジャンルが一目でわかるようになった。
『WORLD』では一部が国名表記だったが、今作では全て都市名表記になった。
都市名の看板に国旗が立っており、都市への到着時には国旗が大きく表示される。
カジノ駅が復活し、キャラクタも変更された。
従来の移動系カードは使用回数1回のものと、数回使えて使用回数はランダムだった周遊カードとがあったが、ほとんど全てのカードが使用回数が3回で固定のカードになった。
移動系カードは全て飛行機の名称に変更され(飛行機の上にそれぞれサイコロを振る個数が描かれている)、急行カードは「プロペラカード」、特急カードは「双発プロペラカード」、新幹線カードは「ジェットカード」、のぞみカードは「音速カード」、ロイヤルEXカードは「超音速カード」、リニアカードは「ライトニングカード」になる。これらは☆飛びカードなどの「飛び」系のカードも同様となる。ライトニングカードを除き、3回分の目盛り(タンク)が表示され、これまでの周遊系と異なり残りの利用回数が表示される。残り2回・1回となったカードの使用回数は、給油駅(前作までの周遊駅と同じ位置づけ)や「満タンカード」(前作の「期間延長カード」)で回復することができる[ 注 3] 。
世界が舞台となったことによるカードの名称変更やリニューアルが行われている。(例:「地方へ!カード」「屯田兵カード」「周遊禁止カード」「期間延長カード」)
ダビングカードは通常プレイでも、使用するとターンを消費するようになった[ 注 4] 。
相手の所持金を変動させるような攻撃系カードを使用する場合、指名時に相手の所持金が表示されるようになった。
『WORLD』と違い、航路や空路と陸路を結ぶ中継点である港マスや空港マスが再登場している。
価格が1000億円を超える物件が大幅に増加している。「桃太郎ランド」はウルル 平和公園駅にある資材を全て購入すると完成する。
太平洋 、ロッキー山脈 、ガンジス川 など有名な地形の名前がマップ上に記されるようになった。
青マスに+、赤マスに−、黄マスに◇のように、色マスに模様が施されるようになった。夏に青マス、冬に赤マスに近づくとエフェクトが表示され、プラス額/マイナス額が大きいことが視覚的に分かりやすくなっている。
月初めのカレンダーの部分に、目的地までのマス数や赤マス注意!などのコメントが追加された。
12月~2月に赤マスに停まると、秘書が本当に停まるかどうか確認してくるようになった。
収益率がマイナスの物件を買おうとすると、秘書が本当に買うかどうかを確認してくるようになった。
今作の「スリの銀次」は、珍しい絶滅危惧種 に指定されている生物(例:レッサーパンダ)に変装して登場する。スリをする理由も「寄付をするため」となっている。(ヒストリーモードには登場しない)
速報系の新キャラクターとして「アリス」という女性レポーターが新たに追加された。
名産怪獣がお祭り精霊に変更された。
特別マップが追加。(100年間プレイすると解禁される)
COMの赤鬼が五段として再登場。従来は最弱COMの位置付けだったが、今作はオンライン対戦時の代打として登場し、それなりの強さを持ったCOMとなっている。代わりに餓鬼が削除された。
廃止されたカード:「場所がえカード」「北へ!カード」「君がすべて!カード」「里帰りカード」「スペシャルズカード」「最果てカード」「うんちの壁カード」「乗っ取り放題カード」
貧乏神のクイズなどの一部のイベントでは回答を選択した際に「①(回答)でいいですか?」など回答を確認してくるようになった。
ボンビラス星での列車の移動速度が少し速くなった。
前作では、ボンビラス星からの帰還先は、今作ではアルゼンチン のコルドバ になっている。(コルドバが目的地の場合ロシア のノヴォシビルスク )
ココ島も何年も滞在していると、記念仙人が登場して脱出するかどうか選べる。(「はい」と答えるとサンホセ に飛ばされ、サンホセが目的地だった場合ボゴタ に飛ばされる。)
ヒストリーモードが追加された。
季節による地形の色の変化が無くなった。
総資産レベルが追加された。レベルによって、カード駅などの貰えるカードが変わる他、ボンビラス駅の金額、貧乏神(変身も含む)も総資産レベルによって変わる。(例えば、シルエットクイズの罰金がレベルによって変わる、ばらまきボンビーのばらまく数がレベルによって変わるなど)
漫画
「特別まんが」として[ 13] 『月刊コロコロコミック 』(小学館 )2023年12月号に『桃鉄一家〜世界旅行が6930円!?〜』を掲載。漫画はココナス☆ルンバが担当。家族で対決する内容が描かれている。
脚注
注釈
^ 携帯電話向けの作品を含めると4作目となる。
^ Switch版の監督兼ゲームデザイナーである桝田省治は「DS版『WORLD』を試遊したところ、日本から最も遠い駅がハワイに設定されていたことに気づき、『令和』の教材版である『桃太郎電鉄 教育版 Lite 〜日本っておもしろい!〜』も出しているのにそれではよくないと判断した」とDS版ではループ移動ができないかのようにインタビューで語っているが、正しくはDS版『WORLD』でも、全物件を独占することでご褒美としてアジアとアメリカを結ぶ空路が解禁され、地球全体を左右のみではあるがループ移動できる仕様がとられている。このような仕様となった経緯について記念仙人からプレイヤーへのメッセージとして「『桃太郎電鉄WORLD』はすごろくだからわざと画面固定にしておいたのぢゃ!」とゲーム中に表示される。また、ループ空路解禁後は目的地までの距離の計算も変化し、ハワイにいるときに東京が目的地になっても近いマス数で算出される。
^ 「ガス欠カード」(前作の「周遊禁止カード」)などのようなカードの使用回数を減らすカードも存在する。
^ 前作の通常プレイでは使用でターン終了とならなかったが、10年トライアルや桃鉄GPなどではターン終了となる方式だった。
出典
参考文献
外部リンク
家庭用ゲーム機向けタイトル
携帯アプリ向けタイトル 登場人物 その他 パチンコ ・パチスロ スタッフ
制作 美術
土居孝幸 (オリジナルキャラクターデザイン、全キャラクター:初代〜WORLD、桃太郎・貧乏神のみ:2017)
万乗大智 (2017〜令和)
田森庸介 (2017〜令和)
川島明 (2017〜令和)
竹浪秀行 (令和〜)
音楽 出演
関連項目
カテゴリ
シングル アルバム 参加作品 ゲーム音楽 テレビ番組 関連項目
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