| この記事は 世界的観点から説明されていない可能性があります。 ノートでの議論と記事の加筆への協力をお願いします。 (2023年5月) |
PlayStationのゲームタイトル一覧 (1997年) (プレイステーションのゲームタイトルいちらん)では 1997年にPlayStation対応として発売したゲームソフトを発売順に列記する。全467本。ただし追加要素のないSCEJ廉価版は含まない。
発売ソフトの形態・変遷
この年は、SCE・サードパーティ双方からさまざまなヒット作が生まれた。
1997年1月31日に発売された『I.Q インテリジェントキューブ』は、キャラクターがキューブに押しつぶされないように気を付けながら、なるべく少ない手数でキューブを消すという内容であり、真っ暗な画面に浮かぶ無機質なステージや服部隆之による荘厳なBGMなど、当時のパズルゲームにはない世界観が話題を呼んだ[1]。
1997年7月17日に発売された『みんなのGOLF』は口コミがきっかけでロングセラーとなり、最終的には最終的に200万本以上の売り上げを達成した[2]。当時のゴルフゲームは『遙かなるオーガスタ』などリアル志向が多かったのに対し、『みんなのGOLF』はコミカルでポップなデザインと単純化された操作体系、さらにはゲームテンポの良さが人気を集めたのではないかとみられている[2]。また、同作以降のゴルフゲームは、キャラクター性を活かした3Dゴルフゲームが増えたともいわれている[2]。
一方、1997年12月23日にSCEから発売された『グランツーリスモ』は、3D技術の発展に伴い進化してきたレースゲームの中でも異色とされており、レースゲーム全体がリアル志向になったきっかけだと見る者もいた[3]。同作は美麗なグラフィックに加え、独自開発したゲームエンジンにより現実に近い走り方を実現し、カーマニアの心をつかんだともいわれている[3]。また、架空の車種の収録が多かった当時のレースゲームとしては珍しく、同作は実在車種を多数収録しており、その中には大衆車や往年の名車も含まれていたことから、これもリアリティ演出に一役買ったとみる者もいた[4]。同作はかつてないレースゲームとして評判を呼び、売上1000万本を超える大ヒット作となった[5]。
サードパーティにおいては、1997年1月31日にスクウェア・エニックスから発売された『ファイナルファンタジーVII』(以下:『FF7』)は国内だけでも300万本の売り上げをたたき出した[6]。雑誌「電撃PlayStation」のライターである城イドムは、もともと同社が任天堂ハード向け作品への供給で知られていたことに加え、当時のPlayStation用ソフトにはRPGが少なかったため発売前から盛り上がっていたと振り返っている[7]。同作の影響は日本国外にも及んでおり、PCゲーム『バルダーズ・ゲート』のシナリオライターであるジェイムズ・オーレンは『FF7』のキャラクターの完成度の高さに衝撃を受け、次回作『バルダーズ・ゲート2 シャドウ オブ アムン』においてはキャラクター性やドラマ性を強化する方針をとった[8][9]。この作品以外にも、スクウェアは『タクティクスオウガ』の松野泰己の手によるシミュレーションRPG『ファイナルファンタジータクティクス』(1997年6月20日発売[10])や、部位のダメージによる身体機能低下を取り入れた対戦型格闘ゲーム『ブシドーブレード』(1997年3月14日[11])など、多種多様な作品を世に送り出していった。
『マリーのアトリエ ~ザールブルグの錬金術士~』(1997年5月23日発売)は様々な材料を収集してアイテムを作るシステムが話題を呼び、のちにシリーズ化された[12]。
また、フロム・ソフトウェアの『アーマードコア』は、ヒト型兵器「アーマード・コア」を駆る傭兵レイブンとして成り上がる物語でありながら、断片的な語り口や、自機のカスタマイズ性はその後のシリーズ作品にも受け継がれた[13]。さらに、画面分割や通信ケーブルによる対戦機能も有しており、メーカー主催の大会が開かれたほどだった[13]。
このほかにも、1997年7月24日に発売された『モンスターファーム』は、(当時普及していた)CDを読み込ませてモンスターを誕生させるという手法が注目を集め、のちにテレビアニメ化もされた[14]。また、1997年2月28日にソニー・ミュージックエンタテインメントから発売された 『クーロンズ・ゲート -九龍風水傳-』は、実在の九龍城砦をモチーフにしつつも、ハイテク機器をちりばめた独特の世界観がカルト的な人気を博し[15]、近い時期に発売された『バロック』[注釈 1]と『ガラージュ』とあわせて「三大歪みゲー」と呼ばれるようになった[16][17]。他方、『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』(1997年3月20日)は、悪魔城ドラキュラシリーズとしては異例の探索型のアクションRPGであり、のちにこの作品はメトロイドヴァニアと呼ばれるジャンルの礎の一つとなった[18]。また、従来の悪魔城ドラキュラシリーズでは武器が鞭だけであることから、アクションゲームが苦手な者にとっては遊びにくかったが、同作でRPGのシステムを導入したことにより、キャラクターを成長させたり、武器を変更することができるようになったため高い評価が得られたのではないかと分析する声もある[18]。さらに、1997年10月16日にアスキーから発売された『moon』は、「アンチRPG」をコンセプトにしており、勇者に倒されたモンスターの魂を救ったり、住民との交流を通じて「ラブ」を集める中で主人公の成長を感じられる内容となっており、多くの人々を魅了した[19]。
一方で、過激な表現への対応から、業界団体であるコンピュータエンターテインメント協会(CESA)の倫理委員会が1997年4月に倫理規定を公布・施行したものの、この時は合否判定しかなく[注釈 2]、修正が不十分なまま発売されたり、結論を下した委員会に苦情が寄せられるといったトラブルも相次いでいた[20]。しかも、倫理規定公布から3か月後の1997年7月に起きた神戸連続児童殺傷事件によって、コンピュータゲームにおける暴力表現の規制強化がさらに求められ[20]、時には事件がゲーム内の演出に影響を与えた例もあった[注釈 3]。
凡例
1997年
脚注
注釈
- ^ PlayStation版のタイトルは『バロック 歪んだ妄想』
- ^ 主な不合格の例としては身体の切断表現や大量出血などが挙げられるが、敵がゾンビである場合については意見が分かれた[20]。
- ^ たとえば、『クラッシュ・バンディクー2 コルテックスの逆襲!』の場合、日本向けのローカライズに当たっては被害者の頭部が切断されて靴だけが残されるという殺害方法を連想させることから、主人公・クラッシュが頭と足を見せて圧死する演出が削除された[21]。
出典
- ^ “【PS Classic】目指したのは"根源的なゲームの楽しさ"──『I.Q Intelligent Qube』インタビュー”. PlayStation.Blog 日本語 (2018年11月30日). 2023年12月31日閲覧。
- ^ a b c d “『みんなのGOLF』が発売された日。国民的ゴルフゲームの記念すべき初代作品。手軽で爽快な取っつきやすさが魅力だった【今日は何の日?】”. ファミ通.com (2023年7月17日). 2023年12月31日閲覧。
- ^ a b c “初代『グランツーリスモ』が発売された日。マシンの挙動やボディーの映り込みをリアルに再現。クルマ好きを魅了した究極のドライビングシミュレーター【今日は何の日?】”. ファミ通.com (2023年12月23日). 2023年12月31日閲覧。
- ^ 伊藤誠之介 (2023年12月22日). “【今日は何の日?】『グランツーリスモ』第1作目が発売された日(12月23日)。レースゲームの概念を変えたリアルドライビングシミュレーターがここから誕生。シリーズのプレイヤーから現実世界のプロレーサーも輩出”. 電ファミニコゲーマー – ゲームの面白い記事読んでみない?. 2023年12月31日閲覧。
- ^ “初代『グランツーリスモ』発売から25年。アメリカでは“25年ルール”解禁で当時の日本車がいま、大人気!【今日は何の日?】”. ファミ通.com (2022年12月23日). 2023年12月31日閲覧。
- ^ “【電撃PS 20周年】『DQVII』と『FFVII』が同時に誌面に掲載。スクウェアとエニックス、RPGの両雄がPSで並び立つ【1996年9月~1997年1月】”. 電撃オンライン (2014年8月6日). 2023年2月16日閲覧。
- ^ “【電撃PS 20周年】スクウェアが『FFVII』を引っ提げてPSに参入。業界が騒然となったあの時――【1995年10月~1996年3月】”. 電撃オンライン (2014年6月18日). 2023年2月16日閲覧。
- ^ かたこり (2023年11月17日). “特集第3回:「バルダーズ・ゲート」入門その2、2000年前後に訪れた海外CRPGの復活と“ファイナルファンタジーVII” « doope! 国内外のゲーム情報サイト”. doope!. 2024年7月6日閲覧。
- ^ “If Anthem is the "anti-BioWare game", then James Ohlen is correcting the balance”. Rock, Paper, Shotgun (2023年10月9日). 2024年4月18日閲覧。
- ^ a b “『FFタクティクス』が発売された日。身分の違いや貴族の覇権争いを描く濃厚なストーリーに魅了される【今日は何の日?】”. ファミ通.com (2024年6月20日). 2024年7月29日閲覧。
- ^ a b “一撃必殺で相手を倒せ! 「ブシドーブレード」は本日で発売25周年”. GAME Watch. 株式会社インプレス (2022年3月14日). 2023年7月19日閲覧。
- ^ “【電撃PS 20周年】ユフィやバレットとのデート“ウラワザ”も。総計200ページを超える『FFVII』大攻略【1997年2月~1997年6月】”. 電撃オンライン (2014年9月13日). 2023年2月16日閲覧。
- ^ a b c d 久田晴 (2022年7月9日). “7月10日は初代『アーマード・コア』が発売された日。自分だけの“愛機”をカスタマイズし戦うというロマンあふれるゲーム性、多くを語らぬストーリーの独特な雰囲気でコアなファンを集めた”. 電ファミニコゲーマー – ゲームの面白い記事読んでみない?. 2023年2月27日閲覧。
- ^ “『モンスターファーム』シリーズが発売25周年。CD読み込みからCD名検索、そしてフレンド再生へ。令和に復活した人気育成シミュレーション【今日は何の日?】”. ファミ通.com (2022年7月24日). 2023年2月18日閲覧。
- ^ “【今日は何の日?】『クーロンズ・ゲート -九龍風水傳-』がPSで発売された日。九龍城砦をモチーフにした独特の世界観に惹かれるユーザー続出の伝説のアドベンチャー” (2020年2月28日). 2023年6月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月29日閲覧。
- ^ “GARAGE ガラージュのレビューと序盤攻略”. アプリゲット. 2021年12月26日閲覧。
- ^ 早苗月 ハンバーグ食べ男. “レトロンバーガー Order 86:23年の時を経て「ガラージュ」がSteamでリリースされたから汚水にまみれた日常生活を送る編”. 4Gamer.net. Aetas. 2022年8月13日閲覧。
- ^ a b c sexy隊長 (2022年3月20日). “『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』発売から25年。メトロイドヴァニアの礎を築いた名作を紹介【周年連載】”. 電撃オンライン. 2023年11月14日閲覧。
- ^ “『moon』が発売された日。…それもラブ…これもラブ。勇者に倒されたアニマルの魂を救う“アンチRPG”【今日は何の日?】”. ファミ通.com (2023年10月16日). 2023年12月31日閲覧。
- ^ a b c “『家庭用ゲームソフトのレーティングシステム』の在り方に関する検証レポート”. コンピュータエンターテインメント協会 (2004年6月21日). 2023年2月27日閲覧。
- ^ Andy Gavin (February 6, 2011). “Making Crash Bandicoot - part 5”. All Things Andy Gavin. 2022年12月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。February 7, 2011閲覧。 “Naughty Dog would do a huge amount of work after this on the game for Japan, and even then we would always release a Japanese specific build. Whether it was giving Aku Aku pop up text instructions, or replace a Crash smashing "death" that reminded them of the severed head and shoes left by a serial killer that was loose in Japan during Crash 2's release, we focused on Japan and fought hard for acceptance and success.”
- ^ “「プレイステーション 2」(SCPH-75000シリーズ、SCPH-77000シリーズ、SCPH-79000シリーズおよびSCPH-90000シリーズ)における「プレイステーション」および「プレイステーション 2」規格ソフトウェアの互換性についてのお知らせ”. ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン (2005年10月20日). 2022年4月18日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar as at au 互換に問題があるPS/PS2ソフト一覧(1997年発売) - ウェイバックマシン(2007年9月11日アーカイブ分)
- ^ “これ全部『FF7』! 関連作を一挙振り返ってみた。『FF7 リバース』プレイ前に『FF7』作品の歴史をおさらいしよう【ファイナルファンタジー7】”. ファミ通.com (2024年2月28日). 2024年7月29日閲覧。
- ^ 互換に問題があるPS/PS2ソフト一覧(1998年発売) - ウェイバックマシン(2007年9月15日アーカイブ分)
- ^ “ネオロマンスシリーズ30周年! いつまでも色あせない女性向け恋愛SLGの金字塔「アンジェリーク」の歴史と魅力を振り返る”. 4Gamer.net (2024年9月23日). 2024年10月4日閲覧。
- ^ Misuno, Naohiko (2016年5月25日). “傑作になりえる可能性はあった? 冒険活劇ガンシューティング『ヘンリーエクスプローラーズ』を振り返ってみる”. AUTOMATON. 2024年10月4日閲覧。
- ^ PlayStation®3 ハードにおける動作情報 ファイナルファンタジーIV - ウェイバックマシン(2017年9月22日アーカイブ分)
- ^ LTD, SQUARE ENIX CO. “ファイナルファンタジーIV | SQUARE ENIX”. www.jp.square-enix.com. 2024年7月29日閲覧。
- ^ “スクウェアは競馬予想ソフトを出していた!?キミは『パワーステークス』を知っているか【特集】”. Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト (2021年2月28日). 2024年7月29日閲覧。
- ^ 久田晴 (2023年2月7日). “「格ゲー×ローグライク」という唯一無二のゲーム、『TOBAL2』のクエストモードの面白さを伝えたい。発売から25周年経っても語り継がれる独特な魅力とは”. 電ファミニコゲーマー – ゲームの面白い記事読んでみない?. 2024年7月29日閲覧。
- ^ あすか120%エクセレント - 2023年11月26日閲覧、2003年8月17日時点のオリジナルよりアーカイブ
- ^ LTD, SQUARE ENIX CO. “デジカルリーグ | SQUARE ENIX”. www.jp.square-enix.com. 2024年7月29日閲覧。
- ^ “レトロンバーガー Order 47:メガドラ版「マッドストーカー」が出るし,新世代ゲーム機が発売目前なのにX68000が活気付いてるし編”. 4Gamer.net. Aetas (2020年9月26日). 2023年6月22日閲覧。
- ^ “『サガ フロンティア』25周年。多彩な世界と種族の登場するなんでもありの世界が魅力! 技がつながる“連携”システムも気持ちがいい【今日は何の日?】”. ファミ通.com (2022年7月11日). 2023年6月22日閲覧。
- ^ 初恋ばれんたいん - 2023年11月26日閲覧、2003年8月17日時点のオリジナルよりアーカイブ
- ^ “【今から遊ぶ不朽のストラテジー】『X-COM: UFO Defense』”. Game*Spark (2014年4月10日). 2023年11月26日閲覧。
- ^ PlayStation®3 ハードにおける動作情報 倉庫番 ベーシック - ウェイバックマシン(2017年9月6日アーカイブ分)
- ^ “『風のノータム』ファン待望のオリジナル・サウンドトラックが2023年3月22日に発売決定。97年発売、気球を操作するPS用ソフト”. ファミ通.com (2022年12月16日). 2023年12月31日閲覧。
- ^ “【特集】『初代プレイステーションの“素晴らしい”ホラーゲーム』7選”. Game*Spark (2017年10月15日). 2023年4月29日閲覧。
- ^ “アイディアファクトリー、10周年プロジェクト作品を発表。PS2「スペクトラルフォース クロニクル」”. Game Watch (2005年1月28日). 2023年4月29日閲覧。
- ^ PLAYSTATION3におけるPSおよびPS2ソフトウェア動作ステータス検索 - ウェイバックマシン(2009年10月20日アーカイブ分)
- ^ “『アインハンダー』さまざまな武器を奪って戦うシステムや、ポリゴンを使った演出が光るシューティング【電撃PS×PS Store】”. 電撃オンライン (2014年5月26日). 2024年7月29日閲覧。
- ^ 互換に問題があるPS/PS2ソフト一覧(1999年発売) - ウェイバックマシン(2007年5月4日アーカイブ分)
- ^ “当時は宇宙初のシステム!?『クラッシュ・バンディクー ブッとび3段もり!』のここがスゴい!【特集第1回】”. PlayStation.Blog 日本語 (2017年7月26日). 2023年11月14日閲覧。
- ^ “夢の運転士体験を楽しめる人気シリーズ『電車でGO!』稼働から25年。マスコンや楽曲が話題に【周年連載】”. 電撃オンライン (2022年3月19日). 2023年11月14日閲覧。
- ^ “『チョコボの不思議なダンジョン エブリバディ』発売特集!かわいい「チョコボ」が主役のゲームシリーズを振り返る”. インサイド (2019年3月10日). 2024年7月29日閲覧。
- ^ “『テイルズ オブ デスティニー』が発売された日。主題歌『夢であるように』が流れる美麗なオープニングアニメが忘れられない【今日は何の日?】”. ファミ通.com (2023年12月23日). 2023年12月31日閲覧。
参考文献
雑誌
- 『ゲームラボ 2022春夏』三才ブックス、2022年6月21日。
- スタジオグリーン編集部 編『懐かしのプレイステーション 名作&珍作ミュージアム』スタジオグリーン、2019年11月22日。
- Scullion, Chris (2020-10-30). The SNES Encyclopedia. White Owl. ISBN 978-1-52673-7830