上海 (ゲーム)
『上海』(シャンハイ)は、1986年7月にアメリカ合衆国のアクティビジョンから発売されたMacintosh用パズルゲーム。 積み上げられた麻雀牌の山から、ある一定のルールに従って牌を取り除いていく、「Mahjong solitaire」とも呼ばれるソリティアの一種である。パッケージに「the ancient Chinese game of Mah-jongg」と表記され、あたかも中国に古くからあるゲームであるかのように装っていた[1]。 開発はアクティビジョンが行い、ゲーム・デザインおよびプログラムはブロディー・ロッカードが担当している。ロッカードは後にパソコン用ソフト『石道』(1990年)の開発にも携わっている。 同年にAmiga、Atari ST、Atari 8ビット・コンピュータ、コモドール64、PC/AT互換機、Apple IIなどのパソコン各機種に移植され、翌1987年にPC-9801などの国産パソコンやファミリーコンピュータ、PCエンジンなどの家庭用ゲーム機でも発売され、日本国内でも広く知られるようになった。2001年よりサン電子が総代理店に指定され、2005年のニンテンドーDS移植版以降、家庭用(コンシューマー)および業務用(アーケード)ゲーム版の新規開発・リリースはサクセスが行っている。 ゲーム内容最初は、季節牌4枚(春、夏、秋、冬)、花牌4枚(梅、蘭、菊、竹)を含む合計144枚の麻雀牌が積み上げられた状態が表示される。 その牌の山の中から、同じ牌を2枚選ぶと、その牌を取り除くことができる(季節牌と花牌は、季節牌同士、花牌同士であれば良い)。ただし、左右両方に隣接する牌がある場合や、上に牌が乗っている場合はその牌を選ぶことはできない。 144枚全てを取り除くことができればゲームクリア、牌が残っているにもかかわらず、取り除くことのできる牌がなくなったら手詰まりでゲームオーバーとなる。 牌の配列によって難易度が異なり、様々な配列が考案されている。最も代表的な「DRAGON(龍配列)」の他、TIGER(虎配列)、MONKEY(猿配列)、SNAKE(蛇配列)などが知られ、また名称不明な配列も数多くある。中には144枚より少ない牌で構成された配列もあり、それらの難易度はより低くなっている。 作品によっては、時間制限があるモードや時間制限なしでゆったり攻略できるもの、通常より牌の数が少ないがどちらが早く取り除けるかを競う対戦プレイモードが用意してある。また、プレイヤーの手助けとしての回数制限ありのヒントといった初心者に配慮した機能を多くの作品で採用されている。ただし、ヒント機能はその時点で取れる牌の組み合わせを教えるだけであり、必ずしもそれを利用したところでクリアできるとは限らない。 他機種版タイトルが『上海』とされているもののみを列挙する。
類例この形のゲームはコンピュータゲームの一つの定番として、様々な機種やOSに移植され、いわゆるクローンゲームやフリーソフトも多数存在する。また少しずつ異なるルールによる、やはり麻雀牌の山から2つずつ次いで消してゆくゲームも色々作られた。それらの多くは中国の地名(四川省、香港など)をその名に持っていた。パソコン用ソフトでは『青海』(ちんはい)が有名であった。このソフトでは、画面上の牌をすべて消したとき、中央に「竜の画像予定地」と書かれた画面が出てきて、オリジナルの『上海』でクリアした際に龍の画像が表示されるのに対するパロディであることを意思表示していた。 Microsoft Windows Vista・7(一部の下位エディションを除く)には同様のゲーム「Mahjong Titans」が標準で含まれていたほか、2018年現在はMicrosoft Casual Gamesの一つとして「Microsoft Mahjong」がMicrosoftストアで配信されている。 開発オリジナルであるPLATO版の作者はハワイ在住のゲームデザイナー、ブロディー・ロッカード(Brodie Lockard)[18]。 スタンフォード大学在学中、体操の選手だったが、トランポリンの練習中に首の骨を折り、首から下に麻痺が残ってしまった。このため『上海』のプログラミングも、全て口を使って行われたと、元アクティビジョンのプロデューサー、ブラッド・フレガーは証言している。[19] 彼はのちに、アコレイドから『石道』も発表している。 スタッフ
評価
ゲーム誌『ファミコン通信』の「クロスレビュー」において、ファミリーコンピュータ版は合計28点(満40点)[23]で高得点となったが、ゲームボーイ版は合計23点(満40点)[24]と標準的な評価となった。 徳間書店のゲーム誌における読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は、PCエンジン版は『PC Engine FAN』において右記の通り19.13点(満30点)[2]で標準的な評価となり、ファミリーコンピュータ版は『ファミリーコンピュータMagazine』において右記の通り17.83点(満30点)[3]で低評価、ゲームボーイ版は『ファミリーコンピュータMagazine』において右記の通り19.59点(満30点)[4]と標準的な評価となった。PCエンジン版はPCエンジン全ソフトの中で総合388位(485本中、1993年時点)[2]の結果となった他、ファミリーコンピュータ版は同誌1991年5月10日号特別付録の「ファミコンロムカセット オールカタログ」において、他機種と比較して高さの違いを色で表現している点に関して「画面が見にくい」と否定的に評価され[3]、ゲームボーイ版は同誌1991年5月10日号特別付録の「ファミコンディスクカード ゲームボーイ スーパーファミコン オールカタログ」において、液晶画面のために牌の高さが理解しにくいと否定的に評価された[4]。 アーケード版はゲーム誌『ゲーメスト』の企画「第2回ゲーメスト大賞」(1988年度)において、年間ヒットゲームで17位を獲得[29]、ゲーメストムック『ザ・ベストゲーム2』(1998年)では『名作・秀作・天才的タイトル』と認定された「ザ・ベストゲーム」に選定され、ライターのずるずるはいかに早く同じ絵柄の牌を揃えて消去するという点と、麻雀牌が4つ1組であることから組み合わせが必ず2つ存在し、牌が3つ見えている状態の組み合わせ方などを考慮しないと手詰まりとなる点が本作の面白さであると指摘した[30]。一方で、配置によっては完全に手詰まりとなり強制的にゲームオーバーとなる点について苦言を呈した他、非常にシビアなゲームであり、華やかな演出もないことを指摘した[30]。その他、稼働当時は昼間にサラリーマンが時間潰しにプレイしていることが多く、どこのゲームセンターにおいても必ずプレイ中であり、1人のプレイヤーが何度もコンティニューするためにプレイするチャンスが無かったと述懐した[30]。また、ゲーム本『甦る 20世紀アーケードゲーム大全 Vol.2 アクションゲーム・シューティングゲーム熟成期編』では、オリジナル版と比較して牌が立体的になっており見やすくなっている点や、操作性が優れていたとして肯定的に評価した[28]。また、アーケード版は牌の並べ方が1通りしかないにも拘わらず人気が高かったと総括した[28]。 関連作品続編
派生作品
派生ルールカッコ内は初登場した作品。
脚注
参考文献
外部リンク |
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