電機メーカー電機メーカー(でんきメーカー)は、家電と呼ばれる軽電製品(テレビ、洗濯機、電気調理器具、空調機器、照明、デジタルカメラなど)や重電製品(発電機、変圧器、電池などの電力設備)、コンピュータ製品・オフィス機器(スマートフォン、パーソナルコンピュータ、サーバ、プリンター、コピー機)、医療機器(MRIやCTなど)、電子部品(LSIなどの半導体、モーターなど)、産業用電気製品(産業用電動機、産業用ロボットなど)、電動輸送機器(電車、昇降機など)、自動車や船舶用の電子機器、航空宇宙機(民間用航空機、人工衛星、宇宙探査機、ロケットなど)用の電子機器、兵器(軍用機、ミサイルなど)用の電子機器等、これらの電気製品をどれか一つでも手掛けている製造業(メーカー)である。電機とは電気機械の略である。 概説電機メーカーの製品は、最終製品か部品(中間財)か、個人消費者向けか企業や社会インフラ向けか、などの分類ができる。また、その製造形態においては、垂直統合と水平分業といった区別ができる。製造業は第三次産業と違い、製品が「見える」ことから、家電製品や自動車など消費者がよく目にする製品のメーカーは一般における認知度が高い。しかし産業用設備や電子部品の製造業者になると、たとえ世界市場におけるシェアがトップクラスであっても一般の認知度が低い。上述の製品のうち多くの分野を手掛けているものは、総合電機メーカーといい、主に家電製品を手掛けているメーカーは家電メーカーと呼ばれる。さらに、電力機器メーカー(重電メーカー)や電子部品メーカー、その他の電機製品を手掛けるメーカーなどが存在する。 電力産業は、電球の発明によりガス灯を置き換えるべく、19世紀に始まった。これ以降、様々な電機製品が発明されていくことになった。 蓄音機はその初期の発明であり、続いて電話やラジオ、テレビの送受信機が開発された。また20世紀に入ると、様々な家電製品が発明された。最初のデジタル・コンピュータは1940年代に開発され、1990年代にはパソコンが一般に広く普及するようになった。21世紀に入って、電機製品の多くは電子機器によってデジタル制御されている。2010年代には、インターネットにつながるIoT、またOSやAIを搭載したスマート◯◯がバズワードとなっている(機械化→電化→デジタル化→ネットワーク化・スマート化の流れ)。このため、近年では、家電やコンピュータ製品だけでなく、自動車や重工業も電化、プログラム化されてきているため、電機メーカーやソフトウェアメーカーの範囲が拡大してきている(多くの製造業が電機・ソフトウェアを扱っていると言える)。 大学や企業研究所の基礎研究の成果を製品化につなげるには様々なノウハウの蓄積が求められる。要素技術を地道に積み上げ、生産ラインを改善し、不良品率を減らし、安定した品質・性能の製品を量産し、企業の収益につなげるには、基礎研究とは違った難しさがある(死の谷も参照)。 電機業界と自動車業界幅広い製品の製造や研究開発などの視点から多額の資金および多数の従業員が必要なため、自動車メーカーと並び一般に非常に大規模な企業が多い。日本企業(全業種)の連結従業員数で上位企業の多くを自動車メーカーと電機メーカーが占める[1]。こういった点からも日本の基幹産業であるという事実がうかがえる。ここで従業員とは、正社員だけでなく、契約社員・嘱託社員・派遣社員・パートタイマー・アルバイトなどの非正社員も含んだ企業の全被雇用者を言う[2]。 日本において理工系の花形であった両業界だったが、日本の電機業界は失われた10年ののち著しく衰退している。日本企業は元来、自動車のように各部品間や各組織・工程間で密接に連携・協業しながらトータルな競争力を発揮する製品造りが得意であるが、逆に製品の設計思想がオープンでモジュール化したモノは不得意、などといわれる[3]。 歴史電気産業の歴史は、150年ほど昔に遡ることができる。19世紀後半にトーマス・エジソンが電球や発電所・電線などの送電システムを発明し、電気産業が誕生した。日本では、明治維新により欧米の制度や技術導入を国策(脱亜入欧)とした明治時代、1882年に東京で初めての電灯が灯された。東芝などこの頃に創業された企業も存在する。 戦前には電話やラジオなどの送受信機も作られ、1925年にはシャープが日本で初めてのラジオを発売した。戦後、日本の電機メーカーは白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫といった「三種の神器」や、「3C」と称された自動車・クーラー・カラーテレビなどを生産し、人々の生活と高度経済成長を支えてきた。1970年代以降も、日本の電機メーカーは欧米と比べ安い為替や長い労働時間を背景にした高い品質保証力・技術開発力を活かし、テレビ、ビデオデッキ、半導体など、様々な分野で世界トップの売上高を誇っていた[4]。 しかし1990年代頃より日本の電機メーカーは急激に衰退し、米国と東アジアの企業にシェアを奪われていき、各社は事業譲渡に迫られることとなった。 日本の電機メーカー事業領域によって便宜上以下に分類する。そのため、事業分野を直接明示していない企業も含まれることに注意されたい。 事業領域が以下の分類において複数にまたがっているものについては、収益の高い分野に分類する。併記の売上高は、特筆がない限り2024年3月期決算(連結)。 電気機器の製造を中心事業とする売り上げ上 位10社は、日立製作所、ソニーグループ、パナソニックホールディングス、三菱電機、キヤノン、富士通、日本電気(NEC)、東芝、 シャープ、東京エレクトロンの順である[5]。 総合電機メーカー家電などの家庭向け製品に加え、電力機器や輸送機器、産業機器などの社会インフラ系の電機製品、重工業を手がけることが特徴である。ただし海外企業との競争激化により家電部門を海外企業に売却するなど事業再編の動きも見られる。
家電メーカー中韓企業との競争が激しい分野であり、競合相手として韓国企業のサムスン電子、LGエレクトロニクス、中国企業のハイアール、美的集団などが挙げられる。シャープは台湾フォックスコン・テクノロジー・グループのホンハイ傘下である。
かつて存在した家電メーカー
情報・通信機器メーカー
音響・映像機器メーカーパイオニアおよびディーアンドエムホールディングスは海外資本傘下となっている
かつて存在した音響機器メーカー
光学機器・精密機器メーカー
重電メーカー・電力機器メーカー
照明器具メーカー空調機器メーカー
かつて存在した空調機器メーカー ゲーム機器メーカー
重工系メーカー
自動車メーカーメカトロニクス系メーカー電子部品メーカー
ほか 信号機及び道路・鉄道交通関連機器メーカー日本以外の電機メーカー製品の設計のみを自社で行い、製造は外部に委託するファブレス企業も含む。 アメリカ
ドイツ
フランスオランダ
フィンランドスウェーデンスイス
イギリストルコ
韓国中国台湾関連する団体
出典参考文献
関連項目外部リンク |