野中 厚(のなか あつし、1976年11月17日 - )は、日本の政治家。自由民主党所属の衆議院議員(5期)。文部科学副大臣。
衆議院農林水産委員長、農林水産副大臣、農林水産大臣政務官、埼玉県議会議員(2期)を歴任した。
祖父は国土庁長官を務めた元衆議院議員の野中英二[2]。
来歴
埼玉県加須市生まれ。久喜市立本町小学校、慶應義塾中等部、慶應義塾高等学校を経て[3]、2004年に慶應義塾大学商学部卒業[1]。2005年6月、親族が代表取締役を務めるサイレキ建設工業に入社[1][4][5]。
県議時代
2007年4月、埼玉県議会議員選挙に無所属で立候補し、初当選[6]。当選後、自民党の追加公認を受け、同党会派に所属。2011年4月、埼玉県議会議員選挙に自民党公認で立候補し、無投票で再選[7]。
衆議院議員
2012年、第46回衆議院議員総選挙に自民党公認で埼玉12区から出馬。民主党で現職の経済産業大臣政務官の本多平直や無所属の森田俊和らを破り当選した[8]。
2014年の第47回衆議院議員総選挙では埼玉12区から自民党公認で出馬。次世代の党から立候補した森田俊和は、陣営の最高顧問に自民党の元衆議院議員を就け、保守層の支持拡大を図り、本多平直は前回同様民主党から出馬したが[9]、野中が次点の森田に約1万5千票の差をつけ、再選[10]。
2017年、第3次安倍第3次改造内閣で農林水産大臣政務官に任命された[11][12]。同年の第48回衆議院議員総選挙では、埼玉12区から自民党公認で出馬し、希望の党から立候補した森田俊和に492票差まで詰め寄られたが、埼玉12区で3選(森田は比例復活により当選)[13][14]。選挙後に発足した第4次安倍内閣で農林水産大臣政務官に再任[15]。
2021年の第49回衆議院議員総選挙では石破茂、小渕優子、茂木敏充など閣僚経験者の党ベテラン議員が応援に駆けつけたものの[16]、前回接戦で勝利した森田に敗れて落選。重複していた比例北関東ブロックで比例復活し、4選[注 1][17]。
2022年8月、第2次岸田第1次改造内閣において、農林水産副大臣に就任した。
2023年10月、衆議院農林水産委員長に就任[18]。
2024年3月、自民党環境と調和した持続可能な農業推進委員会(みどり委員会)委員長に就任[19]。
同年第50回衆議院議員総選挙では引き続き森田に敗れて落選。重複していた比例北関東ブロックで比例復活し5選[20]。
同年11月13日、第2次石破内閣で文部科学副大臣(科学技術・学術、文化担当)に就任[21][22]。
政策・主張
発言等
農林水産大臣政務官時代
- 2018年1月、「森林減少ゼロに貢献するグローバル・サプライチェーンの推進に関する国際シンポジウム」で開会の挨拶を行い、「世界の森林減少をどのように食い止めるかが主要なテーマ」と指摘した上で、「SDGsの達成に向けては、民間セクターを含む多様な主体との連携強化を図ることが不可欠です。」と語った[40]。
- 2018年9月、CLT建築や地域興しの現場視察のため、高知市と三好市の視察を行った。高知市ではCLT建築である高知県自治会館を視察し、三好市では、シラクチカズラの資源管理(安定的な供給)に取り組んでいる現場を訪問した[41]。
農林水産副大臣時代
- 初となる農泊ガイドブックの販売を記念したトークイベントに農水副大臣として出席し、観光需要が回復し、海外からの来訪が増えてきていることを指摘した上で「農泊地域を推し、農村、山村、漁村のさらなる活性化を図っていく」[42]「農村の所得向上や雇用創出をサポートしたい」と語った[43]。
- 諫早湾干拓事業をめぐり、開門を求める漁業者と農林水産省で面会し、開門実施を求められ、「有明海再生に向け、ともに歩んでいきたい」と応じた[44]。
- 全国認定農業協議会の会長をはじめ、役員3人が農林水産省を訪れ、食を守るための緊急要請を行った際、一生産者が将来に希望を持てるよう支援することが重要であるとし、「食料・農業・農村基本法の見直しも踏まえ方向性を示していきたい」と応じた[45]。
- 「豊かなおおいた 森林を育み 木 と暮らし」をテーマに第45回全国育樹祭が開催され、全国緑の少年団表彰の受賞団への「緑の贈呈」を行った[46]。
- 2023年4月、G7農相会合に関連し開催された自国の取り組みをついて議論するパネルディスカッションに参加した。パネルディスカッションでは、「みどりの食料システム戦略に関する取り組みと気候スマートな農林水産業」と題して日本の農林水産・食料分野の対策を紹介した。また日本の取り組みは他国でも応用しやすい政策であるとし、「日本は世界の食料システムの構築に貢献する」と語った[47]。
- 2022年10月、東日本大震災の被災地を訪問し、福島県双葉町では町長、議長と会談を行い、町側から双葉町の農業の復興等に向けた重点要望として、財政支援、人的支援、水路等農業用施設の早期復旧、帰還困難区域の除染・伐木除草等について要望書を受け取った[48]。
- 2022年11月、香川県で発生した鳥インフルエンザへの対応をめぐって、県が発表した当日に香川県知事とオンライン会談を実施した[49]。
- 2022年11月、農林水産省が進める和食文化を普及し次世代に継承する取り組みの一環として行われている日本の伝統的な食文化である和食を学ぶ特別授業を視察し、「洋食を好きな人も多いかもしれないが、昔からある日本食を大切にして」と呼びかけた[50]。
- 2023年5月、衆議院農林水産委員会において、水産業を成長産業にしていくためには、「水産資源の適切な管理だけじゃなくて、やはり人材、そして特に若年層の確保というのは大切だ」と語っている[51]。
- 2023年6月、大雨で農業への大きな被害を受けた東三河地方の首長らから総合的な支援を求める要望書を受け取った。会談では「まだまだ被害は増えてくると思う。省全体で共有し、何ができるかを各課でしっかり考えさせたい」と語っている[52]。
- 2023年5月、「海業の振興においては、代表的な海業である遊漁船業はどのような位置づけとなっているのか」という農林水産委員会での質問に対して、「遊漁船業者が、今回の法改正による新しい基準に対応した業務規程に沿って適切な業務運営を行えるよう、遊漁船業者の指導監督を行う都道府県に対して、国としても、必要な助言等を行ってまいります。」「本法案に盛り込んだ遊漁船業に関する協議会制度を通じ、業務規程の運用に当たっての地域的な連携の促進等も図ってまいりたいと考えております。」と答えている[53]。
- 2023年8月、台風7号による大雨被害を受けた鳥取県の知事らが農林水産省等を訪問し、迅速な災害復旧に向けて財政支援を要望した。要望を受け、「できるだけ早く対応が取れるようにしたい」と応えた[54]。
- 鳥インフルエンザの発生時の対応を鶏舎単位に限定できるようにする「分割管理」の要点をまとめたことに関連し、家畜疾病の予防には「飼養衛星管理の徹底が必要だ」と改めて呼びかけた[55]。
- JA全中の会長らから、食料・農業・農村基本法の見直しについて要請された。その際、政府が政策の展開方向をまとめる6月に向け、「提言を踏まえ、準備していきたい」と応じた[56]。
- JA全中とJA新聞連が主催する「2022年度全国豆類経営改善共励会」の表彰式が農林水産省で行われ、大臣賞受賞者に賞状を手渡し、「皆さんの素晴らしい取り組みが広く普及し、国産豆類の振興がさらに拡大することを期待する」と語った[57]。
- 農林水産省とぐるなびが企画した「米・米粉消費拡大推進プロジェクト」のキックオフイベントに参加し、「米粉を家庭でも取り入れてもらえるように発信を強めたい」と語った[58]。
- 深谷市と市内3つのJAから「持続可能な農業経営に対する支援」の要望が行われ、「適正な価格形成は、生産者や消費者などの立場によって考え方が違う」と指摘した上で、「議論が必要になると思う。県や市とも連携して慎重に進めていきたい」と語った[59]。
- 食料・農業・農村基本法を20年ぶりに改正する背景として、「20年前と環境、情勢が変化したということで、それに伴い、持続可能で強固な食料供給基盤の確立を図る必要がある」と語っている[60]。
- 人口減少、そして農業従事者が減少していく中、生産を確保するためには、「例えば園芸や畜産ではブランド化や優良品種等への転換による付加価値向上、そして土地利用型農業では生産コストの低減など、地域の地理的条件や生産品目の特性などに応じた取組を通じて、農業で生計を立てられ、産地としても生産が維持されるような姿にしていく必要がある」とし、「地域の実情に応じてこのような農業の姿を実現していくことで、持続可能で強固な食料供給基盤を確立し、食料安全保障の強化を図ってまいりたい」と語っている[61]。
- 学校給食で有機農産物を使うことについて、「子供たちへの食育にもつながりますし、また、結果、地域に有機農産物の理解を深めていただくという、非常によい取組み」としている[62]。
その他
- 党総合農林政策調査会のもとに「環境と調和した持続可能な農業推進委員会」(通称みどり委員会)が新設され、委員長に就き、「化学肥料、農薬に頼らない有機農業を広めるためには、生産現場だけではなく、消費者の理解醸成も重要」と指摘し、持続可能な農業が消費者にも受け入れられるよう議論を進めていく姿勢を示した[63]。また「自発的に参加してもらえる環境の醸成を図っていきたい」とも語った[64]。2024年5月には委員会として、学校給食に有機農産物を供給しているJA常陸などからの意見聴取を実施し、有機農産物の普及に関し、「JAの協力が非常に大きな役割を果たす」と指摘している[65]。
- 2024年4月、衆議院農林水産委員会の委員長として宮城県・福島県の両県を訪問し、食料・農業・農村基本法改正案めぐり生産現場の意見を聴取した。視察を終えた後、記者団に対して、「両県が抱える課題を再認識した。現場の生の声を聞くことができて良かった」と語った[66]。
人物
旧統一教会との関係
ジャーナリストの鈴木エイトが作成した「旧統一教会関連団体と関係があった現職国会議員168人」によれば、旧統一教会関連団体との関係について、かつて教団関連会合に出席していたとされる[67]。
- ケアラー議員連盟 事務局長
- 熱中症対策推進議員連盟 事務局次長
- 治水議員連盟 事務局次長
- 指定自動車教習所を応援する議員連盟 事務局次長
- 医療と地域の明日を考える会 幹事
- フラワー産業議員連盟 幹事
- 街の酒屋さんを守る国会議員の会 幹事
- 地域包括ケアシステム・介護推進議連
- 国民の医療を守る会
- 自動車整備議員連盟
- トラック輸送振興議員連盟
- 建設技能者を支援する議員連盟
- 情報産業議員連盟
- 郵便局の新たな利活用を推進する議連
選挙歴
脚注
注釈
- ^ 2021年の衆院選埼玉12区における自治体ごとの得票数は以下のとおり。
|
森田俊和 |
野中厚
|
熊谷市 |
56,480 |
31,283
|
行田市 |
17,401 |
19,339
|
加須市 |
17,293 |
32,036
|
羽生市 |
9,989 |
13,823
|
鴻巣市 |
1,464 |
2,012
|
計 |
102,627 |
98,493
|
出典
外部リンク
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