太陽が赤色巨星になり、地球が炭化した時の想像図
遠い未来のタイムライン (とおいみらいのタイムライン)では、現在から遠く離れた未来の出来事を時系列順に列挙する。
遠い未来に起こることを完全に予想することは出来ないが[ 1] 、様々な分野において、現在の知識に基づいて、大まかながら予測することは可能である。分野としては、惑星 や星の形成 ・死を明らかにする天文学 、最小スケールでの物質の挙動を記述する素粒子物理学 、生命の進化を予想する進化生物学 、数千年単位での大陸 の動きを予想するプレートテクトニクス が挙げられる。
地球の将来 、太陽系の将来 、宇宙の将来 は熱力学第二法則 によって説明される。熱力学第二法則によれば、時間とともにエントロピー は増大し、仕事に変換可能である自由エネルギー は喪失していく[ 2] 。また、恒星 は最終的には燃料である水素 を使い果たしてしまい、天体間が接近すれば、そこで働く重力により惑星がその恒星系 からはじき出されたり、恒星系が銀河 からはじき出されたりといったことが起きる[ 3] 。
最終的に物質は放射性崩壊 による影響を受け、最も安定した物質でさえ、亜原子粒子 に分解されてしまう[ 4] 。現在のデータが示唆するところによれば、宇宙の形 は平坦であり(もしくは非常に平坦に近く)、そのため有限の時間でビッグクランチ が発生することはなく[ 5] 、無限の時間の中でボルツマン脳 の形成のような到底起こり得ない事象が起きる可能性がある[ 6] 。
以下の年表では、11千年紀以降(西暦10001年以降)から、予測できる限りの未来までに生じる出来事について述べる。人類が絶滅するかどうか、陽子 の崩壊が起きるかどうか、太陽 が赤色巨星 になった時の地球の運命などの未解決問題 があるため、年表に挙げられた事象の中には互いに相反するものもある。
出来事の記号
地球、太陽系、宇宙の将来
現在からの年数
出来事
10,000
南極 のウィルクス氷河盆地の氷塊が数百年かけて脱落し、東南極氷床 が危険に晒される。この氷塊が完全に溶けるまでは長い時間がかり、これによって海水面 が3mから4m上昇する[ 7] 。(その他の原因として地球温暖化 による影響が挙げられる。これは西南極氷床 による短期的な海水面上昇とは別である)
10,000[ 注釈 1]
赤色超巨星 のアンタレス が超新星爆発 を起こす。この爆発は日中でも容易に観測できると推測されている[ 8] 。
25,000
近点移動 によるミランコビッチ・サイクル のため、火星 の北半球で50,000年間の温暖化 のピークを迎え、北極 の極冠 が減退する[ 9] [ 10] 。
36,000
赤色矮星 のロス248 が地球から3.024光年まで接近し、太陽から最も近い恒星 となる[ 11] 。その後8,000年の間にロス248は離れて、再びケンタウルス座α星 が太陽から最も近い恒星となり、その後はグリーゼ445 が太陽から最も近い恒星となる[ 11] 。(近い恒星の一覧 )
50,000
現在の間氷期 が終わり[ 12] 、温暖化にもかかわらず地球 には氷河期 の中の氷期 が訪れる。
ナイアガラの滝 がエリー湖 の方に32km侵食 されて消失する[ 13] 。
カナダ楯状地 の多くの氷河湖 は、氷河期の後の海面低下と侵食により消失する[ 14] 。
50,000
潮汐加速 により、ユリウス暦 の1日が国際単位系 での86,401秒になる。この頃に現代の計時システムを用いるには、毎日うるう秒 を追加するか、現在の1秒を引き伸ばす必要がある[ 15] 。
100,000
天球 上の星の固有運動 は銀河系 内での星の動きの結果生じるが、この頃には固有運動によって多くの星座 が原型を留めなくなる[ 16] 。
100,000[ 注釈 1]
極超巨星 のおおいぬ座VY星 が極超新星 爆発を起こす[ 17] 。
100,000[ 注釈 1]
10万年以内に地球で400 km3 ほどのマグマ を噴出する大噴火が発生しうる。なおマグマの量の比較として、エリー湖 は484 km3 である[ 18] 。
100,000
最終氷期 に北緯38°までを覆っていたローレンタイド氷床 (英語版 ) が後退したあと、北アメリカ 原産のミミズ (たとえばフトミミズ科 (英語版 ) のもの)がアメリカ中西部を通り抜けカナダ=アメリカ合衆国国境 まで自然に生息地を広げるのにかかる時間(移動速度を年間10mと仮定)[ 19] 。(しかし外来種のミミズが既に人の手で広まってしまっており、地域の生態系 に影響を及ぼしている)
100,000以上
地球温暖化 の影響の一つである二酸化炭素 が、安定して大気の10%を占めるようになる[ 20] 。
250,000
ハワイ-天皇海山列 のなかで一番新しくできた火山 であるロイヒ が海面を超えて、新たな火山島 が形成される[ 21] 。
300,000までに[ 注釈 1]
次の数十万年のどこかで、ウォルフ・ライエ星 であるWR 104 が超新星爆発 を起こすと予想されている。この超新星爆発はガンマ線バースト を生み出し、この星の極が地球に対して12°以内に傾いているなら、地球の生命に脅威を与える可能性があると示唆されている。この星の自転軸はまだはっきりとわかっていない[ 22] 。
500,000[ 注釈 1]
地球に直径1kmほどの小惑星 が衝突する可能性があり、小惑星の軌道を逸らす事は出来ないと推測されている[ 23] 。
500,000
サウスダコタ州 のバッドランズ国立公園 の険しい地形は完全に侵食されてしまう[ 24] 。
950,000
バリンジャー・クレーター は最も新しいクレーター の一つであるが、このころには侵食されてしまう[ 25] 。
100万[ 注釈 1]
地球は3,200 km3 のマグマを噴出する大噴火を経験すると考えられている。これは75,000年前のトバ事変 に匹敵する[ 18] 。
100万[ 注釈 1]
赤色超巨星 のベテルギウス は最長でもこの時までに超新星爆発 を起こす。この爆発は日中でも容易に観測する事ができる[ 26] [ 27] 。
100万[ 注釈 1]
天王星 の衛星であるデズデモーナ とクレシダ は衝突すると考えられている[ 28] 。
140万
グリーゼ710 が太陽から0.2光年まで接近する。これにより太陽系を球状に取り巻いているオールトの雲 が摂動 による重力の影響を受け、その後太陽系内で彗星の衝突が増加する可能性がある[ 29] 。
200万
人間の活動による海洋酸性化 からサンゴ礁 の生態系が回復するためには200万年ほどを要する[ 30] 。
200万以上
グランド・キャニオン がさらに侵食され、深くなるが、コロラド川 周辺の谷は更に広くなる[ 31] 。
270万
平均的なケンタウロス族 の軌道の半分が外太陽系の重力的な影響により不安定になる[ 32] 。
1000万
大地溝帯 が紅海 により浸水し、新たな海が生じてアフリカ大陸 が分断される[ 33] 。アフリカプレート は分かれてソマリアプレート とヌビアプレートを形成する。
1000万
過去5回のような規模の大量絶滅 が起こった場合、その後生物多様性 が完全に回復するためには1000万年を要する[ 34] 。もしこのような大量絶滅が無かったとしても通常の絶滅率により現在の大半の種は絶滅し、多くの系統群 が新たな種に進化する[ 35] 。
1000万 - 10億[ 注釈 1]
天王星 の衛星 であるキューピッド とベリンダ が衝突すると考えられている[ 28] 。
5000万
フォボス が火星 に衝突するまでにかかると推測される時間の上限[ 36] 。
5000万
サンアンドレアス断層 が北に動く事でカリフォルニアの海岸がアリューシャン海溝 に沈み始める [ 37] 。アフリカ大陸がヨーロッパ大陸に衝突し、地中海盆地 がなくなり、ヒマラヤ山脈 と同じくらいの山脈が形成される[ 38] 。
アパラチア山脈 は100万年に5.7mのペースで侵食され[ 39] 、その倍のペースでこの地域に谷が形成される[ 40] 。
5000万 - 6000万
10万年で6mのペースでカナディアン・ロッキー が侵食されて平野になる[ 41] 。アメリカの南ロッキー山脈 はこれより遅いペースで侵食される[ 42] 。
5000万 - 4億
地球上の化石燃料 が自然によって補充されるのに必要な時間[ 43] 。
8000万
ハワイ島 が現在のハワイ諸島 の唯一の島になり、現在のハワイ諸島の他の島は水没してしまう。しかしこの場所に新たな島が形成され、新たなハワイ諸島になる[ 44] 。
1億[ 注釈 1]
6600万年前の恐竜絶滅 時に飛来した小惑星と同程度の小惑星が地球に衝突すると考えられている[ 45] 。
1億
現在の土星の環 の状態を維持できる上限[ 46] 。
1億8000万
徐々に地球の自転が遅くなり、地球の1日が今日よりも1時間遅くなる[ 47] 。
2億3000万
リアプノフ時間 の限界により、これ以降の惑星の軌道の予測は不可能になる[ 48] 。
2億4000万
現在から1銀河年 経過し、太陽系は現在の位置から天の川銀河 を一周する[ 49] 。
2億5000万
地球の全ての大陸が融合して超大陸 になる。この大陸の名前は配置によってパンゲア・ウルティマ大陸 、アメイジア大陸 、ノヴォパンゲア大陸の3つの名称が授けられている[ 50] [ 51] 。
4億 - 5億
超大陸が分裂し始める[ 51] 。
5億 - 6億[ 注釈 1]
ガンマ線バーストか、極超新星爆発が地球から6500光年以内で起きると予想される。
これにより、地球のオゾン層 は破壊され、大量絶滅の引き金に成りうると考えられている。なおオルドビス紀末の大量絶滅は超新星爆発によるガンマ線バーストが原因であるという仮説が提唱されている。しかし超新星爆発が地球に悪影響を及ぼすには地球の方角に放出される必要がある[ 52] 。
6億
潮汐加速 により月が遠ざかっていき、皆既日食 が起きなくなる[ 53] 。
6億
太陽の輝きの増大に伴い、ケイ酸塩 が炭化により崩壊する。日照量の増加は岩石の風化を促進させ、岩石は二酸化酸素を吸収し、炭化する。地球の表面から水が蒸発し、岩石が硬化し、プレートテクトニクス の動きが遅くなり、最終的には止まる。火山活動による二酸化炭素の大気への放出がなくなることで、二酸化炭素の濃度は低下する[ 54] 。この時までに二酸化炭素の濃度はC3 型光合成 が行えなくなるまで低下する。
C3 型光合成 を行っている全ての植物(現代の種の99%)は滅びる[ 55] 。
8億
二酸化炭素濃度の低下に伴いC4 型光合成 が行えなくなる[ 55] 。大気から酸素とオゾンが消失し、多細胞生物 は滅びる[ 56] 。
10億
太陽の輝きが10%増加し、地球表面の平均温度が320 K(47 °C, 116 °F)になる。大気は湿度が高い温室状態になり、海が蒸発する[ 57] 。わずかな水が極地 に残り、単純な生物しか生きる事が出来なくなる[ 58] [ 59] 。
13億
真核生物 が二酸化炭素のため絶滅し、原核生物 だけが残る[ 56] 。
15億 - 16億
太陽の輝きが増すことで、ハビタブルゾーン が外側に移動する。それに伴い、火星 の大気の二酸化炭素 が増加することで、表面の温度が地球の氷河期 と同水準まで上昇する[ 56] [ 60] 。
23億
地球の内核 が現代のペースと同様に1年に1mmずつ成長すれば、地球の外核 が凍りつく[ 61] [ 62] 。流体の外核が無くなる事で[ 63] 、地磁気 は消失し、太陽からの放出物が徐々に大気を減少させていく[ 64] 。
28億
極地でさえ地球の表面の温度が上昇し、地球の表面の平均温度は422 K (149 °C; 300 °F)に達する。この頃まで単細胞生物 は標高が高い湖や洞窟 など隔離された場所で減少していくが、この時に完全に死に絶える[ 54] [ 65] [ 注釈 2] 。
30億
地球と月が離れていくなかで、地球の赤道傾斜角 を安定させていた効果が減少していく。その結果、地球の極が極端になり、カオスになる[ 66] 。
33億
1%の確率で木星 の重力が水星 の軌道を狂わせ、水星は火星に衝突する事で太陽系内が混沌とする。他に存在する可能性として水星が太陽にのみこまれるケース、太陽からはじき出されるケース、地球と衝突するケースが挙げられる[ 67] 。
35億 - 45億
大気の下層で水蒸気 が40%を占めるようになる。これは太陽の光度が現在よりも約35 - 40%増した結果大気が熱せられることによるものであり、地表の温度は1,600 K (1,330 °C; 2,420 °F)まで上昇し、岩石は融解する[ 68] [ 69] [ 71] 。これにより地球は現在の金星 のような状態になる[ 72] 。
36億
海王星の衛星トリトン がロッシュ限界 まで軌道が下がり、崩壊した後、土星のような環 を形成する[ 73] 。
40億
アンドロメダ銀河が銀河系を吸収し、その結果新たにミルコメダ銀河 が形成される[ 74] 。太陽系の惑星はこの銀河による衝突の影響は受けないと予想されている[ 75] [ 76] [ 77] 。
50億
太陽の中心核の水素 が使い果たされ、太陽は主系列星 から赤色巨星 に変化する[ 78] 。
75億
太陽の膨張に伴い、地球と火星の自転と公転が同期 されると考えられる[ 60] 。
75.9億
太陽 が赤色巨星 になる過程で、半径が現在の太陽の256倍になり、地球と月が太陽に飲み込まれると推測される[ 78] [ 注釈 3] 。最後の衝突の前に、月 は地球のロッシュ限界 の内側に入って破壊され、破片は大半が地球に落ちるが、一部は環 を形成する[ 79] 。
79億
太陽がヘルツシュプルング・ラッセル図 の赤色巨星 になり、現在の半径の256倍に到達する。この過程で水星 と金星 が確実に破壊され、地球 も破壊される可能性が高い。(2023年時点では、地球は破壊されない可能性が高まっている。)また火星 も破壊される可能性がある。(これは、ほとんど起きないと推測されている。)この時土星 の衛星 であるタイタン が生命を維持出来る温度にまで上昇すると考えられる。
80億
太陽 が現在の質量の54.05%の白色矮星 になる[ 78] [ 80] [ 81] 。この時もし地球が太陽に飲み込まれていなければ、白色矮星になってエネルギーの放出が減少したことによって、他の太陽系の惑星と同様に表面の温度が急速に低下する。
220億
ダークエネルギー がw = −1.5 の場合、ビッグリップ による宇宙の終焉を迎える[ 82] 。チャンドラ によるX線による銀河団の観測ではwは0.991未満のため、ビッグリップは起きないと推測されている[ 83] 。
500億
もし地球と月が太陽に飲み込まれなかった場合、自転と公転の同期 を起こし、常に同じ面を向けて回転する[ 84] [ 85] 。その後、太陽の干潮により、太陽系から角運動量 が引き出され、月の軌道は墜落し、地球の回転は加速する[ 86] 。
1000億
宇宙の膨張により局所銀河群 以外の全ての銀河が宇宙の地平線 の彼方に消えて、観測できなくなる[ 87] 。
1500億
宇宙マイクロ波背景放射 が2.7Kから0.3Kにまで低下し、現代の科学では検出できなくなる[ 88] 。
4500億
局所銀河群の47の銀河[ 89] が一つの大きな銀河になる[ 4] 。
8000億
赤色矮星 が光の放射のピークである青色矮星 の段階を経て、ミルコメダ銀河の光が徐々に減少していくと推測される[ 90] 。
1兆
星形成に必要な星間ガス を使い果たし、銀河の星形成が終了する時間の下限[ 4] 。宇宙の膨張はダークエネルギーの比重によって予想されるが、この時には宇宙マイクロ波背景放射は1029 倍に まで引き伸ばされ、宇宙の地平線を超えて、ビッグバンの根拠はもはや見つからなくなる。しかし超高速星(英語版 )の研究により宇宙の膨張を測定することはできるかもしれない[ 87] 。
4兆
太陽から4.25光年離れた最も近い恒星であるプロキシマ・ケンタウリ が主系列星 から白色矮星 へと変化する[ 91] 。
12兆
2016年時点で最も小さい恒星(0.075太陽質量)であるVB 10 が水素を使い果たし、白色矮星へと変化する[ 92] [ 93] 。
30兆
星(太陽を含む)が近隣の星系の星への接近を経験するのに必要と推測される時間。2つの星が接近した時、惑星の軌道は乱され、星系から完全にはじき出される可能性がある。平均的には、母星から近い惑星の軌道は母星の重力の影響が強いため、はじき出されるには時間がかかる[ 94] 。
100兆
銀河での星の形成 が終わる時間の上限[ 4] 。これは星が輝く時代 から縮退の時代に移行することを意味し、新しい星を形成するための水素はなく、残りの星が緩やかに燃料を使い、死んでいく[ 3] 。
110兆 - 120兆
宇宙の全ての星が燃料を使い果たす時間。最も寿命が長い小さな赤色矮星 も10兆年から20兆年で寿命を迎える[ 4] 。この時以降、星ほどの質量があるものは、コンパクト星 と褐色矮星 のみとなる。
褐色矮星の衝突によって新たに赤色矮星としては最小の星ができ、銀河系 でおおよそ100の星が輝く。またコンパクト星同士の衝突により超新星爆発 が生じる[ 4] 。
1015 (1000兆)
別の恒星の接近により恒星系から全ての惑星が離れるために必要な時間[ 4] 。この時までに太陽は5Kまで温度が冷え込む[ 95] 。
1019 - 1020
90%から99%の褐色矮星 とコンパクト星 (太陽も含む)が銀河からはじき出される。2つの天体がお互いに接近した時、互いに軌道のエネルギーを交換し、軽い方の天体はエネルギーを得る。何度も接近を繰り返すことで軽い方の天体は銀河から飛び出す。この過程により最終的に銀河系から大半の褐色矮星とコンパクト星ははじき出される[ 4] [ 96] 。
1020
太陽 が赤色巨星 になる間に、地球が飲み込まれる事なく、さらに他の恒星の接近によって地球が太陽系 からはじき出されなかった場合に[ 97] 、地球が重力波 の影響により黒色矮星 となった太陽と衝突するためにかかる時間[ 97] 。
1030
銀河に残り続けた星が銀河の中心の超大質量ブラックホール に取り込まれるために必要な時間。この時までに連星 はいずれかの星に落ちていき、惑星も重力放射によって取り込まれる。こうして宇宙には褐色矮星、はじき出された惑星、ブラックホールだけが孤立して残存し続ける[ 4] 。
2×1036
もし陽子 の半減期が想定される最小の時間 (8.2×1033 年) だと仮定した場合、この時観測できる宇宙の全ての陽子が崩壊する[ 注釈 4] [ 98] 。
3×1043
もし陽子の半減期が想定される最大の時間 (1041 年) であったと仮定した場合[ 4] 、ビッグバン によるインフレーション と宇宙の初期にバリオン が反バリオンを支配した時と同じ過程で陽子が崩壊する[ 98] [ 注釈 4] 。もしこの時までに陽子が崩壊した場合、宇宙にはブラックホール のみが残り、ブラックホールの時代が訪れる[ 3] [ 4] 。
1065
もし陽子が崩壊しなかったと仮定した時、宇宙に浮かぶ惑星がトンネル効果 により原子と分子に分解される。分離した物体は液体のような動きをして、拡散と重力のために、滑らかな球となる[ 97] 。
5.8×1068
3太陽質量程度の恒星ブラックホール がホーキング放射 によって亜原子粒子 に崩壊する[ 99] 。
1.342×1099
クエーサー のS5 0014+81 は太陽質量 の約400億倍ほどの質量があり、現在宇宙で最も重い天体と知られているが、もし角運動量が0だった場合[ 99] 、この時に中心のブラックホールがホーキング放射 によって消失する。しかし中心部のブラックホールは現在周辺を吸収しているため、実際に消失するにはもっと時間を要する。
1.7×10106
太陽の20兆倍の質量のブラックホール がホーキング放射 によって崩壊する時間[ 99] 。これはブラックホールの時代の終焉を意味する。この時を超えて、もし陽子が崩壊すると宇宙は暗黒の時代を迎え、全ての物理的な物質が原子に崩壊し、最後のエネルギーが徐々に喪失し宇宙の熱的死 を迎える[ 3] [ 4] 。
10200
1046 年から 10200 年の間に現代の素粒子学で考えられる現象(高位のバビロン保存数の破れ、ヴァーチャル・ブラックホール、スファレロン)によって、観測できる宇宙の全ての核子が崩壊する[ 3] 。
101500
陽子 が崩壊しなかった時、全てのバリオン が融合し、鉄56 になるか、より大きな元素が崩壊して鉄56になる[ 97] 。(鉄の星 を参照)
10
10
26
{\displaystyle 10^{10^{26}}}
[ 注釈 5]
陽子の崩壊とヴァーチャル・ブラックホールが存在しなかったと仮定した時、プランク質量 以上の全ての物質が、量子トンネル効果によりブラックホールに変換されるまで必要と推測される時間の下限[ 97] 。長大な時間の中で、最も安定した鉄の星 ですらトンネル効果によって破壊される。十分な質量を持った最初の鉄の星は中性子星 に変換される仮定で崩壊する。その後中性子星と他の全ての鉄の星はブラックホールに変換される仮定で崩壊する。生じたブラックホールは 10100 年で蒸発して、亜原子粒子 になる。
10
10
50
{\displaystyle 10^{10^{50}}}
[ 注釈 1]
自然なエントロピー の減少により、ボルツマン脳 が真空 に現れると推測される[ 6] 。
10
10
76
{\displaystyle 10^{10^{76}}}
陽子が崩壊しないか、ヴァーチャル・ブラックホール[ 97] が生じなかった場合、全ての物質が中性子星かブラックホールになるまでに必要と推測される最大の時間。ヴァーチャル・ブラックホールは即座に原子レベルにまで蒸発してしまうブラックホールである。
10
10
120
{\displaystyle 10^{10^{120}}}
現在の状態が偽の真空 状態であった時の、宇宙が熱的死 を迎える時間の上限[ 6] 。
10
10
10
56
{\displaystyle 10^{10^{10^{56}}}}
[ 注釈 1]
長大な時間の中で新たなビッグバンが新たな宇宙を誕生させ、孤立した真空で量子トンネル効果が生じる[ 100] 。全ての新しい宇宙は少なくとも同じ数の亜原子粒子 を有して、弦理論 による物理法則に従うと仮定する[ 101] 。この時観測できる宇宙の全ての亜原子粒子の数は
10
10
115
{\displaystyle 10^{10^{115}}}
ほどで[ 102] [ 103] 、亜原子粒子が消滅し、量子トンネル効果と量子ゆらぎ によってビッグバンを生み出し新たな宇宙が作られるための時間は
10
10
10
56
{\displaystyle 10^{10^{10^{56}}}}
ほどである。
人類の将来
現在からの年数
出来事
10,000
フランク・ドレイク によって作られたドレイクの方程式 による最も可能性が高い技術的文明の存続期間[ 104] 。
10,000
もしグローバリゼーション が任意交配を推し進めたなら、この頃に人間の遺伝的変異 の地域による偏りは無くなり、実際の人口が有効集団サイズ (英語版 ) と等しくなる[ 105] 。これは決して人類の特徴が均一になるという意味ではなく、マイノリティー の特徴は温存されたままである。例として、ブロンドの髪の人間が居なくなるわけではなく、全世界に均等に分散される。
10,000
ブランドン・カーターによる人類滅亡の日の論争(英語版 )によれば、人類 の95%はこの時までに死滅する。人類滅亡の日の論争はこれから生まれる人類とそれまでに生きてきた人類が拮抗する時点についての論争である[ 106] 。
20,000
モリス・スワデシュ による言語年代学 によれば、この頃の言語のスワデシュ・リスト に含まれる基礎語彙のうち、現在のものと変わっていないのは100に1つに過ぎないと予想されている[ 107] 。
100,000以上
現在の地球の生物圏 に見つかるのと同じ位の太陽効率がある植物のみを使って、火星 のテラフォーミング で人類が呼吸できるほどに酸素が大気に満ちるまでに必要な時間[ 108] 。
100万
人類が光速 の10%で宇宙への入植 を行うと仮定したとき、銀河系 全体に拡がる(カルダシェフ・スケール のIII型にまで発展する)ための最短の時間[ 109] 。
200万
脊椎動物はこれだけ長く隔離されると、一般に異所的種分化 が起きる[ 110] 。進化生物学 者のジェームス・バレンタインは、もし人類が宇宙への入植を行い遺伝的に隔離されたままこれだけの時間が経過すると、銀河系 には我々が驚くほど多種多様な形態や適応を示す複数種の人類が住むことになると予想している[ 111] 。これは意図的な遺伝子改変 によるのではなく、集団が隔離されることによる自然なプロセスとして生じる。
780万
リチャード・ゴットによる人類滅亡の日の論争によれば、人類 の95%はこの時までに死滅する。人類滅亡の日の論争はこれから生まれる人類とそれまでに生きてきた人類が拮抗する時点についての論争である[ 112] 。
500万 - 5000万
現代の技術の範囲で銀河全体に入植することができる最短の時間[ 113] 。
1億
フランク・ドレイク によって作られたドレイクの方程式 による技術的文明の存続期間の最大値[ 114] 。
10億
太陽の輝きの増大によってハビタブルゾーン が太陽系の外側に移動することに合わせるため、小惑星 のスイングバイ を繰り返すことで地球の軌道を変える天文工学を実施するのに必要と推測される時間[ 115] [ 116] 。
宇宙の探索
5つの探査機(ボイジャー1号 ・2号 、パイオニア10号 ・11号 、ニュー・ホライズンズ )は太陽系を離れ、局所恒星間雲 に突入する。様々な物質の衝突による損傷や原子力電池 の寿命を迎えるため、これらの探査機が以降も機能や形状を持続できるかどうかは不明である[ 117] 。
技術の進歩
人工物
天文学の出来事
11千年紀以降(西暦10,001年)以降の天文学上極めて稀な出来事は以下の通りである。
日付 / 現在からの年数
出来事
西暦10,663年8月20日
皆既日食 と水星の太陽面通過 が同時に起きる[ 143] 。
西暦11,268年8月25日
皆既日食と水星の太陽面通過が同時に起きる[ 143] 。
西暦11,575年2月28日
金環食 と水星の太陽面通過が同時に起きる[ 143] 。
西暦13,425年9月17日
水星の太陽面通過と金星の太陽面通過 がほぼ同時に起きる[ 143] 。
西暦13,727年
地球の歳差運動 によりベガ が北極星 になる[ 144] [ 145] [ 146] [ 147] 。
13,000年後
この時までに歳差運動によって地球の赤道傾斜角 が反対になり、夏と冬が逆になる。これは地球の近日点が近づき、太陽からの遠日点が離れていくのと同様に、陸の割合が高い事で北半球の季節がより明確になる事を意味する[ 145] 。
西暦15,232年4月5日
皆既日食と金星の太陽面通過が同時に起きる[ 143] 。
西暦15,790年4月20日
金環食と水星の太陽面通過が同時に起きる[ 143] 。
14,000 - 17,000年後
地球の歳差運動によりカノープス が南極星 になるが、天の南極 から10°の範囲までしか近づかない[ 148] 。
西暦20,346年
りゅう座α星 が北極星になる[ 149] 。
西暦27,800年
ポラリス が再び北極星になる[ 150] 。
27,000年後
地球の軌道離心率 が0.00236になり、最小の値になる[ 151] [ 152] 。(現在の離心率は0.01671)
西暦38,172年10月
太陽面通過の中で最も珍しい、海王星から見た天王星の太陽面通過 が生じる[矛盾 ⇔ 天王星の太陽面通過 (海王星) ] [ 153] 。
西暦69,163年3月
水星の太陽面通過と金星の太陽面通過が同時に起きる[ 143] 。
西暦70,000年
百武彗星 (C/1996 B2) が太陽から3410天文単位の遠日点 を通った後、回帰へと転じる[ 154] 。
西暦224,504年4月
水星の太陽面通過が起きた後、金星の太陽面通過が起きる[ 143] 。
西暦571,741年
火星から見た地球の太陽面通過 と、同じく火星から見た金星の太陽面通過 が同時に起きる[ 143] 。
600万年後
彗星のC/1999 F1 (英語版 ) は最も長い公転周期の彗星として知られているが、太陽から66,600天文単位(1.05光年)の遠日点を通った後、回帰へと転じる[ 155] 。
カレンダー上の予測
核物質
関連項目
脚注
注釈
^ a b c d e f g h i j k l m この年数はこの出来事が最も起こりそうな時を記載している。この出来事は現代からランダムのタイミングで生じうる。
^ この時までにおおよそ10万分の1の確率で、恒星の接近により地球が宇宙空間にはじき出され、300万分の1の確率で別の星系に属する事になる。もしこのようなことが起き、星間の旅を生き残る事が出来たなら、生命はより長く生き残れる可能性がある。
^ これはかなり長い間奇問として扱われた。詳細は2001年のRybicki, K. R.とDenis, C.による論文を参照。しかし最新の計算によればかなり高い可能性で生じると予想されている。
^ a b 264回の半減期を経て崩壊する。
^
10
10
26
{\displaystyle 10^{10^{26}}}
は 1026 個0が付く。
^ 手作業で計算された暦では1582年で10日ほどずれており、さらに400年毎に3日ずつさらにずれていく。ユリウス暦の西暦48900年3月1日とグレゴリオ暦の西暦48900年3月1日とはどちらも火曜日になる。
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主要概念 単位と規格
時計 編年 ・ 歴史宗教 ・ 神話 哲学 人間の経験と 時間の利用 分野別の時間
関連項目