座標 : 18h 02m 04.13s , −23° 37′ 42.0″
WR 104 は、地球 からいて座 の方向約7,500光年の位置にある連星系 。
概要
主星Aはウォルフ・ライエ星 と呼ばれる、自らの強烈な恒星風 で外層の水素 を吹き飛ばしてヘリウムの層が剥き出しとなった恒星 で、その中でも炭素 とヘリウムの輝線が顕著なWC型に分類される。伴星Bは早期B型主系列星 に分類される。2つの星は、1.9 ~ 2.6 天文単位 離れた軌道[ 6] を241.5日の公転周期 [ 7] [ 6] で回っている。連星系は太陽質量 の20~50倍の質量を持つと考えられている[ 6] 。
この連星系は、「風車星雲」 (Pinwheel Nebula[ 2] ) と呼ばれる螺旋状の星間塵 に覆われている。この星間塵の星雲は200au を超える長さの螺旋形を描いている[ 9] 。これは、2つの星からの恒星風 で吹き飛ばされたガスの流れが連星の公転運動によって絡み合い捻じれた状態となり、ガスの尾部で生まれた熱い星間塵によるものである[ 9] 。
WR 104は数十万年以内にIb型またはIc型の超新星爆発 を起こす可能性がある[ 9] 。もし極超新星 となった場合、ガンマ線バースト が発生する可能性も示唆されている[ 9] 。ガンマ線バーストは超新星の極方向に向くとされるが、複数の光学的測定によって、WR104の回転軸は地球に対して16度程度ずれているとされている[ 7] 。新しい分光データでは、WR104の回転軸は地球から30度から40 度の角度があると示唆されている[ 10] 。
2001年 にアマチュア天文家 の長谷田勝美 によって11.8等から14.5等星以下まで変動する変光星であることが発見された[ 11] 。
出典
^ Wallace, Debra J.; Moffat, Anthony F. J.; Shara, Michael M. (2002), “Hubble Space Telescope Detection of Binary Companions Around Three WC9 Stars: WR 98a, WR 104, and WR 112”, Interacting Winds from Massive Stars. ASP Conference Proceedings 260 : 407-414, Bibcode : 2002ASPC..260..407W , ISBN 1-58381-100-1
^ a b c d e f g h i j “Results for WR 104 ”. SIMBAD Astronomical Database . CDS . 2015年12月25日 閲覧。
^ a b c Lamberts, A. et al. (2012). “Impact of orbital motion on the structure and stability of adiabatic shocks in colliding wind binaries”. Astronomy & Astrophysics 546 : A60. arXiv :1202.2060 . Bibcode : 2012A&A...546A..60L . doi :10.1051/0004-6361/201219006 . ISSN 0004-6361 .
^ a b Tuthill, Peter G. et al. (2008). “The Prototype Colliding‐Wind Pinwheel WR 104”. The Astrophysical Journal 675 (1): 698-710. arXiv :0712.2111 . Bibcode : 2008ApJ...675..698T . doi :10.1086/527286 . ISSN 0004-637X .
^ a b c d Tuthill, Peter. “WR 104: The prototype Pinwheel Nebula ”. シドニー大学 . 2019年6月16日 閲覧。
^ “WR 104: The Dying Star With Deadly Potential ”. Discovery News (2009年8月4日). 2010年5月18日 閲覧。
^ “長谷田さん、「うずまき星」が特異変光星であることを発見 ”. アストロアーツ . 2021年7月28日 閲覧。
参考文献
外部リンク