近鉄奈良線
奈良線(ならせん)は、大阪府東大阪市の布施駅[1][2]から奈良県奈良市の近鉄奈良駅までを結ぶ近畿日本鉄道(近鉄)の鉄道路線である。 運転系統上は難波線(大阪難波駅 - 大阪上本町駅間)・大阪線(大阪上本町駅 - 布施駅間)間を含めた大阪難波駅 - 近鉄奈良駅間が「奈良線」として扱われている。以下、特記のない限り運転系統としての奈良線(大阪難波駅 - 近鉄奈良駅間)について記述する。 駅ナンバリング等で使われる路線記号はA。番号部分は、大阪上本町駅 - 菖蒲池駅間は直通運転している難波線と一体(大阪難波駅を01とする)、大和西大寺駅 - 近鉄奈良駅間は京都線からの通し番号(京都駅を01とみなす)になっている[4]。 概要1914年に開業した近鉄の直系母体である大阪電気軌道(大軌)の創業路線であり、元々は大阪上本町駅が起点であった。 大阪市と奈良市を結ぶ鉄道路線としては、当路線以外にも西日本旅客鉄道(JR西日本)の関西本線(大和路線)や片町線(学研都市線)があるが、大和路線は生駒山地の南、学研都市線は北に迂回する一方、当路線は生駒山地の中腹を新生駒トンネル (3,494 m) で貫き、大阪市と奈良市を一直線で結んでいる[5]。近鉄のドル箱路線であり[6][7][8][5]、2009年(平成21年)時点で近鉄全294駅の乗降人数ベスト15に入る駅のうち、9駅が当路線(大阪難波 - 近鉄奈良間)にある[5]。大阪への通勤・通学路線であると同時に、奈良へ向かう観光路線でもある。 開業当時の生駒トンネルは日本初の標準軌複線トンネルであり、その建設はトンネル技術が未熟で難工事であったことや資金難から、工事を請け負った大林組が倒産の危機に瀕するほど困難であった[9](詳細は「歴史」節を参照)が、この生駒トンネルのおかげで生駒山地を南に迂回する関西本線に対して大阪 - 奈良間を直線的に結ぶことが可能になり、所要時間の短縮につながった。1964年に新生駒トンネルが完成し車両の大型化などの輸送力増強が図られている。開業以来、大阪上本町駅(旧・上本町駅)を始発駅としてきたが、近鉄難波線が1970年に開業してからは、奈良線の実質的な起点は大阪難波駅(旧・近鉄難波駅)に移った。大阪線の大阪上本町駅 - 布施駅間は方向別複々線となっており、奈良線・大阪線の列車が並走する。 大阪府を起点とする関西大手私鉄の幹線・本線としては、大阪線とともに地下鉄御堂筋線との接続駅がないが、難波方面へは自社の難波線と直通しており、梅田・天王寺方面へは大阪難波駅で地下鉄御堂筋線に乗り換えのほか、大阪上本町駅で地下鉄谷町線や鶴橋駅でJR西日本の大阪環状線に乗り換えて行くことができる。 阪神電気鉄道(阪神)の西大阪線が大阪難波駅まで延伸され、阪神なんば線として開業した2009年3月20日から、大阪難波駅を介して神戸三宮駅 - 近鉄奈良駅間で相互直通運転を行っており、快速急行が両駅間を最短70分台で結んでいる[10][11]。 JR難波駅・天王寺駅 - 奈良駅間を結ぶJR西日本の関西本線(大和路線)と一部競合関係にあるが、前述の通り当路線の方は大阪市 - 奈良市間を直線的なルートで結んでいるのに対し、関西本線は生駒山地を迂回するルートであること、近鉄奈良駅が奈良市の中心市街地や主要な観光地にアクセスしやすいのに対しJRの奈良駅は市の中心部からやや離れていることから、当路線の方がJRに対して優位になっている。 1977年に大阪難波駅から八戸ノ里駅東方の府道大阪中央環状線付近までの立体交差化が完成しているが、2003年から八戸ノ里駅 - 瓢箪山駅間の連続立体交差事業が着手され、2010年5月30日に下り線が完成し[12][13]、2014年9月21日に上り線も完成した[12][14]。これにより新たに若江岩田駅・河内花園駅・東花園駅が高架駅となった。 全線で、PiTaPa・ICOCAなどのICカードが全国相互利用サービスにより利用可能である。また、以前はスルッとKANSAI対応カードおよびJスルーカードにも対応していた。 路線データ路線名称上の奈良線
全線が大阪統括部の管轄である。 旅客案内および運転系統上の奈良線は、大阪難波駅 - 近鉄奈良駅間32.8 km、24駅(起終点駅含む)である。 沿線風景難波線・大阪線区間も含めて全長30km少しという近鉄の幹線の中では短い方の路線にあたるが、車窓はバラエティに富んでいる。本節では大阪難波駅から奈良方面に向かって記述する。 大阪難波駅を発車すると千日前通(大阪府道702号大阪枚岡奈良線)の地下を東へ走り、近鉄日本橋駅・大阪上本町駅を地下で進み、その後一気に高架に上がり、大阪環状線のガードを潜ると鶴橋駅に着く。鶴橋駅周辺は焼肉店やコリアタウンなどが立ち並ぶ繁華街となっており、昼や夜ともなれば電車の中にまで焼肉の香ばしい香りがたち込める。なお、この駅の焼肉の香りは環境省選定のかおり風景100選[注釈 1]にも選ばれている。 その後は住宅・工場・ビル群が混在する地域を高架で進むと3面4線を有する今里駅。国道479号(大阪内環状線)を跨ぎ、高度を上げて進むと奈良線の起点である布施駅で大阪線と別れる。布施駅周辺は東大阪市の商業の中心地である。そしておおさか東線との乗換駅でもあり、東大阪市の公共施設が多い河内永和駅。次第に辺りは東大阪市の古くからの住宅や工場が多くなってくる。ハウス食品の本社所在地で準急停車駅の河内小阪駅、2面4線を有する八戸ノ里駅と進み、大阪中央環状線の中央を高架で走る近畿自動車道の下をくぐると左手にニトリモール東大阪が見える。この場所は近鉄の玉川工場の跡地で、近鉄ハーツが2010年3月まで営業していた。 この辺りからは次第に進行方向に生駒山が迫ってくる。若江岩田駅・河内花園駅を過ぎ、ラグビーの聖地である東大阪市花園ラグビー場の最寄駅で準急停車駅の東花園駅を通り過ぎると高架区間が終了し、恩智川と国道170号(大阪外環状線)を渡り、2面4線で中央に通過線を持つ新幹線型の待避駅である瓢箪山駅。瓢箪山を出ると、いよいよ30‰超の連続急勾配が続く生駒山越えの区間に入る。列車は左に大きくカーブし枚岡駅・額田駅を通り過ぎると今度は右にカーブする。両駅間の勾配は35.7‰で、普通鉄道構造規則(2002年廃止)第十七条の2が定める上限35‰を超えていた。 なお、この間にも列車は大きく標高を上げていっており、その間左手には大阪のオフィス街や阪神高速13号東大阪線、けいはんな線を見下ろすことができ、遠くにはあべのハルカスなどの大阪市内の高層ビルや淡路島も望める日がある。この区間は全国でも珍しく列車から夜景を見下ろすことができ、その美しさゆえ夜景の専門サイトでも紹介されている程である。この区間は阪奈道路や、日本の道100選である暗越奈良街道(くらがりごえならかいどう、国道308号)など鉄道・道路問わず急勾配路線が多いことでも知られている。逆にあまり知られていないが、この石切界隈は昭和初期に開発された当時の新興住宅地であり、阪神間同様歴史のある高級住宅地である。 石切神社への参道が続く石切駅を過ぎるとすぐに新生駒トンネルに入り、3分ほどひた走って抜けると、奈良県生駒市に入り3面6線の生駒駅である。この駅では、けいはんな線や生駒線の電車と顔を合わせ、また生駒駅南西側の鳥居前駅からは生駒ケーブルも発着している。この先の東生駒駅で国道168号を渡り、けいはんな線が左手にわかれると新向谷トンネルを抜けて新興住宅街の中を進む。奈良市に入ると富雄川と奈良県道7号枚方大和郡山線を渡り、近畿大学(農学部)の最寄り駅である富雄駅を出てから邸宅街に差し掛かると学園前駅である。駅前には駅名・地域名の由来となった帝塚山学園があるほか、近鉄が運営している博物館 大和文華館がある。この生駒駅から学園前駅に至る客圏はけいはんな沿線も含めて、学園前住宅地、東生駒住宅地、真弓・北大和住宅地といった高級住宅街に代表される閑静な新興住宅街が広がり、教育機関も多く利用者数が非常に多い。 そして、菖蒲池駅前の近鉄あやめ池遊園地の跡地を左手に眺め、少し行くと左から京都線が合流し、大和西大寺駅に到着する。大和西大寺駅は京都線と橿原線の列車が交錯するジャンクションで、橿原線沿いに西大寺検車区がある。ホームは3面5線の構造で、4番線と5番線はホームに挟まれており、橿原線から大阪難波方面への連絡がホーム上でできるようになっている。近鉄奈良方には引き上げ線がある。駅周辺は近鉄百貨店やショッピングセンターなどの商業施設が立ち並ぶ。 大和西大寺駅を出るとすぐに平城宮跡に入り、右手には朱雀門、左手奥には復原された大極殿と大極門があり、正面には若草山と東大寺を眺めることができる。国道24号奈良バイパスをくぐると、奈良市役所をはじめとするオフィス街などが立ち並ぶ新大宮駅で、新大宮駅を出るとすぐに、国道369号の地下区間に入り、4面4線の近鉄奈良駅に到着する。近鉄奈良駅はJR奈良駅に並ぶ奈良市のターミナル駅であり、ここから奈良交通バスが多数発着している。奈良県庁にも近く、また駅から東には東大寺大仏殿や春日大社がある奈良公園がある。
新向谷トンネル
朱雀門踏切道奈良県では2010年が平城京に遷都されてから1300年目にあたり、これを記念した平城遷都1300年祭のメイン会場として平城宮跡が選ばれたが、平城宮跡は奈良線が横断しており、利便性向上のために会場中心付近に歩行者専用の踏切が新設された[16]。原則として踏切の新設は認められておらず[17]、警備員の配置を条件として例外として踏切が新設された。近鉄の踏切名は「起点側の直近の駅名+踏切の数を示す番号+道」であるが、この踏切は「朱雀門踏切道」の名称が付けられている。 当初、平城宮跡会場でのイベント開催中のみ設置される予定であったが、引き続き存続することが決まり、現在でも設置されている[18]。ただし、警備員が配置されている8時 - 17時の間のみ渡ることができ、それ以外の時間帯は門が閉められ渡ることができない。
運行形態特急・快速急行・急行・準急・区間準急・普通が運転されている。布施駅を始発・終着駅とする列車はなく、同駅を経由するすべての列車が同駅から大阪線・難波線に直通し大阪難波方面に発着する。特急および急行以外は、さらに大阪難波駅から阪神なんば線に直通し尼崎駅まで、快速急行はさらに阪神本線の神戸三宮駅まで乗り入れる列車もある。天理教祭典日には天理線天理駅に直通する臨時急行も運転されている。大和西大寺駅 - 近鉄奈良駅間には京都線の列車のほか、京都線を介して直通運転する京都市営地下鉄烏丸線の車両も乗り入れる。 1980年3月に関西私鉄では初めて10両編成で運転を開始した路線で、朝夕ラッシュ時に8・10両編成が多数運転される。土休日ダイヤにも10両編成列車が設定されている。昼間時間帯も快速急行・急行で8両編成の運用がある。 ただし日中や夜間の上りは6両編成での運転も多く、曜日や時間帯により輸送力の落差が激しい。沿線地域の特性上、平日は奈良県内から大阪へ勤める通勤客、大阪や反対に奈良方面へ通う学生が、土曜・休日は奈良や反対に大阪方面へ向かう行楽客が多い。日中に走る急行は平日よりも土・休日の方が増結運転が行われるため編成が長くなっているのも特徴で、平日は6両編成であるが、休日は8両編成で運転される運用がある。 列車種別以下に種別ごとの詳細を示す。尼崎・三宮方面と相互直通運転を行う阪神なんば線とダイヤがほぼ一体化しているために阪神電鉄線との直通運転に関してもここで記述する。ただし特急については「近鉄特急」の項を、大和西大寺 - 近鉄奈良間に乗り入れる京都線系統の列車については「近鉄京都線」を参照。停車駅は、便宜上、大阪難波駅を起点に難波線・大阪線の区間も含めた近鉄線内について記載する。 快速急行奈良線の主力速達種別で、終日運転されているが、2000年代中盤以降は夕刻時間帯や夜間を中心に一部の列車が急行へ格下げされており、設定当初と比べると本数は減少している。かつてはほぼ大阪難波駅 - 近鉄奈良駅間での運転であったが、2009年3月の阪神なんば線開業後は尼崎駅または神戸三宮駅までの直通が主体となった。日中は大阪難波駅 - 近鉄奈良駅間で1時間あたり平日4本(うち大阪難波駅 - 近鉄奈良駅間の快速急行が2本、神戸三宮駅 - 近鉄奈良駅間の快速急行が2本)、土曜・休日3本(全て神戸三宮駅 - 近鉄奈良駅間)が運転されている。このほか、僅かだが阪神なんば線方面または大阪難波駅 - 大和西大寺駅間の列車も設定されている。2016年3月19日のダイヤ変更より設定された平日朝の下り大和西大寺行き(大和西大寺駅で京都発近鉄奈良行き急行に接続)は、天理教祭典日(毎月26日)には大和西大寺駅到着後に天理線天理駅行き臨時急行(いわゆる「天理臨」)として延長運転していた[19]が、2021年7月3日のダイヤ変更後は大和西大寺駅到着後に天理行き急行に変更しそのまま毎日運行している。また、2021年7月3日のダイヤ変更で設定された平日の大和西大寺行き2本は大和西大寺駅到着後に橿原神宮前行き急行または普通天理行きに変更して運転する。2022年12月17日のダイヤ変更では朝に生駒発近鉄奈良行きの快速急行が新たに設定された。この列車の運転区間の停車駅は急行と同一であるが、平日は10両編成での運転のため、快速急行として運転されている。 近鉄線内の停車駅は、大阪難波駅・近鉄日本橋駅・大阪上本町駅・鶴橋駅・生駒駅・学園前駅・大和西大寺駅・新大宮駅・近鉄奈良駅である。特急の停車駅に近鉄日本橋駅(ただし前身の奈良線の無料特急は停車していた)と新大宮駅(2000年3月より)が追加されたのみで、大阪上本町駅 - 大和西大寺駅間では特急と同等の停車駅で運転されることになる。朝夕の時間帯には特急と平行するダイヤで運転される列車があり、このうち下りの神戸三宮駅・尼崎駅発の一部には大阪難波駅で大阪難波発の特急と接続し特急を先行させる列車や、大和西大寺駅で京都発近鉄奈良行き特急の待ち合わせを行う列車もある。 1972年11月のダイヤ変更で、それまで走っていた奈良線無料特急の停車駅に生駒駅と学園前駅を追加する形で設定され、無料特急は廃止された。ただし、1976年まで平日朝ラッシュ時の大和西大寺発近鉄難波行きは学園前駅・生駒駅は通過し、特急よりも少ない停車駅であった。 2010年3月19日のダイヤ変更から、近畿大学附属小学校・幼稚園に通う児童のために平日下り1本が菖蒲池駅に臨時停車しており(ただし休校日は通過)、臨時停車する日は主要な駅に掲示されている。なお、2004年6月以前は、菖蒲池駅前にあった近鉄あやめ池遊園地への行楽客への利便を図って、土・休日の一部の快速急行・急行が菖蒲池駅に臨時停車していた。ほかにも、東大阪市花園ラグビー場でのイベント開催日には、最寄駅である東花園駅に一部が臨時停車する。 編成両数は最大10両編成で運転されている。平日の日中は6両編成、朝ラッシュ時は10両編成、夕ラッシュ時は8両編成である。平日上りの午前9時30分までに大阪難波駅に到着するすべての快速急行は最後尾(前から10両目)が大阪難波駅まで女性専用車両となっている。一部の8両・10両編成の列車は大和西大寺駅にて連結・解放を行う。2020年3月14日のダイヤ改正からは土曜・休日はほぼ全時間帯で8両編成で運転している[20]。土曜・休日の近鉄奈良15:23発神戸三宮行きのみ、近鉄奈良駅 - 大和西大寺駅間は4両(2両編成2本)で運転し、大和西大寺駅で後から到着する4両(天理発大和西大寺行き急行で、2両編成2本。大和西大寺駅にて快速急行に変更)を併結する運用[注釈 2]となっている。阪神直通列車には乗り入れ先の阪神車や近鉄の阪神乗り入れ対応車が使われるが、大阪難波駅発着の列車については阪神乗り入れに対応しない車両が使われることがある。 2012年3月20日のダイヤ変更で土休日の朝に阪神神戸高速線内の新開地発となる快速急行が設定された[21][22]。 2022年12月17日のダイヤ変更で、平日の日中の神戸三宮駅 - 近鉄奈良駅間の列車が1時間に2本に減便されたが、大阪難波駅 - 近鉄奈良駅間の列車が1時間に2本新設され、大阪難波駅 - 近鉄奈良駅間の快速急行は1時間に4本に増便された。また、平日夕ラッシュ時の列車が8両編成に減車された。また前述の土休日朝の新開地発の設定が終了している。 なお、快速急行の前身の無料特急は、上本町駅 - 布施駅間複々線化工事完成に伴う1956年12月のダイヤ変更で運転を開始したが、難波線開通前の停車駅は鶴橋・大和西大寺の2駅だけだった(休日の菖蒲池駅の臨時停車は無料特急時代も行われていた)。 急行布施駅3層化改造工事完成に伴う1978年3月のダイヤ変更で設定。大阪難波駅 - 近鉄奈良駅間での運転が主体だが、2022年12月17日のダイヤ変更では大和西大寺駅発着の列車も数本設定された。停車駅は、大阪難波駅・近鉄日本橋駅・大阪上本町駅・鶴橋駅・布施駅・石切駅・生駒駅・学園前駅・大和西大寺駅・新大宮駅・近鉄奈良駅で、快速急行との違いは鶴橋駅 - 生駒駅間で布施駅と石切駅(1986年3月より)にも停車することである。東大阪市花園ラグビー場でのイベント開催日には、最寄駅である東花園駅に一部が臨時停車する。 2004年3月のダイヤ変更までは日中のみの設定で、現在の土曜・休日の日中と同様に快速急行とで交互に20分間隔で発車するパターンが長く続いた。のち夕方以降も快速急行の一部を置き換える形で設定され、さらに準急と統合する形で増便された。ただ、2022年のダイヤ変更により、平日の日中は快速急行が増便されたため1時間あたり2本に減便された。 現在は、日中は1時間あたり、平日は快速急行(4本)の合間に30分間隔で2本、土曜・休日は快速急行との交互で20分間隔で3本の運転である。定期列車は原則として快速急行に抜かれることがないため、大阪難波駅 - 近鉄奈良駅間で先着するが、一部の列車は布施駅で特急に追い抜かれる。石切駅では大和西大寺駅発着の各駅停車もしくは準急と緩急接続を行う。 奈良線の料金不要種別では唯一、定期列車で阪神なんば線への直通は設定されていない。ただし、平日朝にある大阪難波発大和西大寺行きは神戸三宮発の快速急行から種別変更したものであり、厳密には阪神線からの直通である。ほかにも、阪神車両との走行距離調整のため、土休日ダイヤの一部は阪神車両で運転されている。 編成両数は平日の日中は6両編成、平日の夕方以降は8両編成(上りの一部で6両あり)。土曜・休日は近鉄車及び阪神車8両または6両編成で運行されている。阪神なんば線開通後も8両での運転が継続されていて、運用上の大きな変化はない。急行の10両運転がないのは布施駅の信号機の都合と石切駅のホーム有効長が8両分しかないためである。 なお、現在の急行は2代目であり、初代の急行は1946年3月15日のダイヤ変更で設定され、1976年の白紙ダイヤ変更まで運転されていた。初代急行の停車駅は鶴橋駅 - 石切駅間ノンストップで、これ以外の区間は各駅に停車していた(新生駒トンネルが開通するまであった孔舎衛坂駅は通過していた)。当時東花園駅を通過していた準急とは布施駅(当時は奈良線・大阪線ともに準急・普通しか停車しなかった)と河内小阪駅(一時期設定されていた行楽期の臨時急行は停車していた)を通過するだけの違いで、現在の急行よりもむしろ準急に近い停車駅パターンであった。しかし、1972年のダイヤ変更で前述の学園前・生駒通過の快速急行を補完する形で平日朝の難波行きのみの設定となり、1976年のダイヤ変更で準急と統合され初代の急行は消滅した。 準急大阪難波駅 - 大和西大寺駅間での運転が基本で、一部列車は近鉄奈良駅まで運転しているほか、上りのみ東花園駅始発の列車もある。停車駅は、大阪難波駅・近鉄日本橋駅・大阪上本町駅・鶴橋駅・布施駅・河内小阪駅・東花園駅と石切駅から近鉄奈良駅までの各駅。2006年3月21日実施のダイヤ変更で、従来イベント開催日に限り一部が臨時停車していた東花園駅が新たに追加された。また、それと同時に日中の列車が区間準急に立て替えられた。東花園駅に停車開始後は、準急は東大阪市内における速達種別、石切以東での普通の補完という役割が強くなっているほか、難波方面と瓢箪山駅・枚岡駅・額田駅間、奈良方面と河内花園駅・若江岩田駅・八戸ノ里駅間のアクセスが大きく向上する結果となった。 2006年3月21日のダイヤ変更で日中は区間準急(後述)に置き替えられたため、現状は日中と深夜の近鉄奈良方面行き以外で運転されており、運転本数も時間帯により前後する。2021年7月3日のダイヤ変更では日中から夕方にかけ一部の大阪難波行きで東花園駅始発の準急が設定されている。 2009年3月20日の阪神なんば線の延伸開業後も大阪難波駅発着が殆どで、阪神電鉄線内に乗り入れて尼崎駅まで直通するのは僅かである。大阪近郊の短距離速達種別という位置づけで、編成両数は6両編成が基本だが、ラッシュ時を中心に大阪難波駅発着の一部で8両編成もある。ほとんどが石切駅・布施駅(一部は東花園駅)で快速急行を、夕方以降の一部列車には石切駅で特急・急行を待避する。早朝・深夜帯や夜間の大阪難波行きを中心に、全区間先着となる列車も存在する。一方、奈良県内・阪神なんば線では各駅に停車し、普通列車の代替としての役割も担う。 かつては大阪難波駅 - 近鉄奈良駅間での運転が大半で大和西大寺駅発着のものは1日数本程度だったが、2000年3月15日のダイヤ変更で新大宮駅が快速急行停車駅となったことにより、大半が大和西大寺駅発着に変更された。2020年3月14日のダイヤ変更では東花園駅始発の準急が初めて設定された。また、1972年までは天理線天理駅まで直通する準急が定期列車として運行されていた。 区間準急2006年3月21日のダイヤ変更で新たに追加された列車種別で、午前と日中、深夜に運転されており、1時間あたり2本(土休日は3本)を基本に運転されているが、時間帯により前後する。大阪難波駅 - 大和西大寺駅間での運転が基本で、一部近鉄奈良駅発着も設定されているほか、平日の午前中・夜中と土休日の深夜の一部は尼崎行きが設定されている。停車駅は、大阪難波駅 - 東花園駅間は準急と同じだが、東花園駅 - 近鉄奈良駅間では各駅停車となる。 この種別の登場により、日中の東生駒駅折り返しの普通(後述する、1992年まで瓢箪山駅で折り返していた普通)が東花園駅折り返しとなり、瓢箪山駅・枚岡駅・額田駅では普通6本から区間準急3本・普通3本に変更された。ただし、これらの駅のホーム有効長の都合で、6両編成で運行している。また阪神なんば線の開業後は一部列車が尼崎駅まで直通している。朝ラッシュ時や夕方から夜間にかけてと大阪難波ゆきの深夜は従来どおり準急を運転している。 日中は、下りは基本的に布施駅で近鉄奈良行き快速急行を待避した後に石切駅で近鉄奈良行き急行と連絡し、上りは基本的に瓢箪山駅で快速急行を待避する。ただし、一部の列車は、これらの駅以外で特急などを待避するものもある。また、平日・土休日ともにすべての列車が東花園駅発着の普通と接続を行う。 2012年3月20日のダイヤ変更以前は平日の日中、大阪難波駅折り返しで運行されていたが、前述のように快速急行が平日日中も阪神なんば線内で通過運転を行うことになったことに伴い、千鳥橋・伝法・福・出来島・大物の各駅におけるその代替として大阪難波駅発着の区間準急が尼崎駅発着に変更された[21][22]。なお、2012年3月20日のダイヤ変更では大阪線にも区間準急が新設されている[21]。 2016年3月19日のダイヤ変更で、平日日中の上り列車は尼崎駅に乗り入れず、大阪難波駅で折り返すようになり、その時間帯の阪神電鉄線に乗り入れる上り列車は普通と快速急行だけになっている[23]。 2022年12月17日のダイヤ変更で、平日日中の列車が1時間2本に減便され、土休日の準急のほとんどが区間準急に格下げされたほか、平日も朝や夜間も一部準急が区間準急に格下げされたことで終日運行されるようになった。 近鉄の駅掲出時刻表では、旧型式では時刻の上に「(区)」マークをつけて表記されていた(南大阪線の区間急行やかつて大阪線で運行されていた区間快速急行とは異なり時刻の数字は斜字ではなかった)。2022年12月17日のダイヤ変更からの新形式では準急が四角の緑地に白抜きで時刻の数字に対し、区間準急は緑で下線つきの時刻の数字で表示して区別している[注釈 3]。かつて駅で配布していた紙製の時刻表では区間準急をオリーブ色で表記して区別していた。 普通大阪難波駅 - 東花園駅・東生駒駅・大和西大寺駅間の運転が基本で、一部列車は近鉄奈良駅まで運転している。また阪神なんば線の開業後はほとんどが尼崎駅まで直通する。 日中は東花園駅折り返しと大和西大寺駅(一部列車は近鉄奈良駅)折り返しの系統が交互に1時間に3本ずつ、計6本が運転されている。ラッシュ時間帯には東生駒駅または瓢箪山駅を、早朝・深夜には石切駅を、それぞれ始発・終着とする列車があるほか、早朝・深夜を中心に東花園車庫、西大寺車庫からの入出庫を兼ねた東花園駅・大和西大寺駅 - 近鉄奈良駅間の運用もある。また、運用上、大和西大寺行きの準急・普通が大和西大寺駅到着後に天理または橿原神宮前行きの急行に変わったり、またその逆のパターンもあり、その場合は到着前にその旨がアナウンスされている。 現在、日中に運転されている東花園駅折り返し系統は、かつては瓢箪山駅折り返しであった。これは枚岡駅・額田駅のホーム有効長が4両分しかなく、また当時の東生駒駅の折り返し線が短く6両編成が入れなかったためであったが、ホーム延伸工事などの完成により1992年3月19日のダイヤ変更で東生駒駅まで延長された。だが、2006年3月21日のダイヤ変更で区間準急の運転が開始されたことに伴い、現在のように改められた。 編成両数は原則として6両。ただし、早朝の石切発近鉄奈良行きや入出庫を兼ねた大和西大寺駅 - 近鉄奈良駅間のみの列車に8両または10両があるほか、早朝の東花園発近鉄奈良行きと深夜の生駒発大和西大寺行き[注釈 4]は4両である。阪神車両との走行距離調整のため、一部に阪神車両での運用もある。 かつては最終列車の設定で、近鉄奈良方面からの生駒止まりの6両または8両編成での列車運用が数本存在したほか、逆方面では石切発近鉄奈良方面行きの6両編成での列車運用が少ないながらも存在した。また、1992年のダイヤ変更以前では東花園駅にて2両を連結・切り離しを行う列車もあった。 臨時急行天理教祭典の開催日(原則として毎月26日と、1月上旬と4月中旬の特定日)には、大阪難波駅 - 天理線天理駅間の臨時急行が2往復運転されている(大阪難波発は午前のみ、天理発は午後のみ。なお、平日と土休日では時刻が異なる)。奈良線内の停車駅は、急行と同一。一部に布施駅で快速急行を待避する列車もある。 2011年4月18日には初めて三宮(現・神戸三宮)始発の臨時急行(但し阪神電鉄線内は「臨時快速急行」)が運行され、2012年1月26日にも運行された後、同年3月26日以降も平日の祭典日に限り運行した。なお、この列車は2016年3月19日のダイヤ変更以降、先述した大和西大寺行き快速急行として定期列車化され、さらに2021年7月3日のダイヤ変更以降は(公式には案内されていないが)大和西大寺駅で種別変更して急行天理行きとなり天理駅まで直通している(さらに祭典日に限り、正面に「天理 月次祭」と書かれた方向板が掲げられる)[24]。 長年にわたり臨時列車は独立した列車として運転していたが、2022年12月17日のダイヤ変更からは一部の列車が大和西大寺駅発着の定期急行の延長運転という形で設定されることになった。また、平日の大阪難波駅発天理行き急行は1本に削減されたが、かわりに朝の尼崎駅発近鉄奈良行き快速急行1本が大和西大寺駅で後ろ4両を切り離して天理行き急行として運転する[25]。 運転本数以下の表においては、大阪線や難波線については奈良線直通列車のみ記載している。 2022年12月17日のダイヤ変更時点の日中の1時間あたりの運転本数をまとめると、以下のとおりになる。奈良線は線内全駅で日中でも1時間最低6本の乗車機会が確保されている。線区内全駅で1時間6本以上の列車が停車するのは近鉄では奈良線系統のみである。
なお、2009年3月20日ダイヤ変更時点における阪神なんば線直通列車の本数は以下のとおり。
※2012年3月20日のダイヤ変更にて、西九条駅 - 尼崎駅間各駅停車の快速急行は廃止され、その代替として大阪難波駅発着の区間準急が尼崎駅発着に変更となったため、上表は現況と異なる[21][22]。 備考この路線においても毎年大晦日 - 元旦の終夜運転が行われる。2018年度は大阪難波駅 - 東花園駅・大和西大寺駅・近鉄奈良駅間において約15 - 30分間隔で普通・区間準急が合わせて35本設定された[26]。2020年度は阪神電鉄と共に終夜運転を実施しない。2021年度は普通の運転に加えて20000系「楽」を使用した臨時快速急行が2往復運転された[27]。 奈良線沿線には春日大社や東大寺を始め枚岡神社や石切神社、生駒ケーブル乗り換えで宝山寺などの大規模・著名な寺社が多いことなどから終夜運転の本数も多く設定されている。また、例年近鉄の主要路線の終夜運転では特急が数多く設定される中、総距離が短い奈良線系統には全く設定されないのも特徴である。ただし1997年(の大晦日)までは毎時1本の特急が設定されていたほか、2023年度は特急が2往復運転された[28] 花園ラグビー場で大きな試合が行われる場合、利便性を考慮し、最寄り駅の東花園駅に一部の快速急行と急行が臨時停車することがある。 2010年以降12月に奈良マラソンの開催による観客の利便性を図るため、早朝に近鉄奈良行き特急および急行が数本設定されるほか、大和西大寺駅 - 近鉄奈良駅間に臨時普通列車が運行される。なお、2022年は急行が大和西大寺行きになり大和西大寺駅到着後に高の原行き急行に変更して運転した[29]。 過去には2008年まで若草山山焼きの日に近鉄難波行きの臨時特急が夜間に1本設定されていた。現在はこの特急は定期列車になっている。 優先座席の設定位置は運転区間に関係なく阪神車両が各車両の神戸三宮側、近鉄車両が各車両の奈良側に設定されており現在のところ統一は図られていない。ただし、主要駅を中心に一部の駅では優先座席の案内板が設置されている。 乗務員乗務員は、東花園列車区と西大寺列車区、新田辺列車区(大和西大寺駅 - 近鉄奈良駅間)が担当しており、おおむね東花園駅ないし大和西大寺駅で乗務員交代が行われる。また、阪神電気鉄道との相互直通列車では、阪神乗務員との交代は境界駅の大阪難波駅ではなく阪神なんば線の桜川駅で行われることになっている。 旅客案内奈良線は4扉の近鉄車と3扉の阪神車が混在して運用されているため、ホームに設置されている発車標のうち、LCD式とLED式のものには乗車位置が表示されている。 停車駅の案内では、鶴橋駅以西は阪神なんば線の西九条駅まで各駅に停車するが、大阪上本町駅以東での阪神直通列車の自動放送では、大阪難波駅 - 鶴橋駅間の停車駅は略されることなく放送され、西九条駅(尼崎駅) - 大阪難波駅間の途中駅のみ省略されている。これは布施駅以東における準急、区間準急も同様である。 車内自動放送2016年3月27日から車掌のタブレット端末(パナソニック製TOUGHPAD FZ-B2[30])の操作による車内自動放送が開始された[4]。 車両→特急車両については「近鉄特急」を参照
現用車両
奈良・京都線系統の通勤車両は東花園・西大寺の各車庫に所属している。阪神乗り入れ対応車両には、先頭車両の車体前面および車体側面に直通対応車両であることを示すステッカーが貼りつけられている。なお、阪神乗り入れに対応していない車両も折り返しの関係で回送列車として阪神なんば線の桜川駅まで乗り入れる。 一部車両を除いて、新旧関係なく2両編成・4両編成・6両編成を組合わせて運用されているが、阪神乗入対応車両は2両編成と6両編成の組合せのみである。地下鉄烏丸線乗入対応車両は6両編成固定となっている。3両編成は2本を連結して6両編成として運用する場合もある。なお、2両編成を5本連結した10両編成も運転されることがある。 瓢箪山駅 - 生駒駅間などの連続急勾配区間に備え、奈良・京都線系統の通勤車両各形式(および後述の阪神1000系・阪神9000系)にも勾配抑速ブレーキが装備されている。抑速ブレーキの設定は72 km/h、60 km/h、53 km/hの3段階あり、車両数や乗客数、天候を考慮して切り替えて、速度を一定に保っている[31]。
事業用車両過去の車両
乗り入れ車両京都市営地下鉄奈良線内においては、大和西大寺駅 - 近鉄奈良駅間で地下鉄烏丸線直通の急行に限り運用されている。
阪神電気鉄道近鉄線以外にも大阪梅田駅や山陽姫路駅方面にも運用しているため、3扉19m車を用いている。車両走行距離調整のため阪神なんば線へ直通しない近鉄線内完結列車にも使用されることがある[32]。阪神車両の夜間滞泊は東花園車庫内と西大寺車庫内で行われている。
歴史前述したように、近畿日本鉄道の直系母体会社である大阪電気軌道(大軌)初の路線として建設された。 本線の開通前には生駒山系の北側を迂回するルートで片町線(学研都市線)が、南側を迂回するルートで関西本線(大和路線)が既に開通していた。いずれも生駒山系を避け長大トンネルの建設から逃れる形であり、所要時間の点で不利であった。これらルート沿いの集落は当時まだ発展しておらず、競合路線を敷設しても十分な収益が上がる目処も立たなかった。そこで、大軌は生駒山を一直線に貫き、大阪と奈良を最短で直結するルートに賭けることとなった。当初はトンネル掘削の技術的困難さからケーブルカーの使用まで検討されたとされるが、同社の設立に尽力した岩下清周の主張と大林組の技術によって、長さ3,338mの生駒トンネルを開削し、生駒山の登坂区間にできる急勾配を高出力の電車(デボ1形)で越えるという案が採択された。生駒トンネル開削には多額の資金を使い、最後は社長の岩下が私財をなげうって建設を続行させたという逸話も残っている。この日本初の標準軌複線トンネルは難工事を極め、それに伴う資金難から工事を請け負った大林組は存続の危機に瀕した[9]。 大阪と奈良の間をできるだけ直線ルートで結ぶことにしたため、開業当初は沿線人口が少なく、生駒山の宝山寺や奈良へ向かう観光客が主要な乗客であった。よって収入は天候に左右され、同社の社員は常に天気に気を使っていたといわれる。そのため、「大阪電気軌道」でなく「大阪天気軌道」だと揶揄されたこともあった。 輸送力増強の方策旅客は1961年(昭和36年)当時、年間1億人を突破し、1日約30万人を輸送していた。沿線の開発や将来の難波延長によりますます旅客が増加することは明らかであった。当時奈良線では、朝夕のラッシュ時において、毎時特急、急行、準急列車各4本のほか、普通列車を合わせ計30本を運転していたが、各列車とも超満員で、最多客区間の乗車率は定員の230%に達していた。 輸送力増強の方策としては、15m級小型車両や18m級中型車両の編成長増強と、21m級大型車両の運行の2つの方法が検討された。1968年(昭和43年)度における輸送量を前提として、あらゆる経費を計算した結果、総建設費が大型車両案の方が増加するが、金利および償却費を含めた経費は大型車両案の方が有利であり、また生駒トンネルの補修費を考慮すると大型車両の方がはるかに有利であることが判明した。また、小・中型車両では輸送量の限度が1970年(昭和45年)ごろと早く到来すると予測されたのに対して、大型車両では1976 - 1977年(昭和51 - 52年)ごろと予測され、大阪近郊における複々線(現けいはんな線)の建設時期を将来に繰り延べできる利点も有することが明らかとなった。そのほか、難波延長線(現難波線)の建設時までに既設路線を改良しておけば、延長線の停車場の有効長を短縮でき余剰建設費の支出を避け得ること、将来電車線の電圧を600Vから1,500Vに昇圧すれば、大阪線や名古屋線の車両との流用が可能となり[注釈 5]、車両検修設備の統合ができること[注釈 6]など、合理化の面においても有利であった。 このため、開業時から使用していた小・中型車から車体規格を大きくすることにした。それに際して建築限界を拡大する必要から、新生駒トンネル(長さ3,494m)を新たに開削している。
年表
今後の予定→新駅計画については「#新駅設置計画」の節も参照
夢洲直通特急構想→詳細は「近鉄特急 § Osaka Metro中央線への乗り入れ」を参照
2025年に夢洲で開催が予定されている2025年大阪・関西万博にあわせて、架空電車線方式と第三軌条方式の両方の集電方式に対応した車両を開発し、近鉄奈良駅から当線、生駒駅手前よりけいはんな線に入り、Osaka Metro中央線経由で夢洲までの直通特急を走らせることを検討している[46][47]。しかし、夢洲での統合型リゾート (IR) 施設の開業が遅れていることから、万博前の運行開始は見送る方向としている[48]。 平城宮跡付近の連続立体交差化国土交通省による平城宮跡の整備事業計画に、宮跡内を横断している奈良県道104号谷田奈良線および近鉄奈良線の移設が盛り込まれている。これについて、近鉄と奈良県・奈良市は2020年7月16日、大和西大寺駅 - 近鉄奈良駅間4.4 kmについて、開かずの踏切除却と平城宮跡の迂回を主たる目的とした連続立体交差事業に向けた協議に入ることで合意し[49]、2021年3月25日、近鉄奈良線の高架化、地下化を含めた移設で合意した[50]。 具体的には、大和西大寺駅を高架化した上で、そこから平城宮跡を避けるようにして大宮通りに線路を移設するというもので、宮跡南側は地上に線路を敷設、宮跡東側は地下化する[50]。2041年度着工、2060年度完成の予定で、総事業費は2000億円を見込み、うち高架区間の建設費の7%を近鉄が負担することが決定している。県は近鉄側に、既存の新大宮駅の移設とは別に、大和西大寺駅 - 新大宮駅間に「朱雀大路駅(仮称)」、新大宮駅 - 近鉄奈良駅間に「油阪駅(仮称)」の新設を提案しているが、駅の新設については別途協議されることとなっていた[50][51]。 しかし、2023年4月9日に行われた奈良県知事選挙で当選した山下真は、「事業の必要性や費用対効果の検討が十分なされていない」として地下化、移設事業を凍結する方針を表明した[52][53]。これにより一連の議論は白紙に戻る事になる。 奈良県は「大和西大寺駅の高架化及び近鉄奈良線の移設を行う事業案」に加え、「大和西大寺駅の高架化のみを行い平城宮跡内の近鉄線は存置する事業案」との費用対効果の比較等を行った上で整備方針を決定し、2028年ごろに都市計画決定、2029年ごろに都市計画事業認可を目指すとしている[54]。 駅一覧
新駅設置計画→「§ 平城宮跡付近の連続立体交差化」も参照
2029年に予定されている大阪モノレール本線の門真市駅以南から近鉄奈良線交差地点までの延伸に合わせ、近鉄奈良線にも「瓜生堂駅(仮称)」が設置される予定である[45]。 2010年に平城宮跡で開催される平城遷都1300年記念事業のイベント期間中に大和西大寺駅 - 新大宮駅間に臨時駅を設置することが検討されていたが、イベント規模縮小化への方針などにより臨時駅設置は行なわれなかった。 経路変更区間
乗降客数
脚注注釈
出典
参考文献
関連項目
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