花氷 (松本清張)

花氷
作者 松本清張
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル 長編小説
発表形態 雑誌連載
初出情報
初出小説現代1965年1月号 - 1966年5月号
出版元 講談社
挿絵 生沢朗
刊本情報
刊行 『花氷』
出版元 講談社
出版年月日 1966年11月25日
装幀 伊藤憲治
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花氷』(かひょう)は、松本清張長編小説。『小説現代』に連載され(1965年1月号 - 1966年5月号、連載時の挿絵は生沢朗)、1966年11月に講談社から刊行された。政界に根を張った利権を利用し、一攫千金を狙う不動産ブローカーの野心を描く、ピカレスク・サスペンス。

1982年にテレビドラマ化されている。

あらすじ

東京・赤坂の寿司屋にて、粕谷為三は、かつて同棲していた愛人・霜井登代子と2年ぶりに再会した。粕谷は好奇心で登代子に伝言を送るが、現在の登代子が相当の金を持っていそうな様子から、自分の仕事に利用できないかと考え始め、登代子に接触をはかる。現在粕谷は、元バーの女・恵美子と同棲していたものの、そろそろ恵美子には飽きを覚えていた。

新宿二幸裏のバーで、不動産屋仲間から、九州出身の代議士・古賀が選挙資金の財源を求めている話を耳にした粕谷の頭に、底辺から這い上がるためのプランが浮かび始めた。愚鈍な銀行員の坂本が登代子に執着しているのを知った粕谷は、坂本を操りながら、銀行の支店長・黒川を引き込み、政界の実力者・高井派の利権に食い込もうと行動を始める。粕谷のプランは、埼玉県岩槻の分譲地買収話から、広大な国有地の払い下げ計画へと発展、一攫千金の機会を得るが…。

主な登場人物

粕谷が払い下げを狙う国有地は、小説ではさいたま市岩槻区北部にある設定となっている[1](写真は岩槻駅北方)
  • 原作における設定を記述。
粕谷為三
いくつもの職業を転々とし、現在の肩書きは池袋の「栄楽不動産株式会社専務」[2]。常に人を利用することを考えている。
霜井登代子
元は洋品店の女房。粕谷に唆され、夫を捨てた過去を持っている。
坂本吉雄
東陽銀行不動産部の課長。資産運用の相談を契機に、登代子を知る。
川崎恵美子
粕谷の現在の同棲相手。
井本正子
新宿二幸裏のバーのマダム[3]
古賀重蔵
九州出身の代議士。高井派に属する。
高井市郎
日本を支配する一人と言われる政界の実力者[4]
黒川千太郎
東陽銀行の支店長。出世コースを歩いているが、目下、不良貸付の処理に悩んでいる。
坂本常子
坂本吉雄の妻。
小泉次郎
粕谷の不動産屋仲間。
原田保吉
粕谷の不動産屋仲間。

関連項目

テレビドラマ

松本清張の花氷
ジャンル テレビドラマ
原作 松本清張『花氷』
脚本 宮川一郎
演出 真船禎
出演者 近藤正臣
風吹ジュンほか
エンディング 岩崎宏美聖母たちのララバイ
製作
制作 日本テレビ
放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間1982年3月30日
放送時間21:02 - 22:53
放送枠火曜サスペンス劇場
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松本清張の花氷」。1982年3月30日日本テレビ系列の「火曜サスペンス劇場」枠(21:02-22:54)にて放映。サブタイトル「野望に燃え二人の女を操りのし上がろうとする男の結末は?」。視聴率21.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。

キャスト
スタッフ
日本テレビ系列 火曜サスペンス劇場
前番組 番組名 次番組
松本清張の花氷
(1982.3.30)
針の誘い
(原作:土屋隆夫
(1982.4.6)

脚注・出典

  1. ^ 第五章4節を参照。
  2. ^ 第二章4節を参照。
  3. ^ 本名は第六章8節を参照。
  4. ^ 小説内では、首都圏第二空港の霞ケ浦建設計画を一声で白紙に戻した人物とされている。第六章6節を参照。
  5. ^ 第四章4節を参照。