『再春』(さいしゅん)は、松本清張の短編小説。『清張短篇新集』第10話として『小説新潮』1979年2月号に掲載され、1979年12月に短編集『隠花の飾り』収録の1作として、新潮社より刊行された。
1986年にテレビドラマ化されている。
あらすじ
鳥見可寿子は中国地方第一の都市に住んでいたが、東京の文学雑誌に出した小説が新人賞となり、続いてその年のある文学賞となった。土地のテレビは彼女を映し、地方紙はインタビュー記事を掲げた。冷やかし半分に妻の執筆を見ていた夫の敏雄だったが、その後も可寿子の小説が東京で好評を得たため、自身も東京本社に転勤する可能性が出てきたと言い、妻への気持ちが変わってきた。
そのうちに伝統ある競合雑誌からも原稿依頼が来たが、可寿子は書くべきテーマが浮かばなかった。焦った彼女は、知人でこの土地の名士である川添菊子に小説のヒントを求める。菊子夫人の友人の話題を素材にして、可寿子は小説「再春」を発表した。ところが…。
エピソード
- 著者は本作発表の4年後に以下のように記している。「『再春』は、わたし自身の苦い経験である。まだ小倉市(現・北九州市)に居たころ、家裁調停委員の丸橋静子さんから聞いた話を『文藝春秋』に『春の血』と題して発表したところ、トーマス・マンの『欺かれた女』をそのまま取ったといわれた。わたしは『欺かれた女』を読んでいなかった。『春の血』はわたしの小説集にも入れず、『全集(『松本清張全集』を指す)』(第一期)からも削除している」[1]。『春の血』は『文藝春秋』1958年1月号に掲載された短編小説である。
- 北村薫は小説「水源地はどこか」において、作中で鳥見可寿子を批判する評論家は荒正人がモデルであるとし、「1957年12月に発表された清張の短篇『春の血』に対して、荒はなぜ時間の経過した1958年春になってから文句をつけたのか」とする謎を設定、背景に横溝正史をめぐる応酬[2]があったと推測している[3]。
テレビドラマ
1986年6月23日、関西テレビ制作・フジテレビ系列(FNS)の「松本清張サスペンス 隠花の飾り」(22:00-22:54)の1作として放映。
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