母親たる九人姉妹母親たる九人姉妹(ははおやたるきゅうにんしまい)とは、北欧神話においてヘイムダル神を産んだとされている九人姉妹である。「ヘイムダルの九人の母親」については13世紀にスノッリ・ストゥルルソンが書いたスカルド詩の『スノッリのエッダ』で明言されており、また、13世紀初期の伝統的な資料から編纂された詩集である『古エッダ』の詩にも含まれている可能性がある。学者たちは「九人の母親から生まれた」ということは何を意味するのかを議論し、その概念を他のヨーロッパの民俗モチーフに結びつけようとしてきた。学者たちは「ヘイムダルの九人の母親」は波を擬人化した「エーギルとラーンの九人の娘」と同一であると理論化している。そして、ヘイムダルは海から生まれる。 根拠「ヘイムダルの九人の母親」は『スノッリのエッダ』の中の『ギュルヴィたぶらかし』と『詩語法』の2冊の本で言及されている。『たぶらかし』では、ヘイムダルが第25章で紹介されており、ここでは即位したハイの姿が偽装した伝説の王ガングレリに神の細部について告げている。 その他の詳細の中では、ハイはヘイムダルが九人姉妹の息子であると述べ、参考としてヘイムダルが九人姉妹から生まれたと記された詩『ヘイムダルの謎』(『ヘイムダルガルド』とも)からの2行を示す:
『詩語法』の第16章には、10世紀のスカルド詩人ウールヴル・ウッガソンの作品が引用されている。この詩ではヘイムダルを「八人の母親ともう一人の息子」と呼んでいる。引用された詩に続く散文は、詩がヘイムダルを九人の母親の息子として言及していることを指摘している[2]。 詩『巫女の予言短篇』(詩『ヒュンドラの歌』に含まれ、しばし『古エッダ』の一部とみなされている)には、学者がヘイムダルの彼の九人の母親を指すと頻繁に理論化した3つのスタンザが含まれている。
これらの名前の説明については#名前節参照のこと(以下の翻訳は、古ノルド語の形式を英語化したもであることに注意が必要)。 問題のスタンザは次の通り:
名前『巫女の予言短篇』に見られるヘイムダルの母親の名前のいくつかは他の様々な資料に現れており、個々の存在に言及している場合も言及していない場合もある:
学術的な受容と解釈『巫女の予言短篇』で言及されている九人の母親全員の名前は(名の諳誦で一般的な)女の霜の巨人の名前として他のところに現れる。さらにオーチャードはギャールプとグレイプはトール神が自分達の父親にたどり着くのを妨害する霜の巨人の乙女として言及されており、ヤールンサクサはトールの息子マグニの母親であると指摘している[17]。 何人かの学者はヘイムダルの九人の母親をエーギルとラーンの九人の娘(波の擬人化)と結び付けており、ヘイムダルが海の波から生まれたことを意味するとしている。しかしながら、この関連付けはエーギルとラーンの九人の娘と、ヘイムダルの九人の母親の名前が(『巫女の予言短篇』で見られるように)一致しないことから疑問視されている[18]。学者のジョン・リンドウはヘイムダルの母親たちをエーギルとラーンの娘たちとすることは、エーギルとラーンの娘たちが、ヘイムダルの母親たちと同様に姉妹であることは一致しているが、ヘイムダルの母親たちに関する2つの異なる伝承が両者の違いを説明しているのではないかとコメントしている[19]。 出典
参考文献
関連項目 |
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