樽見鉄道ハイモ180-100形気動車
樽見鉄道ハイモ180-100形気動車 (たるみてつどうハイモ180-100がたきどうしゃ)は、樽見鉄道の気動車である[3]。 本項ではハイモ180-100形と同型で、車内装備が異なる樽見鉄道ハイモ180-200形気動車(たるみてつどうハイモ180-200がたきどうしゃ)[8]についても併せて記載する。 概要1984年(昭和59年)10月に国鉄樽見線を第三セクターに転換して開業した樽見鉄道が開業に際して投入した気動車である[9]。 保守、運用の経済性を重視し、地方交通線用としてバスの部品を多用して富士重工業が開発したLE-Car IIを第三セクター鉄道として初めて採用した[10][11]。両運転台、トイレなし、セミクロスシートのハイモ180-100形1両と両運転台、トイレなし、ロングシートのハイモ180-200形2両が富士重工業で製造された[12]。 形式名「ハイモ」は「ハイスピードモーターカー」の略、180は馬力表示の機関出力を意味している[13]。 1985年(昭和60年)の鉄道友の会ローレル賞を受賞している[14]。
車両概説車体富士重工業製のレールバスLE-Car IIの標準寸法を採用、バス用構体を流用して製造され、車体長12,000 mm、車体幅2,440 mmと鉄道車両としては小型のものになった。観光バス型の車体を採用し、側窓は横引き式である[10][4][6]。前面は大型の一枚曲面ガラスで、乗務員室は中央に設けられ、乗務員用扉が省略された[10][4][15]。客用扉は幅870 mmの折り戸が片側2か所、両車端に設けられた[4]。扉間には中央部に下半分が引き違い式、上半分が固定式の幅1,570 mmの窓4組が設けられ、両端に同じ幅の固定式窓が設けられた[4]。外部塗装はブルーをベースに樽見鉄道の頭文字であるTを図案化した赤と白のストライプが窓下に描かれた[10]。 ハイモ180-100形は出入台付近をロングシートとしたほかは通路を挟んで逆向きの2人掛けシートを備えるセミクロスシート、ハイモ180-200形は全席ロングシートとなった[16]。 機器類エンジンは、日産ディーゼル製PE6Hディーゼルエンジン(定格出力132 kW / 2,200 rpm)を1基搭載、動力はレールバス用に開発された神鋼造機製SCAR0.91A液体変速機を介して台車に伝達される[7][10]。台車もレールバス用に開発された1軸ボギー台車FU30D/Tが採用された[10]。リンク機構により台車枠が回転する機構が盛り込まれ、軸距の規定である4.57 mを超過することが可能になった[17]。制動装置は応答性の良いSME三管式直通ブレーキが採用された[6][10]。 暖房装置はエンジン排熱を利用した温風式である。同時期に製造された名鉄キハ10形には冷房装置が設置されなかったが、ハイモ180-100形、ハイモ180-200形には冷房装置が設置された[6][11]。 車歴
運用1984年(昭和59年)10月6日の樽見鉄道開業に先立つ8月10日に名古屋駅にて引渡式と車両展示が行われた[10]。車両展示は8月12日から18日にかけて大垣駅でも行われ、開業までの間に性能試験、試運転が行われた[10]。 当初は単行運転用として総括制御に対応していなかったが、1985年(昭和60年)3月に総括制御対応に改造されている[14]。旺盛な輸送需要に対応するため、開業翌年の1985年(昭和60年)10月には全長、全幅ともハイモ180-100形・200形より大型化されたハイモ230-300形が新製投入された。1989年(平成元年)には神海駅 - 樽見駅間が延伸開業し、ハイモ180-100形・200形の運用範囲も拡大された[23]。 その後、輸送力の小ささからハイモ230-300形・ハイモ230-310形による置き換えが始まり、1993年(平成5年)にはハイモ180-101が有田鉄道に譲渡され[19][18][24]、2003年(平成15年)の路線廃止まで使用された[25]。 ハイモ180-200形は1999年(平成11年)にハイモ295-310形[26]・2006年(平成18年)にハイモ295-510形にそれぞれ置き換えられ廃車された[18][26][27]。ハイモ180-202は本巣市内で静態保存されている[28]。 ハイモ180-101は有田鉄道の廃線まで使用された後[25]、2010年(平成22年)からは有田川町鉄道公園で動態保存されるようになった[29]。しかし、制動装置が空気漏れを起こして自走不可能となっていたが(体験乗車は保線用モーターカーやLE-Carのキテツ-1型などと連結して継続)、2019年1月には自走する姿が確認されている。 出典
参考文献書籍
雑誌記事
Web資料
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