岩井茂樹 (政治家)
岩井 茂樹(いわい しげき、1968年〈昭和43年〉6月2日 - )は、日本の政治家。静岡県東伊豆町長(1期)[1]。学位は修士(工学)(名古屋大学・1996年)。選挙活動などでは岩井 しげき(いわい しげき)表記を用いる。 前田建設工業株式会社での勤務を経て、政治家秘書、参議院議員(2期)、参議院政府開発援助等特別委員長、参議院農林水産委員長などを歴任した。 概要愛知県名古屋市昭和区生まれ[2]、東京都出身[3]。前田建設工業に勤務したのち[2][3]、父である岩井國臣の秘書を経て[2][3]、第22回参議院議員通常選挙で当選を果たす[2][3]。第2次安倍改造内閣、第3次安倍内閣では経済産業大臣政務官・内閣府大臣政務官・復興大臣政務官を務め[3]、菅義偉内閣では国土交通副大臣・内閣府副大臣・復興副大臣を務めた[3]。参議院においては、政府開発援助等特別委員会や農林水産委員会で委員長を務めた[3]。静岡県知事選挙にて川勝平太に挑んだものの、大差で敗北した[4]。2022年3月に行われた東伊豆町長選挙に出馬し、無投票で当選した[1]。 来歴生い立ち1968年(昭和43年)6月、愛知県名古屋市昭和区で生まれる[2]。なお、本籍地は東京都世田谷区である[2]。東京都立戸山高等学校を経て、福井大学を卒業。名古屋大学大学院工学研究科地圏環境工学専攻に進学し[2]、環境工学、土木工学を学ぶ。1996年(平成8年)3月、名古屋大学大学院を修了[3]。 1996年(平成8年)4月に前田建設工業に入社[2][3]。同社では設計・施工管理を担当した[5][6]。 2004年(平成16年)10月に退職すると[2]、同年11月に岩井國臣事務所に入所し[2][3]、父である参議院議員の岩井國臣の秘書となった[2]。その傍ら、2006年(平成18年)4月から2010年(平成22年)3月にかけて、富士常葉大学の講師を非常勤で兼任するとともに[2][註釈 1]、主任研究員も兼任していた[2]。2007年(平成19年)、岩井國臣事務所を退職した[2]。岩井國臣は同年7月に政界から引退した。 自由民主党静岡県支部連合会は、2009年(平成21年)10月執行の第20回参議院静岡県選出議員補欠選挙にあたって、候補者を公募で選定することを決定。これに応募して合格する。同年10月、自由民主党の静岡県参議院選挙区第四支部の支部長となる[2]。同年、自民党公認で参議院議員補欠選挙に立候補したが、民主党公認で医師の土田博和に敗れ落選[7]。 国政2009年(平成21年)末、自民党県連は2010年(平成22年)の第22回参議院議員通常選挙で岩井を公認候補とすることを決定[5]。同年7月の同選挙において同県選挙区より立候補。この選挙では「保守一徹」を掲げ、神道政治連盟の支援も受けて初当選した[8][9]。2014年(平成26年)9月発足の第2次安倍改造内閣で、経済産業大臣政務官兼内閣府大臣政務官兼復興大臣政務官に就任した[3][6]。同年12月に発足した第3次安倍内閣でも続投[3]。 2016年(平成28年)7月、第24回参議院議員通常選挙で再選[3]。同年8月、参議院の政府開発援助等特別委員会委員長に就任した[3]。2017年(平成29年)9月、参議院の農林水産委員会委員長に就任した[3]。2019年(令和元年)には、自由民主党の政務調査会の水産部会の部会長に就任した[2]。2020年(令和2年)9月18日、菅義偉内閣で国土交通副大臣(災害対策、不動産・建設経済、水管理・国土保全、鉄道、自動車、国際、観光、気象関係施策の総括[10])に就任。現住所は静岡県三島市[11]。なお、静岡県選挙区から当選しているが、参議院議員となってからも本籍は東京都世田谷区に置いたままである[2]。 地方政界2021年(令和3年)6月に実施される静岡県知事選挙で、自由民主党は浜松市長の鈴木康友の擁立を模索していた[12]。しかし、鈴木が立候補を断念したため[12]、その代替として自由民主党の静岡県支部連合会は岩井に立候補を急遽要請した[12]。しかし、岩井が所属する平成研究会(竹下派)に対する事前の根回しがなかったため[13]、派閥内では驚きをもって受け止められた。所属議員から「勝つ見込みがあって擁立するならともかく、捨て駒では困る」[13] などの意見が上がり、幹部の間でも反発する動きが強まった[13]。自由民主党静岡県支部連合会は幹事長の二階俊博に対して岩井の立候補を促す要請書を手渡したが、この動きに対しても「要請書は本人に出すもので、幹事長に出すものではない」[13] との批判も挙がった。同年4月26日、岩井は自由民主党参議院会長を務めている平成研究会の関口昌一に立候補の意思を伝えたが[14]、関口は選挙の事前情勢分析に基づき慎重姿勢に終始した[14]。最終的に関口から「派閥として応援できない」[14] と言い渡された。 党本部の全面的な賛同を得られない状況ではあったが[14]、岩井は同年4月28日に立候補を表明した[15]。同年4月30日、知事選立候補準備のため、国土交通副大臣を辞任[16]。同年5月12日、議員辞職願を提出し[17]、同年5月14日の本会議で辞職が許可された[18][19]。自由民主党静岡県支部連合会も、同年5月10日に岩井を推薦するよう党本部に対して正式に上申した[20]。これを受け、同年5月12日に自由民主党本部は岩井を推薦することを正式決定した[21]。なお、自由民主党の推薦を得たが公認は得ていないため、自由民主党の党籍は保持したまま「無所属」として立候補した。ところが、自公連立政権の一角を担う公明党中央幹事会は、岩井を推薦せず[22]、自主投票とすることを決定した[22]。また、JAグループの政治団体である「静岡県農政対策協議会」は岩井を推薦することを決定したものの[23]、大井川用水を利用するJAでは岩井を推薦しない動きが表面化し、大井川農業協同組合や掛川市農業協同組合が岩井を推薦せず自主投票とすることを決めた[23]。さらに、JRリニア中央新幹線着工に伴う大井川の水質・水量への影響を重視する層が、現職候補の川勝平太の支援に回った[23]。 当初は自由民主党の本部と静岡県支部連合会とで温度差があったものの[14][24]、推薦を正式決定してからは党本部と静岡県支部連合会とが一丸となって選挙運動を展開した[24]。新型コロナウイルス感染症の流行が深刻化するなか、静岡県知事選挙の期間中は石破茂[25]、林芳正[25]、岸田文雄[25]、甘利明など[24][26]、自由民主党の重鎮が次々と応援のため静岡県を訪れ[25][26]、古賀誠も支援に動いた[25]。法務大臣の上川陽子[24]、外務大臣の茂木敏充[25]、内閣官房長官の加藤勝信など[24]、菅義偉内閣の国務大臣らも次々と応援のため静岡県を訪れた[24][25]。その結果、街頭での選挙運動では、対立候補である川勝平太を圧倒する動員力を誇示していた[24]。ところが選挙戦中盤になっても、依然として川勝優勢の流れは止まらなかった[24][27][28]。すると岩井は、投票日まであと5日という選挙戦終盤のタイミングで突如「1人1万円支給したい」[26] と発言し、新型コロナウイルス感染症のワクチンを接種した県民に対して一人あたり1万円を配布すると表明した[24][26][註釈 2]。さらに、前内閣総理大臣である安倍晋三も、インターネット上で岩井に対する支援を呼びかけた[29]。 2021年(令和3年)6月20日の投開票の結果、岩井は川勝平太に惨敗した[4][30]。川勝は前回の知事選挙よりもさらに得票数を伸ばしており[31]、川勝の得票率は6割を超えた。一方、岩井の得票率は3割台にとどまった。得票数も約62万票にとどまっており[31]、前回の参議院議員選挙で自身が獲得した票数すら大きく下回った。静岡県内の市や町のうち、熱海市と東伊豆町のみ岩井が競り勝ったが[32]、他の市町は全て川勝が勝利している[32]。岩井が自宅をおく三島市でも川勝に敗れており、地盤があるとみられた東部でも全く勝てなかった[32]。特に大井川用水を利用する地域では壊滅的な敗北を喫し[32]、岩井が大敗する市町が相次いだ[32]。吉田町では川勝が得票率7割を超えて圧勝しており[32]、岩井の得票率は2割台にとどまった。島田市[32]、菊川市[32]、牧之原市[32]、川根本町でも岩井はダブルスコアで大敗し[32]、掛川市[32]、藤枝市もほぼダブルスコアに近い敗北となった[32]。農村部だけでなく、政令指定都市である浜松市や静岡市といった都市部においても大差で敗北した[32]。特に静岡市長の田辺信宏は川勝と対立することが多く[32]、熱心に岩井を支援していたものの[33]、葵区[32]、駿河区[32]、清水区[32]、全ての行政区で岩井が敗北した[32]。出口調査によれば、自由民主党支持層の4割以上は川勝に投票しており[34]、無党派層も7割以上が川勝に投票していた[34]。なお、これほどの大敗となったものの、自由民主党静岡県支部連合会の会長である塩谷立は選挙後に「あと1週間あればという思いだ」[35] と述べており、あともう1週間あれば事態は変わっていたと分析している。 当選を果たした川勝平太は、選挙期間中の岩井と自由民主党について「政策集団としての政党の推薦でありながら、政策が実質的にないに等しいのは残念だった」[36] と評した。なお、選挙期間中より、岩井が不正確な表現で川勝平太を批判したり[37]、岩井を支援する茂木敏充が演説で「閉塞感漂う静岡」[38] と発言したりする事態が発生していたが、選挙後も、投票終了とほぼ同時に岩井の落選が報じられると静岡県の有権者に対する誹謗中傷がインターネット上に多数投稿された[39]。 2021年11月、任期満了に伴い2022年3月に行われる東伊豆町長選挙への立候補を表明[40]。同月8日に告示され、他に立候補の届け出がなく無投票で初当選を果たした[1]。 政策・主張
発言
家族・親族父親は参議院議員で、参議院決算委員長や国土交通副大臣等を歴任した岩井國臣。 略歴
所属団体・議員連盟
脚注註釈出典
関連項目外部リンク
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