台湾の行政区分
台湾の行政区分(たいわんのぎょうせいくぶん)では、中華民国が実効支配する台湾地区(自由地区)の現行の行政区分について説明する。 嘉義市─
概要台湾における行政区分は、中華民国憲法とその修正条項、ならびに地方制度法の規定に基づいて区分されており、現在では第一級行政区画の2省(台湾省、福建省)と6直轄市(台北市、新北市、桃園市、台中市、台南市、高雄市)、ならびに第二級行政区画の3市(基隆市、新竹市、嘉義市)と13県に区分されている。 第二級行政区画である市と県は省の管轄下にあるが、1996年1月に福建省が、1998年12月に台湾省がそれぞれ行政機能を「凍結」させられたため、現在では事実上行政院の管轄下に置かれている。 しかし、財政上は省と同格である2直轄市(台北市と高雄市)が厚遇されていたため、県や市には十分な予算が回らないという問題が続いてきた。そのため、2007年に地方制度法が改正され、人口200万以上の県市に直轄市並みの財政処置が可能とすることが決まった。この条件を満たす県市は複数あるが、まず台北県がこの準直轄市扱いとなった。なお、法律上は「準直轄市」という区分が存在しない。台北県も財政上の処置を除くと、他県同様の区分にとどまっている。2009年にも地方制度法が改正され、2010年末から台北県が新北市(直轄市)に昇格し、さらに台中市と台中県、台南市と台南県、高雄市と高雄県がそれぞれ合併して直轄市になった。また、桃園県は準直轄市扱いを受けられる条件となる人口200万以上を超えていたことから準直轄市扱いとなり、2014年には桃園市として直轄市に昇格した。 なお、中華民国が領有する東沙諸島と南沙諸島の島々は高雄市に、また尖閣諸島(中国語名:釣魚台列嶼)は「中華民国領海及鄰接区法」の規定によって宜蘭県の所管とされている。
行政区画の一覧→各行政区画別の人口、面積などの統計については「台湾行政区人口順位表」を参照
省級省省は中華民国の第一級行政区画である。中華民国は大陸領土の失陥後も自らが中国(台湾も含む)の唯一の正統な国家だと主張している。そのため、大陸時代の行政区画を未だ有効とし、中国全土を数十の省他に分割していた。しかし、1955年の大陳島撤退以降、中華民国政府が実効支配していたのは台湾省の全土と福建省の一部のみであった。この2省も1990年代に地方自治団体としての地位を削除されて組織が縮小し、台湾省議会は立法権を持たない台湾省諮議会に改組された。 2000年の改正中華民国憲法増修条文の規定により、省政府は中央政府の出先機関に改編された。『中華民国地方制度法律』では「省」の下部に「県」または「市」を設置すると規定されている。 2018年7月に台湾省政府が、2019年1月に福建省政府がそれぞれ事実上廃止されたため、現在は法律上にのみ存在する名目上の区画となっている。
直轄市直轄市(1994年以前は院轄市と称した)は行政院に直属する地方自治体である。人口125万以上、政治・経済・文化の発展に重要な地域が指定される。2010年12月25日と2014年12月25日に変更があり、現在は既存の台北市と高雄市に加えて新北市・台中市・台南市・桃園市が指定を受けている。「市」の下部には「区」が設置され、「区」の下部に「里」、「里」の下部に「鄰」を設置している。
県級県「県」は名目上は「省」の下部組織であるが、実際には行政院に直属する地方自治体。「県」の下部には「県轄市・鎮・郷」を設置し、「県轄市・鎮」の下部には「里」を、「郷」の下部には「村」が設置され、「里・村」の下部に「鄰」を設置している。
市市(1994年以前は省轄市と称した)は、県と同等の存在として行政院に直属する地方自治体。人口50万以上125万人未満であり、政治・経済・文化で重要な地位を占める場合に指定される。「市」の下部に「区」が設置され、「区」の下部に「里」、「里」の下部に「鄰」が設置される。
行政院聯合服務中心(行政院総合サービスセンター)行政院総合サービスセンター(行政院聯合服務中心)は省級の非正規な中央政府出先機関であり、行政院の各部会が各地域に出向した場合の総合庁舎として設置された。中心の責任者は主任である行政院副院長が兼務し、実際の政務は中心執行長(センター長)を中心に行われている。 聯合服務中心の管轄区域は『台湾地区国土綜合開発計画』で策定された台湾本島四大区域(台湾本土の北部、中部、南部、東部区域、福建省金門、連江両県による金馬区域)を担当することとなっており、現在は行政院南部総合サービスセンター(行政院南部聯合服務中心)と行政院中部総合サービスセンター(行政院中部聯合服務中心)、行政院東部総合サービスセンター(行政院東部聯合服務中心)、行政院雲嘉南区総合サービスセンター(行政院雲嘉南區聯合服務中心)、行政院金馬総合サービスセンター(行政院金馬聯合服務中心)が設置されている。 脚注注釈出典関連項目
外部リンク
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