ハイドン (1791年、ジョン・ホプナー 画)
交響曲第104番 ニ長調 Hob. I:104 は、フランツ・ヨーゼフ・ハイドン が1795年 に作曲した交響曲 。イギリス 訪問時のロンドン で作曲された、いわゆる『ロンドン交響曲 』のうちの1曲であり、ハイドンが作曲した最後の交響曲である。ハイドンの代表作の一つであり、『ロンドン 』(London )または『ザロモン 』(Salomon )の愛称で知られる。
概要
ハイドンは自筆譜に「私がイギリス で作曲した12番目(の交響曲)」と記しているが、実際には12曲の『ロンドン交響曲』のうち第99番 などがウィーン で作曲されているため、この記述は正しくない[ 1] 。
初演は1795年 5月4日 の慈善コンサートで行われたといわれてきた。ハイドンはこの日の日記に「すべての観客も私も余すところなく楽しんだ。私はこの夜に4000グルデンの収入を得た。これはイギリスだからこそ可能だった」 と記している[ 2] ことから、この日に演奏されたことは確かである。しかし、ハイドン研究家のロビンス・ランドン は、4月13日 の第6回オペラコンサートで初演されているとしている。[ 1]
愛称の由来
『ロンドン 』(または『ザロモン 』)という愛称はハイドン自身によるものではなく、19世紀になってから付けられたものであるが、本作だけでなく、本作を含む全12曲の『ロンドン交響曲』全てがロンドンに関係しているので、この愛称に特別な意味はない。
また、終楽章の冒頭で奏でられるドローン の特徴から、古くは『バグパイプ 付き 』といった意味の "mit dem Dudelsack" という愛称で呼ばれることもあった。
楽器編成
曲の構成
全4楽章、演奏時間は約30分。
第1楽章 アダージョ - アレグロ
ニ短調 - ニ長調 、4分の4拍子 - 2分の2拍子(アラ・ブレーヴェ )、序奏付きのソナタ形式 。
壮大なニ短調の序奏部で始まり、提示部は弦楽器 によるニ長調の第1主題の提示で始まる。複雑な転調をせずに、まっすぐイ長調 に転調して第1主題を再び木管楽器で提示する。第2主題はイ長調で木管楽器 と弦楽器で提示される。提示部は小結尾で閉じ、第1主題の後半のリズムを使ってロ短調 で始まる展開部に入る。展開部はオーケストラの全奏で閉じる。再現部では第1主題がニ長調で再現する。最後はニ長調のコーダ で閉じる。
第2楽章 アンダンテ
ト長調 、4分の2拍子、変奏曲形式 。
ト長調の弦による主題で始まる。この後、イ短調 とニ短調 を経由した後、弦楽器とファゴット で主要主題が繰り返される。第1変奏ではト短調 や変ロ長調 など様々な調に転調するが、主題の旋律の要素が続いている。ト長調の属調 に達した後、第2変奏になる。フルートのソロの後の第3変奏は短く、そのままコーダへ続く。
第3楽章 メヌエット :アレグロ - トリオ
ニ長調 - 変ロ長調 、4分の3拍子、複合三部形式 。
メヌエット部分は三部形式 (A-B-A)であり、Aでは主和音が強調されている。Bの部分は平行短調 (ロ短調 )や属調(イ長調)に転調する。
トリオは変ロ長調で、オーボエ やファゴットが長く用いられる。メヌエットのように、トリオの中間部は平行短調(この場合はト短調)が目立つ。トリオは属調で締めくくられ、メヌエットに復帰する。
注釈
^ a b 『ハイドン交響曲全集XII』音楽の友社、1982年、序文より。
^ Steinberg, Michael. "The Symphony: a listeners guide". p. 245-247. Oxford University Press, 1995.
外部リンク
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