ブログ
ブログ(blog)とは、World Wide Web上のウェブページに、日記や覚え書き、論評などを記すソーシャルメディアのことである。写真やイラストなどの画像を掲載することもできる。 「WebにLogする」ウェブログ (weblog) をブログ(blog)と略称する[1]。執筆者はブロガー (blogger) 、個別記事はブログエントリー (blog entry) と呼ばれる。 概要英語のウェブサイトがニュースやサイトなどに感想などを付して該当のURLとともに紹介したことが始まりとされる。のちにアメリカ同時多発テロの1か月後にリリースされたツール、例えばMovable TypeやBloggerなどが登場し本格的に拡大した。イラク戦争の際はバグダッド在住のイラク人女性リヴァーベンドが発するブログ『Baghdad Burning』(バグダッド炎上)が話題となり、その知名度を大きく引き上げる結果となった。 筆者の個人的な体験や日記、ニュースや時事問題などの話題など、時系列で記録されるウェブサイト全般を含めて呼称したり、ウェブサイトの作成機能を提供するソフトウェアやウェブサービスなどを称することもある。 ウェブサイトとしての体裁は、主として管理者が記事を投稿する私的ニュースサイト、あるいは公開日記である。特定の投稿方法に限定されないが、ブログ向けのソフトウェアやウェブスペースがあり、それをダウンロードやレンタルして使えば、HTMLを知らなくても、自身のブログとしてウェブブラウザから手軽に情報の発信・更新ができる。パソコンや携帯情報端末(携帯電話・スマートフォンなど)のインターネット機能を用い、自宅でも外出先でも手軽な更新が可能である。 それぞれの項目にはタイトルの付与が可能で、時間軸やカテゴリで投稿を整理、分類する構造となっている。 用途は多岐にわたり、個人の日記的なものや趣味についての発信、創作物の発表の場、手軽な意見表明や時事問題についての論説などさまざまである。また企業やクリエイター集団が、対外的な活動日誌などという位置づけで、自社公式ウェブサイト内で公開することも多い。 自身のブログでの発言や投稿した写真が、世間に対し影響を及ぼす者は「アルファブロガー」と呼ばれる。2010年代以降は、SNSに倣って「インフルエンサー」と呼ばれることが多くなった。 ブログとRSS多くのブログシステム(サービス)は、RSSフィードやAtom(以降、特に断りがなければRSSとはこれら2つを指す)を使って更新を自動通知したり、トラックバック機能を使用して、他のブログからの引用やリンクを自動で行えるなどの充実した編集機能が備わっている。RSSによるXMLを使った定型での情報配信は、それぞれのブログから配信されるRSSを自動巡回サービスで取りまとめて、更新があったときにユーザに通知するサービスを生み出した。また、データ配信の形が定まっているため、ニュース配信も容易で、大手のマスコミがニュースをRSSで配信し始めるようになった。RSSやAtomは、2010年代まで幅広く使われた。 分類
日本における普及日本ではブログよりも先にWeb日記、個人ニュースサイトといったウェブサイトが存在していた。初期の代表的な無料レンタルWeb日記サービスには『さるさる日記』と『日記レンタルサイトすくすく』が存在し[2]、初期のWeb日記のリンク集では『日記才人』が存在した[2]。また『gooコミュニティ』[3]、『OCNcafe』、『楽天広場』を始めとするコミュニティサイトにも日記機能が搭載されていた。 その後、ブログサービスツールの日本語化などによって2002年(平成14年)頃から急速にブログが普及した。特に2003年1月16日には独立系で「人力検索はてな」を展開していた企業「はてな」から『はてなダイアリー』が登場し、この『はてなダイアリー』はブログ内容に含まれるキーワードでブログ同士を繋ぐ『はてなキーワード』機能によって人気となり[4]、「はてな村」と呼ばれるほどの高いコミュニティ意識を形成していった[5][6]。 次いで2003年12月から2004年にかけてはインターネットサービスプロバイダ(@nifty、AOLジャパン、BIGLOBE (NEC) 、OCN(NTTコミュニケーションズ)、KDDIなど)やポータルサイト(ライブドア、エキサイト、Goo (NTT-X)など)が相次いでブログサービスを導入していった[7]。 2005年(平成17年)3月末の時点においては日本国内での閲覧者数(少なくとも月に1度はブログを閲覧している)が約1,651万人いると総務省から発表された[8]。また、2004年(平成17年)9月から翌年9月にかけての利用者数の増加が特に顕著であり、この間に約2倍に増加したことによって2,000万人を超えたという調査報道もなされた[9]。ブログの普及と共にブログの炎上も起きるようになっていった。 日本におけるブログは、各ブログの投稿数が多いことを特徴としており、その結果として、2006年(平成18年)の第4四半期には全世界のブログ投稿の約37%を日本語によるものが占めていたほどで、当時、英語や中国語を上回る第1位となっていた[10]。その他、日本独自のブログ形態として、携帯電話からのメール投稿(写メール対応のものもある)に対応したブログ「モブログ」(「Mobile Blog」の略)ないし「リアルタイム日記」(略称「リアル」)があった。 またブログ同士はトラックバックによる相互リンクで繋がっており、ブログは検索エンジンにおいて上位に出てくるようになっていた。ブログ以外が引っかかりにくくなったgoo検索ではその対策として2006年より[11]、Yahoo!検索では2007年よりブログフィルターの導入が行われた[12]。 それに加えて日本では2005年頃よりブログがコメントスパムやトラックバックスパムの温床となっていき[13]、だんだんトラックバック機能を無効化するブロガーが増加していった[14]。また2004年にはソーシャル・ネットワーキング・サービス (SNS) の「mixi」が登場して人気となっており、ブログサービスでもトラックバックの代わりなどとしてSNS機能を導入するものが現れた[14]。2006年2月には『ウェブリブログ』にSNS機能が追加され[14]、次いで2006年6月には『Naverブログ』の後継となる『CURURU』が[15]、2006年8月には『MSN Spaces』の後継となる『Windows Live Spaces』が[16][17]、2006年8月には『Vox』の日本語版が[18][19]、2006年8月には『nowa』がSNS機能を搭載したブログサービスとして登場した[18][20]。2007年4月9日頃よりはミニブログと称された短文SNSの『Twitter』が日本でも人気となっていった[21]。 日本におけるブロガー市民権を得たブログからは他人への影響力を持つ個人インフルエンサー(『アルファブロガー』)やブログメディア(「ギズモード・ジャパン」、「TechCrunch Japan」等)が登場したが、それだけでなく一般企業、オールドメディアに登場する芸能人、政治家、その他の著名人なども続々とブログへ参入するようになった。 芸能人におけるブログ活用の先駆者として知られるのは真鍋かをりと中川翔子であり、真鍋は内容まとめて投稿するテキストサイト的なスタイル、中川は後のSNSのように日常の出来事を逐次更新するミクロ的なスタイルを特徴としている[22]。 また著名人が居ることを売りにしたブログサービスも登場した。これには『オリコンブログ』[23](後の『スタ☆ブロ』)や『ラフブロ』(casTYブログの後継)[24]、『LINE公式ブログ』(後のLINE BLOG)[25]などがあった。 年表
問題点アフィリエイトブログブログにアフィリエイト広告などを貼り収入を得るブロガーも増え、また企業が宣伝目的に利用するケースも増えており、企業が商品をブロガーに提供し宣伝を書いてもらう広告なども存在している。 アメリカでは、企業が個人になりすまして商品の宣伝広告を記事にする「やらせブログ」を制作していたことがが判明し、ステルスマーケティングとして問題視された。その結果、2006年12月にはやらせサイト・ブログを規制する法案が連邦取引委員会に提出され、その後は州法での規制がなされている。 英語版ウィキペディアによると、英語圏では「やらせブログ」のことを "Fake blog" あるいは "Flipped blog" と言い、略して「Flog」と呼ぶという。 →「成功報酬型広告」および「ステルスマーケティング」も参照
ブログと選挙活動2004年のアメリカ大統領選挙ではハワード・ディーンを始めとする民主党陣営が積極的にブログを活用した。 日本では2005年に行われた第44回衆議院議員総選挙において、ブログの有効活用の動きがあったものの、ブログを含めたウェブページは「(新たな)文書図画の頒布による選挙運動」と見なされ、公職選挙法によって候補者のウェブサイトは選挙告示以降の更新が停止されるという問題があり、積極的な活用はされなかった。当時この点について議論が行われており、また現行法の枠内でも投票を呼びかけなければ(つまり選挙に関係ない一般的な話題であれば)更新してもよいのではという意見もあり、2013年のネット選挙解禁まで法律上不安定な状況が続いた。 →「ネット選挙」も参照
ブログ「炎上」2000年代には日本でもブログが普及するにつれ、著名人などのブログに批判や誹謗中傷のコメントが多数寄せられ、その記事が2ちゃんねるといった匿名掲示板(およびそれをまとめたまとめサイト)などを通じて拡散し、批判コメントが止まらない状態となることがたびたび発生するようになり、これがネットスラングで「ブログ炎上」と呼ばれるようになった[55][56][57]。 2010年代のSNSの普及後は、SNSなどのウェブサービスにとどまらず、著名人の発言や企業CMなども含めて、インターネット上で拡散し、広範囲から批判や非難を受けること全般を指して「炎上」と呼ばれるようになった[55][56][57]。 →詳細は「炎上 (ネット用語)」を参照
トラックバックスパムブログのトラックバック機能を悪用して、宣伝のため無差別にトラックバックを送りつけてくる迷惑行為。このため日本では、トラックバック機能を廃止するブログサービスが増加した。 →「トラックバック § トラックバックスパム」を参照
ブログを公開するための主なソフトウェアサーバソフトウェア自分でサーバ上に設置するもの。低いレイヤ(OSの管理者権限を持っていればそのチューニングまで可能)でのカスタマイズができる。使用されている言語はPerlやPHP、Javaサーブレットなど多岐にわたる。
ポータルブログ構築ASPブログのポータルサイトを構築するASPパッケージ。単一のブログではなく、複数のブログを設置し、参加者を募るサイトを運営できる。一般的なLAMP環境で開発されている例が多い。
ソフトウェア型ブログサービスWebサービス型。いわゆる「既成ブログ」。利用者が自力でサーバソフトの設置をする必要はない。ブログのカスタマイズはサービスとして提供されているものに限られる。 ブログサービスにはポータルサイトの提供するもの、インターネットサービスプロバイダ (ISP) の提供するもの、それ以外の事業者の提供するものが存在する[58]。 日本
終了または終了予定
雑誌系・ニュースサイト系ブログ(終了)情報発信型アイドルの登場により多数のアイドルブログが登場した。またニュースサイトやファッションサイトなどからも業界人を中心としたブログが登場していた。
ゲーム系ブログサービス(終了)
ケータイ向け(終了)
ケータイ向けリアルタイムブログ→「リアルタイム日記 § 主なサービス」を参照
海外
ブログ検索エンジンブログ検索に特化した検索エンジン。RSSないしトラックバックPing収集型が多い。以下の他にも、各ブログサービスが提供するものがある。
など。 ブログパーツブログパーツとは、ブログに貼る小さなパーツのことで、プラグイン形式で提供されるものがほとんどである。ブログの機能やデザイン向上のため設置するほか、ブログカウンターやブログランキング、アフィリエイト広告などもこれにより設置される。 →詳細は「ブログパーツ」を参照
ブログを扱ったテレビ・ラジオ番組
脚注注釈出典
関連文献
関連項目
外部リンク |
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