ブレンドン・ボイド・ユーリー (Brendon Boyd Urie 、1987年 4月12日 - )は、アメリカ合衆国 のシンガーソングライター である[ 4] 。2004年から19年にわたってパニック!アット・ザ・ディスコ のフロントマンとして活動を行なっていた[ 5] [ 6] 。バンド内では主にボーカル 、鍵盤楽器 、ギター を担当し、曲によってベース を演奏したほか、2015年にソロ・プロジェクトになってからはドラム の演奏も担当するようになった。
他のアーティストの楽曲への客演や楽曲提供も行なっており、このうちテイラー・スウィフト とのコラボ曲「ME! 」は、Billboard Hot 100 で20週にわたってチャートに残留し、5月11日付のチャートで最高位2位を記録した。2023年にパニック!アット・ザ・ディスコを解散して以降、マイク・ヴァイオラ のバックバンドのドラマーとして活動している[ 7] [ 8] 。
来歴
生い立ち
ブレンドン・ユーリーは、ユタ州 セントジョージ で生まれ、2歳の時にネバダ州 ラスベガス に引っ越した[ 9] 。モルモン教徒 の家庭で育っていたが[ 10] 、神を信じていないことや音楽を追究することを理由に信仰をやめた[ 11] [ 12] 。
高校はパロ・ヴェルデ高校 に通学[ 13] 。クラスメイトに後のパニック!アット・ザ・ディスコのベーシストであるブレント・ウィルソンがいた[ 14] 。バンドの新しい練習場所を借りるための資金を得るためにトロピカル・スムージー・カフェ で働き始め、時折店に来た客に向けて歌ったりしていた[ 15] 。2005年に高校を卒業[ 16] 。
パニック!アット・ザ・ディスコ
2006年撮影
2004年、ウィルソンとともにパニック!アット・ザ・ディスコ にギタリストとして加入[ 14] [ 16] [ 17] 。加入当時はライアン・ロス がバンドのリード・ボーカルを務めていたが、リハーサル時に聞いたユーリーの歌声にメンバー全員が感銘を受けたことからユーリーがリード・ボーカルを務めることとなった[ 17] 。
2005年9月27日、スタジオ・アルバム『フィーバーは止まらない 』とシングル『殉死と自殺の差は記事になるかならないか 』でデビュー[ 18] [ 19] 。アルバムは2017年4月時点で180万枚の売上を記録している[ 20] 。2008年3月25日に発売された2作目のスタジオ・アルバム『プリティ。オッド。 』では、「アイ・ハヴ・フレンズ・イン・ホーリー・スペーシズ」と「フォーキン・アラウンド」の2曲の作詞作曲を手がけた[ 21] [ 22] 。また、2009年公開の映画『ジェニファーズ・ボディ 』の主題歌「ニュー・パースペクティブ 」も手がけた[ 23] 。
2007年のユーリー
2011年3月22日、ドラマーのスペンサー・スミス との2人体制では初となるスタジオ・アルバム『悪徳と美徳 』を発売[ 24] 。ユーリーは同作における主要なソングライターとしての役割も担った[ 25] 。2013年10月8日、4作目のスタジオ・アルバム『生かしておくには型破り過ぎるが、殺すにはレアすぎる! 』を発売[ 26] 。Billboard 200 では初登場2位を記録[ 27] 。2014年のAlternative Press Music Awards ではベスト・ボーカリスト賞を受賞[ 28] 。2015年4月2日にスミスの脱退が発表され[ 29] 、10月22日にベーシストのダロン・ウィークス がツアーメンバーに戻ることが発表された[ 30] 。これによりオリジナルメンバーはユーリーのみとなり[ 29] 、以降はユーリーのソロ・プロジェクト として活動を継続[ 31] [ 32] 。
2016年1月15日、ソロ・プロジェクトへの移行後初となるスタジオ・アルバム『ある独身男の死 』を発売[ 33] 。発売初週で19万ユニットの売上を記録し、Billboard 200では自身初となる第1位を獲得[ 34] [ 35] 。2018年6月22日にはスタジオ・アルバム『プレイ・フォー・ザ・ウィキッド 』が発売され、前作から2作連続での第1位を獲得した[ 36] 。同作からの第2弾シングル「ハイ・ホープス 」は、『ビルボード 』誌の「Hot Rock Songs 」では108週にわたってチャートインし、このうち65週にわたって第1位を獲得[ 37] 。2022年8月19日、ジェイク・シンクレア やマイク・ヴァイオラ と共同制作した7作目のスタジオ・アルバム『ヴィヴァ・ラス・ヴェンジャンス 』を発売[ 38] 。
2023年1月24日、第1子の誕生に伴い家族に集中することを理由にパニック!アット・ザ・ディスコの解散を発表[ 39] [ 40] [ 41] 。2023年3月10日に開催されたマンチェスター公演をもって解散[ 42] [ 43] 。
その他の活動
「マキナリア・フェスティバル 」でのユーリー(2009年)
レーベルメイトのフォール・アウト・ボーイの作品には複数回参加しており、2005年に発売のアルバム『フロム・アンダー・ザ・コーク・ツリー 』に収録の「7・ミニッツ・イン・ヘヴン」、2008年に発売のアルバム『フォリ・ア・ドゥ 』に収録の「ピッタリだぜ、ドニー 」と「20ダラー・ノーズ・ブリード」にゲスト・ボーカルとして参加した[ 44] 。また、「ア・リトル・レス・シックスティーン・キャンドルズ、ア・リトル・モア・“タッチ・ミー” 」(2005年)や「クーパーズタウンにヘッド・スライディング 」(2008年)、「ピッタリだぜ、ドニー 」(2009年)[ 45] の3曲のミュージック・ビデオにも出演した。
フォール・アウト・ボーイの他にも、ジム・クラス・ヒーローズ の「クローズ・オフ!! 」(2007年)のミュージック・ビデオには、当時のバンドメイトであるライアン・ロス 、スペンサー・スミス 、ジョン・ウォーカー とともに出演[ 46] 。2010年に公開されたブッチ・ウォーカー の「Pretty Melody 」のミュージック・ビデオにはスミスとともに忍者役で出演した[ 47] 。
2008年4月29日に発売されたザ・キャブ のアルバム『ウイスパー・ウォー 』に収録の「ワン・オブ・ゾーズ・ナイツ」にフォール・アウト・ボーイ のパトリック・スタンプ とともにバック・ボーカルとして参加[ 48] [ 49] 。
2009年1月21日、ザ コカ・コーラ カンパニー のキャンペーンの一環でナールズ・バークレイ のシーロー・グリーン 、フォール・アウト・ボーイのパトリック・スタンプ、ジム・クラス・ヒーローズ のトラヴィー・マッコイ 、ジャネール・モネイ らとともにスーパー・グループ 「Open Happiness 」を結成したことを発表[ 50] 。3月16日にMySpace 上でグループと同名の楽曲「Open Happiness 」が公開され、iTunes 上でポロウ・ダ・ドン によるリミックス・バージョンが配信された[ 51] 。
2011年、『Edgefest 』にて
2013年12月8日、ケネディ・センター名誉賞 の受賞式典で、同賞を受賞したビリー・ジョエル の「ビッグ・ショット 」をカバー[ 52] 。
2014年3月24日、フィーチャリング・アーティストとして参加したトラヴィー・マッコイ のシングル曲「Keep On Keeping On」が発売される[ 53] 。同年10月16日には同じくフィーチャリング・アーティストとして参加したディロン・フランシス のシングル曲「ラヴ・イン・ザ・ミドル・オブ・ア・ファイアーファイト 」が発売され[ 54] 、『ビルボード 』誌のHot Dance/Electronic Songs では最高位45位を記録した[ 55] 。
2015年、ミュージカル『スポンジ・ボブ / スクエアパンツ 』のために「Not A Simple Sponge 」を書き下ろした[ 56] 。同作は2018年にアウター・クリティクス・サークル賞 の楽曲賞を受賞した[ 57] 。
2017年4月11日、ミュージカル『キンキーブーツ 』に主演の1人として出演することを発表し[ 58] 、5月26日から8月6日にかけてチャーリー・プライス役を演じた[ 59] [ 60] 。ユーリーにとってブロードウェイ・デビュー作となった[ 58] 。
2018年12月5日、フィーチャリング・アーティストとして参加したベニー・ブランコ とジュース・ワールド のシングル曲「ローゼズ 」が発売される[ 61] 。同曲はBillboard Hot 100 で最高位85位を記録し[ 62] 、ユーリーにとってソロ名義でBillboard Hot 100にチャート入りした初の楽曲となった[ 63] 。
2019年4月26日、フィーチャリング・アーティストとして参加したテイラー・スウィフト のシングル曲「ME! 」が発売される[ 64] 。同作はBillboard Hot 100で20週にわたってチャートインし、5月11日付のチャートで最高位2位を記録した[ 65] 。同作のミュージック・ビデオは、同年のMTV Video Music Awards で最優秀視覚効果賞[ 66] 、MTV Video Music Awards Japan で最優秀女性アーティストビデオ賞[ 67] を受賞。
2020年5月13日、自宅からテレビ番組『ザ・トゥナイト・ショー・スターリング・ジミー・ファロン 』のセッションに出演し、ジミー・ファロン やザ・ルーツらとともにクイーン & デヴィッド・ボウイ の「アンダー・プレッシャー 」を演奏[ 68] [ 69] [ 70]
2022年夏、マイク・ヴァイオラ のアルバム『ポール・マッカーシー』(2023年4月26日発売)のレコーディングにジェイク・シンクレア とともに参加し、ドラム を演奏した[ 71] [ 72] [ 7] 。同作の収録曲である「Scientist Alexis」や「Water Makes Me Sick」のミュージック・ビデオにも出演している[ 73] [ 74] 。同年9月に発売されたONE OK ROCK のアルバム『Luxury Disease 』に収録の「Neon」にソングライターとして携わる[ 75] 。
2023年冬に行なわれたヴァイオラのアルバム『ロック・オブ・ボストン』(2024年9月20日発売)のレコーディングにドラマーとして参加した[ 8] 。
人物
音楽面
パニック!アット・ザ・ディスコ時代は主にボーカル 、ギター 、キーボード を担当[ 76] 。マルチプレイヤー であり[ 77] [ 78] 、2005年に発売されたデビュー・スタジオ・アルバム『フィーバーは止まらない 』では当時のベーシストであるブレント・ウィルソンの代わりにベース を演奏し[ 79] 、その後も「マッド・アズ・ラビッツ 」などの楽曲で演奏した[ 80] 。ソロ・プロジェクトへの移行後の2016年に発売されたスタジオ・アルバム『ある独身男の死 』ではホーン・セクション以外の楽器を演奏しており[ 81] [ 注 1] 、以降の作品でも一部楽曲を除きほとんどの楽器をユーリーが演奏している[ 83] [ 84] 。
影響を受けたアーティストとしてフランク・シナトラ 、クイーン 、デヴィッド・ボウイ 、トム・デロング を挙げている[ 85] [ 86] 。また、『エンターテインメント・ウィークリー 』の取材では、テイラー・スウィフト の長年のファンであり、スウィフトからソングライターとしての影響を受けた旨を述べた[ 87] 。
声域は4オクターブ(D2 – C5 – C6 (C7))[ 2] 。
私生活
プライベートのユーリー
幼少期に注意欠陥・多動性障害 の診断を受けたことを公言している[ 88] 。2016年の『ローリング・ストーン 』誌のインタビューでは共感覚 を持っていることを明かした[ 89] 。
2009年のサマーツアーでサラ・オルゼショヴスキーと出会い、その後パラモア のヘイリー・ウィリアムス の紹介をきっかけに交際を開始[ 90] 。2011年に発売されたスタジオ・アルバム『悪徳と美徳 』に収録の「サラ・スマイルズ」は、オルゼショヴスキーに触発された書かれた楽曲となっている[ 91] 。2011年に婚約し、2013年4月27日に結婚[ 90] [ 92] [ 93] 。
2013年に男性との性的経験があるとした一方で、自身の性的嗜好については「(どちらかといえば)異性愛者 だと思う」と語った[ 94] 。2018年、『ペーパーマガジン 』のインタビューでパンセクシャル であることを公言し、僕は女性と結婚しているし、彼女のことを愛しているよ。でも、男性も拒否しない。僕の場合、その人個人に惹かれるから と語った[ 95] [ 96] 。なお、2013年に発売されたパニック!アット・ザ・ディスコのシングル曲「ガールズ/ガールズ/ボーイズ 」の当初の歌詞は、自身の15歳から16歳の頃に体験した初めての三人組セックス が題材となっていた[ 97] 。
2014年に家を購入してから住所を公開していてファンから手紙やプレゼントが届いていたが、2017年2月26日に「ファンが自宅に来るようになったこと」や「頻繁に嫌がらせを受けるようになったこと」を理由にロサンゼルスから引っ越したことを発表[ 98] [ 99] 。
かねてより左腕に自身が尊敬しているフランク・シナトラ のタトゥーを入れており、2022年8月には同じく自身が尊敬しているフレディ・マーキュリー のタトゥーを新たに入れている[ 100] 。
2023年2月、第1子が誕生[ 101] [ 92] 。
慈善活動
「Walmart Soundcheck」でのユーリー(2013年)
2018年6月、ジェンダーや人種、宗教、性的嗜好、ジェンダー・アイデンティティに基づく差別や虐待を対象としたコミュニティ の支援を目的とした団体「ハイエスト・ホープス」を設立[ 102] [ 103] 。同月、GLSEN の協力のもとで全米の高校にLGBTQ の理解を深めることを目的としたクラブ「ゲイ、ストレート・アライアンス 」を設置する支援を行なうことを発表し、100万ドルを寄付した[ 104] [ 103] 。
2019年11月、24時間に及ぶTwitch のチャリティ配信において13万4000ドルの資金を集めた[ 105] [ 106] 。2020年初頭、ヘンダーソン・ボーイズ・アンド・ガールズ・クラブのレコーディング・スタジオの建設のために資金を調達した[ 107] 。
作品
シングル
プロモーション・シングル
参加作品
楽曲
※いずれもボーカルでの参加。
アルバム
受賞歴
脚注
注釈
^ ただし「ハレルヤ 」のドラム のみマーク・ステプロが演奏した[ 82] 。
^ 「Top 40 Singles」にはチャートインしていないが、「Hot 40 Singles」では最高位10位を記録した[ 116] 。
^ シングルチャートにはチャートインしていないが、ヒートシーカーチャートでは最高位5位を記録した[ 117] 。
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外部リンク
シングル プロモーション・シングル 楽曲 スタジオ・アルバム ライブ・アルバム コンピレーション・アルバム
Introducing... Panic at the Disco
Panic! at the Disco Video Catalog
関連人物 関連項目
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