この他の種にはフランスの上部暁新統から産出した D. remensis[8]、イギリス[8]やフランスの上部始新統から産出したD. elavericus[11]、ブルガリアの漸新統から産出したD. levantinicum[12]などが知られる。タイプ種の D. ratelii はフランスやスペインの下部中新統から産出しており、フランスとイタリアの下部漸新統からも産出している可能性がある[8]。
イングランドのハンプシャー州では多数の化石が産出している D. hantoniensis は、本属においてもっとも完全な化石が保存されている種である。本種は150年に亘って詳細な研究が行われていなかったが、2020年に再検討が行われ、結果としてイギリスの後期始新世に記録が限られることが判明している[8]。本種の形態情報を含めた系統解析では、4つの厳密合意樹のうち3つでディプロキノドン属が単系統群として再現されたが、同形形質や失われた情報に重みづけをした場合には暁新世の D. remensis がディプロキノドン属の系統から外れる形で再現された[8]。
D. darwini
D. hantoniensis
Diplocynodon cf. ratelii
系統
ディプロキノドンはアリゲーター上科の最も基盤的な属の一つである。以下は形態・分子・層序情報を用いた Lee & Yates (2018) に基づく、アリゲーター上科内におけるディプロキノドンの系統的位置を示すクラドグラムである[13]。
^ abRossmann, T.; Blume, M. (1999). “Die Krokodil-Fauna der Fossillagerstätte Grube Messel”. Ein aktueller Überblick., Natur und Museum, Frankfurt am Main129 (9): 261–270.
^ abcMassimo Delfino and Thierry Smith (2012). “Reappraisal of the morphology and phylogenetic relationships of the middle Eocene alligatoroid Diplocynodon deponiae (Frey, Laemmert, and Riess, 1987) based on a three-dimensional specimen”. Journal of Vertebrate Paleontology32 (6): 1358–1369. doi:10.1080/02724634.2012.699484.
^Kälin, J. A. (1936). “Hispanochampsa mülleri nov. gen. nov. sp.”. Abh. Schweizer. Palaeontol. Gesellschaft58: 1–39.
^ abJeremy E. Martin and Martin Gross (2011). “Taxonomic clarification of Diplocynodon Pomel, 1847 (Crocodilia) from the Miocene of Styria, Austria”. Neues Jahrbuch für Geologie und Paläontologie - Abhandlungen261 (2): 177–193. doi:10.1127/0077-7749/2011/0159.
^Jeremy E. Martin (2010). “A new species of Diplocynodon (Crocodylia, Alligatoroidea) from the Late Eocene of the Massif Central, France, and the evolution of the genus in the climatic context of the Late Palaeogene”. Geological Magazine147 (4): 596–610. Bibcode: 2010GeoM..147..596M. doi:10.1017/S0016756809990161.