スタンゲロチャンプサ [ 2] (学名 :Stangerochampsa )は、カナダ のアルバータ州 に分布する上部白亜系 から化石 が産出した、アリゲーター上科 グロビドン類 の絶滅 した科 。グロビドン類のうち、アリゲーター亜科 あるいはステムカイマン に属する可能性もある。後期カンパニアン から前期マーストリヒチアン 期にかけての地層であるホースシューキャニオン層 で発見された部分的な下顎と部分的な体骨格 RTMP .86.61.1 がホロタイプ標本に指定されている。本属は1996年に Wu らが記載しており、S. mccabei がタイプ種とされた。種小名は標本を発見し回収とプレパレーションを行った、化石発見された農場の所有者でもあるジェームズ・ロス・マカブへの献名である。スタンゲロチャンプサは小型から中型のワニ であり、タイプ標本の頭蓋骨長は先端部から後頭関節丘までで20センチメートル、最も幅の広い場所で幅13センチメートルである。また大腿骨 は長さ14.2センチメートルに達する。歯 は異歯性を示し、顎の後側には獲物の破砕に向いた大型の歯が並んでいる[ 3] 。
分類
Wu らは系統解析を用い、スタンゲロチャンプサをブラキチャンプサ (英語版 ) と最も近縁な位置に置いた。これに次いでアルバートチャンプサ (英語版 ) やハイラエオチャンプサ が近縁とされ、これら4属と早期に枝分かれした3属にアログナトスクス (英語版 ) とケラトスクス (英語版 ) およびワンナガノスクス (英語版 ) があり、中生代 から暁新世 にかけてのアリゲーター亜科の大多数がひとまとまりの系統群を亜科内に構築する結果となった[ 3] 。Brochu (1999) でのアリゲーター上科 の系統解析では、スタンゲロチャンプサとブラキチャンプサはアリゲーター科 から除外されることになり、またスタンゲロチャンプサとアルバートチャンプサは同属異名であることが示唆された[ 4] 。Brochu (2004)[ 5] と Hill and Lucas (2006)[ 6] では、スタンゲロチャンプサはアリゲーター亜科から除外され、アルバートチャンプサはスタンゲロチャンプサの姉妹群とされた[ 6] 。
以下は形態・分子・層序情報を用いた Lee & Yates (2018) の研究結果に基づくクラドグラム であり、グロビドン類 におけるスタンゲロチャンプサの系統的位置を示す[ 7] 。
一方で Bona et al. (2018) の系統解析ではスタンゲロチャンプサはアリゲーター科として位置付けられており、特に以下のクラドグラムで示すようにステム カイマンに置かれている[ 8] 。
出典
^ Rio, Jonathan P.; Mannion, Philip D. (6 September 2021). “Phylogenetic analysis of a new morphological dataset elucidates the evolutionary history of Crocodylia and resolves the long-standing gharial problem” . PeerJ 9 : e12094. doi :10.7717/peerj.12094 . PMC 8428266 . PMID 34567843 . https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8428266/ .
^ 小林快次 『ワニと恐竜の共存 巨大ワニと恐竜の世界』北海道大学出版会 、2013年7月25日、36-37頁。ISBN 978-4-8329-1398-1 。
^ a b Wu, Xiao-Chun; Brinkman, Donald B.; Russell, Anthony P. (1996). “A new alligator from the Upper Cretaceous of Canada and the relationships of early eusuchians” . Palaeontology 39 (2): 351–375. オリジナル の2011-09-28時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110928155111/http://palaeontology.palass-pubs.org/pdf/Vol%2039/Pages%20351-375.pdf .
^ Brochu, C. A. (1999). “Phylogenetics, taxonomy, and historical biogeography of Alligatoroidea”. Society of Vertebrate Paleontology Memoir 6 : 9–100. doi :10.2307/3889340 . JSTOR 3889340 .
^ Brochu, Christopher A. (2004). “Alligatorine phylogeny and the status of Allognathosuchus Mook, 1921”. Journal of Vertebrate Paleontology 24 (4): 857–873. doi :10.1671/0272-4634(2004)024[0857:APATSO]2.0.CO;2 . JSTOR 4524781 .
^ a b Hill, Robert V.; Lucas, Spencer G. (2006). “New data on the anatomy and relationships of the Paleocene crocodylian Akanthosuchus langstoni ” . Acta Palaeontologica Polonica 51 (3): 455–464. http://www.app.pan.pl/archive/published/app51/app51-455.pdf .
^ Michael S. Y. Lee; Adam M. Yates (27 June 2018). “Tip-dating and homoplasy: reconciling the shallow molecular divergences of modern gharials with their long fossil” . Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences 285 (1881). doi :10.1098/rspb.2018.1071 . PMC 6030529 . PMID 30051855 . https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6030529/ .
^ Paula Bona; Martín D. Ezcurra; Francisco Barrios; María V. Fernandez Blanco (2018). “A new Palaeocene crocodylian from southern Argentina sheds light on the early history of caimanines” . Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences 285 (1885): 20180843. doi :10.1098/rspb.2018.0843 . PMC 6125902 . PMID 30135152 . https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6125902/ .