グロビドン類
グロビドン類[1](グロビドンるい、学名:Globidonta)は、アリゲーター亜科、カイマン亜科、そして近縁な絶滅種を含むアリゲーター上科の分岐群。アメリカアリゲーターと、ディプロキノドンよりもそれに近縁な全ての種を含むステムベースの分岐群として定義されている。化石記録はアルバートチャンプサやブラキチャンプサといった後期白亜紀のものまで遡ることができる[2]。絶滅したグロビドン類は主に北アメリカ大陸とユーラシア大陸で繁栄しており、現生のものは南アメリカ大陸にも分布を拡大している。既知で最古のグロビドン類はフランスから産出したアキノドンで、同時に最も基盤的な属でもある[3]。 特徴基盤的グロビドン類は全長1.5メートル程度と、小型のワニであった[1]。彼らは丸みを帯びた短い吻部と球根状の歯が特徴として挙げられる。一方で現生グロビドン類の吻部は扁平で、歯もより円錐形をなしており、初期のグロビドン類よりも一般化している。一般化した形態は特殊化した形態よりも祖先的と予想されることが多く、グロビドン類のように基盤的メンバーが特殊化を遂げているのは普遍的なことではない。これはエドワード・ドリンカー・コープが1894年に提唱した「非特殊化の法則」に反しているように見える。「非特殊化の法則」の下では、形態変化は常に特殊化の方向へ進み、特殊化した形態が再び「非特殊化」した状態へ戻ることはない。このパターンの変化は、グロビドン類では見られないが、アリゲーター上科やクロコダイル上科の基盤的な属種で確認されている[4]。 扁平な吻部をしたグロビドン類は、系統の進化の過程で少なくとも二度出現した。一度はカイマン、もう一度はアリゲーターである。ヨウスコウアリゲーターはやや鈍い吻部を持っていて特殊化していると考えることができるが、アルバートチャンプサのような基盤的グロビドン類のものほど丸く短いわけではない[4]。 ディプロキノドンとグロビドン類の最も近い共通祖先がディプロキノドンに似た形態を示していたなら、一般化した吻部の形をしていたはずである。一方で、ディプロキノドンの一般化した形も、特殊な鈍い吻部を持つ祖先から生じた可能性もある。ディプロキノドンに近縁なディプロキノドン亜科のバリフラクタの吻部は鈍い形状を示しており、祖先もそのような外見であったかもしれない[4]。 系統以下は Martin (2007) に基づくクラドグラム[3]。
出典
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