スペイングランプリ
スペイングランプリ(スペインGP、英: Spanish Grand Prix、西: Gran Premio de España、カタルーニャ語: Gran Premi d'Espanya)は、スペインで行われるF1の選手権レースの1つ。 概要1990年代以降、スペインGPは例年5月にバルセロナ近郊のカタロニア・サーキットで開催されている。しかし2026年からマドリード市街地コースで10年契約で開催予定[2]。シーズン開幕からアジア・オセアニア地域を転戦したのち、ここからヨーロッパラウンドの戦いが始まり、マシンに大掛かりなアップデートを施すチームもある。カタロニア・サーキットはテスト走行でも走りなれているため、ここでの成績から中盤戦以降の力関係を予想することもできる。ヨーロッパラウンドの中でもイタリア・ポルトガルと並びもっとも南に位置する地域で行われるレースであり、開催時期もあいまって猛暑の中での開催となることも多い。 歴史1913年にマドリード近郊のグアダラマ山脈のロードコースで、ツーリングカーイベントとして初開催された。1923年にはカタルーニャ州のシッチェスに建設されたオーバルトラック (Autódromo de Sitges-Terramar)にて、欧州のグランプリ規定に則ったレースが開催された。1926年以降はバスク地方のラサルテ・サーキット (Circuito Lasarte) へ舞台を移したが、1936年にスペイン内戦が勃発すると長い中断期間に入った。 1950年にF1世界選手権が創設されると、1951年と1954年にバルセロナ市街地のペドラルベス公道コースで再開された。しかし、ル・マン24時間レースの大事故の影響で1955年のグランプリが中止され、以後1966年まで開催されなかった。 1967年にノンチャンピオンシップ戦として再開。1968年よりF1世界選手権に復帰し、1975年までマドリード近郊のハラマ・サーキットとバルセロナの公園内にあるモンジュイック・サーキットで交互に開催された。モンジュイックはガードレールなど施設安全面に問題があり、1975年の観客死傷事故を最後に使われなくなり、1976年から1981年まではツイスティーなハラマで連続開催された。 1986年にはアンダルシア州に新設されたヘレス・サーキットで再開され、隣国のポルトガルGPとセットで、シーズン終盤の「イベリア半島連戦」として開催された。ヘレスはハラマと似た抜き所の少ないレイアウトが歓迎されず、1991年以降はバルセロナ郊外に新設されたカタロニア・サーキットに舞台を移すことになった。 2008年からバレンシア市街地コースでヨーロッパGPの開催が始まったことにより、スペインで2つのレースが開催されることになったが[注 1]、FIAによる1国1開催の徹底やスペイン国内の経済状況も踏まえ、2014年よりカタロニアとバレンシアで隔年開催することに合意したと伝えられたが、カタロニア側は少なくとも契約期間内の2016年までは当地で開催すると主張し[3]、2013年からはカタロニアのみの開催となった。2015年、カタロニアとの開催契約を2019年まで延長することが発表された[4]。 2020年以降の開催に関しては、F1を経営するリバティメディアとの交渉は2018年から行われていたが、観客動員数の減少や同国の英雄フェルナンド・アロンソが2019年以降の動向が不透明である点から[5]、交渉に進展がなく、むしろ例年カタロニアで開催されている5月にオランダGPが復活する見込みとなったことやアロンソがF1引退という形で2019年以降参戦しないことを表明したため(当時はF1引退と見られていたが、2021年にF1復帰を果たしている)、開催継続が危ぶまれていた。主催者であるRACC(カタルーニャ・リアル自動車クラブ)は開催継続へ向けて[6]、スペイン政府などに財政支援を要請した結果[7]、カタルーニャ州は1年の開催延長を承認し、ひとまず2020年の開催にこぎつけ[8]、2021年以降の開催契約交渉についての猶予を得ることができた。だが、猶予を得て交渉は行われていたものの[9]、2021年は何とか開催契約を締結したものの[10]、2022年以降の契約に関しては進展がなく、メディアからは、スペインGPは、2022年以降のF1のスケジュールから脱落する候補と思われていた[11]。そんななか、2021年11月に一部メディアでカタルーニャ州政府が契約更新を承認したと報道[12]。その報道の数日後の2021年11月26日、スペインGPの開催契約を2026年まで延長したことを発表[13]。これにより、スペインGPは少なくとも2026年までカタロニアで開催される予定であったが、2026年からマドリード市内の公道及び常設コースを組み合わせた新設サーキットで2035年までの開催契約が2024年1月に結ばれた[14]。 主な出来事
過去の結果と開催サーキット
F1世界選手権レース開催前(1913年-1935年)1913年は「RACE(スペイン王立自動車クラブ、西: Real Automóvil Club de España)グランプリ (RACE Grand Prix)」の名称でツーリングカーレースとして、1928年-1929年はスポーツカーレースとして開催された。 1936年-1950年はスペイン内戦と第二次世界大戦の影響により開催されなかった。
F1世界選手権レース開催後(1951年-)
開催されたサーキット
優勝回数ドライバー(2勝以上)
コンストラクター(2勝以上)
エンジン(2勝以上)
冠スポンサー2010年までは大手通信事業会社テレフォニカの名前を冠したGran Premio de España Telefónica(グラン・プレミオ・デ・エスパーニャ・テレフォニカ)が正式名称となっており、2011年と2012年はサンタンデール銀行が冠スポンサーとなりGran Premio de España Santanderと称した。2013年は冠スポンサーが付かなかったが、2014年から2017年及び2022年はF1にタイヤを供給するピレリが冠スポンサーを務め、レース名称はGran Premio de España Pirelli(2022年はPirelli Gran Premio de España[24])となり、2018年から2019年は冠スポンサーがエミレーツ航空となり、レース名称もGran Premio de España Emirates(2019年はEmirates Gran Premio de España)に、2020年から2021年及び2024年はアラムコが冠スポンサーに変わり、レース名称はAramco Gran Premio de Españaに[25][26][27]、2023年はAWSが冠スポンサーとなり、名称がAWS Gran Premio de Españaに変更されている[28]。 スペインGP以外のF1レース→詳細は「ヨーロッパグランプリ」を参照
スペインGP以外にもうひとつのF1レースを開催する場合、「1カ国1開催」という原則を回避する手段としてヨーロッパグランプリという名称が使用された。1994年と1997年はヘレスにて開催。2000年代に入ると、スペイン出身のフェルナンド・アロンソの活躍と共に国内では高い人気と注目を集めるようになり、2008年から2012年まではバレンシア市街地コースでヨーロッパグランプリが再び開催された。 脚注注釈
出典
関連項目外部リンク |