PARK
『PARK』(パーク)は日本のロックバンド、THE MAD CAPSULE MARKET'Sの5枚目のアルバム。 背景前作『MIX-ISM』(1994年)リリース後、2月に全国ツアー「reading S.S.M TOUR」を全9公演行い、6月22日にはデビュー以来のシングルであり、初の両A面となった「EJECT→OUT/PERIODIC CLASSIC」をリリース、さらに8月にはLUNA SEA、SOFT BALLET、BUCK-TICKとのジョイントライブ「L.S.B」の全4公演に参加する。 活動は順調に進んでいたが、 CRA¥(上田剛士)は前作に関して「(楽曲の幅の広がりが)自分らではわかってないから、広がり過ぎてて自分らの足下が見えてなかったから。少なくとも俺はそうだった。だから作り続けてるんだけど、作り終えた後の納得度っていう意味ではちょっとなって」、「いろんな価値観が広がっちゃってたんだよね。それに自分らでは全然気付いてない。今改めて思い返すとそうだったのかなって思う」と語るように、前作の完成度に不満を抱いており、今作では自分の音楽性を更に追求していく事となった[1]。 録音本作は湘南にあるイニックレコーディングホステリー、サウンドスカイスタジオ、伊豆にあるキーストーンスタジオの3箇所でレコーディングされている。 本作の曲作りに関して上田は、「山中湖の合宿所みたいなとこ借りて曲作ってたんだけど、そこに何度も行ったし。一人で機材車に積んで行ってってことを何度もやって。たぶん『MIX-ISM』で自分が納得しない度っていうのが、鬱憤としてすごい溜まってきてたんだよね。だからすごく頑張ったというか、初めて頑張った。それまでひょっとしたら頑張ってなかったのかもしんないというか、そこまで真剣にやれてなかったと思う」、「このレコーディングで、自分の中で広がりの幅を究極的に全部追及した。そういう意味で一番ヘヴィだったかもしんない。自分が作ったアルバムの中で一番きつかった」と語っている[1]。 音楽性本作では同バンドとして初めてラップの要素を取り入れたアルバムであり、ミクスチャー・ロック色の強い作品となった。 本作に関しKYONOは、「『HUMANITY』越えらんねえなって感じが、『PARK』では吹っ切れたんだよね。このアルバムのよさ、楽曲もそうだし音もそうだし、すごいいいものできたっていうふうに純粋に受け止められた」と語っている[1]。 MOTOKATSU(宮上元克)は、「ヒサビサにいいのできたなって感じがあった。レコーディング自体も気持ちよくできたし、できた音もいいし。楽曲自体が違うな、みたいな」と語っている[1]。 上田は、「すごい気に入ってすごい嬉しかった。と同時に、やっぱり納得いかない感があったの。自分のそれまでやってきたことの答えがここで1個ぽっと出たんだけど、ここまで頑張ってここまでやったんだけど、だからこそ納得できてないっていう。それも究極に自分で詰められたからわかったことだと思うんだけど」と語っている[1]。 リリース本作は1994年10月21日にビクターエンタテインメントのInvitation レーベルよりリリースされた。 12曲目と13曲目は初回限定盤にのみ収録されている。 この2曲は、メンバーの意向により、歌詞カードに歌詞が掲載されていない(帯、歌詞カードのスタッフクレジットのページの左上に注意書きが小さく書いてある)。なお、品番は通常盤がVICL-598、初回限定盤がVICL-597となり、CDのレーベル面の印刷面積が異なっている。 本作リリースの前にシングル「EJECT→OUT / PERIODIC CLASSIC」がリリースされているが、2曲とも本作には収録されていない。また、本作はジョージ・カックルから海外でのリリースを薦められ、アメリカ合衆国でインディーズレーベルよりリリースされている。そちらには前述の初回限定盤だけに収録されているボーナストラック2曲も、特に出荷時期によるバージョンの区別もなく収録されている。 プロモーション初のタイアップ作品となる「HAB'IT」が収録されている。ちなみに「HAB'IT」は邦画『ゲレンデがとけるほど恋したい。』(1995年)の挿入歌として使用された。 本作収録曲の内、「HAB'IT」、「LIMIT」、「IN SURFACE NOISE」、「パラサイト(寄生虫)」、「公園へあと少し」、「HI-SIDE (HIGH-INDIVIDUAL-SIDE)」の6曲のミュージック・ビデオが制作されている。この映像は後にVHS『VIDEO』(1995年)に全て収録されている。また、一部はさらにDVD『1990-1996』(2005年)にも収録された。 アートワーク本作のアートワークは前作に続きサカグチケンが担当している。 各曲の歌詞を掲載している歌詞カードは、一曲につき1ページを割いていて、そのページにはそれぞれ楽曲や歌詞のイメージに合わせた様々な絵画や写真が使用されている。また、曲によって縦書き、横書きが使い分けられており、字体(フォント)も曲ごとに異なっている。 ツアー本作リリース後の12月3日の新宿リキッドルームを皮切りに、「HI-INDIVIDUAL-SIDE TOUR」が全10公演行われている。最終日である1995年1月28日と1月29日には、渋谷公会堂での2DAYが実施されている。 また、本作を海外でリリースした経過から次作『4 PLUGS』が再び海外レコーディングになった事もあり、この時期に初の海外公演であるサンフランシスコ公演を実施している[1]。これに関しメンバーは手応えは何も感じなかったものの、海外で活動する意欲が高まった事、また上田は次作『4 PLUGS』の曲が出来上がっていくに従い、ライブへの意欲が高まってきたと語っている[1]。 批評
音楽情報サイト『CDジャーナル』では、「パンキーでゴリゴリしててヘヴィな『ナウ』なロックの手ざわりがこの人たちの身上だと思う」、「初期のP-MODELを思い出す」と評されている[2]。 音楽情報サイト『ローチケHMV』では、「まさに今のハードコアやインダストリアル系を感じさせてくれる内容」、「1曲目(「HI-SIDE」)と5曲目(「公園へあと少し」)が特にいい」、「60年代サイケロック風などもあり。期待以上!」と評されている[3]。 収録曲
曲解説
スタッフ・クレジット参加ミュージシャンスタッフ
リリース履歴
脚注
外部リンク |
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