カプセル・スープ
『カプセル・スープ』は、日本のロックバンドであるTHE MAD CAPSULE MARKET'Sのミニ・アルバム。 1992年7月22日にビクターエンタテインメントのInvitationレーベルよりリリースされた。 アルバムのジャケットに記載される正式タイトルはカタカナで『カプセル・スープ』表記だが、レコード会社の公式サイトなど、媒体によっては『CAPSULE SOUP』と英語で表記される場合もある。 背景前作『P・O・P』(1991年)リリースと同時に全国7か所を巡る『P・O・P TOUR』を敢行した後、本作のレコーディングが開始された。 前作発表後に全国ツアーが実施された後、本作リリースまでの間には全くライブ活動が行われておらず、その事に関してMOTOKATSU(宮上元克)は、「アルバムばっか作ってて、誰にも会わなかった」、「ライブやるヒマもなかったもんね。次から次へと作ってたから」と回想している[1]。 録音前作リリース後からメーカーと衝突する事が多くなり、その理由をCRA¥(上田剛士)は、「メーカーが俺らの可能性を低く見てるってことがわかったから」と語っている[1]。本作のディレクターは自らディレクションを名乗り出たにも拘わらず、メンバーがディレクターの意向に従わなかった事から降板してしまう[1]。そのため、本作はディレクター不在のままレコーディングが進められた[1]。 その事を上田は「(本作は)俺らとエンジニアだけで作った。クレジットには明記されているけど、その人は一度もスタジオに来なかった。(中略)ディレクターがそうだとメーカーの人一人も来ないから。誰も来なかった」と語り、宮上は「同じスタジオの地下で別のバンドのレコーディングやってるんだけど、俺らのスタジオには1回も来ない」と語っている[1]。 音楽性パンク・ロック色の強かった前作『P・O・P』(1991年)に比べ、基本的にはパンク・ロックではあるものの様々な音楽性に挑戦しているアルバムとなっている。1曲目のJ.S.バッハの小フーガのロックアレンジや、「セルフコントロール」や「G・M・J・P」では機械的な音や金属音などを使用し、テクノやインダストリアル調のアレンジも行っている。また、「彼女のKNIFE」では全編アコースティック・ギターによる演奏を行っている。「JESUS IS DEAD.」も含め、全体的にメッセージ色が高まっているのも本作の特徴である。 本作に関してKYONOは、「前作がすごい激しいアルバムだったから、次は逆に全然違うの出して驚かせてやろうって気持ちはちょっとあった」、「(前作発表後の取材などで)『ま、パンクだよね』って簡単に片付けられちゃう感じがあって。『あ、この奥にあるものを見てくれないんだな』って思って、それで『CAPSULE SOUP』に行ったんだよね」と語っている[1]。 上田は、「『P・O・P』でやったことと真逆っていうと大袈裟だけど、『P・O・P』は自分らが持ってるうちの一面をすごく突出して出したものだったから、その裏側を出すっていう意識はすごいあった。『ただのパンク・バンドじゃないぞ』みたいな」と語っている[1]。 プロモーション本作に関連するプロモーションとして、「JESUS IS DEAD.」のミュージック・ビデオが制作されているが、公式作品には一切収録されていない。 アートワーク表ジャケットは、当時のメンバーが来ていた衣装である破れたYシャツに黒ネクタイ、腕には「THE MAD CAPSULE MARKET'S」と書かれた腕章を焼け爛れた石像に着せている写真、裏ジャケットではその石像の頭に黒い布袋を被せたものとなっている。また、内ジャケットでは石像は焼き爛れる前の状態になっている。 さらに、インナーではメンバー個々のアップ写真の他、前述の石像の顔部分がそれぞれホイール、人間の耳、コンドーム、人形の頭、モルモットの頭、割れた鏡に差し変わったものとなっている。 ツアー本作リリース後には「MAD CLUB CIRCUIT QUATTRO 3DAYS」と題し、8月11日に大阪クラブクアトロ、8月12日に名古屋クラブクアトロ、8月14日に渋谷クラブクアトロで全3回の公演を行っている。 批評
音楽情報サイト『CDジャーナル』では、「ハードなギターとたたみかけるようなアグレッシブなヴォーカルで緊張感いっぱいのサウンドを聴かせる」、「いきなりバッハの小フーガが引用される『BACH SLEEPS.』は蛇足気味。スラッシュっぽいサウンドの味と日本語のノリがシンクロする『モルモット』などが聴き物」と評されている[2]。 収録曲
曲解説
スタッフ・クレジット参加ミュージシャンスタッフ
脚注
外部リンク |