MIX-ISM
『MIX-ISM』(ミックス・イズム)は、日本のロックバンドであるTHE MAD CAPSULE MARKET'Sの4枚目のアルバム、およびアルバムの1曲目に収録されている楽曲である。 1994年1月21日にビクターエンタテインメントのInvitationレーベルよりリリースされた。 初の海外レコーディング作品。本作以降、同バンドはパンク・ロック色の強いイメージから離れ、グランジ、ラップなど様々なジャンルを取り込んでいく事となる。 背景前作『SPEAK!!!!』(1992年)リリース後、メンバーは「SPEAK!!!! TOUR」と題した公演を3箇所で行い、その後は1993年に単発ライブとして2月21日に新宿パワーステーション、7月22日にはクラブチッタ川崎で「BODY CUNNING」と称したライブを敢行したが、活動は少なくなり、アルバムは発売されなかった。 その後、新しいディレクターとして関口明が就任し、メンバーに対してロンドンでのレコーディングを提案した。メンバーは意気投合し、同バンドで初の海外レコーディングを敢行する事となった。 CRA¥(上田剛士)はこの時の状況に関して、「ロンドンに対する憧れってよりも、初めての外国ってほうが大きかった。(中略)レコーディングよりも街並であるとか、その時に過ごした思い出のほうが強い」と語り、他のメンバーも宿泊施設の管理人とのやり取りや、様々なライブを観覧した事などが印象に残っていると語っている[1]。 録音レコーディングは1993年にロンドンにあるマスター・ロック・スタジオで行われた。 レコーディング方法に関して上田は「日本と全然変わらない」と語り、KYONOは「空気が違うからワクワク感があってさ。気持ちの上ではすごいテンション上がってたかもしんない」と語っている[1]。 また、上田は担当ディレクターが変わったことにより、「メーカー側とも上手く行くようになった」と語っている[1]。 その反面、上田はこの時期に関して、「次から次へとレコーディングして、次から次へと曲を作り続けてるっていう悪い状況もあったと思うんだけど、それによって自分の芯になる部分がだんだん見えなくなってきてる時期だったと思う」と語っている[1]。 音楽性前作までに比べて、幾分ポップな楽曲が多く占めている。ノイズを使用したアレンジの曲ばかりでなく、多種多様な曲に挑戦したアルバムとなっている。全体的にはリフをメインに構成された曲が多くなっている。 上田は本作に関し、「個人的にはすごく悩み始めた時期だった」、「自分の音楽というか音というかが、『MIX-ISM』ってタイトル通りすごくいろいろ幅広くあるんだけど、その幅の広さを上手く処理できていないというか」、「もちろん1個1個は全部好きなんだよ。なんだけど、それがキュッとまとめられてないっていうか。ただ作ってるだけ、ただ出てるだけって感じ。勝手に広がってるみたいでわけわかんなくなってた」と語っている[1]。 KYONOは、「いろんな曲があったから、まとまりがないって言えばない」「(それぞれの楽曲に対して)俺、この頃いろんな歌い方やってる」、「全部のアルバムの中でこの『MIX-ISM』が一番悩んでる感が出てる気がする」と語っている[1]。 MOTOKATSU(宮上元克)は、「『HUMANITY』以降『MIX-ISM』までは、『HUMANITY』ほど納得できるものができねえなとは思ってた。作った後の充実感っていうか。『なんかあれを越えられないな』ていうのをずっと思いつつ、『MIX-ISM』まで来ちゃったみたいなさ」と語っている[1]。 プロモーション本作に関するプロモーションとして、「プロレタリア」のミュージック・ビデオが制作されている。内容は工場の前で演奏するメンバーの姿と、湧き上がる黒煙、羽を取り付けたKYONOが水に溺れるシーンとで構成されている。後にDVD『1990-1996 VIDEO』に収録されたが、その際に一部映像にエフェクトが掛けられ、音源がベストアルバム『1990-1996』(2004年)に収録されたバージョンに変更されている。 アートワークアートワークは前作に引き続きサカグチケンが担当している。ジャケットはロンドンの街並みに立つ男性が「MIX-ISM THE MAD CAPSULE MARKET'S」と書かれた看板を持っている写真となっており、裏ジャケットでは別の男性が看板を持っている写真になっている。 インナーではロンドン市内に前述の看板が置かれた写真や、ロンドン市内で撮影されたメンバーの写真などで構成されている。 また、歌詞は全て縦書きで表記されている。 ツアー本作リリース後、2月5日の前橋ラタンを皮切りに、「reading S.S.M TOUR」と称したライブツアーを全9公演行っている。また、最終日となった2月23日の渋谷公会堂での公演が収録されたビデオ『reading S.S.M』が1994年6月22日にリリースされている。 この頃の状況に関して上田は、「その時期ライブもどんどんやらなくなってきてて。あんまりやりたいと思ってなかったんだよね。だから俺は精神的にちょっと籠ってる感じだったのかもしれない」と語っている[1]。 批評
音楽情報サイト『CDジャーナル』では、「単なる不平不満をぶちまけるだけではなく、その詞はファンタジックな雰囲気まで醸し出して、彼らならではの世界観を形作っている」と評されている[2]。 音楽情報サイト『ローチケHMV』では、「ロンドン・レコーディングなど、新しい試みの中で作られたようだが、いい意味でのMadのスタイルはしっかりと守られている」、「このCDは絶対にいい」と評されている[3]。 収録曲
曲解説
スタッフ・クレジット参加ミュージシャンスタッフ
脚注
外部リンク |
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