デケイリン・ゼカリアス・"DK"・メトカーフ(DeKaylin Zecharius "DK" Metcalf、1997年12月14日 - )は、アメリカ合衆国ミシシッピ州オックスフォード出身のプロアメリカンフットボール選手。ポジションはワイドレシーバー。NFLのシアトル・シーホークスに所属している。
父は元NFLガードのテレンス・メトカーフ(英語版)である。メトカーフはミシシッピ州オックスフォードで生まれ育ち、高校はオックスフォード高校、大学はミシシッピ大学(通称オールミス)でアメリカンフットボールをプレーした。ミシシッピ大学で3シーズンプレーした後、2019年のNFLドラフトでシーホークスに2巡目全体64位で指名を受け入団した。日本語では「メットカーフ」の表記も見られる。
経歴
高校時代まで
ミシシッピ州オックスフォードのオックスフォード高校へ入学し、高校時代のフットボールキャリアでは、224回のレシーブ、3,302ヤード、49回のタッチダウンを記録した。メトカーフは4つ星WRとして注目され、Rivals.comによるランキングで14位にランクされている[1]。
大学時代
2016年にミシシッピ大学(オールミス)に入学し、シーズン最初の2試合に出場した後、足の怪我によってシーズンを終えた。しかし彼はこの2試合で2レシーブ13ヤードを記録し、その2回のレシーブはいずれもタッチダウンにつながった[2]。 2年目の2017年には39回646ヤードのレシーブと7回のタッチダウンを記録した[3]。3年目の2018年シーズン、メトカーフはアーカンソー大学戦で首の怪我によってシーズンを終了するまでに、26レシーブ569ヤードを記録した[4]。 2018年のシーズン終了後、4年次は大学でプレイせず、2019年のNFLドラフトににアーリーエントリーすることを表明した。3年間で67回のレシーブで1,228ヤード、14回のタッチダウンを記録してカレッジキャリアを終えた[5]。
大学での通算成績
年度 |
チーム |
試合 |
レシーブ
|
出場 |
回数 |
獲得 ヤード |
平均 獲得 ヤード |
TD
|
2016 |
オールミス |
2 |
2 |
13 |
6.5 |
2
|
2017 |
12 |
39 |
646 |
16.6 |
7
|
2018 |
7 |
26 |
569 |
21.9 |
5
|
通算 |
21 |
67 |
1,228 |
18.3 |
14
|
シアトル・シーホークス
プレドラフト測定結果
身長 |
体重 |
腕 の 長 さ |
手 の 大 き さ |
40Yrd ダ ッ シ ュ |
10Yrd ス プ リ ッ ト |
20Yrd ス プ リ ッ ト |
20Yrd シ ャ ト ル |
3 コ 丨 ン ド リ ル |
垂 直 跳 び |
立 ち 幅 跳 び |
ベ ン チ プ レ ス
|
6 ft 3+3⁄8 in (191 cm)
|
228 lb (103 kg)
|
34+7⁄8 in (89 cm)
|
9+7⁄8 in (25 cm) |
4.33 s |
1.45 s |
N/A s |
4.5 s |
7.38 s |
40.5 in (103 cm) |
11 ft 2 in (3.40 m) |
27 回
|
All values from NFL Combine[6]
|
2019年シーズン
メトカーフは2019年のNFLドラフトでシアトル・シーホークスに2巡全体64位、ワイドレシーバー28人中9番目で指名された[7]。その後2019年5月22日、シーホークスと460万ドル相当の4年契約を結んだ[8]。
2019年9月8日、シンシナティ・ベンガルズ戦でレギュラーシーズン初戦をプレーしたメトカーフは、4レシーブ89ヤードを記録し、チームは21-20で勝利した[9]。これは、NFLのルーキー選手による総レシービングヤードのフランチャイズ記録であり、プロフットボール殿堂入り選手であるスティーブ・ラージェントのそれまでの記録、86ヤードを上回った。
第2週のピッツバーグ・スティーラーズ戦では、キャリア初のタッチダウンを含む3レシーブ61ヤードを記録し、チームは28-26で勝利した[10]。
第8週のアトランタ・ファルコンズ戦では、キャリア初の複数回のタッチダウンを記録した試合で、3レシーブ13ヤードで2回のタッチダウンを記録した。チームは27-20で勝利した[11]。
翌週第9週のタンパベイ・バッカニアーズ戦では、メトカーフはレシーブとレシーブヤードで自身のキャリア最高記録を更新し、第4Q終了時で53ヤードのタッチダウンレシーブを含む95ヤード、延長戦での29ヤードのキャッチを含む合計6キャッチ124ヤードを記録した。これは彼のキャリア初の獲得ヤード100ヤード越えのゲームだった。また、第3Qにゲームを21-21で同点にした2ポイントコンバージョンをキャッチした[12]。
メトカーフはレギュラーシーズンを、58回レシーブで900ヤード(NFLルーキーの中で3番目)、7回のタッチダウンレシーブを記録し、タイラー・ロケットに次ぐチーム2位の成績で終えた[13][14]。
ワイルドカードラウンドのフィラデルフィア・イーグルス戦では、7キャッチ160ヤードと1タッチダウンを記録し、チームは17-9で勝利した[15]。これはプレーオフゲームでのルーキープレイヤーの最多レシーブヤードのNFL記録であった[16]。
2020年シーズン
第1週のアトランタ・ファルコンズ戦では、メトカーフは38ヤードのタッチダウンレシーブを含む4レシーブ95ヤードを記録し、チームは38-25で勝利した[17]。
第2週のニューイングランド・ペイトリオッツ戦では、メトカーフは54ヤードのタッチダウンレシーブを含む4レシーブ92ヤードを記録した。チームは35-30で勝利した[18]。
第3週ダラス・カウボーイズとのゲームの第1Qで、メトカーフは61ヤードのロングパスをキャッチした後、後ろから相手CBのトレボン・ディグスが追いついていることに気付かず、ボールを片手で持っていたため相手にボールを弾かれ、エンドゾーン直前でファンブルしタッチバックとなる失態をした[19][20]。しかしチームはこの試合を38-31で勝利し、メトカーフは29ヤードのタッチダウンレシーブを含む110レシービングヤードを記録した[21]。
第4週のマイアミ・ドルフィンズ戦では、4レシーブで106ヤードを記録し、チームは31-23で勝利した[22]。
第5週、サンデーナイトフットボールのミネソタ・バイキングス戦では、試合残り15秒でチームの勝利を決定付けたタッチダウンレシーブを含む6レシーブ93ヤード、2回のタッチダウンを記録し、チームは27-26で勝利した[23]。
第7週のアリゾナ・カージナルス戦、カージナルスのSFバダ・ベイカーが、シーホークスにエンドゾーン前5ヤードにまで攻められた地点で、QBラッセル・ウィルソンのパスをインターセプトした。しかし、ベイカーがフィールドの半分を横切って完全に独走になっていたにもかかわらず、メトカーフはこれを追走しリターンタッチダウンを防いだ。結果的にアリゾナはこのインターセプトから得点に繋げることが出来なかった[24]。この時のメトカーフの最高速度は時速36.44km(22.64mph)に達し、これはシーズン中のその時点までのNFLの追走記録の中で2番目に速かった[25]。このプレーは、インターセプトというビッグプレーよりもそれを追走したメトカーフのスピードに注目が集まり、SNS上でも人気のプレーとなった[26]。
第8週のサンフランシスコ・49ers戦では、46ヤードのタッチダウンレシーブとランを含む12レシーブ161レシービングヤードと2つのタッチダウンを記録し、チームは37-27で勝利した[27]。
第12週、マンデーナイトフットボールのフィラデルフィア・イーグルス戦では、キャリアハイの10キャッチ177ヤードを記録し、チームは23-17で勝利した[28]。
2020年シーズンを1,303レシーブヤード、10回のタッチダウンで終えた。1,303レシーブヤードはシーホークスのフランチャイズ記録を更新し、35年前のスティーブ・ラージェントの記録を上回った[29]。この年、シーホーク・オールプロのセカンドチームに選出された[30]。
プレーオフのワイルドカードゲームのロサンゼルス・ラムズ戦では、51ヤードのタッチダウンレシーブを含む5キャッチ96ヤードと2回のタッチダウンを記録したが、チームは30-20で敗戦しシーズンを終了した[31]。
シーズン終了後、カリフォルニア州ウォルナット(英語版)で開催されたオリンピック選考会を兼ねた大会の100m予選に出場した。結果は組最下位の10秒37であったが、アメリカンフットボール選手が陸上競技で善戦する姿には、多くの賞賛が寄せられた[32]。9秒86の自己ベストを持ち、解説者を務めていた元トップ・スプリンターのアト・ボルドンはレース前に「彼の体格からすると10秒6から10秒7の間」と語っていたが、その予想を完全に覆す結果となった[33]。彼のレース出場の経緯は、この年のアリゾナ・カージナルス戦での追走劇が注目されたためであり、アメリカ陸上競技連盟はSNS上で「ぜひ参加ください」と反応していた。
詳細情報
レギュラーシーズン
年度 |
チーム |
背 番 号 |
試合 |
レシーブ |
ラン |
ファンブル
|
出場 |
先発 |
回数 |
獲得 ヤード |
平均 獲得 ヤード |
最長 ヤード |
TD |
回数 |
獲得 ヤード |
平均 獲得 ヤード |
最長 ヤード |
TD |
ファン ブル数 |
ロスト
|
2019 |
SEA |
14
|
16 |
15 |
58 |
900 |
15.5 |
54 |
7 |
2 |
11 |
5.5 |
7 |
0 |
3 |
3
|
2020
|
16 |
16 |
83 |
1,303 |
15.7 |
62 |
10 |
– |
– |
– |
– |
0 |
1 |
1
|
2021
|
17 |
17 |
75 |
967 |
12.9 |
84 |
12 |
1 |
6 |
6.0 |
6 |
0 |
1 |
0
|
2022
|
17 |
17 |
90 |
1,048 |
11.6 |
54 |
6 |
- |
- |
- |
- |
0 |
2 |
2
|
2023
|
16 |
16 |
66 |
1,114 |
16.9 |
73 |
8 |
- |
- |
- |
- |
0 |
0 |
0
|
NFL:5年 |
82 |
81 |
372 |
5,332 |
14.3 |
84 |
43 |
3 |
17 |
5.7 |
7 |
0 |
7 |
6
|
ポストシーズン
年度 |
チーム |
試合 |
レシーブ |
ファンブル
|
出場 |
先発 |
回数 |
獲得 ヤード |
平均 獲得 ヤード |
最長 ヤード |
TD |
ファン ブル数 |
ロスト
|
2019 |
SEA
|
2 |
2 |
11 |
219 |
19.9 |
53 |
1 |
0 |
0
|
2020
|
1 |
1 |
5 |
96 |
19.2 |
51 |
2 |
0 |
0
|
2022
|
1 |
1 |
10 |
136 |
13.6 |
50 |
2 |
0 |
0
|
通算 |
4 |
4 |
26 |
451 |
17.3 |
53 |
5 |
0 |
0
|
NFL記録
シーホークス記録
- ルーキー時の最多レシービングヤード(89ヤード vsシンシナティ・ベンガルズ)
- シーズン最多獲得ヤード(1,303ヤード)
私生活
家族
父親のテレンス・メトカーフ(英語版)はNFLの元ラインマンである[34]。
コーヒー
ESPNのアナウンサー、ジョー・テシトーレが「デカフェ・メトカーフ(“Decaf Metcalf”)」と間違って呼んでしまったことから、メトカーフはボルカニカコーヒー(Volcanica Coffee)と提携。2019年12月より、「デカフェ・メトカーフ」と表記された16オンス袋のコーヒーの販売を同社のウェブサイトで開始した。コーヒー販売の収益の一部は、メトカーフが長年の付き合いのある団体「プリズンフェローシップ」に寄付される[35]。
信仰
メトカーフはキリスト教徒である[36]。
脚注
- ^ “DeKaylin Metcalf, 2016 Wide Receiver”. Rivals.com. February 5, 2021閲覧。
- ^ Morales, Antonio (July 19, 2017). “Most important Rebels: No. 8 D.K. Metcalf”. Clarion Ledger. February 5, 2021閲覧。
- ^ Potter, Davis (April 4, 2018). “Ole Miss’ DK Metcalf focusing on present, not future NFL decision”. The Oxford Eagle. February 5, 2021閲覧。
- ^ Suss, Nick (October 15, 2018). “Ole Miss WR D.K. Metcalf out for season with neck injury sustained against Arkansas”. Clarion Ledger. February 5, 2021閲覧。
- ^ Wells, Adam (November 23, 2018). “D.K. Metcalf Declares for 2019 NFL Draft After More Than 2 Seasons at Ole Miss”. Bleacher Report. February 5, 2021閲覧。
- ^ “NFL Draft Prospect Profile – D.K. Metcalf”. NFL (March 1, 2019). February 5, 2021閲覧。
- ^ Patra, Kevin (April 26, 2019). “Seahawks snag Ole Miss receiver D.K. Metcalf”. NFL.com. February 5, 2021閲覧。
- ^ “D.K. Metcalf Contract Details” (英語). Spotrac.com. February 5, 2021閲覧。
- ^ “Close call: Seahawks hold off Dalton, Bengals for 21–20 win”. ESPN.com (September 8, 2019). February 5, 2021閲覧。
- ^ “Wilson, Seahawks edge Steelers 28–26 as Roethlisberger exits”. ESPN.com (September 15, 2019). February 5, 2021閲覧。
- ^ “Wilson throws 2 TD passes as Seattle stops Atlanta 27–20”. ESPN.com (October 27, 2019). February 5, 2021閲覧。
- ^ “Wilson throws 5 TDs, Seahawks outlast Bucs 40–34 in OT”. ESPN.com (November 3, 2019). February 5, 2021閲覧。
- ^ “D.K. Metcalf 2019 Game Log” (英語). Pro-Football-Reference.com. February 5, 2021閲覧。
- ^ “2019 Seattle Seahawks Statistics & Players” (英語). Pro-Football-Reference.com. February 5, 2021閲覧。
- ^ “Wilson leads Seahawks past Eagles 17–9”. ESPN.com (January 5, 2020). February 5, 2021閲覧。
- ^ “Rookies with 100+ receiving yards in a postseason game”. Pro-Football-Reference.com. October 9, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。February 5, 2021閲覧。
- ^ “Seattle Seahawks at Atlanta Falcons – September 13th, 2020” (英語). Pro-Football-Reference.com. February 5, 2020閲覧。
- ^ “New England Patriots at Seattle Seahawks – September 20th, 2020” (英語). Pro-Football-Reference.com. September 22, 2020閲覧。
- ^ Schwab, Frank (September 27, 2020). “Blooper of the year? DK Metcalf blows a TD, fumbles when he eases up before he crossed the goal line” (英語). Yahoo! Sports. February 5, 2021閲覧。
- ^ Moore, David (September 27, 2020). “Watch: Cowboys rookie Trevon Diggs saves touchdown with goal-line strip of D.K. Metcalf” (英語). Dallas News. February 5, 2021閲覧。
- ^ Jude, Adam (September 27, 2020). “Russell Wilson helps DK Metcalf redeem himself for botched touchdown with Seahawks’ game-winner” (英語). The Seattle Times. February 5, 2021閲覧。
- ^ “Seattle Seahawks at Miami Dolphins – October 4th, 2020” (英語). Pro-Football-Reference.com. February 5, 2021閲覧。
- ^ “Minnesota Vikings at Seattle Seahawks – October 11th, 2020” (英語). Pro-Football-Reference.com. February 5, 2021閲覧。
- ^ “Seahawks vs. Cardinals - Play-by-Play”. ESPN (October 25, 2020). February 5, 2021閲覧。
- ^ Weinfuss, Josh (October 26, 2020). “Seahawks' DK Metcalf runs down Cardinals' Budda Baker, prevents pick-six”. ESPN.com. February 5, 2021閲覧。
- ^ “The best memes of DK Metcalf chasing down Budda Baker, ranked” (英語). www.sportingnews.com. 2021年2月5日閲覧。
- ^ Dajani, Jordan (November 1, 2020). “49ers vs. Seahawks score: Russell Wilson and DK Metcalf dominate San Francisco, Jimmy Garoppolo injured” (英語). CBSSports.com. 2021年2月5日閲覧。
- ^ “Seattle Seahawks at Philadelphia Eagles - November 30th, 2020” (英語). Pro-Football-Reference.com. 2021年2月5日閲覧。
- ^ “Tyler Lockett & DK Metcalf Make History In Seahawks’ Week 17 Win Over 49ers” (英語). www.seahawks.com (January 3, 2020). 2021年2月5日閲覧。
- ^ “Seahawks' Bobby Wagner, DK Metcalf, Jamal Adams make All-Pro teams”. sports.MyNorthwest.com (2021年1月8日). 2021年2月5日閲覧。
- ^ “Wild Card - Los Angeles Rams at Seattle Seahawks - January 9th, 2021” (英語). Pro-Football-Reference.com. 2021年2月5日閲覧。
- ^ Gonzalez, Ty Dane. “Seahawks Star DK Metcalf's 100-Meter Dash Performance Was More Impressive Than Some Believe” (英語). Sports Illustrated Seattle Seahawks News, Analysis and More. 2021年5月13日閲覧。
- ^ “NFLのWRが陸上の100メートルで10秒37 シーホークスのメトカーフが快記録”. Sponichi Annex (2021年5月10日). 2021年6月2日閲覧。
- ^ Cronin, Courtney (August 22, 2015). “Oxford's Metcalf learns from a pro — his dad” (英語). The Clarion Ledger. February 5, 2021閲覧。
- ^ Schefter, Adam (December 8, 2019). “Coffee brand sells 'Decaf Metcalf' after MNF gaffe” (英語). ESPN.com. February 5, 2021閲覧。
- ^ Ackerman, Jon (April 24, 2019). “Receiver D.K. Metcalf aims to spread 'the Gospel through football' when he gets to NFL”. Sports Spectrum. February 5, 2021閲覧。
外部リンク
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クォーターバック
ランニングバック
ワイドレシーバー
タイトエンド
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オフェンシブライン
ディフェンシブライン
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ディフェンスバック
スペシャルチーム
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