人物の種類「電波系 」とは異なります。
アンテナ (中央)から電波が放射される様子を表した図
ダイポールアンテナ が電波を受信する様子を表す模式図。緑の矢印が電波による電界 であり、黒の矢印が電流 である。
電波 ( でんぱ 、( 英 : radio wave )とは、電磁波 のうち、比較的周波数 の低いもの。日本の電波法 などでは300万メガヘルツ 以下のものと定義される[ 1] [ 2] 。
概説
電磁波の存在を初めて実証したハインリヒ・ヘルツ は著書『Electric Waves』(1893年 )の中で、電磁波を「Electromagnetics wave in air(空中の電磁波)」と「The propagation of electric Waves bymeans of wire(線上の電磁波)」に区別しており、電波に関する国際機関ITU-R におけるradio waveの定義も
radio waves or hertzian waves:Electromagnetics waves of frequencies arbitrarily lower than 3000GHz,propagated in space without artificial guide. — 『ARTICLE 1 Terms and definitions,1.5』、ITU(1992)
とあるように、「人工的なガイドなしで空中を伝搬する電磁波」であることを明確化している[ 3] 。
用途
電波の用途としては、次のようなものを挙げることができる。
歴史
1864年 にジェームズ・クラーク・マクスウェル は「光 は波の姿をした電磁散乱である」と予測した。それから13年後の1887年 にハインリッヒ・ヘルツがマクスウェルの方程式 から光よりも周波数の低い電磁波(電波)の姿を推測し、電磁波の発生と検出を可能とする実験機器を考案制作してその存在を実証した[ 3] 。
今日、電波は英語では"Radio wave"もしくは"Hertzian wave"と呼ばれており、"Radio"と略して呼ばれる場合もある[ 3] 。CCIR(現在のITU-R)の基金が設立された1927年 に世界的な公用語として定着した。一方、1904年 にイギリスの郵便局が無線電信 をRadioと称したことから、Radioは空間に適した周波数帯の電磁波を使用して情報を搬送する技術・機器・システムを指す語として一般に使われるようになった[ 3] 。
日本語の「電波」という訳語は明治26年(1893年)に逓信省 技師の伊藤潔が著した『電気訳語集』が初出と考えられる[ 3] 。『電気訳語集』では、"Electric wave"の訳として「電波」を充てている。その後「電波」の用例は増えていったが、大正4年(1929年)の無線電信法 には「電波」の文字はない。昭和25年(1950年)に制定された電波法によって現代の「電波」が公用語として定義された[ 3] 。
電波における電磁スペクトル
周波数と対応する波長 によって電波は以下の周波数帯に分割される。
周波数帯
略称
ITU 基準
周波数
波長
用途例
3Hz 以下
100,000km 以上
極極極超長波
ELF
1
3 - 30Hz
10,000 - 100,000km
潜水艦の通信
極極超長波
SLF
2
30 - 300Hz
1,000 - 10,000km
極超長波
ULF
3
300 - 3000Hz
100 - 1,000km
鉱山における通信
超長波
VLF
4
3 - 30kHz
10 - 100km
長波
LF
5
30 - 300kHz
1 - 10km
中波
MF
6
300 - 3000kHz
100m - 1km
短波
HF
7
3 - 30MHz
10 - 100m
超短波
VHF
8
30 - 300MHz
1 - 10m
極超短波
UHF
9
300 - 3000MHz
100mm - 1m
センチメートル波
SHF
10
3 - 30GHz
10 - 100mm
ミリ波
EHF
11
30 - 300GHz
1 - 10mm
サブミリ波
300GHz以上
1mm以下
日本での規定
質の規定
電波法第28条に「送信設備 に使用する電波の周波数の偏差 及び幅、高調波 の強度等電波の質は、総務 省令 で定めるところに適合するものでなければならない。」と規定している。これを受けた無線設備規則 には、第1章総則第2節電波の質として、第5条から第7条に「周波数の許容偏差」、「占有周波数帯幅の許容値」、「スプリアス 発射又は不要発射の強度の許容値」があり、具体的な値は別表第1号から第3号に規定するものとしている。
広域使用電波という線引き
電波法第103条の2第2項に「広範囲の地域において同一の者により相当数開設される無線局に専ら使用させることを目的として別表第7の上欄に掲げる区域を単位として総務大臣 が指定する周波数(6000MHz以下のものに限る。)の電波」と規定している。
広域使用電波の指定は、電波法施行規則 第51条の9の9に「総務大臣が別に告示 により行うものとする。」とされ、この規定に基づき告示[ 4] される。
この規定は、電波利用料 の算定に際し、電波の経済的価値に応じて負担する考え方を導入したもの[ 5] で、携帯電話 など特定無線局 として包括免許されるものについて適用され、使用する周波数幅に応じて増減される。当初[ 6] の上限は3000MHz以下であったが後に[ 7] 6000MHz以下となった。なお、導入の検討時から「広域専 用電波」という文言が使用され、電波法改正後でもこの語を使用した記事があるが、これは誤字である。
脚注
関連項目
外部リンク