第三書館
第三書館(だいさんしょかん)は、文芸、ノンフィクションを中心とした日本の出版社。 概要1970年代から主に中東問題、アナキズム、新左翼に関する本を出版している。近年は芥川龍之介や夏目漱石、太宰治の小説集や、花田清輝の作品集、坪内逍遥訳『ザ・シェークスピア-全戯曲(全原文+全訳)全一冊』、『ザ・俳句歳時記』(監修:有馬朗人・金子兜太・廣瀬直人)、『ザ俳句10万人歳時記』(監修:有馬朗人・宇多喜代子・金子兜太・廣瀬直人、編集:松田ひろむ)など文芸関連の書籍も手がけている。 注目を集めた刊行書籍中東関係これまで、ノルウェーの文化人類学者による『カイロの庶民生活』、アラブ民族運動の歴史『アラブの目覚め』といった翻訳書を中心に、30点以上の中東関係の単行本刊行を行っている。また、1990年の湾岸危機時には、板垣雄三東大教授の編集で、同年10月に国内の中東研究者によるシンポジウムの収録と論文を集めた『クウェート危機を読み解く』、同年12月に中東の政治、文化、宗教などを理解するための論考を集めた『中東パースペクティブ』などを刊行し注目された。代表の北川明は「大きな出版社は、中東関係の本は最初から諦めている。私のところは、中東は日本人の外国理解の重要な鍵になると思うから、初版は2000-3000部を出して、時間をかけて売っていく」と述べている[1]。 『プリンセス・マサコ』騒動→「プリンセス・マサコ」も参照
皇太子徳仁親王妃雅子の苦悩と内情を描いたとされるベン・ヒルズ(オーストラリア・シドニー・モーニング・ヘラルドの元東京特派員でフリージャーナリスト)の著書『プリンセス・マサコ』(副題は「菊の玉座の囚人」)[2]の日本語翻訳版を2007年8月に出版(訳・藤田真利子)。この出版については宮内庁・外務省・皇室・講談社を巻き込んだ紛糾が発生した。 この本の英語版原書は2006年に出版され、日本語版は2007年3月に講談社が出版を決めていた。ここに宮内庁と外務省が「日本の皇室が、ダイアナ妃による……レプロシー・ミッション……への支援のような論議を呼ぶ事柄に関わりをもつことはありえない」という部分に対し、事実誤認だとして著者に公開質問を行った[3]。 講談社は、宮内庁の対応を受け、「東京やバンコクのナイトクラブなどへの出入り。手が早い。これ以上皇室の名が汚される前に手を打つ必要があった」(皇太子よりも早く結婚することになった文仁親王の結婚についての噂についての記述)など、原文にあった149箇所に渡る記述を削除し、最終的に出版中止を決めた[4]。 著者は、宮内庁と外務省が出版社に直接出版中止を依頼もしくは強制したとの証拠はないにもかかわらず、講談社の発行中止について、「日本国民は本で示される事実を知る権利がある」「あからさまな表現の自由に対する攻撃」と評している。 第三書館側は問題部分への指摘は出版中止の理由には当たらないとしている[5]。 警視庁流出データ掲載書籍2010年10月に、警視庁外事三課の内部資料とみられる国際テロに関する資料がインターネット上に流出する警視庁国際テロ捜査情報流出事件があった。第三書館は、日本に在住するイスラム系外国人の個人情報が記載されている問題の文書を『流出「公安テロ情報」全データ』として書籍化し出版した。同書には、捜査対象とみられる人々のほか、捜査協力者および国際テロ捜査を担当する警察官の氏名、写真など個人情報も掲載された。同社は、「警察の情報管理の甘さを問題提起したかった」とコメントしている[6]。 警視庁は問題の資料が内部から流出したものであると認めていないため、著作権の侵害を理由とする出版差止めなどの措置を取ることができない。また捜査資料に創作性があるのかも問題となる[6][7]。資料に個人情報が記載されたイスラム教徒の男性らは、28日にプライバシー侵害、名誉棄損を理由とする仮処分申請をおこない、東京地方裁判所は翌日29日に本の販売・増刷を禁止する決定を下した[8]。 主な出版物政治
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脚注
関連項目外部リンク
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