教科書改善の会
教科書改善の会(きょうかしょかいぜんのかい)とは、「新しい歴史教科書をつくる会」(略称:つくる会)の内部分裂により脱退したメンバーが、引き続き中学校歴史・公民教科書の発行を行うために2007年7月に組織した団体。正式名称は「改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会」。代表は屋山太郎。 教科書出版社として扶桑社が設立した「育鵬社」から教科書を継続発行することが決定している。 沿革・概要2005年夏の中学教科書採択で、全国584の採択地区のうち、「新しい歴史教科書をつくる会」系の扶桑社版の教科書の採択は、公立中学校では栃木県大田原市(歴史と公民)、東京都杉並区(歴史)、そのほかは2001年と同様に東京都と愛媛県の養護学校と新たに開設された中高一貫校のみであった。幹部たちは「採択率10%は確実」と言っていたことから、責任問題をめぐり「つくる会」では内紛が起こった。八木秀次は2006年2月28日に会長職を解任され、その後退会した。同年10月22日、八木は同じく退会した日本会議系の理事らと「日本教育再生機構」を設立した[2][3]。 2006年12月22日、第1次安倍内閣によって、「公共の精神の尊重」と「我が国と郷土を愛する態度を養う」ことなどを謳う「改正教育基本法」が公布・施行される。扶桑社は教科書発行が赤字の原因となったため社員の批判を多く受け、同年末に教科書事業からの撤退を決めた[3]。 2007年7月24日、八木らは、改正教育基本法の理念に基づいた歴史教科書及び公民教科書を出版することを目的として、「教科書改善の会」を設立した。同年8月1日、扶桑社は、新たに教科書事業を専門に行う子会社「育鵬社」を、フジテレビから3億円の出資を受けて設立した[3]。団体の性格について、公式サイトは『扶桑社の教科書事業が独立して設立されたフジサンケイグループの教科書会社「育鵬社」による中学校歴史・公民教科書の発行を側面支援する有識者グループ』と[1]している。本部は東京都台東区上野に置かれた。 日本教育再生機構と共に、教育とは「押しつけるもの」「植えつけるもの」と主張している[注 1]。 また「つくる会」の扶桑社版の版権も継承していると見られている。参加者や賛同者には八木秀次日本教育再生機構理事長(元つくる会会長)やクライン孝子・小林正・種子島経・中村粲など「つくる会」からの離脱者に加えて、花岡信昭や花田紀凱といった論客、加計孝太郎・すぎやまこういちらのような著名人が名を連ねている。 「つくる会」は自由社と提携することを決定した。 採択状況公立校横浜市の教科書採択をめぐって2011年8月4日、横浜市が育鵬社版の歴史・公民教科書を採択した。複数の市民団体や日本共産党、韓国民団などが「戦争を賛美し、日本国憲法を敵視している」などとして育鵬社版・自由社版の教科書の不採択を求める運動や請願を活発に行う中で、記名投票による教科書採択の結果、育鵬社版の教科書が採択された。横浜市教育委員会委員長の今田忠彦は、「勇気を持って答えを出した」「多くの辞任要求を出され、誹謗中傷を受けた。子供のためという美名のもとのイデオロギー闘争だ」と、採択終了後の記者会見で述べた[8]。定例会後、不採択を求めて約11万1000人分の署名を市教委に提出した市民団体「横浜教科書採択連絡会」のメンバーは「教育委員の思想信条で子どもたちの教科書が決められた」と批判した[9]。 なお、育鵬社の教科書を支持した委員は6人中4人で、4人は全員、前市長の中田宏が任命した委員であった。新市長の林文子が任命した委員である奥山千鶴子は「教科書は歴史書ではない。解釈がはっきりしないものが多いと学習の妨げになる。歴史認識が極端でないことが大切。国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という日本国憲法の基本がきちんと書かれていることを重視したい」、同じく林が任命した委員の山田巧(市教育長)は「横浜の子どもの学習実態を見れば、歴史観というよりも基本的な知識や概念の習得が大切だ。頭の中を整理しやすいことや、わかりやすさを求めるべきだ。歴史書が好きな人はたくさんいるが、それと教科書は分けて考えた方がよい」として、他社の教科書を支持した[10]。 この教科書について、育鵬社の教科書を批判する戸塚区の区民団体が「全国で反対され評価の低い」「高校受験・大学受験も不安」「市教育委員会の採択過程にも疑問」などと批判している。[11]。 私立校
教科書全面的な改定があり、2016年度(平成28年度)使用開始教科書は書名に「新編」が付与されている。
平成24年度使用開始教科書何れも2011年3月検定合格版が育鵬社より出版された。
市販本2011年5月10日出版
脚注注釈出典
参考文献
関連項目外部リンク
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