川口市消防局
川口市消防局(かわぐちししょうぼうきょく、Kawaguchi City Fire Department)は、埼玉県川口市の消防部局(消防本部)。埼玉県の単独消防部局では2番目に規模が大きい消防局で、市南部の県・都境に荒川が流れているため県内で最も早く水難救助隊(水難救助指定隊)を発足させた。また、東京都と隣接するため局地的に人口密度が高く、それに対応した消防力が求められている。 沿革
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組織消防局
消防部隊・救急部隊ポンプ隊消防ポンプ自動車(CD-I型、CD-II型)…17台(非常用5台)
CD-I型の消防ポンプ自動車は川口市だけでなく日本全国の消防部局で消防活動の主力となっている車両である。特にこの車両は、全長5.95m・全幅1.87mと全体的に小回りが利く為に市の半分以上を住宅密集地で占める道路狭隘地域において機動性が発揮できるように3tトラックシャシをベースにA-2級ポンプを搭載し、700ℓの水タンクを積載している。なお、芝園地区の北消防署芝園分署配備のポンプ車(芝園1)と神根地区の北消防署神根分署配備のポンプ車(神根1)と鳩ヶ谷地区の南消防署鳩ヶ谷分署配備のポンプ車(鳩ヶ谷1)と新郷地区の南消防署新郷分署配備のポンプ車(新郷1)には圧縮空気泡消火システム:CAFSが搭載されており、水消火ができない火災などに出場する。
この車両もCD-I型と同じように川口市消防局では消防活動の主力となっている車両である。この車両はCD-I型と比べ、全長6.65m・全幅2.31mと一回り大きい車両で4tトラックシャシをベースにA-2級ポンプを搭載し、700ℓの水タンクを積載している。また、はしご昇降装置及び吸管巻取り装置等を装備している。 化学小隊化学消防ポンプ自動車…2台(横曽根・南平)
化学消防ポンプ自動車II型は日本全国の消防部局の中でも登録台数も一番多く、最もポピュラーな車両である。この車両は危険物火災及び普通火災に対応する目的で製作された車両で、ダブルキャビン型消防用シャシに水槽(1,300ℓ)・泡消火薬液槽(500ℓ)及び泡ターレット(400ℓ)等を装備している。また、この車両は鋳物工場など化学災害が発生しやすい横曽根地区の南消防署横曽根分署(横曽根化学1)に配備されている。
化学消防ポンプ自動車III型は大規模な油脂火災や工場火災にも対応できるような仕様の車両である。ダブルキャビン型消防用シャシで製作され、1,300Lの水槽と1,200Lの薬液槽、800型泡放射砲を装備している。この車両は工場密集地であり工業団地の直近である南平地区の南消防署南平分署(南平化学1)に配備されている。 また、双方ともポンプを搭載しているため普通火災にも十分に対応できる。 はしご隊(救助隊)はしご車(はしご付消防自動車)…4台(横曽根・安行・北・南)
川口市消防局の30m級先端屈折式はしご車はモリタのスーパージャイロラダーシリーズで、この車両は起伏角度17~75°で、仰角のみではなく、俯角、すなわち斜め下方向にはしごを伸ばすことが可能で、例えば水難事故等で、はしご車の位置よりも低い位置に要救助者がいる場合の活動が可能である。また、バスケットやリフター装置など、様々な現場に対応できる機動力をはじめ、自動的にはしごを水平に保つジャイロテーブルや、急激な動作による危険を防止する「操作速度自動制限装置」、誤作動による事故を防止する「インターロック装置」などが搭載されており、中高層建造物からの救助をはじめ、警戒監視活動、高速道路救助活動支援などの任務に就いている。この車両は川口市内で中層建物が多く存在する横曽根地区の南消防署横曽根分署(横救助1)と高速道路(東京外かく環状道路)の直近、安行地区の南消防署安行分署(安救助1)に配備されている。以前は30m級先端屈折式はしご車の表記を安行梯子1、横曽根梯子1と表記されていたが、平成29年度に表記を安行梯子1→安救助1、横曽根梯子1→横救助1に変更された。
38m級(40m)はしご車と20m級(25m)屈折はしご車の基本的な性能は上記の30m級先端屈折式はしご車とさほど変わりはない。この車両は川口市内で超高層建造物(エルザタワー55、エルザタワー32など)、高層建造物が多く存在し、市の中心部に位置する本町地区の南消防署(南高度1)とイオンモール川口などがある芝下地区の消防局庁舎(北消防署併設、北特高1)に配備されている。なお、南消防署に配備されている38m級(40m)はしご車の更新前は北消防署から配置転換された38m級(45m)はしご車だったが、平成30年3月に38m級(45m)はしご車から38m級(40m)はしご車に更新された。更新前の38m級(45m)はしご車は以前は北消防署に配備されていたが、平成24年12月に南消防署の車両更新に伴い、北消防署の車両を南消防署に配置転換し、北消防署には最新の20m級(25m)屈折はしご車を配備した。以前は38m級(40m)はしご車(更新前は38m級(45m)はしご車)と20m級(25m)屈折はしご車の表記を中央梯子1、芝梯子1と表記されていたが、平成28年度に表記を中央梯子1→南梯子1、芝梯子1→北梯子1に変更し平成29年度に表記を南梯子1→南特別1、北梯子1→北高度1へ変更され令和2年度より表記を南特別1→南高度1、北高度1→北特高1に変更された。 水難救助隊川口市は南西部に一級河川の荒川が流布している。荒川は流路延長173km、流域面積2,940kmで非常に大きな川であるため水難事故が多発している。そのため川口市消防局は埼玉県で最も早く水難救助隊を発足させ水難事故に対応しているが、水難救助車を配備しておらず、南平地区の南消防署南平分署のポンプ隊(南平1)が水難救助指定隊になっている。 特別救助隊・高度救助隊・特別高度救助隊特別救助隊は北消防署に配置されている救助専任部隊で、火災、交通事故、労働災害、水難救助、鉄道事故など様々な救助事案に対応する。なお、一時期は中央分署(現:南消防署)と芝分署(現:北消防署)の特別救助隊の部隊名称を特別救助機動隊と消防特別救助隊としていた時期もあった。
特別高度救助隊は東消防署、高度救助隊は南消防署に配置されている救助部隊。東日本大震災や、近年発生が危惧される大規模地震など通常の消防対応が困難な事案に対応するべく、2014年4月1日に芝分署(現:北消防署)の特別救助隊を昇格させる形で高度救助隊「アドバンスド・レスキュー川口」を発足させた。2020年4月1日に北消防署の高度救助隊を特別高度救助隊『同時に愛称もアドバンスド・レスキュー川口からスーパーアドバンスド・レスキュー川口に変更』に昇格させ、同時に南消防署の特別救助隊も高度救助隊『愛称はアドバンスド・レスキュー川口』に昇格させ4月1日に運用を開始した。特別高度救助隊員と高度救助隊員は川口市の伝統産業である鋳物の溶解炉から出る炎に見立てた不死鳥を描いた赤色の「特別高度救助隊員章」と金色の「高度救助隊員章」を着け、金色の防火帽にオレンジ色の防火服を着用している。さらに画像探索機I型や画像探索機II型、電磁波人命探査装置などの高度救助資機材を保有している。また、隊員らは緊急消防援助隊・国際消防救助隊・埼玉県特別機動援助隊(埼玉SMART)に登録されており市内は元より国内、海外の災害にも派遣される。なお、高度救助隊の発足直前の短い期間のみ芝分署(現:北消防署)の救助工作車III型の部隊名称を消防救助機動部隊(東京消防庁の消防救助機動部隊と同じ名称)としていた時期もあったが平成26年度に高度救助隊発足と共に部隊名称も高度救助隊へ変更された(なお、上記にも書いたが一時期は中央分署(当時)の特別救助隊と芝分署(当時)の特別救助隊の部隊名称を特別救助機動隊と消防特別救助隊としていた時期もあった)。2023年4月1日に鳩ケ谷分署が新築移転し東消防署として開署。これに伴い北消防署の特別高度救助隊が東消防署に配置転換。旧鳩ケ谷分署の特別救助隊が入れ替わる形で北消防署に配置転換された。
救助工作車III型は北消防署の特別救助隊、南消防署の高度救助隊、東消防署の特別高度救助隊が運用している。救助活動に必要な救助資機材を積載して現場で活動するために製造された救助専用車両であり、阪神・淡路大震災の教訓から新たに新設された。 7tの四輪駆動のシャーシをベースにして作成されている。積載部はなるべく大きなスペースを取っており、 ベーシックな資機材から高度救助資機材まで、展開棚等の活動性を考慮した収納スペースに収納・積載できる。作業準備の迅速化のため、下部ボックス扉は上部ボックスの資機材を取り出す際のステップになる。また、震災時等の広域応援のほか火災・交通事故・労働災害等、多岐にわたる救助活動に対応するため、油圧式のフロントウインチと電動式のリアウインチを装備しており、張出バンパーは最大引張力5tにもなる。この車両は芝下地区の消防局庁舎併設の北消防署(北特高1)と鳩ヶ谷地区の南消防署鳩ヶ谷分署(鳩ヶ谷特別1)と本町地区の南消防署(南高度1)に配備された。このうち鳩ヶ谷特別1は電磁波人命探査装置など高度救助資機材を装備した救助工作車III型であり、以前は北消防署の高度救助隊が運用し緊急消防援助隊埼玉県隊救助部隊の登録車両であったが、平成29年度に鳩ヶ谷分お署の車両更新に伴い、北消防署の車両を鳩ヶ谷分署に配置転換し、北消防署には最新のバス型救助工作車III型を配備した。令和5年度に鳩ケ谷分署が新築移転し東消防署として開署し、特別高度救助隊が東消防署に配置転換され、現在は北消防署のバス型救助工作車が東消防署(東特高)、旧鳩ケ谷分署の救助工作車が北消防署(北特別)に入れ替えが行われた。 旧鳩ヶ谷分署はかつて鳩ヶ谷市消防本部時代に配備された5tベースのII型の車両(旧鳩ヶ谷救助1)をそのまま運用していた。いずれの車両も平成26年度より稲妻マークがペイントされた。北消防署の特別高度救助隊の運用するバス型救助に作車III型は高度救助隊時代の平成29年3月に配備されたもので、電磁波人命探査装置など高度救助資機材を装備し緊急消防援助隊埼玉県隊救助部隊の登録車両である。この車両に関しては平成29年5月現在は稲妻マークがペイントされていなかったが、令和2年度に特別高度救助隊への昇格に伴い、前車両と比較すると派手さはないが、稲妻マークが追加された。 令和4年2月に南高度がバス型救助工作車III型でハイルーフの車両に更新された。稲妻マークも北特高と同様の派手さのない仕様となった。全て救助工作車III型となる。 なお、川口市消防局では以前は救助工作車の表記を芝救助1、中央救助1、鳩ヶ谷救助1と表記されていたが、平成28年度に表記を芝救助1→北救助1、中央救助1→南救助1に変更し平成29年度より表記を北救助1→北高度1、南救助1→南特別1、鳩ヶ谷救助1→鳩ヶ谷特別1に変更され令和2年度より表記を北高度1→北特高1、南特別1→南高度1に変更された。令和5年度に東消防署開署に伴い特別高度救助隊が東消防署に配置転換され、現在は東消防署「東特高1」、南消防署「南高度1」、北消防署「北特別1」となっている。
川口市消防局の資機材搬送車は通常、救助工作車III型と2台1中隊として運用される。資機材搬送車は普通の消防車両では積載・運搬が困難な消防活動用の資機材を輸送するために製造された専用の車両で、救助工作車III型に積載が困難な救助資機材のほかに化学災害活動用の資機材、テロ災害活動用の資機材(陽圧式化学防護服)が積載されている。この車両は芝下地区の消防局庁舎併設の北消防署(北特高2)と本町地区の南消防署(南高度2)に配備された(北消防署配備の車両は緊急消防援助隊埼玉県隊に登録されている)。なお、こちらも救助工作車同様に以前は芝救助2、中央救助2と表記されていたが、平成28年度に表記を芝救助2→北救助2、中央救助2→南救助2に変更し平成29年度より表記を北救助2→北高度2、南救助2→南特別2に変更され令和2年度より表記を北高度2→北特高2、南特別2→南高度2に変更された。 北救助2は特別高度救助隊への昇格に伴い特殊災害用、遠距離大量送水用等の3つコンテナを災害状況に合わせて積み替える事が出来る車両に更新された。後に南救助2も同様に車両に更新された。 令和5年度に鳩ケ谷分署が新築移転し東消防署として開署し、特別高度救助隊が東消防署に配置転換され、北救助2も東消防署に東救助2として配置転換された。現在は東消防署に「東救助2」、南消防署に「南救助2」が配備されている。 救急隊高規格救急車…18台(非常用4台) 川口市消防局では全ての消防署と分署に救急車と救急隊を配備、配置している。 また、常用救急車はすべてトヨタ・ハイメディックの高規格救急車で全隊に救急救命士が乗車しており、車内には患者監視装置(心電図・脈波・血圧・血中酸素飽和度)や自動式人工呼吸器、自動式体外除細動器などの医療電子機器類や交通事故などの現場で対応できるように簡易的な破壊器具、患者搬送用資機材、その他救急救命士が使用する高度な救急資機材が積載されている。 指揮隊指揮車…2台(北・南)
指揮隊車は消防活動現場を統率する消防活動の頭脳ともいえる指揮隊の車両であり、南消防署の指揮隊はこの車両を使用している。内部には作戦図面台・無線機集中操作盤などが搭載されており、高度な消防活動の統率が可能になっている。この車両は本町地区の南消防署(川口南指揮1)に配備されている。
県指揮隊車は総務省消防庁から川口市消防局に貸与されている緊急消防援助隊埼玉県隊の県指揮隊の車両であり、北消防署の指揮隊はこの車両を使用している。東日本大震災の発生を踏まえ、情報収集・分析に必要な各種情報ツールを積載するとともに、各隊の応援活動に必要な各種資機材を積載し効率的・効果的な消防応援活動を行うことを目的としており、内部には、移動式指揮机やノートパソコン、デジタル消防無線・救急無線が積載されており、高度な消防指揮が可能である。この車両は芝下地区の北消防署(川口北指揮1)に配備されており、緊急消防援助隊埼玉県隊の指揮部隊に登録されている。県指揮隊車は以前は南消防署に配備されたが、平成27年3月に北消防署の車両更新に伴い、南消防署の車両を北消防署に配置転換し、南消防署には最新の指揮隊車を配備した。 活動支援隊
活動支援隊は川口市若しくは市外において大規模な災害が発生した際、実際に消防活動をしている消防隊員らのサポートをすることを目的としている。そのため、支援車(I型・III型)などがこれにあたる。芝下地区の消防局庁舎(北消防署併設)に支援車I型(川口支援1)、南平地区の南消防署南平分署に支援車III型(川口支援2)が配備されている。かつては安行地区の南消防署安行分署に電源照明車(川口電源照明1)も配備されていたが活用が少なく2019年1月に廃車。(川口支援1は緊急消防援助隊埼玉県隊後方支援部隊に登録されている。) 現在の主力機械2021年4月1日現在
以前配備されていた主力機械電源照明車:1(非常用1)(廃車済み) 広域応援消防応援協定市町村は、消防組織法第6条に基づき当該市町村の区域における消防の責任を果たさなければならないことになっているが、境界付近の災害や大規模な災害等に対応するため、同法第39条に基づき、市町村相互間で災害の応援体制を確立している。 緊急消防援助隊![]() 川口市消防局は、緊急消防援助隊として県指揮隊1隊、救助部隊1隊、救急部隊3隊、消火部隊4隊、後方支援部隊1隊、特殊災害部隊1隊、特殊装備部隊1隊の12隊51名で登録されている。
相互応援協定川口市消防局は隣接する自治体消防に、市境界線付近で発生した災害(救急含む)に対して迅速に活動できるよう「消防相互応援協定」を締結し日頃から近隣市で発生した災害へ出動している(出動数の大半は東京消防庁管内への出動)
埼玉県特別機動援助隊川口市消防局の特別高度救助隊は県内で地震による建物崩壊や列車脱線事故などの大規模災害が発生した際に県知事の指示・要請で出動し救助・救命活動を行い、一人でも多くの尊い県民の生命を守ることを任務としている埼玉県特別機動援助隊(埼玉SMART)の機動救助隊に登録している[8]。 国際消防救助隊海外の大規模災害時に国際緊急援助隊救助チームの一員として派遣される国際消防救助隊(IRT)への登録も県内で一番早く行っている。平成13年現在で8名の救助隊員が登録されており平成11年の921大地震、平成15年のアルジェリア民主人民共和国地震災害への派遣実績がある[9]。 消防無線・救急無線川口市消防局は全国の消防部局と同じく消防用の業務用無線(消防無線)を使用しており、消防用の無線(消防波)と救急用の無線(救急波)に分けられている。基地局の呼出局名は「かわぐちしょうぼう」(川口消防)である。 消防車側のコールサインはその車両の配備先消防署名と配備先分署名に割り当ての番号を付けたもの。(例:戸塚分署配備のCD-II型消防ポンプ自動車なら「戸塚1」となり、南消防署配備の救助工作車II型なら「南高度1」となる)また、救急車側のコールサインは「救急」のあとにその車両の配備先消防署名と配備先分署名に割り当ての番号を付けたもの。(例:安行分署配備の救急車なら「救急安行1」となり、鳩ヶ谷分署配備の南署隊用非常用救急車なら「救急南2」となる) 消防署 ・分署不祥事
脚注
関連項目外部リンク
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