小学館世界J文学館『小学館世界J文学館』(しょうがくかんせかいジェイぶんがくかん)は、2022年11月22日に小学館から発売された文学全集。紙の本は作品を紹介するための1冊のみで、本編の125作品はインターネットの専用サイトにQRコードを用いてアクセスし、電子書籍として読む形式を採用している[1]。作品の選定は小学校中学年から中学生以上を対象としており、書名の「J」は、「児童」「ジュニア」「次世代」を意味している[2]。 経緯小学館が2022年に創立100周年を迎えるに当たって、「子どもたちが本を好きになってくれる入り口になるような、新しい“児童文学全集”をつくろう」という声が挙がったことから企画され、「今の時代に合った児童文学全集とはどんなものか」を検討し、1冊の本から各作品の電子書籍にアクセスするという形式になった[3]。 編集委員には浅田次郎、角野栄子、金原瑞人、さくまゆみこ、沼野充義、編集顧問には野上暁が就いた[4]。編集には総勢300名以上が関わり、作品の選定に際しては50人ほどの識者に協力を仰ぎ、挙げられた500以上の作品から125作品を厳選した[3]。 2022年5月18日に行われた新企画説明会で、創立100周年企画として児童向けの世界文学全集「小学館世界J文学館」を11月に刊行することを発表した[5]。 内容全125作品のうち105作品は新訳で、そのうちの24作品は初の日本語訳となっている[3]。収録作品については後述。 仕様紙の本では見開き2ページで作品をイラスト・写真付きで紹介、作品を読む場合はQRコードを読み込んでスマホやタブレットで閲覧する仕組みをとっている[6]。パソコンしかなかったり、QRコードが読み込めない場合でも、ブラウザに直接URLを打ち込むことで閲覧は可能である[4]。ブラウザはChrome、Safari、Firefoxのいずれかの最新版が動作するかどうかが判断基準となる[4]。 作品はストリーミング型で提供される[4]。本文は縦組みで、横組みには対応していない[4]。ふりがなは「ぜんぶ」「ふつう」「すこし」の3段階、文字の大きさも5段階で切り替えることが可能な他、本文の音声読み上げ機能を搭載する[6]。描き下ろしのイラストも掲載されている[7]。 利用にはアカウント登録が必要で、1アカウントにつき最大3台の機器が登録できる[4]。著者や翻訳者とは2030年8月までの出版契約を結んでおり、それ以降の閲覧に関しては現時点では未定である[4]。 書誌情報書誌情報については公式サイトを参照した[8]。
収録作品収録作品については公式サイトを参照した[4]。
備考
評価永江朗は、コストパフォーマンスの高さを評価し、電子書籍と書店・取次をどう共存させるかという課題への一つの解答であるとしつつも、インターネットに繋がらないと読めない、本を読む権利を誰かに譲ったり売ったりすることができない、著作権者との契約が2030年8月までなのでその後も読めるかどうか不明であるなどの問題があることを指摘している[10]。 現代の口語に近い形への翻訳については賛否がある[11][12]。 2023年3月17日にNHKのあさイチで紹介された[3][13]。 2023年12月21日に発表された「JEPA電子出版アワード2023」で、小学館世界J文学館がスーパー・コンテンツ賞を受賞した[14][15]。 脚注
外部リンク |