商工会商工会(しょうこうかい)
本項では2について解説する。 商工会(しょうこうかい)は、商工会法(昭和35年法律第89号)に基づき経済産業大臣の認可を受けて設立された特別認可法人。全国には1673か所(平成26年4月1日現在)に設立されている。 地域内商工業者の経営の改善に関する相談とその指導、地域内経済振興をはかるための諸活動及び社会一般の福祉の増進に資することを目的として、幅広い活動を行っている。商工会の運営をささえ、事業活動の推進力となるのは、会員である。会員は、自分の事業を発展させるために、商工会を十分に活用することが出来る。 商工会が他の商工業者の組織と異なる点は、商工会は運営にあたって、法律で定めてある以下の3つの原則に基づいて、公正な立場で事業を行わなくてはならない点である。 商工会の基本原則
商工会と商工会議所
経営改善普及事業小規模事業者の経営または技術の改善発達を図るためのもので、国・都道府県の補助を受けて、商工会の事業の中でも特に重要なものの一つである。この事業には、国が認定した経営指導員などが従事しており、秘密厳守、原則無料として小規模事業者のよき相談相手として適切な助言・指導を行う。
地域総合振興事業相互扶助・親睦や情報交換・福利厚生などの社会福祉活動・地域課題に対する調査研究 組織構成総会(総代会)商工会の最高意思決定機関。総会は会員全員で組織されている。会員は、公平に一つの議決権を有し、総会に参加して、意見を商工会に反映させることができる。 会員総数が200人以上の商工会は総代会を設けることができる。その場合は、総会に代わり、会員の中から選任される総代が総代会を組織して最高意思決定機関となる。総代は、会員のうちから、住所や事業の種類等に応じて公平に選挙されなければならない。 理事会商工会運営に関する事項の審議機関で、会員の中から選ばれた、会長、副会長、理事および監事から構成されている。議長は会長が兼務するが、会長に事故のある場合は副会長が議長を務める。なお、商工会法により副会長は2名設置されている。 青年部・女性部45歳(40歳)以下の若手商工業者(経営者・後継者など)により構成される青年部と、女性商工業者(経営者・経営者の妻や子女)から構成される女性部がある。ともに、商工会が行う地域振興事業において大きな役割を占め、地域のイベントを実際に運営しているのが地元商工会の青年部・女性部であることは珍しくない。 部会会員が営んでいる主要な事業の種類ごとに、それぞれの事業の適切な改善発達を図るために、部会が置かれている。例えば工業部会やサービス部会などが設置され、各々業種にあわせた会員で構成されている。商工会の活動に対して意見を述べ、業種ごとの情報を吸収する場ともなる。 委員会地域商工業の重要な問題について調査研究を行い、また、会長の諮問に応じるための機関、理事会を補佐する審議機関であり学識者や商工会役員などで構成されている。 事務局商工会の各種事業ならびに総会や理事会等において決定された施策の執行機関。事務局長が統括し、経営指導員を中心に補助員・記帳専任職員などの職員が常置される。 役員以下の役員が設置される(商工会法第30条)。
役員の任免は総会(総代会)によってなされる。また、次の各号のいずれかに該当する者は、役員となることができない(商工会法第32条)。
商工会と役員との関係は、委任に関する規定に従う(商工会法第33条)。役員の任期は、3年以内において定款で定める期間とする(商工会法第34条)。 不祥事補助金の不正受給関係商工会・各都道府県商工会連合会・全国商工会連合会の人件費等の運営費の多くは、国・自治体からの補助金で賄われているが、補助金の不正受給(人件費・事業費の水増し請求等)が相次いでいる[2]。 2021年、小規模事業者持続化補助金に関して、鹿児島県商工会連合会が2014年度から2018年度にわたって計586万円の水増し請求を行っていたことが発覚し、経済産業省から厳重注意を受けた。なお、この不正に関しては、商工会の政治組織である全国商工政治連盟の組織内議員であり、当時、経済産業大臣政務官であった宮本周司が全国商工会連合会・鹿児島県商工会連合会が補助金交付停止処分を受けないように働きかけていたことが赤旗の調査によって明らかになっている[3][4]。また、鹿児島県商工会連合会は、経済産業省から厳重注意が行われた2021年6月25日から間を置かずに経済産業省の別の補助金を受給していたことが衆議院予算委員会で明らかになっている[5]。 2023年、事業環境変化対応型支援事業費補助金に関して、全国商工会連合会から再委託を受けていた岐阜県大垣市商工会で人件費の水増し請求を行ってたことが明らかになった[6]。 2024年、消費税軽減税率対応窓口相談等事業(令和元年度予算)、制度改正に伴う専門家派遣等事業(令和2年度・3年度予算)、事業環境変化対応型支援事業(令和5年度予算)について、全国商工会連合会から再委託を受けていた埼玉県ときがわ町商工会で人相談会や専門家派遣の実績を改ざんして事業費の水増し請求を行ってたことが明らかになった。また、同商工会は、埼玉県から補助金の交付を受けて実施していた経営改善普及事業についても実績を改ざんして水増し請求を行っていた[7]。 青年部・女性部関係2023年6月、新潟県下田市商工会青年部が開催した会合に呼ばれた女性が青年部員から胸をもまれる、下半身を触られる等のわいせつ行為を受けた。新潟県警三条警察署は、同月29日までに青年部員3人を強制わいせつ容疑で逮捕した[8][9]。 2024年、全国商工会青年部連合会の第18代会長であり、後述する商工政治連盟の組織内候補として参議院議員に当選した宮本周司[10][11]の裏金問題が発覚した。自民党が公表した情報によると宮本周司の裏金額は1482万円と党内でも高額であり[12]、自民党から役職停止の処分を受けるとともに[13]、同年5月17日には参議院政治倫理審査会からも説明を要求された[14]。 商工政治連盟関係商工会の政治部門として「商工政治連盟」が各地で組織されており、その存在は国会でも問題視されている[15][16]。 商工政治連盟の組織内候補の国会議員も存在し、平成16年の第20回参議院選挙で組織内候補の松村祥史が自民党から全国比例で当選して以降、平成22年の第22回参議院選挙で渡辺猛之、平成25年の第23回参議院選挙で宮本周司、令和4年の第26回参議院選挙で越智俊之と、令和4年時点で4人の組織内候補が現職の国会議員として所属している[17]。 商工会法では政治的中立が求められているが、政治団体である商工政治連盟と活動が混然一体、国・自治体からの補助金を原資に政治活動をしているともいえる地域もあるのが実態であり、現場の職員の中にも、選挙における集票活動や演説会場の設営等の政治活動に従事させられていることに不満を持つ者もいる[18]。 2002年(平成14年)には福島県で商工会の収入から商工政治連盟会費を上部団体に上納していたことが明らかになり、2022年(令和4年)には岡山県で県から無償貸与されていた建物を政治連盟に活動拠点として提供していたことが発覚し、それぞれ商工会法違反とされた。また、福島県の事案については、補助金を原資に雇用されていた職員を政治連盟会費集めに使っていた疑いがあるとして特別会計監査も受けた[19][20]。 商工政治連盟が集めた資金は自民党や上述の組織内候補に対する政治献金のほか、組織内候補が所属する自民党派閥の政治資金パーティ券の購入にも使われているが、それに加え、各地の商工会に高額の書籍を購入させることでも資金を作り出していたことが赤旗の調査によって明らかとなっている[21]。 脚注
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