伊予灘地震
伊予灘地震(いよなだじしん)とは、2014年(平成26年)3月14日2時6分50秒[1]に伊予灘を震源として発生した地震。 概要震源の深さは78キロメートル (km)、地震の規模はマグニチュード6.2[1]、愛媛県西予市で最大震度5強を観測した。この地震により岡山県と山口県でそれぞれ重傷者1人を出すなど6県で21人の人的被害、そのほか建物被害や断水や落石などの被害も発生した[3]。 メカニズム発震機構は東北東 - 西南西方向に張力軸を持つ型で、沈み込んだフィリピン海プレート内で発生した地震である。地震の規模は気象庁マグニチュードでMj6.2、モーメントマグニチュードでMw6.3と推定される[4][5]。 震央の位置は南海トラフで発生する海溝型地震の震源域の北に位置し、武蔵野学院大学特任の島村英紀教授は南海トラフ巨大地震を誘発する可能性を否定できないとしたが[6]、地震の発生場所は沈み込んだフィリピン海プレートの内部であることから気象庁や京都大学の岩田知孝教授は南海トラフ巨大地震とは直接結びつかないとした[7][8]。 被害人的被害消防庁によれば2014年3月14日時点での人的被害は以下の通り
施設被害住家一部破損の被害が大分県で14棟、広島県で10棟、山口県と愛媛県でそれぞれ1棟あった[2]。気象庁の現地調査の結果、震度5強を観測した西予市の三瓶町で道路に亀裂や民家の屋根破損、団地内駐車場陥没の被害があり、西予市明浜町で民家内灯篭の倒壊の被害があった[9]。また、震度5弱を観測した呉市では住家の外壁破損や軒下損壊の被害があった[10]。 周南市にある出光の徳山工場では地震発生後の4時57分ごろにエチレン装置から火災が発生し、5時11分に鎮火したがこの火災によりコンビナート配管によるエチレンやプロピレンの供給が停止した[11][12]。この影響で東ソー南陽事業所とトクヤマ徳山製造所の関連設備が停止する状態に陥った[13][14]。 日産自動車、三菱自動車は生産を一時停止した[15]。また、香川県土庄町の豊島では地震発生3日後の3月17日に地下水の送水管から汚染水が流出しているのが確認されたが、地震による想定以上の揺れが原因と考えられている[16]。 原子力発電所伊方発電所[17]、島根原子力発電所および玄海原子力発電所は、いずれも被害は無かった[18]。 交通山陽新幹線は始発から速度を落として運行するなどで遅れが発生し、直通運転を行っている九州新幹線にも遅れが出た。在来線にも運転の見合わせや遅れが発生した。大分県の高速道路は点検のため、一部で全面通行止めとなった[19]。 通信KDDI株式会社の提供するインマルサットサービスにおいて、同社の国内唯一の地球局であるKDDI山口衛星通信センター(山口県山口市:震度4を観測)に設置された衛星アンテナに障害が発生し、地震後1時間弱にわたり太平洋・インド洋上空のインマルサット通信衛星を経由する衛星通信および衛星電話が利用できない状況となった[20][21]。 震度
緊急地震速報気象庁は地震発生後の2時7分2秒に地震波を検知し、その3.2秒後に地震の規模をM4.5として緊急地震速報(予報)の第1報を大分県の北部に発表した。地震波検知の7.7秒後の予報第7報では規模をM6.2と計算し、緊急地震速報(警報)を山口県・大分県・愛媛県・広島県・高知県・福岡県の全域、熊本県の熊本地方と阿蘇地方、宮崎県の北部、島根県の東部、香川県の西部に発表した[22]。警報発表後の主要動到達までの猶予時間は震度5強を観測した愛媛県や震度5弱を観測した山口県、大分県で5秒程度、震度5弱を観測した広島県や高知県で10秒から15秒程度だったとされる[23]。 過去の主な地震フィリピン海プレートのスラブ内地震は、主に安芸灘から豊後水道に亘って発生しており、これらの中で震央が伊予灘と推定される主な地震は以下のものがある。
天保12年9月20日(1841年11月3日)に発生したM6程度と推定される地震。宇和島城で塀や壁が破損し、従来は宇和島付近の地震とされていたが[24][25]、震央が豊後水道にあったならば南九州でも強い揺れがあると考えられ、それがこの地震では確認されていない。この地震は山陰地方でも強い揺れがあり、2014年の地震の震度分布と類似の特徴を示しており、震央が伊予灘にあると考えられる[26] 。 関連項目脚注
参考文献
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