中国ソーセージ (ちゅうごくそーせーじ、別称として中華ソーセージとも)とは、中国 発祥の様々な種類のソーセージ の総称。華南地方 のものは、一般に広東語 由来のラプチョン (簡体字 : 腊肠; 繁体字 : 臘腸; 拼音: làcháng ; 粤拼 : laap6 coeng2 ; イェ―ル式 : laahp chéung )の呼称で知られている。
種類
中国ソーセージには、脂身から作られるものと、赤身から作られるものがある。新鮮な豚肉 を使ったものから、豚のレバー や鴨 のレバー、さらには七面鳥 のレバーを使ったものまで、さまざまな種類のものがある。普通、レバーから作られるソーセージは、他の部位から作られるソーセージよりも色が濃い。近年は、鶏肉の中国ソーセージを製造する国もある。
中国ソーセージの乾燥
臘腸 (ラプチョン)は乾燥した硬いソーセージであり、普通は豚肉と豚脂から作られる。通常は燻製 にし、甘く味付けした後、バラ水 や米酒 、醤油 で味付けする[ 1] 。
香腸 は、粗みじん切りにした豚肉と未精製豚脂からなる、新鮮で弾力ある食感のソーセージ。味はやや甘め。
糯米腸 は、もち米 と調味料を腸に詰め、蒸して、あるいは茹でて作る白色のソーセージ。地方によっては、朝鮮半島 のスンデ と同様、血液 をつなぎにする。
血腸 は、血液を主たる材料とする(ブラッドソーセージ )中国ソーセージである。
白肉血腸 は、中国東北部 で一般的なソーセージの一種で、血液の混合液の中に刻んだ肉が入ったもの。
貫腸 は、新鮮な肉で作られている、長い形状の赤いソーセージ。
地域別の中国ソーセージ
短い広東風ドライソーセージ
中国ソーセージは、華南に位置する広東省 、福建省 、江西省 、四川省 、湖南省 のほか、香港 や台湾 において、数多くの料理の材料として用いられている。このうち四川省の中国ソーセージは、赤唐辛子 粉やカホクザンショウ 粉、郫県豆板醤 が入っており、独特な風味が特徴である。伝統的な無包装の中国ソーセージは、大抵の場合は屋台や水上マーケットで見られる。
紅腸
ハルビン の燻製ソーセージ
中国東北部、特に黒竜江省 最大の都市であるハルビン の名物料理である紅腸は、ポーランド のキールバサ やリトアニア のスキランディ に似た燻製風味の赤いソーセージで、粗挽きの食感かつ他の中国ソーセージよりもヨーロッパのソーセージに近い風味である。
1909年 3月 、ハルビン・道里区にあったロシア資本の「秋林ソーセージ工場 」で、リトアニア人スタッフによってはじめて製造された。
中国語 での別名として「里道斯」があるが[ 2] 、これはロシア語 の"колбаса литовская"(原義は「リトアニアソーセージ」)に由来するものである[ 3] 。
紅腸はその後、特に華北地方 で普及した[ 4] 。華南のソーセージに似た、甘口の乾燥ソーセージも製造されている。
中国語においては、「紅腸」は中国における他の赤いソーセージを指すこともある。これにはファールコルブソーセージ をアレンジした上海の大紅腸も含まれる。前述の「里道斯」という用語は、ハルビンのものを明確に区分して呼称するために用いられる。
中国国外における中国ソーセージ
ベトナム
ベトナム語 では、中国ソーセージはlạp xưởng あるいはlạp xường と呼称される。中国ソーセージはシンプルなオムレツ から複雑なメインコースまで、料理に用いられている。中国ソーセージは塩辛いため、味のバランスを取るために他の食材と一緒に適量用いられる。ベトナムの中国ソーセージは豚肉(lạp xưởng heo)、あるいは鶏肉(lạp xưởng gà)から作られるが、後者の方がさっぱりした味わいになる。トゥン・ロ・モー(チャム語 :ꨓ ꨭꩂ ꨤ ꨯ ꨱ ꨥ tung lò mò)は、ベトナム南部のイスラム教徒であるチャム族 が作る類似のソーセージで、牛肉 を材料とする。
ミャンマー
ビルマ語 では、キェット・ウ・ギャウン(原義は鶏肉ソーセージ:ကြက်အ)またはウェット・ウ・ギャウン(原義は豚肉ソーセージ:ဝက်အ)と呼ばれる。ミャンマー で作られる中国ソーセージは、中国やシンガポール のものに比べて肉厚かつ小ぶりである。炒飯 に入れたり、キャベツ などの野菜と炒めたりして食べる。
フィリピン
フィリピンのチェーン店・チョーキング における中国ソーセージの卵入りチョウパオ[ 5]
フィリピン では、中国ソーセージはシオパオ・ボラボラ など、いくつかのフィリピン風中華料理 で材料として用いられる。フィリピン在来のソーセージである「チョリソー・デ・マカオ 」と混同・代用されることもある。(チョリソー・デ・マカオは「中国チョリソー」としても知られている)チョリソー・デ・マカオは中国ソーセージに起源があるわけではないが、その名称はフィリピンにおいて中華料理を連想させるスターアニス を用いることにちなんでいる。
台湾
台湾 でも中国ソーセージは製造されているが、広東風のように乾燥させることは稀である。脂肪と肉が乳化され、砂糖が大量に用いられることで、より甘みのある味に仕上がっている。これらのソーセージは通常、地元の肉屋によって製造され市場で売られるか、家庭で作られる。この種のソーセージは中国語で「香腸」と呼ばれ、字義通り「香りのよいソーセージ(腸詰め)」を意味する。
シンガポール
シンガポール では、伝統的なソーセージよりも健康的な創作中国ソーセージが製造されている。低脂肪・塩分控えめ・高食物繊維な中国ソーセージは、その例である。
タイ
ラチャンから作られるタイのサラダ、ヤムクンチアン
タイ語 では、中国ソーセージはタイの華人社会で支配的な潮州語 にちなみ、クンチャンと呼ばれる。多くの在タイ華人社会において様々な中華料理に使われるほか、ヤムクンチャン などのタイ料理 にも使われる。ライギョ から作られる中国ソーセージもある。
スリナム
スリナム では、中国ソーセージは客家語 にちなんでファットジョンと呼ばれる。モクシ・メティ・タウミン に用いられる。
上記以外の地域
アジア以外の地域においては、中国ソーセージは一般的にアジアンスーパーで入手可能である。ほとんどが真空パックされているものの、一部の中国食料品店はパックされていないものも販売している。国外からの食肉製品の輸入は禁止されているため、中国ソーセージは販売国内で製造されることが多い[ 6] [ 7] [ 8] 。例えば、カナダの場合、同国で販売されている中国ソーセージの多くは、バンクーバー やトロント に拠点を置く業者によって製造されている。ハワイ においては、多くのハワイ在住中国人が現地の料理に取り入れたことから、ラプチョンが広く普及したソーセージとなっている。
関連項目
脚注
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