フェブラリーステークスは、日本中央競馬会(JRA)が東京競馬場で施行する中央競馬の重賞競走(GI)である。
競走名の「フェブラリー(February)」は、2月を意味する英語[3]。この名が示す通り毎年2月、具体的には2月の第3もしくは第4日曜日に開催される[注 1]。JRA主催でGIに格付けされる競走としては毎年最初に行われる競走である。
正賞は日本馬主協会連合会会長賞、地方競馬全国協会理事長賞、全国公営競馬主催者協議会会長賞、日本地方競馬馬主振興協会会長賞、ブリーダーズカップ・チャレンジ賞[1][2]。
概要
第35回優勝馬ノンコノユメ
第37回優勝馬モズアスコット
第39回優勝馬カフェファラオ
第40回優勝馬レモンポップ
JRAが施行するダート重賞競走では、最も古い歴史を持つ競走である[4]。
1984年に前身となる「フェブラリーハンデキャップ」が創設[4]、東京競馬場のダート1600mで施行され、当初はGIIIの格付けだった[4]。1994年にGIIへ昇格するとともに負担重量も別定に変更、名称も「フェブラリーステークス」に改称された[4]。
その後、中央競馬と地方競馬の交流競走が拡大されるなか、1997年には中央競馬のダート重賞競走として初めてGIに格付け[4]され、負担重量も定量に変更、国内の上半期のダート最強馬決定戦に位置付けられた[4][注 2]。2007年からは国際競走に指定され、外国馬の出走も可能になった[6]。
2016年からブリーダーズカップ・チャレンジの対象競走に指定され、優勝馬には当該年のブリーダーズカップ・クラシックへの優先出走権と出走登録料・輸送費用の一部負担の特権が付与される[7]。
本競走で上位を争った馬からは、アラブ首長国連邦のドバイで行われる国際招待競走「ドバイワールドカップミーティング」へ遠征するものも出るようになった[4]。2011年の優勝馬トランセンドは、ドバイワールドカップで優勝したヴィクトワールピサと接戦の末、2着に入っている[4]。また、1999年にはメイセイオペラ(岩手)が地方競馬所属馬として初めて優勝した[8]。
競走条件
以下の内容は、2025年現在[1][2]のもの。
出走資格:サラ系4歳以上(出走可能頭数:最大16頭)
- JRA所属馬
- 地方競馬所属馬(収得賞金が1601万円以上[9]、かつJRAが別に定める出走馬選定基準により選定された馬[10])
- 外国調教馬(優先出走)
負担重量:定量(58kg(代替開催で中山競馬場で実施される場合はダート1800mなので4歳57kg、5歳以上58kg)、牝馬2kg減)
- 第1回から第10回まではハンデキャップ、第11回から第13回までは別定[11]。
出馬投票を行った馬のうち、優先出走権(次節参照)のある馬から優先して割り当て、その他の馬は「通算収得賞金」+「過去1年間の収得賞金」+「過去2年間のGI(JpnI)競走の収得賞金」の総計が多い順に割り当てる。
優先出走権
外国馬、およびレーティング順位の上位5頭(2012年より。牡馬・セン馬は110、牝馬は106以上であることが条件)[1]は優先出走できる。
JRA所属馬は、同年に行われる下表の競走で1着となった馬に優先出走権が与えられる[12]。
賞金
2025年の1着賞金は1億2000万円で、以下2着4800万円、3着3000万円、4着1800万円、5着1200万円[1][2]。
コース
東京競馬場のダートコース、1600mを使用。
スタート地点は芝コース上にあり、スタート直後は芝コースを走行、第2コーナー付近からダートコースに入る[13]。バックストレッチとホームストレッチに2つの坂が設けられており、このうち長さが501mあるスタンド前のホームストレッチには高低差2.4mの上り坂がある[13]。
歴史
- 1984年 - 5歳以上の馬によるハンデキャップの重賞競走「フェブラリーハンデキャップ」を新設。東京競馬場のダート1600mで施行、GIII[注 3]に格付け[4]。
- 1989年 - 混合競走に指定[4]。
- 1994年
- 1995年 - 指定交流競走に指定され、地方競馬所属馬が出走可能となる。
- 1997年
- 2001年 - 馬齢表示を国際基準へ変更したことに伴い、出走資格を「4歳以上」に変更。
- 2007年
- 国際競走に指定され、外国調教馬は8頭まで出走可能となる[6]。
- G1(国際GI)に格付け。
- 地方競馬所属馬の出走枠が5頭から4頭に縮小。
- 2009年 - この年より地方競馬所属馬の出走資格はJRAが別に定める出走馬選定基準により選定された競走馬のみとなる。
- 2012年 - 出走馬選定方法が変わり、レーティング上位5頭に優先出走を認める。
- 2014年 - トライアル制を確立し、指定された競走の1着馬に優先出走を認める。
- 2016年 - 「ブリーダーズカップ・チャレンジ」指定競走となる。
- 2018年 - 関東馬が20年ぶりに勝利。(2000年から18年連続で関西馬が勝利していた。)
- 2019年 - 藤田菜七子がJRA所属の女性騎手として初めてGIレースに騎乗(騎乗馬はコパノキッキング、5着)[14]。
- 2021年 - 新型コロナウイルス感染拡大防止のため「無観客競馬」として実施[15]。
- 2023年 - 本競走史上初めて海外調教馬が参戦した(カナダ・シャールズスパイト、9着)。
- 2025年 - レイチェル・キングが史上初の女性騎手による日本の平地GI級競走を勝利。
歴代優勝馬
距離はすべてダートコース。
優勝馬の馬齢は、2000年以前も現行表記に揃えている。
競走名は第1回から第10回までが「フェブラリーハンデキャップ」[4]、第11回以降は「フェブラリーステークス」。
フェブラリーステークスの記録
- レースレコード - 1:33.8(第39回優勝馬カフェファラオ)[17]
- 優勝タイム最遅記録 - 1:40.1(第1回優勝馬 ロバリアアモン)[18]
- 最年長優勝馬 - 7歳(第5回優勝馬ローマンプリンス)
- 最多優勝馬 - 2勝(第31回・第32回優勝馬コパノリッキー、第38回・第39回優勝馬カフェファラオ)
- 最多優勝騎手 - 5勝
- 最多優勝調教師 - 3勝
- 最多勝利種牡馬 - 4勝
- ゴールドアリュール(第27回・第31回・第32回・第34回)[21]
- 親子制覇
- ゴールドアリュール - エスポワールシチー・コパノリッキー・ゴールドドリーム
外国調教馬の成績
脚注・出典
参考文献
- 「フェブラリーステークス」『中央競馬全重賞成績集【GI編】』日本中央競馬会、2006年、1397-1433頁。
注釈
- ^ 1998年と1999年のみ開催時期が前倒しされ例外となっている。特に1999年は1月31日に開催され、2月以外に開催された唯一の事例となっている。
- ^ 2024年に川崎記念が春季に移設することに伴い、上半期に古馬中距離路線の有力馬が集まる競走へは同競走と帝王賞が位置づけられた。フェブラリーステークスは古馬短距離・マイル路線における上半期の有力馬が集まる競走の一つとして位置づけられた。[5]
- ^ a b c 当時の格付表記は、JRAの独自グレード。
- ^ ダートグレード競走の格付表記は、国内限定の独自グレード扱い。
出典
各回競走結果の出典
- 『中央競馬全重賞成績集【GI編】』第1回 - 第22回
- JRA年度別全成績
- (2025年)“第1回 東京競馬 第8日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2025年2月24日閲覧。(索引番号:03095)
- (2024年)“第1回 東京競馬 第8日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2024年2月19日閲覧。(索引番号:03095)
- (2023年)“第1回 東京競馬 第8日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2023年2月26日閲覧。(索引番号:03095)
- (2022年)“第1回 東京競馬 第8日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2022年2月21日閲覧。(索引番号:03095)
- (2021年)“第1回 東京競馬 第8日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2021年2月24日閲覧。(索引番号:03095)
- (2020年)“第1回 東京競馬 第8日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2020年6月20日閲覧。(索引番号:03095)
- (2019年)“第1回 東京競馬 第8日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2020年6月20日閲覧。(索引番号:03095)
- (2018年)“第1回 東京競馬 第8日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2020年6月20日閲覧。(索引番号:03095)
- (2017年)“第1回 東京競馬 第8日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2017年2月20日閲覧。(索引番号:03095)
- (2016年)“第1回 東京競馬 第8日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2016年2月15日閲覧。(索引番号:03095)
- (2015年)“第1回 東京競馬 第8日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2016年2月15日閲覧。(索引番号:03095)
- (2014年)“第1回 東京競馬 第8日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2016年2月15日閲覧。(索引番号:03095)
- (2013年)“第1回 東京競馬 第8日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2016年2月15日閲覧。(索引番号:03095)
- (2012年)“第1回 東京競馬 第8日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2016年2月15日閲覧。(索引番号:03095)
- (2011年)“第1回 東京競馬 第8日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2016年2月15日閲覧。(索引番号:03095)
- (2010年)“第1回 東京競馬 第8日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 11. 2016年2月15日閲覧。(索引番号:03095)
- (2009年)“第1回 東京競馬 第8日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 11. 2016年2月15日閲覧。(索引番号:03095)
- (2008年)“第1回 東京競馬 第8日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 11. 2016年2月15日閲覧。(索引番号:03095)
- (2007年)“第1回 東京競馬 第8日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 11. 2016年2月15日閲覧。(索引番号:03095)
- (2006年)“第1回 東京競馬 第8日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 11. 2016年2月15日閲覧。(索引番号:03095)
- (2005年)“第1回 東京競馬成績集計表” (PDF). 日本中央競馬会. pp. 439-440. 2016年2月15日閲覧。(索引番号:03095)
- (2004年)“第1回 東京競馬成績集計表” (PDF). 日本中央競馬会. pp. 442-443. 2016年2月15日閲覧。(索引番号:03095)
- (2003年)“第2回 中山競馬成績集計表” (PDF). 日本中央競馬会. pp. 437-438. 2016年2月15日閲覧。(索引番号:03095)
- (2002年)“第2回 東京競馬成績集計表” (PDF). 日本中央競馬会. pp. 419-420. 2016年2月15日閲覧。(索引番号:03095)
- netkeiba.comより(最終閲覧日:2025年2月24日)
- フェブラリーハンデキャップ
- フェブラリーステークス
- JBISサーチより(最終閲覧日:2020年6月20日)
ほかに日本で行われるダートの国際GI競走
外部リンク
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JRAは暦年基準、地方競馬は会計年度基準。GI・GII・GIIIは国際格付。 |
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