アジュディミツオー(Adjudi Mitsuo)とは、日本の競走馬である。
2004年、2005年の東京大賞典を連覇し、地方競馬所属馬として初めてドバイワールドカップに出走した。また、南関東公営競馬の古馬GIを完全制覇している。主戦騎手は内田博幸。馬名は、父馬アジュディケーティングの馬名と、母馬の馬主の名前(織戸光男)に由来する。
2004年NARグランプリサラブレッド3歳最優秀馬、および2005年と2006年の同年度代表馬・同サラブレッド4歳以上最優秀馬。
戦績
2、3歳
2003年にデビュー。9月15日のJRA認定競走の2歳新馬戦で石崎隆之が騎乗しデビュー勝ちをしたあと、翌年まで休養する。
2004年、騎手が佐藤隆に乗り替わって、4月13日の3歳戦と5月12日の東京湾カップを勝利し、デビューから土つかずの3連勝で東京ダービーに出走する。東京ダービーではそれまで5戦無敗、それもすべて4馬身以上の着差をつけて勝利していたベルモントストームがいたため単勝2番人気となったが、スタートから先頭に立つ逃げの策で、2着のキョウエイプライドに2馬身2分の1差を付けて勝ち、4連勝で東京ダービーを制した。
その後はジャパンダートダービー4着、黒潮盃3着と敗れ、日本テレビ盃(2着)からは内田博幸に乗り替わる。続くJBCクラシックでアドマイヤドンの2着に善戦すると、年末の東京大賞典では、ジャパンカップダートを勝ったタイムパラドックスやダービーグランプリに勝利したパーソナルラッシュらを破って逃げ切り勝ちをおさめ、地方競馬所属馬では2001年のトーホウエンペラー以来3年ぶり、南関東所属馬では1998年のアブクマポーロ以来6年ぶりに同競走の勝利となった。
4歳
第51回東京大賞典(2005年12月29日)東京大賞典の勝利により、地方競馬所属馬として初めて2005年のドバイワールドカップに招待されたが6着に敗れる。その後は検疫などの事情もあり秋まで休養。秋は日本テレビ盃から復帰し3着、武蔵野ステークスでは初めての東京競馬場のコースとスタート地点の芝コースになじめず4着、ジャパンカップダートでは競走中に落鉄する(蹄鉄が外れる)アクシデントもあり10着に大敗する。
冬の東京大賞典では4番人気に甘んじたが、内田博幸の好判断でスタートから先頭に立ち、そのまま逃げ切って2着のシーキングザダイヤに1馬身2分の1差を付け優勝。東京大賞典史上初の連覇を達成した。
5歳
第18回かしわ記念(2006年5月5日)2006年、初戦の川崎記念では、東京大賞典2着のシーキングザダイヤが1番人気で、アジュディミツオーは2番人気であったが、スタートから飛び出すとシーキングザダイヤをクビ差で振り切り、統一GI連勝を果たした。次に挑んだフェブラリーステークスでは、スタートの芝コースで少し立ち遅れ、後方からの競馬となってしまい7着に敗北した。
その後、かしわ記念に参戦する予定であったが、調教師の判断でマイルグランプリに出走。道中は2番手追走の競馬となるも、結局は2番手に5馬身差をつけコースレコードで勝利する。続くかしわ記念でもスタートから先頭に立ち、道中はレースの主導権を握り、フェブラリーステークスで先着を許したブルーコンコルドやサカラートを相手に勝利を収める。騎手を務めた内田自身はかしわ記念2連覇となった。
第29回帝王賞(2006年6月28日)。左:アジュディミツオー 右:カネヒキリかしわ記念のあと、帝王賞に出走する。この時点において、2005年のJRA賞最優秀ダートホースのカネヒキリとは、2005年の武蔵野ステークス、ジャパンカップダート、2006年のフェブラリーステークスと3回対戦していずれもカネヒキリが先着していたが、南関東の競馬場での初対戦となった本競走では、スタートから先頭に立つと、最後の直線でカネヒキリとの一騎討ちを展開した。本競走未勝利の内田博幸と、連覇のかかった武豊の2名のトップジョッキーの叩きあいは、実況を担当した及川暁の「勝ちたい内田、負けられない武豊」に示されるように激しいもので、最後はアジュディミツオーが「2段ロケット」と実況に称された二の脚を使って制し、2分2秒1のコースレコードで優勝した。この一戦は大井競馬を主催する特別区競馬組合が2011年に実施したファン投票企画「TCKベストレース25」で第1位に選ばれている[2]。
帝王賞の勝利によって、同馬は南関東古馬GI完全制覇を達成するとともに、アドマイヤドンに続く史上2頭目、地方所属馬としては初のダートGI5勝を達成している。
その後はJBCクラシックを目指していたが、骨瘤を発症し休養に入る。結局JBCクラシック出走はかなわなかったが、順調に回復し、年末の東京大賞典で復帰を果たした。しかし、先頭を奪えず5着に敗れ同一GI3連覇はならなかった。
6歳
2007年も初戦は川崎記念で、ヴァーミリアンが1番人気、アジュディミツオーは2番人気であった。スタートから逃げる形となっていたが、2周目第4コーナーから最後の直線の入り口にかけてヴァーミリアンにかわされ、最後は6馬身もの差をつけられて2着に敗北し、川崎記念連覇はならなかった。続いてフェブラリーステークスに出走。スタートが苦手な芝コースのため、スタートダッシュがつかず、そのまま14着に敗れた。続いてのかしわ記念では、ブルーコンコルド、サンライズバッカスに続いて3番人気となった。スタートから逃げる展開となったが、直線に向いてからブルーコンコルドに内から詰め寄られ、粘りきれず交わされ2着に敗れた。レース後は休養した。
7歳
2008年3月5日のダイオライト記念で復帰するが、6着だった。レース後は休養に入り、この年は1戦のみとなった。
8歳 - 引退
1年の休養を終えて、2009年3月26日のマイルグランプリで復帰。スタートから先頭に立つも、最後の直線でロイヤルボスに交わされ2着に敗れた。続く5月5日のかしわ記念でもスタートから先頭に立ったが、最後の直線で失速し8着に敗れた。その後、6月24日の帝王賞ではデビュー戦以来となる石崎隆之とのコンビで出走したが、10着と大敗した。その後、秋に向けて調整が進められていたが、8月20日の調教中に左後肢の中筋を痛め、関係者で話し合った結果現役を引退することになった。11月18日に船橋競馬場で引退式が行われ、2006年かしわ記念優勝時のゼッケン「2」を付けて内田博幸を鞍上にキャンターで馬場を1周するラストランを行った[3][4]。
種牡馬時代
2010年からはアロースタッドで種牡馬となっている[3]。2011年度の種付け料は条件にもよるが30 - 50万円。2011年2月2日に初年度産駒が母ミスプロの初仔として誕生した。産駒は2013年にデビューした。
2016年からは生まれ故郷である藤川ファームにて繋養されている[5]。
主な産駒
競走成績
以下の内容はnetkeiba.com[6]の情報に基づく。
競走日 |
競馬場 |
競走名 |
格 |
距離(馬場) |
頭 数 |
枠 番 |
馬 番 |
オッズ (人気) |
着順 |
タイム (上り3F) |
着差 |
騎手 |
斤量 [kg] |
1着馬(2着馬) |
馬体重 [kg]
|
2003.09.15
|
船橋
|
特選2歳新馬
|
|
ダ1000m(良)
|
7
|
7
|
7
|
001.10(1人)
|
01着
|
R1:00.9(37.7)
|
-0.2
|
0石崎隆之
|
53
|
(アイディングロウ)
|
495
|
2004.04.13
|
船橋
|
3歳
|
|
ダ1500m(良)
|
12
|
1
|
1
|
001.30(1人)
|
01着
|
R1:36.4(39.2)
|
-1.0
|
0佐藤隆
|
54
|
(エアーブロッコ)
|
517
|
0000.05.12
|
船橋
|
東京湾C
|
G3
|
ダ1800m(稍)
|
11
|
8
|
11
|
004.50(3人)
|
01着
|
R1:52.2(39.2)
|
-0.5
|
0佐藤隆
|
54
|
(ゼレンカ)
|
519
|
0000.06.03
|
大井
|
東京ダービー
|
G1
|
ダ2000m(良)
|
16
|
3
|
5
|
004.80(2人)
|
01着
|
R2:05.2(39.2)
|
-0.5
|
0佐藤隆
|
56
|
(キョウエイプライド)
|
514
|
0000.07.08
|
大井
|
ジャパンDダービー
|
GI
|
ダ2000m(良)
|
14
|
2
|
2
|
00 - 00(1人)
|
04着
|
R2:05.2(38.5)
|
-0.7
|
0佐藤隆
|
56
|
カフェオリンポス
|
510
|
0000.08.04
|
大井
|
黒潮盃
|
G2
|
ダ1800m(良)
|
12
|
2
|
2
|
00 - 00(1人)
|
03着
|
R1:53.6(39.3)
|
-0.3
|
0佐藤隆
|
56
|
キョウエイプライド
|
512
|
0000.09.23
|
船橋
|
日本テレビ盃
|
GII
|
ダ1800m(不)
|
10
|
5
|
5
|
00 - 00(4人)
|
02着
|
R1:49.8(36.0)
|
-0.1
|
0内田博幸
|
53
|
ナイキアディライト
|
525
|
0000.11.03
|
大井
|
JBCクラシック
|
GI
|
ダ2000m(稍)
|
13
|
4
|
6
|
00 - 00(6人)
|
02着
|
R2:02.6(37.0)
|
-0.2
|
0内田博幸
|
55
|
アドマイヤドン
|
518
|
0000.12.29
|
大井
|
東京大賞典
|
GI
|
ダ2000m(重)
|
14
|
8
|
13
|
003.60(3人)
|
01着
|
R2:02.6(37.2)
|
-0.6
|
0内田博幸
|
55
|
(ユートピア)
|
520
|
2005.03.26
|
ナド・アルシバ
|
ドバイワールドC
|
GI
|
ダ2000m(良)
|
12
|
1
|
1
|
00 - 00
|
06着
|
R2:04.7
|
-2.6
|
0内田博幸
|
57
|
Roses in May
|
計不
|
0000.09.23
|
船橋
|
日本テレビ盃
|
GII
|
ダ1800m(良)
|
12
|
3
|
3
|
00 - 00(2人)
|
03着
|
R1:53.1(39.6)
|
-1.3
|
0内田博幸
|
58
|
サカラート
|
525
|
0000.10.29
|
東京
|
武蔵野S
|
GIII
|
ダ1600m(良)
|
16
|
2
|
3
|
019.10(5人)
|
04着
|
R1:35.9(37.4)
|
-0.7
|
0内田博幸
|
59
|
サンライズバッカス
|
532
|
0000.11.26
|
東京
|
ジャパンCダート
|
GI
|
ダ2100m(良)
|
16
|
7
|
14
|
011.20(4人)
|
10着
|
R2:10.5(39.0)
|
-2.5
|
0内田博幸
|
57
|
カネヒキリ
|
538
|
0000.12.29
|
大井
|
東京大賞典
|
GI
|
ダ2000m(良)
|
15
|
3
|
4
|
005.10(4人)
|
01着
|
R2:03.1(37.5)
|
-0.3
|
0内田博幸
|
57
|
(シーキングザダイヤ)
|
534
|
2006.01.25
|
川崎
|
川崎記念
|
GI
|
ダ2100m(稍)
|
10
|
2
|
2
|
002.70(2人)
|
01着
|
R2:12.8(40.4)
|
-0.1
|
0内田博幸
|
57
|
(シーキングザダイヤ)
|
532
|
0000.02.19
|
東京
|
フェブラリーS
|
GI
|
ダ1600m(良)
|
16
|
4
|
7
|
013.00(5人)
|
07着
|
R1:36.0(36.5)
|
-1.1
|
0内田博幸
|
57
|
カネヒキリ
|
532
|
0000.04.12
|
大井
|
マイルグランプリ
|
G2
|
ダ1600m(不)
|
15
|
5
|
8
|
001.40(1人)
|
01着
|
R1:37.2(38.3)
|
-1.0
|
0内田博幸
|
57
|
(コアレスタイム)
|
525
|
0000.05.05
|
船橋
|
かしわ記念
|
GI
|
ダ1600m(良)
|
13
|
2
|
2
|
001.50(1人)
|
01着
|
R1:38.6(38.0)
|
-0.3
|
0内田博幸
|
57
|
(ブルーコンコルド)
|
530
|
0000.06.28
|
大井
|
帝王賞
|
GI
|
ダ2000m(良)
|
13
|
2
|
2
|
002.20(2人)
|
01着
|
R2:02.1(37.0)
|
-0.2
|
0内田博幸
|
57
|
(カネヒキリ)
|
514
|
0000.12.29
|
大井
|
東京大賞典
|
GI
|
ダ2000m(稍)
|
13
|
6
|
9
|
002.20(1人)
|
05着
|
R2:04.6(38.6)
|
-1.1
|
0内田博幸
|
57
|
ブルーコンコルド
|
532
|
2007.01.31
|
川崎
|
川崎記念
|
JpnI
|
ダ2100m(良)
|
13
|
4
|
5
|
002.30(2人)
|
02着
|
R2:14.2(40.2)
|
-1.3
|
0内田博幸
|
57
|
ヴァーミリアン
|
537
|
0000.02.18
|
東京
|
フェブラリーS
|
GI
|
ダ1600m(不)
|
16
|
1
|
2
|
014.30(7人)
|
14着
|
R1:36.4(37.3)
|
-1.6
|
0内田博幸
|
57
|
サンライズバッカス
|
528
|
0000.05.02
|
船橋
|
かしわ記念
|
JpnI
|
ダ1600m(稍)
|
14
|
2
|
2
|
004.10(3人)
|
02着
|
R1:37.7(36.9)
|
-0.3
|
0内田博幸
|
57
|
ブルーコンコルド
|
544
|
2008.03.05
|
船橋
|
ダイオライト記念
|
JpnII
|
ダ2400m(良)
|
13
|
7
|
11
|
008.80(5人)
|
06着
|
R2:37.2(41.9)
|
-2.5
|
0佐藤裕太
|
56
|
フリオーソ
|
537
|
2009.03.26
|
大井
|
マイルグランプリ
|
SII
|
ダ1600m(重)
|
14
|
1
|
1
|
002.40(2人)
|
02着
|
R1:39.7(39.0)
|
-0.1
|
0内田博幸
|
57
|
ロイヤルボス
|
542
|
0000.05.05
|
船橋
|
かしわ記念
|
JpnI
|
ダ1600m(重)
|
13
|
8
|
13
|
032.80(7人)
|
08着
|
R1:38.4(38.8)
|
-2.5
|
0三浦皇成
|
57
|
エスポワールシチー
|
542
|
0000.06.24
|
大井
|
帝王賞
|
JpnI
|
ダ2000m(不)
|
13
|
6
|
8
|
027.30(6人)
|
10着
|
R2:08.5(41.0)
|
-4.9
|
0石崎隆之
|
57
|
ヴァーミリアン
|
536
|
※タイム欄のRはレコード勝ちを示す。
血統表
- オリミツキネンの05は同じアジュディケーティングを父としてもちながらセレクトセールにて5000万円という破格の値段でビッグレッドファームに落札された。同馬はドリームマイスターと名付けられ、セゾンレースホースにて8000万円(400口/1口20万円)で募集された。
脚注
外部リンク
|
---|
1990年代 |
|
---|
2000年代 | |
---|
2010年代 | |
---|
2020年代 | |
---|
G1勝ち鞍 |
---|
|
---|
1990年代 | |
---|
2000年代 | |
---|
2010年代 | |
---|
2020年代 | |
---|
表記は指定交流競走指定後についてのみ |
|
---|
1990年代 | |
---|
2000年代 | |
---|
2010年代 | |
---|
2020年代 | |
---|
表記は指定交流競走指定後についてのみ |
|
---|
2000年代 | |
---|
2010年代 | |
---|
2020年代 | |
---|
表記はGI昇格後についてのみ |
|
---|
1990年代 | |
---|
2000年代 | |
---|
2010年代 | |
---|
2020年代 | |
---|
表記は指定交流競走指定後についてのみ |
|