たぬかな (1992年 〈平成 4年〉11月21日 [ 2] [ 3] - )は日本女性で2人目にプロゲーマーになり[ 2] [ 3] 、鉄拳7 で主にシャオユウ 使いとしてプレーした人物[ 2] [ 8] 。世界最大規模の格闘ゲーム大会「Combo Breaker 2017」鉄拳7部門3位、「WESG 2018-2019 Grand Final 鉄拳7 エキシビショントーナメント女子部門」優勝者[ 9] 。eスポーツ の番組「YUBIWAZA 」では準MCも務めた[ 20] 。
アパレル会社 から転職し、2016年から2022年2月までeスポーツ チーム「CYCLOPS athlete gaming 」に所属[ 21] [ 22] [ 4] 。「Team GRAPHT 」からも2017年3月から2020年3月までサポート契約を受け[ 13] [ 24] 、2022年2月までレッドブル とスポンサー契約を結んでいた[ 21] [ 22] 。徳島県 徳島市 出身で[ 4] [ 2] 、東新町商店街 で開催された「マチ★アソビ」のeスポーツ普及イベントにも出演している[ 27] 。
『鉄拳7 』では「TEKKEN World Tour Online(Asia-Pacific East)」で2年連続準優勝[ 3] 、「Manga Con 2018(3on3)」や「HizaMattariCup2019(5on5)」で優勝[ 9] 。2019年12月には「STARGAMERS COMMUNITY FESTIVAL GIRLS ONLY BATTLE」でリロイ・スミス を使用して優勝した[ 10] 。チームの契約解除後はTwitch の動画配信者として活動[ 29] 。2023年7月からゲーミングチーム「NOEZ FOXX 」ストリーマー 部門所属[ 5] [ 6] [ 7] 。
来歴・人物
生い立ち・学生時代
1992年 (平成 4年)11月21日 、徳島県 徳島市 生まれ[ 2] [ 3] 。本名は谷 加奈(たに かな)。後年のインタビューによると、「たぬかな」は彼女の出身地に多いタヌキ と本名を掛け合わせたものだという。
祖父は建設会社勤務の日曜大工 好きで、父親はゲーム 好きだったという[ 32] 。父親がPlayStation のバイオハザードシリーズ をプレイする様子を姉や弟と眺めたり、スーパーファミコン では『ドラゴンクエストVI 』や『スーパーマリオ ヨッシーアイランド 』、『スーパードンキーコング 』などをプレイしたりしていたと述懐している[ 32] 。小中学校ではテニス やサッカー の部活に所属していたという[ 33] 。
工業高校 の建築科 に進学[ 34] 。高校では、同級生の男子とゲームセンター に遊びに行ったことがきっかけで『鉄拳シリーズ 』に出会う[ 33] 。門限は20時ながら、自転車で45分かけて1ゲーム50円のゲームセンターに、平日も土日も通っていたという[ 34] 。ゲームセンターで女子高生3人は珍しかったらしく、写真を撮られたりWeb上の掲示板でも話題になったという[ 34] [ 33] 。また、PlayStation 2 では『マイホームをつくろう 』をプレイしていたという。
就職、転職、プロゲーマーへ
徳島県立徳島科学技術高等学校 [ 4] 卒業後は徳島県内の建築設計事務所に就職[ 37] [ 33] 。その後、アルバイト数社を経てアパレル会社 のユニクロ に転職した[ 37] [ 33] [ 38] [ 39] [ 注 4] 。就職してからも『鉄拳シリーズ 』のプレイは続けており、会社は土日の大会にも理解があったという[ 33] 。また、香川県 や和歌山県 など徳島県外のゲームセンター にも遠征していたり[ 40] 、バンダイナムコエンターテインメント に誘われて、日本国外の鉄拳イベントに参加していたという[ 33] [ 39] 。鉄拳シリーズでの使用キャラクターはシャオユウ で[ 41] [ 8] 、使用キャラクターの全国ランキングで1位だった[ 42] 。
2016年(平成28年)11月にeスポーツ チームCYCLOPS athlete gaming の公募を受け、当初は兼業のつもりであったが、会社からは月給を出すので専業でゲームに専念することを勧められる。親の反対を押し切って23歳でアパレル会社 を退職し、日本人で2人目の女性プロゲーマー になる[ 4] 。大阪 に転居し[ 33] 、引っ越し当初はオンライン環境は脆弱であったため、ゲームセンターでも訓練していた。使用デバイスはRazer Pantheraであり、筐体 でのプレーを好む[ 8] 。スポンサーには30歳までは続けない旨を伝えていたといい[ 44] 、インタビューでも結婚したとしたら引退するつもりと答えている。
プロゲーマーとしての活動
2017年(平成29年)3月からはTeam GRAPHT とサポート契約[ 13] 。同年7月にはOCA大阪デザイン&IT専門学校 で開催された特別講義「トッププロゲーマーたちによる特別講義」の講師も務めた[ 42] 。2018年(平成30年)1月にはレッドブル がスポンサーにつく[ 2] 。『鉄拳7 』では「Manga Con 2018(3on3)」や「HizaMattariCup2019(5on5)」で優勝[ 9] 。Twitter でもファンを獲得し、タイ のYouTuber など海外からもインタビューも受けた[ 46] [ 47] 。なお、鉄拳シリーズ の段位は、『鉄拳6BR 』で紅蓮、『鉄拳タッグトーナメント2 』で鬼神、『鉄拳7』で聖帝、『鉄拳7FR』で煌帝[ 8] 。
ロンドンブーツ1号2号 の田村淳 [ 48] と元モーニング娘。 の矢口真里 [ 49] がMCを務めるeスポーツ の番組『YUBIWAZA 』では2018年4月12日の初回放送にゲスト出演し[ 48] 、その後も準MCとして出演した[ 20] 。同年5月には徳島市の東新町商店街 で開催された「マチ★アソビvol.20」ではeスポーツ 普及イベントに出演し、徳島県知事 の飯泉嘉門 とも対戦している[ 27] 。10月6日の「マチ★アソビvol.21」でもトークショーに出演し、飯泉知事や浜村弘一 とも対談した[ 27] 。同年11月には、岡山市 の「eスポーツ鉄拳ゲーミングフェアin岡山」にも出演し、岡山県知事 の伊原木隆太 や、逢沢一郎 、高井崇志 と対戦している[ 51] 。
一方でeスポーツ普及のために動画配信も実施し[ 52] 、2019年には関東に転居[ 10] 。インタビューでは自身が女性蔑視に苦慮したことを語り[ 47] 、「女の子でゲームのうまい子に、『プロを目指してみない』と誘っても、『ネットで叩かれるからやりたくない』と言うんです」、「自分がメディアに出ることで競技者が増えていき、プロゲーマーの社会的地位が向上することを目標にしています」と語っている。また、ときど とともにプロeスポーツ選手として、「eスポーツを活性化させるための方策に関する検討会」の構成員を務めた[ 55] 。2020年(令和 2年)3月にはTeam GRAPHTの契約が終了した[ 24] 。
配信活動の炎上と新展開
2022年(令和4年)2月、Mildom のライブ配信時にUber Eats の配達員からナンパ されて怖かった話をした際の、「(身長が)170ないと、正直人権無いんで」との発言が問題視される[ 21] [ 56] [ 注 5] 。たぬかな自身は「高身長が好きって言いたいだけでした…いつもの配信の身内ノリで言葉が悪くなっちゃいました」と弁明したが[ 22] 、炎上 して再度謝罪した[ 21] [ 22] 。この騒動を受け、たぬかなはYouTube の動画やInstagram のアカウントを削除[ 57] 。CYCLOPS athlete gaming やレッドブル との契約も終了となった[ 21] [ 22] [ 注 6] 。この件に対し、ITジャーナリストの篠原修司は「人権ない 」が「そのステージに挑戦する資格がない」という意味のゲーム用語であり、「自分の恋愛対象は身長170cm以上の男性」と言いたかったのではないかと指摘している[ 59] [ 注 7] 。
2023年(令和5年)1月20日、Twitch にておよそ1年ぶりに配信を行い、髪を黒くして仕事募集中であることを公表[ 61] 。1年間ほど実家に戻っており[ 62] 、がん で闘病中の父が亡くなった際の「しょうもないヤツらに負けんなよ」「お前はピンチをチャンスにして頑張れよ」という父の遺言で配信を決めたことを明かした。また、実家に嫌がらせの電話をしてきて家族の中で女性が出たときだけ謝罪を迫っていた男性や、聴講者が30名程度の配信の情報を拡散したマスコミ について疑問を呈した[ 注 8] 。同年2023年3月24日にはYouTuber のてんちむ とコラボ[ 29] [ 注 9] 。同年5月28日にはコンセプトカフェ 『ちるどれんはうす』の一日店長を務め[ 65] [ 66] 、同年6月12日発売の『週刊ヤングマガジン 』第28号にはグラビアが掲載された[ 67] [ 68] 。
2023年6月20日の配信において、7月から美容外科 の受付に再就職することを報告[ 69] 。一方で翌7月25日に設立されたゲーミングチーム「NOEZ FOXX 」において、同月31日にたぬかなのストリーマー部門所属が発表された[ 5] [ 6] 。また、同年9月には「弱者男性 合コン」を開催することを企画[ 7] [ 70] 。同年10月28日に秋葉原 で実施し、DJふぉい やDJ脇 もMC として協力して参加者へのインタビューも生配信された[ 71] [ 72] [ 注 10] 。なお同年10月の動画配信における発言が原因で仕事を一つ失ったことがあるという[ 74] [ 75] 。2024年5月21日には新宿租界が毎週火曜日に開いているホームレス への炊き出し に参加[ 76] [ 注 11] 。同年の時点でパチンコ店 がスポンサー に付いている[ 78] 。
2024年11月15日には自著『社会的弱者との生配信ルポ』を出版[ 79] [ 80] 。これに先行して自著を原作としたショートドラマ「鬱デブ男to毒舌女」が同年10月9日に公開されており、ラランドのニシダ と共演した[ 79] [ 80]
主な大会戦績
鉄拳7 国内大会
2019-06-01 HIZAまったり杯 2019(5on5) - 優勝(ゲームセンター破壊王)[ 9] [ 81]
2019-02-18 EVO Japan 2019 - 129位タイ(CYCLOPS athlete gaming)[ 82]
2019-12-21 STARGAMERS COMMUNITY FESTIVAL GIRLS ONLY BATTLE - 優勝(CYCLOPS athlete gaming, リロイ・スミス 使用)[ 10]
鉄拳7 国際大会
2017-05 Combo Breaker 2017 - 3位[ 83]
2017-07-19 EVO 2017 - プール敗退(CYCLOPS athlete gaming)[ 84]
2017-09-10 Tekken World Tour Online 2017: East Asia(PS4) - 準優勝(CYCLOPS athlete gaming)[ 85]
2018-07-09 Manga Con 2018(3on3)- 優勝[ 9] [ 86]
2018-05-27 BATTLE ARENA MELBOURNE 10 - 25位タイ(CYCLOPS athlete gaming)[ 87]
2018-08-07 EVO 2018 - 49位タイ(CYCLOPS athlete gaming)[ 88]
2018-10-01 TEKKEN World Tour Online 2018(Asia-Pacific East) - 準優勝(CYCLOPS athlete gaming)[ 89]
2019-05-13 ROXnROLL Korea - 25位タイ(CYCLOPS athlete gaming)[ 90]
2019-05-27 Combo Breaker 2019 - 65位タイ(CYCLOPS athlete gaming)[ 91]
2019-08-05 EVO 2019 - 65位タイ(CYCLOPS athlete gaming)[ 92]
2019-12-09 TEKKEN World Tour Finals 2019 最終予選 - 49位タイ(CYCLOPS athlete gaming)[ 93]
鉄拳7 エキシビション
2019-03-20 WESG 2018-2019 Grand Final 鉄拳7 エキシビショントーナメント女子部門 - 優勝(CYCLOPS athlete gaming)[ 9] [ 94]
著書
出演
ウェブドラマ
ショートドラマ「鬱デブ男to毒舌女」(2024年10月9日公開、青天出版) - たぬかな役。自著『社会的弱者との生配信ルポ』が原作。ラランドのニシダ と主演[ 79] [ 80]
ラジオ
脚注
注釈
^ 「CYCLOPS athlete gaming 」は、ブロードメディア の子会社であるブロードメディアeスポーツが運営するプロeスポーツチーム[ 11] [ 12] 。拠点は大阪 で[ 11] 、FIFA部門[ 13] や格闘ゲーム部門、レインボーシックス シージ 部門を持つ[ 11] [ 12] 。格闘ゲーム部門は「EVO2019 」のドラゴンボールファイターズ 部門や「ARC WORLD TOUR FINALS 2022」のDNF Duel 部門で世界一[ 11] 。レインボーシックス シージでは、2023年現在2020年以降日本で唯一世界大会「Six Invitational」へ出場しており[ 11] [ 12] 、2022年シーズンでグローバルランキング16位となっている[ 12] 。また、国際チャリテイー大会「Gamers Without Borders」においてCYCLOPS athlete gamingは2020年と2023年に優勝している[ 11] 。2024年3月に「CAG OSAKA 」へ改名している[ 14] 。
^ 「Team GRAPHT 」はMSY株式会社が運営するゲーミングチーム[ 13] 。サポートしていた選手にはふ〜ど らがいる[ 13] [ 15] 。
^ 「NOEZ FOXX 」は、Repezen Foxx のDJふぉいやDJ脇が設立したゲーミングチーム[ 5] [ 6] 。VALORANT部門やSTREAMER部門を持ち、2023年7月25日にウェブサイトを公開し、設立を発表した[ 5] [ 6] 。VALORANT部門では7月29日にFiskerが加入することが発表され、ストリーマー部門では同月31日にはたぬかな、8月2日にねこくん!の参加が公表されている[ 5] [ 6] [ 16] 。
^ 2023年の村田らむ によるインタビューによると、徳島県内の建築設計事務所では残業 やセクハラ で疲弊し、うつの診断を受けたという[ 38] [ 39] 。就職して1年ほどで退社し、会社もすぐに倒産したと語っている[ 38] [ 39] 。
^ 2022年2月15日にMildom (ミルダム)のライブ配信にて、自宅でUber Eats を利用した際に男性配達員から連絡先を尋ねられたと明かした。その行動に対して恐怖を抱くと同時に、その配達員の身長が低いことから興味を持てなかったと話した[ 22] 。たぬかなはその後、「170ないと、正直人権 ないんで。170センチない方は『俺って人権ないんだ』って思いながら、生きていってください。骨延長の手術を検討してください。『骨延長手術 (英語版 ) 』で調べてください。170あったら人権がちゃんと生まれてくるんで」などと発言し[ 22] 、それを注意した視聴者に対して「ほんまちっちゃい男に人権あるわけないだろお前、調子のんな」と返答した[ 22] 。
^ ブロードメディアeスポーツ社は「2022年2月15日の『たぬかな』選手の配信中における不適切な発言と姿勢は、当社として決して容認できるものではなく、選手契約解除という判断に至りました。当社は、いかなる差別的・侮辱的な行為や言動・SNS 等での発言も許されるものではないと認識しており、すべての人にとっての多様性を大切にしております。今後、所属選手の教育、指導等管理体制を強化し、再発防止を徹底して参ります。」との声明を発表している[ 22] 。評論家の古谷経衡 は「「人権」という言葉をあまりにも簡単に乱用した」と批判した[ 58] 。
^ 炎上翌年のライブ配信における視聴者からの身長170cmに関する質問についても、たぬかなは「私の好みとしては対象に入らないという意味では今も変わっていない」「好みの話」と返答している。また、「ジャニーズ は170以下の人多いですけど」などの質問には「持ってる人っていうのは別っていうのは分かるやん。私はあなたみたいな持たざる人の中での話をしているんですよね」と回答し[ 60] 、続けて「身長なんて些末な問題やんそんな人からしたら。顔がめっちゃいいとかさ。サッカー めっちゃ強いみたいな人からしたらクソ些末な問題やねん。お前らが身長ないのがあかんっていう話をしてんねんな。お前らもうその範疇入っていないから、身長くらいはがんばれよって話をしていただけやねん。持たざる者のことを言ってるねん。別に持ってる人は本人そんな気にしてない」と強調した[ 60] 。
^ なお、2023年1月20日の配信では「言葉として『人権 』という発言は悪かった」[ 61] などの謝罪をし[ 61] 、同月27日のライブ配信では契約解除でかつてのチームメイトに迷惑をかけたことを謝罪している[ 62] 。
^ なお、2023年4月25日には、配信サイト「Twitch 」で7日間の利用停止処置を受けていること、そのため一週間YouTube で「懺悔配信 」をすることをTwitter で公表した[ 63] [ 64] 。
^ 男性・女性ともに参加希望者は書類審査がある[ 73] [ 71] 。会場やスポンサーの提供、および見学の有料VIP席の収益により、男女ともに参加費は無料[ 73] (VIP席を利用したやしろあずき によるとVIP席の参加費は10万円[ 71] )。会場は秋葉原ラフィーネ[ 73] 。
^ 「新宿租界」はギャンブル の情報を提供するオンラインサロン で、総帥はZ李[ 77] [ 76] 。毎週火曜日の炊き出し は2021年時点で新宿都庁 下と代々木公園 で行っており、おかわり自由[ 77] 。炊き出しを行う理由について、Z李は「いままで自分がダメだったときに助けてもらうことが多かった。自分がうまくいっているときにそれを返してるというか、いつ飯に困るときが来るかわからないから、自分ができているときに返している」と答えている[ 77] 。
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参考文献
外部リンク
(関連動画)