ᛗ
ᛗ(マンナズ、*Mannaz[1]、*Manwaz)は、ルーン文字の一つである。*Mannazは「ᛗ (m) 」の再建された名称であり、性的に中立な意味において「人、人間(英語: person, human being)」をあらわすゲルマン祖語の単語である。 概要単語「Mannaz」は、古英語の「man, mann(「人間、人」)」へと発展していった。 (他にドイツ語の「Mann」、古ノルド語の「maðr」、ゴート語の「manna」、いずれも英語の「man」と同義語である。) この語は、インド・ヨーロッパ祖語の語根「*man-(異形の*mon-も含む)」に由来している。 (サンスクリット語あるいはアヴェスター語の manu-、ロシア語の muzh。いずれも「人、男性」を意味する。) 語源→「en:Man (word)」も参照
アメリカン・ヘリテージ辞典(en)がそうであるように、語源の説明のいくつかは、語根を独立したものとみなしている。 インド・ヨーロッパ系の神話において、*Manusは、最初の男の名でもあった。(マンヌス、マヌを参照。) 語源説明1他のインド・ヨーロッパ祖語との関連を証明する語源説明の中で、「man(考える人 the thinker)」は、最も従来からある説である――つまりこの単語は、語根「*men-」(「考えること」の意。「mind(心)」の同根語)とつながりがある。 この語源説明は、「合理的な動物」としてルネ・デカルトによって与えられた「人(man)」の定義に適合する。 この説明はしかし、一般には受け入れられていない。 ゲルマン語派の言語に属さないフィンランド語においては、この語源としてありそうな類比がある。 フィンランド語では、「人間」は「ihminen」という単語である。その意味するところは、「不思議に思っている誰か」である。 語源説明2第2の語源説明は、「man」の原型が「human」の原型の縮小形だと主張している。 「Human(人間)」は、「*dhghem-」つまり英語の「earth(地球)」に由来している。 「*(dh)ghom-on-」は、ある種の「earthling(人間)」である。 単語は、まさにその最終的な音節である「*m-on-」にまで縮小する。 エリック・パートリッジ[2]の語源辞典『Origins』において、「man(人)」の項目にこの考え方を見い出せるだろう。 こんにち我々にゲルマン語の語形だけがあるとすれば、その派生論は有望な説であろう。 (また、トゥイストー(マンヌスの父神)が大地から出現した神であることにも注意が必要。) しかし、その証拠となるはずのインド・イラン語派の単語「manu」は、事実上その可能性を否定する。 意味の変化11世紀ごろ、その意味を「成人男性」に制限した「man」の使われ方は、後期古英語に見られ始めただけであった。そして、往事は「男性(male sex)」を表していた単語「wer」「were」は1300年頃には使われなくなった。(しかし、例えば「werewolf(人狼)」や「weregild(贖罪金)」という単語に残っている。) 単語「man」の本来の意味は、古英語「mancynn」に由来する「mankind(人類)」のような単語に残されている。 20世紀に入ると、「人(man)」の一般的な意味はまたさらに制限されてしまった。 (しかし、合成語である「mankind(人類)」、「everyman(全員)」、「no-man(つむじ曲り)」、その他の語として残っている。) 現在は、昔そうであったように、ほとんど独占的に「成人の男性」を意味する語としての用例が大部分である。 ラテン系言語における「homo」の変化興味深いことに、まったく同じことが、ラテン系言語の単語「homo」に起こっている。ロマンス諸語においては顕著である。 「homme, uomo, hombre, homem」は、残された一般的な意味として、主に「男性」に適用されるようになった。 ルーン詩3つすべてのルーン詩に、ノルウェー語とアイスランド語の詩では maðr として、そして古英語の詩では man として記録されている。
脚注
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