ZZトップ (ジージー・トップ[ 9] 、ZZ Top )は、アメリカ合衆国 テキサス州 出身のスリーピース ・ロックバンド 。2004年 『ロックの殿堂 』入り。2011年 、ビリー・ギボンズが『ローリング・ストーン 』誌選出「歴史上最も偉大な100人のギタリスト」第32位[ 10] 。
バンド史
1969年 、ギターのビリー・ギボンズを中心に結成。それまで各々はサイケデリック・ロック ・バンドをやっており、ビリーのバンド「ムーヴィング・サイドウォークス 」は、ジミ・ヘンドリックス の前座を担当したこともあった。その際、ジミに「アメリカで最高の若手ギタリスト」と称され[ 11] 、ピンクのストラトキャスターを贈られたこともあった[ 10] 。しかし、ベーシストのドン・サマーズとキーボーディストのトム・ムーアが徴兵され、バンドは解散。その後、ギタリストのビリー・ギボンズとドラマーのダン・ミッチェルがベーシストのラニアー・グレイグを加え、オリジナルのZZトップを結成した[ 12] 。その後ベースがスティーヴィー・レイ・ヴォーン のバンドでプレイしていた、ビリー・エスリッジに交代。
また、ダスティ・ヒルとフランク・ベアードは、同じバンド「アメリカン・ブルース 」に在籍して、こちらも2枚のアルバムを出し、順調に活動していたが、1968年頃、バンド(ロッキーとダスティ、2人のヒル兄弟とベアード)はダラス・フォートワース地域を離れ、ヒューストンに移転することを決めた。しかしこの時、ギタリストでダスティの兄であるロッキー・ヒルは本格的なブルースに専念することを望み、弟のダスティはロックを指向した。ロッキーはバンドを去り、残りのダスティとフランクは、まずフランクが1969年にダン・ミッチェルと入れ替わりでバンドに加入、1970年2月の公演からダスティがビリー・エスリッジと入れ替わる形でZZトップに加入した[ 13] 。
バンド結成当初はブルースに根ざしたサウンドで、黒人のブルースマン達と一緒にツアーで周ることもあった。その頃、マディ・ウォーターズ らと楽屋裏でポーカー をした逸話が残っているが、必ずマディの傍らにはピストルが置いてあり、それが怖かった、と回想している[要出典 ] 。
活動初期の頃 (1976年)
1973年 、サード・アルバム『トレス・オンブレス 』が発表され、1974年 には同アルバムがゴールドディスク に輝き、シングルカットされた「ラ・グランジェ 」がヒット。それまでの精力的なライブ活動と、数々の大物バンド(ローリング・ストーンズ やディープ・パープル 、ジャニス・ジョプリン 等)の前座経験がセールスに繋がったとされている。また、この頃から全米に名の知られるところとなり、コンサートの規模や観客動員数で記録を樹立して行く。トラック数台分に及ぶ膨大なステージセットを携え全米を回り、ステージに本物の蛇を持ち込むなど、ライブ・パフォーマンスも大きな話題を呼んだ。このアルバムに収録された「Beer Drinkers & Hell Raisers」におけるギター・ソロで用いられたライトハンド奏法 は、商業用としては極めて初期の段階に録音されたものと見られている[誰によって? ] 。
このように、活動は上り調子となったものの、絶え間ないツアーとレコーディングの連続にバンドは疲弊。1977年をもって2年間の活動停止に入る。この間、ビリーとダスティの髭が伸び、その後よく知られるルックスになるが、特に示し合わせて髭を伸ばしたわけではなく、再会するまで2人はお互いにそのことを知らなかったという[ 14] 。
1980年代 初頭、当時の先端技術であるシンセサイザーを導入した頃から、バンドに転機が訪れる。それまでのブギー・ロック にプログラミングされたシーケンサー・サウンドを導入、大胆な変化を見せる。そのサウンドが、アメリカの長距離トラック運転手達に特に好まれたこともあり、アルバム『イリミネイター 』『アフターバーナー 』などは、レコードよりもテープの方が売れることとなった[要出典 ] 。
それと同時に、この頃始まった人気番組MTV にて「Legs」や「Sleeping Bag」など、コミカルなプロモーション・ビデオが毎日のようにオンエアされ、世界の幅広い世代から受け入れられるようになる。初来日したのも、ちょうどこの頃だった。サングラスとビリー、ダスティの凄まじく長い顎髭がインパクトを呼び、日本でも有名になる。バンド名にちなんで、1998年 にはホンダ・Z のCMに起用された。
1990年 には、マイケル・J・フォックス 主演の映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3 』のエンディング・テーマに「Doubleback 」を提供した。これは『バック・トゥ・ザ・フューチャー 』シリーズのファンである彼らの意向によるもの。湾岸戦争の際には、戦勝祈願コンサートを実施したことがある。
1990年以降、バンドのサウンドはブルースに回帰する姿勢を見せている。ただし、新しいもの好きのビリーの趣味もあり、現代的なエフェクトやダウン・チューニングによる重厚なサウンドも多用され、新しい方向性を見出している。
2004年 にはロックの殿堂 入りを果たし、授賞式でのプレゼンターはキース・リチャーズ が務めた。
WWE のファンであり、2009年 7月20日 にWWE・ロウ のホストを務めた。
2012年 、9年振りのアルバム『La Futura』を発表[ 15] 。全米6位を記録し、ベスト・アルバム『グレイテスト・ヒッツ 』以来20年振りの全米トップ10入りを果たした[ 16] 。
2019年 、結成50周年を迎えた記念のボックスセット『GOIN’50』をリリース[ 17] 。
2021年 には新型コロナウイルス感染症の世界的流行 により中止を余儀なくされていたツアーを7月中旬に再開するものの、ヒルは臀部を負傷し、ツアーからの離脱を余儀なくされた。イリノイ州ニューレノックスのヴィレッジ・コモンズで、ヒルのギター・テクニシャン であるエルウッド・フランシスがベースを担当し、ZZトップは彼抜きでパフォーマンスを行った[ 18] 。5日後の7月28日、ZZトップはヒルがヒューストンの自宅で72歳で亡くなったと発表した[ 19] [ 20] 。彼の妻は後に、彼が慢性的な滑液包炎 を患っていたと報告した[ 21] 。ヒルの希望により、ZZトップはフランシスをベースに迎えて活動を続けることを決定した[ 18] 。ヒルはすでにZZトップの次の16枚目のスタジオ・アルバムのためにベースとヴォーカルをレコーディングしていた[ 22] 。
2022年7月22日、ZZトップはシェルター・レコード /BMG から2019年のバンドのドキュメンタリー『That Little Ol' Band from Texas』のサウンドトラック『Raw』をリリースした。ヒルとの最後のライヴ・アルバムのひとつである[ 23] 。
2022年12月12日、ZZトップは「The Sharp Dressed Simple Man Tour」と題した2023年夏のレイナード・スキナード との共同ヘッドライナー・ツアーを発表し、7月21日のウェスト・パーム・ビーチから始まり、9月17日のニュージャージー州カムデンで終了する予定であった。
2023年11月6日、レイナード・スキナードとの共同ヘッドライナーによる『Sharp Dressed Simple Man Tour』の2024年継続が発表された。3月8日のジョージア州サヴァンナを皮切りに、第1弾(20日間)は南東部と中西部を中心に回り、4月20日のテキサス州コーパスクリスティで終わる。4ヶ月の休養の後、第2弾(16日間)は8月9日にミシガン州マウント・プレザントでスタートし、北東部とさらに中西部を回った後、西海岸に飛び、9月22日にワシントン州リッジフィールドで最終公演が予定されている[ 24] 。
メンバー
※2024年1月時点
現ラインナップ
旧メンバー
ダスティ・ヒル (Dusty Hill ) - ベース、キーボード 、ボーカル(1970年-2021年死去)
ラニア・グレイグ (Lanier Greig) - ベース(1969年) ※2013年死去
ダン・ミッチェル (Dan Mitchell) - ドラムス(1969年)
ビリー・エスリッジ (Billy Ethridge) - ベース(1969年-1970年)
ビリー・ギボンズ(G)2015年
ダスティ・ヒル(B)2015年
フランク・ベアード(Ds)2015年
ギャラリー
ディスコグラフィ
発表年
邦題
原題
備考
1971年
ZZトップ・ファースト・アルバム
ZZ Top's First Album
1stアルバム、当初は輸入版のみ。
1972年
リオ・グランデ・マッド
Rio Grande Mud
2ndアルバム、当初は輸入版のみ。ビルボード・ポップアルバムチャート104位
1973年
トレス・オンブレス
Tres Hombres
3rdアルバム。 ビルボード・ポップアルバムチャート8位 プラチナム
1975年
ファンダンゴ!
Fandango!
4thアルバム。 ビルボード・ポップアルバムチャート10位 ゴールド
1976年
テハス
Tejas
5thアルバム。 ビルボード・ポップアルバムチャート17位 ゴールド
1977年
ベスト・オブ・ZZトップ
Best Of ZZ Top
1979年
皆殺しの挽歌
Degüello
6thアルバム。 ビルボード・ポップアルバムチャート24位 ゴールド
1981年
エル・ロコ
El Loco
7thアルバム。 ビルボード・ポップアルバムチャート17位 ゴールド
1983年
イリミネイター
Eliminator
8thアルバム。 ビルボードチャート9位 ダイアモンド
1985年
アフターバーナー
Afterburner
9thアルバム。 ビルボードチャート4位 5Xプラチナム
1987年
シックス・パック
Six Pack
1990年
リサイクラー
Recycler
10thアルバム。 ビルボードチャート6位 プラチナム
1992年
グレイテスト・ヒッツ
ZZ Top's Greatest Hits
1994年
アンテナ
Antenna
11thアルバム。 ビルボードチャート14位 プラチナム
1994年
ワン・フット・イン・ザ・ブルース
One Foot In The Blues
1996年
リズミーン
Rhythmeen
12thアルバム。 ビルボードチャート29位
1999年
XXX-トリプルX
XXX
13thアルバム。 ビルボードチャート100位
2003年
メスカレロ
Mescalero
14thアルバム。 ビルボードチャート57位
2003年
クローム・スモーク・アンド・バーベキュー
Chrome, Smoke & BBQ
2004年
ランチョ・テキシカーノ・ベリー・ベスト・オブ
Rancho Texicano Very Best Of
2012年
La Futura
15thアルバム。ビルボードチャート6位
1992年
グレイテスト・ヒッツ-ビデオ・コレクション
Greatest Hits Video Collection
2004年
クロスロード・ギター・フェスティバル
Eric Clapton Crossroads Guitar Festival
ZZ TOPは2曲出演
来日履歴
メンバーが一人でも来日しているものを取り上げる。
ライブではギブソン のレスポール’59は使わず、トーカイ のLS-200を使用。
理由に「ギブソンは、盗難がこわいから・・・」
日本のメディアに出演(来日を除く)
メンバーが一人も来日せずに日本国外で収録されたものを取り上げる。
Hogzzilla
Hogzzilla (ホジラ)はZZトップが所有するハーレーダビッドソン 社製のオートバイを改造した改造バイクである。まったく同じ仕様のものが2台作成された。同時期に製作されたCadzzilla (キャジラ、1949年製キャデラック の改造車)と、カラーリングや各パーツの形状がまったく同じで、流線的なボディもよく似ている。名前の由来は、ハーレー とゴジラ を掛け合わせたものである。ちなみに、上記「Cadzzilla」の名前はキャデラックとゴジラを掛け合わせたもの。
脚注
^ “Z・Z・トップのプロフィール ”. ORICON NEWS . oricon ME. 2023年5月22日 閲覧。
^ a b c Deming, Mark. ZZ Top Biography, Songs, & Albums - オールミュージック . 2023年4月8日 閲覧。
^ Bashe, Patricia; George-Warren, Holly, eds (2001). The Rolling Stone Encyclopedia of Rock & Roll (3rd ed.). New York City: Simon & Schuster . ISBN 978-0-7432-0120-9
^ Talevski, Nick (2006). Rock Obituaries – Knocking on Heaven's Door . London: Omnibus Press . p. 173. ISBN 978-1-8460-9091-2
^ Bonson, Fred (August 31, 1996). “Wea's Greatest Hits”. Billboard 108 (35): 34. ISSN 0006-2510 . "It was the band's second album, "Tres Hombres", that established their boogie-rock credentials by peaking at No. 8 in 1974."
^ McPadden, Mike (2012). “ZZ Top”. If You Like Metallica... . Backbeat Books . p. 30. ISBN 978-1-476-81357-8
^ Zalkind, Ronald (1980). Contemporary Music Almanac: 1980–1981 (1st ed.). Schirmer Books . p. 349. ISBN 978-0-028-72970-1
^ Hunter, James (2012年9月22日). “La Futura ”. Rolling Stone . 2023年4月8日 閲覧。
^ “ZZ Top(ジージー・トップ)の情報まとめ ”. OKMusic . ジャパンミュージックネットワーク. 2023年5月22日 閲覧。
^ a b 100 Greatest Guitarists: Billy Gibbons | Rolling Stone - 2014年2月15日閲覧
^ ZZ Top's Billy Gibbons talks guitars, guitars and Rick Rubin - musicradar.com - 2014年2月15日閲覧
^ Colin Larkin , ed (1992). The Guinness Encyclopedia of Popular Music (First ed.). Guinness Publishing . p. 1772. ISBN 0-85112-939-0
^ “American Blues | Biography & History ”. AllMusic . November 4, 2015 閲覧。
^ Happy Birthday BFG! The Warped Genius of Billy Gibbons - gibson.com - 2014年4月1日閲覧
^ ZZトップが9年ぶりの新作『La Futura』を9月発売 - amass
^ ZZ Top | Awards | AllMusic - 2014年2月15日閲覧
^ “祝結成50周年!ZZ TOP(ズィーズィー・トップ)、ビッグ・ボリュームなアンソロジー作品が登場 ”. TOWER RECORDS (2019年5月20日). 2020年2月7日 閲覧。
^ a b Wilkening, Matthew (July 28, 2021). “Dusty Hill Insisted ZZ Top Not Break Up Following His Death ”. Ultimate Classic Rock . July 28, 2021 閲覧。
^ “ZZトップのビリー・ギボンズ、ダスティ・ヒルの遺志を継いで活動を続けていくことを明かす ”. NME JAPAN (2021年7月29日). 2021年7月30日 閲覧。
^ Greene, Andy (July 28, 2021). “ZZ Top Bassist Dusty Hill Dead at 72” . Rolling Stone . https://www.rollingstone.com/music/music-news/zz-top-bassist-dusty-hill-dead-obit-1203694/ July 28, 2021 閲覧。 .
^ “ZZトップ、ベーシストのダスティ・ヒルが死去 ”. BARKS (2021年7月29日). 2021年7月30日 閲覧。
^ Johnson, Kevin (August 7, 2021). “Dusty Hill's Bass and Vocals Will Be on Next ZZ Top Album ”. No Treble . August 9, 2021 閲覧。
^ “ZZトップ・ローのライヴ・アルバムと新ツアー発表 | Louder ”. Loudersound.com (2022年3月8日). 2022年8月2日 閲覧。
^ www.notreble.com > article "ZZ Top and Lynyrd Skynyrd Announce 'Sharp Dressed Simple Man' 2024 Tour Dates" (by Kevin Johnson - November 6, 2023)
外部リンク